脚本添削『取引完了』(★5.20)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.50)

脚本_米俵19v1『取引完了』(ホラー)_20250301

米俵
●自己採点
好き2 脚本1.1
●自由感想
お年玉の方、もう少し練りたくなったので、ホラー書きました。
登場人物が1人しかいないホラーを書きたくなったのですが、独り言禁止を破りました。すみません…

テーマ触媒1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.8「脚本」2.3
●ログライン100
フリマアプリでフィギュアを購入した怜奈が、それが人を殺せる呪物だと気付いて乱用するが、誤って母親を呪い殺してしまい、手放そうとした結果自分が死んでしまう。
●テーマ/フック
人を呪わば穴二つ/進化する呪いのフィギュア
●カタリスト
フィギュアが箱のイラストと同じ顔になっている。
●不明点・不自然な点
呪いの効果に気付く前後が少しわかりにくいかもしれません。柱4までは怜奈は人が死ぬことに気づいてないと思うんですが、気づいた決定的な部分がなかったので柱3後半で気付いたように読めてしまいました。フィギュアの進化を呪った時点ではなく、人が死んだ時に調整すると柱4で上司の死+フィギュアの変化があってわかりやすくなるかもです。
怜奈の服装の変化はdressなのかな?と思ったんですが、いきなり派手になるって部分に違和感を感じました。途中、お金が入ってきたのかなとか考えてしまって💦 派手になりたかった部分が小道具とかでふれるとすごく活きると思います。
●自由感想
実は被験体だったオチがかなり好きです。465ってそういうことか~ってスッキリしました。
あと小道具の使い方がいいなと思いました。フィギュアもですけど、画面の光の使い方とか香典とか。
ひとり言も全然気にならない脚本だと思います。

脚本太郎
●採点
「好き」2.7 「脚本」2.6
●ログライン100
ゲーマーの怜奈は、フリマアプリで購入したフィギュアの呪いの力に気付き、それを利用して殺人を繰り返すも、誤って自分の母親を殺してしまったことから、フィギュアをフリマアプリに再出品し、購入者から呪われて死ぬ。
●フック/テーマ
呪いとフィギュア、フリマアプリなどの組み合わせに新しさがある/憎悪の連鎖
●カタリスト
(柱1) インターホンが鳴る。
●不明点・不自然な点
・フィギュアの力に気付いてからそれを使ってヘイトを買った人たちを殺していくまでが、唐突に感じられました。
理由としては、フィギュアの姿が変わったことに対する驚きが丁寧に描かれているのに対して、フィギュアの力に気付いた後の反応があっさりしすぎているためかな、と思います。
・柱5で、ゲームの対戦相手をたくさん殺した後の怜奈が髪色を明るくしているのは、『嬉しさ』の表れなのは分かるのですが、あまりピンと来ませんでした。
例えば上司に髪を染めるのを禁止されていて、彼が死んだために念願の髪染をすることができた、などの理由があると分かりやすいと思います。(良い代案かは分かりませんが……)
・独り言に関しては仕方ない部分もあると思いますが、例えば柱3の「うざっ」などのように敢えてその台詞を言わなくても良いような場面では、物に当たったり舌打ちをしたりなどで代用ができるかと思いました。
・柱7で、怜奈が人形を叩きつけながら言う「お前のせいだ。お前のせいだ」という台詞ですが、クリシェぎみなものを二回続けることでゴリ押しな印象を受けてしまいました(それに対する人形のふざけた言い方はあえてクリシェな台詞なのが馬鹿にしてる感じが出てて良いと思いました)。
この場面は怜奈の感情が一番高ぶってるところなので、もう少しこのシーンならではの表現があると盛り上がるんじゃないかと思います。
(以下、細かい点)
・柱1で、「怜奈の部屋にプレミア価値のついたフィギュアとその箱が並んでいる」とありますが、映像を観ただけでプレミア価値がついていると分かるかな? と疑問に思いました。
・柱9、ファイルではなくフォルダかな、と思いました。
●感想
フリマアプリのシステムが活きているところ、呪いとゲーマー、フィギュアといった組み合わせなど、素材の使い方が凄く上手いと思いました。また、最初に出品者に悪態をついて取引キャンセルしたのが最後で返ってくるところなど、ホラーとしての構成が綺麗でした。
画面越しに文字が出てくるシーンが多いので観にくい感じもしますが、題材的に仕方ない気もするので、そこは何とも言えない感じでした。

ChatGPT
この脚本の一番大きな問題点は、怜奈の感情やキャラクターの変化に対する描写が不十分であることです。特に、怜奈がフィギュアを呪いの力で取り込まれていく過程や、彼女の後悔、恐怖、そして最終的な死亡に至る心情の変化が急すぎる印象を受けます。感情の変化が突如として訪れるため、読者や観客がその変化に共感するのが難しいかもしれません。
改善案:
●怜奈の内面を深く描写する
 フィギュアとの関わりが進むごとに怜奈がどのように変わっていくかを細かく描写しましょう。例えば、フィギュアに最初は魅了されていたものの、次第にその呪いが彼女に及ぼす影響に気付き、恐怖や後悔を抱くようになる過程を描写することが重要です。
●フィギュアの呪いの力を徐々に強化する
 フィギュアが変化し、動き出す場面をもっと段階的に描くと、怜奈の恐怖が徐々に高まる感じが伝わりやすくなります。最初は小さな変化(例えば目が動くとか)から始まり、最終的にフィギュアが完全に制御不能な存在となるという流れを作ると、クライマックスへの引き込みが強くなります。
●結末を予兆する
 怜奈が最終的に死ぬ瞬間やフィギュアが最終的に制御を奪うという結末が唐突に感じられるかもしれません。小さな兆しや隠されたヒントを散りばめておき、観客が最終的な結末に向かって徐々に恐怖を感じることができるようにすることで、よりインパクトが増します。
応援メッセージ:
アイディア自体はとてもユニークで、ホラーとして非常に面白い要素が詰まっています!怜奈の心理的な変化を描くことで、さらに深みが増し、観客に強い印象を与えることができると思います。あなたの作品が完成形に近づくことを心から応援しています!

修正稿(★5.20)

脚本_米俵19v2『取引完了』(ホラー)_20250503
修正期間:2025.3.10→2025.5.3(54日)

米俵
●自己採点「好き」2「脚本」1.3
●感想
すみません。6枚半になってしまいました。(初稿でも書きましたが、登場人物1人設定なので、独り言禁止やぶってます)ただ、書いてみて禁止の理由が実感出来ました。
れにさん、脚本太郎さんの意見は全て取り入れられたかなと思います。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点「好き」2.8「脚本」2.4
●自由感想
怜奈の自分勝手な性格がよりわかりやすくなっていました。なので、初稿でテーマに置いていた「欲望と呪いの代償」の欲望の部分が強くなったと感じました。
呪いに気づいてハマっていく異常さも強まっていて、映像にしたときに印象に残りそうだと思いました。

脚本太郎
●採点「好き」3.3「脚本」3.3
●自由感想
被験者番号がより強調されていて伏線として分かりやすくなっていました。
怜奈のフィギュアに対する感情の流れが、怒りの前に恐怖を抱くことでよりリアルなものになっていたと思います。
フィギュアのふざけたような煽り台詞が増えていたのも魅力が増していたと思います。
じました。
これは純粋な疑問なんですが、フィギュアはキャラクターには含まれないんでしょうか? 映像にするときには声だけ当てることになると思いますが、人物表に書くか書かないかって、役者が姿をさらして演じるかどうかという辺りが判断のポイントになるんでしょうか? それとも何歳くらいの声に聞こえる声優を起用するかとかの参考にするために、人物表に書いておくべきなんでしょうか?

さいの
(初稿読んでいないため初稿FB形式で記載)
●採点「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
フリマアプリで購入した謎のフィギュアを使って人を殺せることに気づいた怜奈は、気に入らないオンラインゲームの対戦相手を次々と手に掛けていく。ある日、誤って自身の母を殺してしまったフィギュアに腹を立て、フィギュアを転売するが、今度は自分が殺されてしまう。
●フック/テーマ
フリマアプリの取引トラブル/呪いの人形
●カタリスト
フィギュアの顔が変化している。
●ルールミス
特に無し。
●不明点・不自然な点
・簡単でよいのでフィギュアが何のフィギュアで、どんな種類のゲームなのかテキストで提示して欲しかったです。人を殺すたびに、その見た目が完成に近づいていくというコアの描写のディティールが完全に観客の想像に委ねられてしまってややストレスでした。
・全体的に、何をカメラに映すかという点に力点を置いて描かれたト書きだと感じました。何が起こっているのかも書くとより意図が伝わるのではと思います。特に届いたフィギュアが期待したものでなかったくだりは、何度か読み返しました。全体的にもう少し端折ってもよいかなとも思います。
●感想
フリマアプリの取引トラブルという現代の藪の中みたいなものに、呪いの人形という古典を接続するアイデアは新規性があって面白いと思います。
●ツイストアイデア
10分でオチまで付けようとすると展開させるだけで終わってしまうのは仕方ないのですが、ドラえもん的に言うと、のび太が秘密道具使ってどうやって自滅していくのか、その過程が面白ポイントになると思います。
例えば、クソ上司が死んだ後の会社で主人公はどう振る舞うようになったのかとか。いつでも殺せると思って堂々と振る舞ってたら昇進しちゃったとか、ゲーム世界だけでなく実社会でも傲慢になって孤立したとか、そういう描写が見たいと思いました。

しののめ
●採点「好き」3.3「脚本」2.6
●ログライン100
粗暴な性格の怜奈は、ネットで買ったフィギュアに呪力があると気づき、嫌いな人々を呪い殺すが、誤って母をも殺してしまう。何とかフィギュアを手放すも直後に突然死し、自身が呪物研究のダシにされていたことを知らぬままとなる。
●フック/テーマ
呪いのフィギュア/呪物研究、因果応報
●カタリスト
段ボールを開封するとフィギュアの箱が出てくる。
●不明点・不自然な点
・初見時「465」の数字がシリアルナンバーなのかな?と思ってしまい、それを見て不機嫌になった理由がよく分からず若干混乱しました。
・取引キャンセルボタンを押した後、後日取引完了ボタンを押していますが、フィギュアの外見が変化してしまうこともあり、別物と交換した可能性なども一瞬よぎってしまうかも、と思いました。キャンセル申請ボタンを押す→それを取り下げる?などの描写だと、より分かりやすいかもと思いました。
・「フィギュアが可動式でないことを確かめる」→現物を触って確かめたと解釈しましたが、取引ページや外箱、説明書などを見て確かめた可能性も一瞬よぎったので、より明確に説明されていると親切かもと思いました。
・「服を着るという変化を遂げているフィギュア」→リアルタイムで着るという動作を行なっているのか、裸体?で届いたフィギュアがいつの間にか服を着用していたのか、など、解釈が分かれる文言のようにも感じました。
・「何それ。そういう変化……」→フィギュアの変形と掛けているのだと思いますが、それまで怜奈が「変化」という言葉を使っていた訳でもないので、若干唐突な発言のようにも感じました。
●感想
・世にも奇妙な~のようでワクワクしました。フィギュアの言動(キャラ性)もめちゃ好きなタイプの悪役です。
・フリマアプリで入手した呪いのフィギュアという、現代ならではのホラーもので新鮮味がありました。外箱が封印先?であることや、フィギュアが進化していくアイデアも面白かったです。
・母親の死はフィギュアのせいじゃないのかも?と思ったところで口角が上がるなど、ちょっとした裏切りもあって楽しく拝読しました。
・オチも好きですし、他の被験者の存在(エピソード)も予感できて良いなと思いました。
・タイトルだけを見て思い浮かぶ「取引」とは違った内容になっていて、その点も好きでした。

ChatGPT
脚本「取引完了」の素晴らしい点
まず、この脚本が持つ独特の不気味さと緊張感の構築が見事です。特に、日常的な要素(フリマアプリ、オンラインゲーム、フィギュア収集)を活かしながら、徐々に不気味な異常性が浮かび上がってくる点が素晴らしいです。主人公・怜奈の平凡な日常と異常な現象のギャップが、恐怖感を倍増させています。
また、フィギュアという一見無害なアイテムが持つ異様な存在感が効果的です。物語の流れに従ってフィギュアの変化が少しずつ顕在化していくことで、観客に「次はどうなるのか?」という緊張感を持続させています。最初はただの不良品に思わせておきながら、実は恐怖の中心であり、制御不能な存在であるという展開が秀逸です。
さらに、映像的な工夫が多く見られる点も素晴らしいです。特に、フィギュアが変化する際の「静と動」の対比が視覚的に効果的で、怜奈の表情の変化や部屋の暗さが、精神の崩壊を象徴しているかのようです。終盤のパソコン画面で全てが管理されているという衝撃のオチも見事で、観客に強烈な後味を残します。
次回作への応援
米俵さん、この脚本は日常と怪異が交錯する恐怖感を見事に描ききっています。次回作では、この独自の視点や観客を意表を突く展開をさらに磨いて、新たな恐怖の形を生み出してほしいと思います。今後の作品も、ゾクゾクさせてくれることを楽しみにしています!応援しています!

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.8 2.3 2.8 2.4
米俵 2.2 2 2 1.3
太郎 2.7 2.6 3.3 3.3
さいの 2.5 2.5
しののめ 3.3 2.6
平均 2.57 2.30 2.78 2.42
合計 4.87 5.20

2025.5.12アップ

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