※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★4.64)
脚本_しののめ03v1『静かな誕生日』(サイレント)_250802
しののめ
●自己採点
「好き」2.6「脚本」2
●ログライン100
夏生まれの高校生・夏輝は、夏期講習の関係で誕生日を祝って貰えた同級生を見て薄ら期待するも、友達どころか家族にも祝われず、気晴らしに花火大会へ向かうが孤独を覚え引き返そうとする。そこで迷子を助けるがろくな感謝もなく、落胆し帰路につくも、道中で美しい花火を見て孤独が癒される。
●フック/テーマ
夏生まれ、孤独な人の誕生日/孤独と癒し
●ねらい/テーマ触媒
テーマ触媒:サイレント
ねらい:ドラマ、感情を描く。
●感想
・まさかのサイレント×誕生日が、さいのさんと丸被りしてしまいました…!😂(さいのさんが提出された日に私も執筆してました。。)
悩んだのですがこのまま出しちゃいます。すみません…!これまでもですが、初心者禁止事項の文字を出しており申し訳ないです。。
テーマ触媒2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
フィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.6「脚本」2.3
●ログライン100
誰かが誕生日を祝ってくれるのでないかと期待する夏輝は、当日誰にも祝われなかったため一人で花火大会へ行き、周囲の家族連れや同級生らを見て孤独を感じ、花火に涙する。/80文字
●フック/テーマ
誕生日/孤独
●カタリスト
柱8、何も書かれていない黒板にショックを受ける
●不明点・不自然な点
・最後の涙の意味が曖昧*かなと思いました。
涙するまで花火の美しさに3行(フォーマットだと5行)入っているので、美しさに感動したと取られるかもしれません。もしくは孤独を感じていたけど、花火の美しさが悲しみを上回ったとか。リズムを崩さないために泣いてから花火の描写をするほうがいいと思いました。そのほうが誰も夏輝を気にしていない感じが出そうです。
●自由感想
ト書きが丁寧に書かれていたので、登場人物の動きがわかりやすかったです。その分、冗長になっているところがあるので、少し削れると演出側に理解されやすくなるかもしれません。
絵の強さが必要な触媒だったかと思いますが、どのシーンもわかりやすく魅力的だったと思います。
しいて言えば、柱13で無表情よりも悲しそうにしていたほうが感情の積み重ねがわかりやすくて、涙が活きると思いました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
誕生日を誰かに祝われないかと期待する高校三年生の夏輝は、家族からもクラスメイトからも祝われず、夏祭りも独りで過ごすが、打ち上げられた花火の美しさに感動して涙を流す。
●フック/テーマ 孤独な誕生日、独りの夏祭り/孤独、虚しさ
●カタリスト
柱2: 夏輝は茫然としていたが、ふと得心した表情に変わる。
●不明点・不自然な点
最後、実際に映像で観た際に、夏輝が涙を流した理由が判断しづらいのではないかと思いました。「黒板の装飾よりも美しく、何かを祝うように」というト書きからは感動からの涙と取れますが、映像だとそこまで読み取れず、孤独に耐えかねて泣いていると思えるかもしれません。混同を避けるため、いっそ涙ではなく笑顔で感動を表現するのはどうかと思いました。
●自由感想
前日のお祝いメッセージの書かれた黒板と当日の何も書かれていない黒板との比較で虚しさが伝わってきました。
実際に何か酷いことをされたわけではないが、誰にも相手にされず悲しさを感じるというのが良い塩梅な気がします。
さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
誕生日をクラスメートに祝ってもらえなかった夏輝は、やるせない気持ちを鎮めるため一人で花火大会へ向かうが、祭りの喧騒に惨めな気持ちを逆撫でされて、一人涙する。
●フック/テーマ
誕生日/孤独
●カタリスト
誕生日の日に夏輝が教室の扉を開ける
●不明点・不自然な点
・柱1「うだるような夏の晴天である」は一行目に書く方が自然かと思いました。
・細かいのですが柱5など数文字削れば改行せずに済むようなところは、収めた方が見栄え良いかと思います。
・柱7「何も食べずに」は特段書く必要がないと思いました。
・柱14「何かを祝うように」は映像として何かを映すという指定ではないので、ト書きとしては不適切で粒度が荒いと思います。
●自由感想
・誕生日を誰にも祝ってもらえない悲しさを癒すためなんとなく花火に行ったが、逆に傷ついて帰ってくるというログラインは皮肉の良さがあると思います。
・夏輝の落胆を理解するために、どれくらい自分の誕生日を祝ってもらえると信じていたのか、りょーへい達との関係値はどれくらいなのかがもう少し分かりたかったです。
・夏輝自身の家庭環境とクラスでの孤立が彼の哀愁を引き立てていたと思います。ただ彼の悲しみの元凶が母との関係性なのか、クラスにあるのかは描いて欲しいです。
●ツイストアイデア
・思い切って母に夏祭り行かないかと誘うが不在で、仕方なく一人で行くことになる。
・誕生日の前日、カレンダーに夏輝が自分で丸する。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.2
●ログライン100
クラスメイトから誕生日を祝ってもらえなかった夏輝は、家族にさえも祝われなかったことをきっかけに、ひとり花火へ。孤独感に苛まれる夏輝だったが、花火の美しさに心奪われる。
●フック/テーマ
誰にも祝われない誕生日/孤独感
●カタリスト 柱8.手元のカレンダーをぐしゃ、と握る。
●不明点・不自然な点
夏輝と他の生徒たちとの関係性に違和感がありました。夏輝は祝われるかもしれないと淡い期待を抱いていたように受け取りましたが、そうだとすると多少なりとも他とも接点があるはずで、他の生徒たちとの接点が希薄であったように思います。とにかくクラス全員の誕生日は祝う風習のようなものがあって、夏輝だけ祝われなかったとかだと夏輝の孤独感は高まる気がします。
●自由感想
登場人物が夏輝だけというところで、その動向のみに意識を向けながら読み進められたので、非常に読みやすかったです。 また夏輝の置かれている状況がト書きで丁寧に描写されていたので、孤独感といったところがダイレクトに伝わってきました。
ロバの絵本
感動しました。クラスの中でも、華やかなやりとりなどはあって、同じ人同士のはずなのに、公平にそういう目にあうこともないです。
0時になったことを気にしている描写から、誕生日なのだ!と気がつきました。クラスにも家にも、わざわざ期待するわけにもいかないけど切ない、そんな気持ちがさびしくなりました。
自分という存在は、人にとっても嬉しいものだよ、と存在価値の自信のないような頃に、お祝いがほしいわけではなくて、人に声をかけてもらうことで、不確かなことを確かにしたいのでしょう。
まわりの気づきに恵まれなかったら、その日あったいいことも奇跡だと信じていいと思います。その日が花火大会だとは、なかなかないことです。綺麗な、綺麗な花火から、おめでとうを感じ取ってくれたのがとても嬉しいです。
きっときっと、この今ではなくても、そんなふうに人を助けて生きていて、喜びも残念だったことへの気持ちなどもわかちあえて、魅力にもしっかり気がついてくれて、大切に思ってくれる仲間が、現れます。
描写もわかりやすくて、とても好きでした。少し忙しいときに読みましたが、それでも引き込まれて、じっくり眺めて読み進めて、一回で最初から最後までを集中が切れたりわからなくなったりせずに読むことが出来ました。
評価 5
ChatGPT
🔍一番大きな問題点:
「変化」の核心があいまいなため、主人公の物語としての“跳躍”が弱い
物語は非常に丁寧に構成されており、日常の描写も抑制が効いていて美しい。
ですが、夏輝がどのような「心の変化」を遂げたのかが、観客に強く伝わる設計になっていないのが最大の弱点です。
彼はただ“孤独を噛みしめた”だけなのか?
それとも、男児との出会いを通して“誰かを大切にする喜び”を見出したのか?
それとも、花火の美しさに“世界との繋がり”を一瞬感じたのか?
この**“変化の核”が曖昧**なため、クライマックスの花火と涙が、やや“雰囲気で押し切っている”印象になってしまっているのです。
💡改善案(3つ)
① 男児との関わりに「感情的なセリフ」または「自分との重なり」を入れる
男児に対して「大丈夫?」以上の言葉をかけてほしい。
たとえば:
「親、来るまで一人か?」「……俺も今日、ちょっと誕生日なんだけどな」
──このひと言で、夏輝の孤独と、それでも誰かを思いやれる心が浮き彫りになります。
② ラスト直前に「小さな贈り物」を受け取らせる
親切にしたお礼として、男児の母親が「飴ひとつ」や「ありがとうの言葉」を渡す、
あるいは男児が去り際に小さく手を振る、など。
それにより、夏輝が感じた**“他者との微かな繋がり”**がより強くなる。
花火の美しさが「この世界は、自分を祝っていないけど、それでも生きてていい」と思わせる説得力を帯びます。
③ 冒頭と対になる「自己肯定の余韻」を入れる
最初に「誕生日を祝われる人間」を眺めていた夏輝。
最後に花火を見上げたあと──
「明日も別にいいことないけど……帰るか」
というような諦念と肯定が入り混じったひとことがあれば、
“静かで、でも確かに前に進む物語”として完成度が格段に上がります。
🎉応援メッセージ
しののめさん、あなたの脚本には、**「誰にも気づかれないまま、生きている人の息づかい」**があります。
盛り上げや演出で誤魔化さず、ひとりの少年の孤独と小さな救いを、最後まで真摯に描いていて、その姿勢こそがすでに“優しさ”であり、“才能”です。
あと一歩。「花火の涙」に、“彼がなぜ涙したのか”の確かな理由を、観客が自分の言葉で語れるようになれば、
この作品は、ただの静かなドラマではなく、静かに心を打ち抜く物語になります。
あなたの紡ぐ“静けさ”は、きっと誰かの“真ん中”に届く。
その確信を胸に、次の物語へどうか、進んでください。
楽しみにしています。
修正稿(★4.78)
脚本_しののめ03v2『静かな誕生日』(サイレント)_250816
修正期間:2025.08.10→2025.08.16(6日)
しののめ
●自己採点
「好き」2.7「脚本」2
●感想
オチを微妙に分かりづらくする(見る人によって解釈が分かれるような余地を残す)のが好きでついやってしまうのですが、それでも自分の中では一応、「(孤独の中でも迷子を助けるような良心のある)夏輝を、花火だけは祝ってくれた」というつもりで書いたので、それがもう少し伝わるように描写するのが自分の課題だなと思いました。ト書きもなかなか削れず、取捨選択の技量の無さを痛感しました。
孤独の主軸がクラスメイト(友人関係)なのか母親なのかという点については、今回は友人関係にウエイトを置きたかったのでそちらの描写を少し増やしましたが、もっと明確に描くべきだったかもしれません。。(高校生なので、親や家族は祝ってくれないの?という点に言及しないわけにもいかないかなと思い……もっと上手いやり方があったかもしれません)
修正稿へのフィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.6「脚本」2.4
●良くなった点
・柱3で夏輝と周囲の距離感がわかりやすくなった。
初稿でも夏輝の孤独感が伝わってきましたが、「浮いてはいないけど馴染んでもいない」というもどかしさがプラスされたように思えました。
・柱14の子供たちと夏輝の対比
助けた子どもに心配してくれる親や友人がいるのに、夏輝にはいないというのが心情をよりクリアに見せてくれました。
●自由感想
誕生日を祝われたいというより、誰かと親密になりたいという心の飢えを感じました。
初稿でもせつない話だと思いましたが、修正でより孤独感を描けていました。
しののめさんの目標と計画にある「方針:台詞に頼りすぎない」はしっかり達成できているんじゃないでしょうか。
次作も楽しみにしています!
脚本太郎
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.2
●良くなった点
・夏樹とクラスメイトたちとの距離感が分かりやすくなりました。
・りょーすけだけではなく他のクラスメイトの誕生日も祝っているのに(全員かは分かりませんが)、夏樹は祝われていないという背景が分かったので、夏樹の落ち込みがより具体的に理解できるようになりました。
・りょーすけの誕生日に黒板にかいてあったのが「花火の絵である」というト書きが追加されたことによって、最後の本物の花火との比較がしやすくなりました。ただ、普通に画面に移しているだけで観客の印象に残るとは思えないので、何かしら花火の絵を強調する必要はあるように思います。
・最後の花火を見た夏樹の表情が具体的に書かれているので、心情が掴みやすくなりました。
さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2
●自由感想
・りょーすけとの関係性の提示によって、クラスメートに悪意があるわけでなく、夏輝が内向的で自己開示できていないが故に誕生日を知られてすらないんだなと理解しました。夏輝の立場や何故祝ってもらえなかったか明確になったと思います。個人的にはそりゃ祝ってもらえないだろうな笑と思いました。それなのに淡い期待を元にぐしゃっとカレンダーを握るのが、独善的で自分を客観視できていない幼稚さとして映り、人間らしいなと思いました。ただこれが魅力として映るかは客を選ぶというか、少なくともそこをテーマとして意識したエピソードの並びではなかったかなという所感です。
・対して、迷子を助けたのにろくに礼も言われず蚊帳の外にされたのはシンプルに可哀想でした。例えば、その善行が誕生日を祝われなかったことによる内的変化の結果であるとか、薄い線でいいので教室、母との関係などの関連がもう少しだけ見えると、彼の日常の羅列をどう観客が受け止めたらいいか分かったかなと思います。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●自由感想
夏輝と男子との接点が生まれたことで、クラスにおける夏輝の立ち位置のようなものが理解できるようにはなりましたが、それでも祝われるに足る関係性であったのか疑問が残りました。クラスメイトが祝われるのを嫉妬と羨望の眼差しで見つめていて、夏輝は祝われないと諦めながらも、どこか期待して、やっぱり祝われなかったという描写でも孤独は伝わるのではないかと感じました。 一方で、ラスト、孤独を癒す花火の描写にはぐっときました。その前に孤独を裏付ける描写として、中学生グループが夏輝を追い越すト書きもよかったと思います。花火だけが祝ってくれているということがよく伝わり、涙の価値が上がったように感じました。
ChatGPT
素晴らしい点
●映像的な描写力
教室の黒板の落書き、消された跡、花火大会の賑わいといったディテールが強く印象を残し、映像で見ているような臨場感がありました。とくに「黒板の装飾」と「夜空の花火」を重ねるラストは象徴的で美しく、物語全体を締める鮮やかなイメージになっています。
●人物の孤独と心情の繊細な表現
夏輝の「真顔になっていく」「虚ろな目」「死んだような目」といった細やかな描写が、一人の少年の孤独感を丁寧に浮かび上がらせています。それでも他者(男児)を助ける場面を描くことで、彼の優しさや人間性も浮き彫りになり、読者・観客の胸に余韻を残します。
●対比の巧さ
「りょーすけの誕生日」と「夏輝の誕生日」の落差、家庭の静けさと花火大会の賑わい、他者の幸せと自身の孤独の対比が物語のテーマを鮮明にし、観る人に深い感情を呼び起こします。
次回作への応援
この脚本には、静かな日常の中に潜む切なさと美しさを掬い取る力がありました。次の作品では、同じように「誰もが経験しうる孤独」や「ほんの一瞬の救い」をさらに掘り下げたり、逆にまったく別の題材で「人と人が関わる瞬間の温かさ」を描いてみるのも素敵だと思います。
どんな方向に進んでも、しののめ のののさんの繊細な感受性が必ず作品に表れるはずです。ぜひ次回作も楽しみにしています!
以上
採点
初稿 | 修正稿 | |||
好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
雨森れに | 2.6 | 2.3 | 2.6 | 2.4 |
脚本太郎 | 2.5 | 2 | 2.5 | 2.2 |
さいの | 2.5 | 2 | 2.5 | 2.2 |
しののめ | 2.6 | 2 | 2.7 | 2 |
山極瞭一朗 | 2.5 | 2.2 | 2.5 | 2.3 |
リーダー① | 5 | * | * | * |
平均 | 2.54 | 2.10 | 2.56 | 2.22 |
合計 | 4.64 | 4.78 |