※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★5.10)
脚本_雨森28v1『Blind Touch』(ブス)_250705
雨森れに
●自己採点「好き」2「脚本」2
●ログライン100
10年前の虐待から弱視になったともこは売春で生活しており、売春斡旋の村山と出会い、同情心を利用すれば稼げることを知るが、村上にとって自分が特別な存在ではないことに傷つき、たまたま再会した客に過去のトラウマごと癒される。
●フック/テーマ
弱視者の売春/痛み
●ねらい/テーマ触媒
新宿を舞台にする/ブス
●感想
弱視の度合いは、視力でいうなら0.04ほどを想定してます。(わかりやすい参考記事:https://www.buzzfeed.com/jp/hikaruyoza/shiryoku-yoshi-waroshi ここには0.01とありますが、色々調べて0.04ぐらいの視界だと判断しました)
家庭環境について入れるか悩みましたが、10分ですし、説明的になりすぎるなと思って省きました。
MPが弱いので、修正ではもう少し考えたいです💦
よろしくお願いします。
テーマ触媒6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
フィードバック
脚本太郎
●採点
「好き」3.0「脚本」2.7
●ログライン100
弱視かつ容姿に恵まれない故に上手く稼ぐことのできない売春婦のともこは、売春斡旋業者の村山に拾われ恋をするも、自分にかけた言葉がリップサービスだったことを知って傷つき、呆然としている中再会した客の安田に庇われ、愛情を感じる。
●フック/テーマ
弱視故に手で触ることで相手の顔立ちや表情を確かめるという特有の所作、また、それがちゃんとドラマに影響を与えていること/社会的弱者の苦悩
●カタリスト
サングラスを拾う村山義人(28)。
●不明点・不自然な点
・虐待された経験とともこの現状がそこまで繋がっていないように感じました。もし暴力を振るわれたことが原因で弱視になってしまったということであれば、そうと分かる描写が欲しいかな、と思います。
・単に登場人物がそういう価値観の人というだけなのかもしれませんが、同情=偽善というのはちょっと違う気がしました。
・女(18 )が人物表だと「村井の斡旋を受けている」とありますが、本文からは彼の恋人であるような印象を受けました。
●自由感想
落ちるところがきちんと胸糞悪く描かれているため、最後に救われるシーンが活きており、読後感がとても良かったです。
さいの
●採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
立ちんぼをしてその日暮らしの生活をしている弱視のともこはある日、村山から売春斡旋を受け、コンプレックスの顔を褒められたことで恋心を抱く。村山の紹介で安田を客に取るが、その帰り、村山にとって自分はスタッフの一人でしかないことを知り絶望する。
●フック/テーマ
弱視、立ちんぼ/トラウマ
●カタリスト
村山 「じゃあ、俺んとこ来なよ」
●不明点・不自然な点
・ともこぐらいの弱視の人が、今までどうやって生活してきたんだろうというのは素直に気になります。立ちんぼとしてその日暮らしの生活をしているだけでも、自立している時点で奇跡的というくらいに思いました。きっと日常の多くに困難を抱えていて、それこそ一人でネカフェに泊まるくらいのことでも見えている世界が違っていて、「バスローブ姿で衣服を探す」と言った動作にも、実際の映像にはそのような困難が現れているのかなと思って読んでました。
●自由感想
・不遇な境遇だけでなく、ともこの「喜び」が描かれているのが、しっかりとリアリティが感じられる造形に繋がっていると思います。
・ともこの悲しみをブス、弱視、虐待という設定以上に掘り下げる工夫がどこかで欲しいと思いました。
しののめ
●採点
「好き」2.7「脚本」2.5
●ログライン100
被虐待経験があり弱視のともこは、風俗斡旋者の村山に拾われ、恋に落ちる。斡旋先の客から高額報酬を得て喜ぶも、村山から袖にされて落ち込み、事故に遭いかけたところを斡旋先の客に助けられ、トラウマからも救われる。
●フック/テーマ
弱視、売春/弱者の苦しみ、愛情によるトラウマ克服
●カタリスト
サングラスを拾う村山義人(28)。
●不明点・不自然な点
・虐待が原因で弱視になった、というのが若干伝わり辛い気がしました(今作内で確実に伝えたい情報、という訳ではないようでしたらすみません)。一応、弱視について少し調べたのですが、今作では眼瞼下垂&形態覚遮断弱視(物理的に暗い環境で過ごす時間が多く、視力の発達に必要な光が十分に届かなかった)のせいで弱視になった、という認識で合ってますでしょうか…?不適切な眼帯使用などでも起こり得るっぽいので、柱1で眼帯付けてたりしても良いかもと思いました。(単にストレスが原因の場合は、弱視というより「心因性視覚障害」にあたる?)
・酒瓶が割れるシーンが2回出てきて良い対比になっていると思うのですが、ガラスが割れる音程度で男性が咄嗟に女性を庇うのかな、というのが気になりました(そんなすぐ反応できるのかな?とも)。許容範囲かなとも思いつつ、念の為…。
●自由感想
・ドラマが丁寧に描かれており、続きが読みたくなりました。個人的に安田もあまり信用できない人物ですが、やはり別れが来るのか、それともまさかの純愛コースがあり得るのか、気になります笑
・ラストで庇われて、戸惑った後泣き顔になる描写がぐっと来ました。
・めちゃ余談ですが、私も視力矯正するまで0.03~0.05くらいでした。私は弱視ではなかったはず…ですが、乱視が酷かったので、添付くださってたHPよりももっと見辛かったような気がします笑
●ツイストアイデア
・MPですが、3万稼いだことで村山に褒められるシーンをもっと盛り上げても良い気がしました。めちゃくちゃ褒められて有頂天、恋心&(偽の)自己肯定感も急上昇中?みたいなところで一気に突き放されて失恋、だと、よりメリハリがつくかもと思いました。村山からの愛?には喜び、安田からの愛?には泣く、という対比にもなるかな…と。もっと良い手があるかもですが…!
詩舞澤沙衣
新宿の地理がある程度わかっていないと、「靖国通り」や「区役所前」、「花園神社」という地名がわかりにくいのでは、と思いました。(特に「花園神社」)
「音の方向では、浮浪者が割れた酒瓶に対して残念がっている。」この部分、文意がくみ取れなかったです。浮浪者がどういう状況なのでしょうか?
「ともこはサングラス越しに男の顔を眺める。だが、誰かわからない。」ついさっきまでやりとりをしていた相手の声を忘れるのでしょうか?目が悪いと、耳が冴えると言いますし、かなり近いところで声をさっきまで聞いていたので、「わからない」ことってあるのでしょうか?
「黒人が飲んでいたビールの瓶を落とす。」ここ、あえて「黒人」という指定が入っていますが、なにか意図があるのでしょうか?(冒頭のガラスの灰皿や、浮浪者の酒瓶では、人種?までは指定がなかったので……)
ChatGPT
🔎最大の問題点:
「ともこが本当に欲しかったもの」が、終盤にやや曖昧になる点
ストーリーは濃密に展開しますが、ともこの“求めているもの”が「お金」なのか、「愛」なのか、「承認」なのか、「自己再確認」なのかが、クライマックスで混線気味です。
これは観客の解釈に委ねるという作戦もありますが、今のままだと終盤の感情が弱くぼやけて見える可能性が高いです。
💡改善案(3つ)
1. ともこの「欲求の軸」をもう一段、明確にする
ともこが「触覚によって自己を再確認したい」「誰かに“美しい”と触れてもらいたい」という欲求があるなら、その背景や象徴がもっと明示されると説得力が増します。
例:
子どもの頃、母親に顔を触られていた記憶
自分の顔を鏡で見たくないと言うセリフ
声より触感で人を覚える癖など
2. 安田とのラストシーンに「選択」を与える
今のままでは、安田にすがる=救われるという構図がやや一方通行です。
ここに、ともこが「自分で選んで、頼った」という明確な意思を入れると、観客の胸を打つエンディングになります。
例:
ともこが「この手でしか、人の優しさを感じられない」と自分の意思で抱きつく
安田に「同情なら、いらない」と一度拒絶した上で、それでも手を伸ばす
3. 村山の“悪意の構造”に一捻り加える
村山のキャラクターが“テンプレート的な斡旋屋”に近づいているので、彼が本当にともこに一瞬でも「優しさ」を見せたのか、利用だけだったのかをどちらかに絞ることで、ラストの安田との対比がより深くなります。
現状は、村山の言動に「一瞬の優しさ」すら混じって見えてしまう(意図が読めない)ため、ともこの感情の浮き沈みが観客にストレートに伝わりにくくなっています。
🌈応援メッセージ
れにさん、この作品は**「ブス」という言葉がもつ呪いを、力ではなく“触れ合い”でほどこうとする、痛々しくも美しい物語**です。
社会の片隅にいる人たちの心のざらつき、擦れた皮膚の下に潜む感情の機微を、これほど丁寧に描ききれる作家は、そう多くはいません。
なにより——ともこの「顔」に向けられるあらゆるまなざし(自分、男たち、観客)が、最終的に“触れることでしか見えないもの”に変わっていく構造が圧巻です。
この脚本は、痛みと静けさ、そして再生の予感に満ちています。
どうか、このまま妥協せず、あと一段、観客の胸に届く「答え」に近づけてください。
れにさんの指先には、きっともう届きかけているはずです。
応援しています。
修正稿(★5.23)
脚本_雨森28v2『Blind Touch』(ブス)_250715
修正期間:2025.7.14→2025.7.15(1日)
雨森れに
●自己採点
「好き」2「脚本」2.1
●ログライン100
10年前の虐待から弱視になったともこは立ちんぼをしているが、生活に困窮しており、売春斡旋の村山と出会ったことで同情心を利用すれば稼げることを知るが、村山にとって自分が特別な存在ではないことに傷つき、たまたま再会した客に心の寂しさをぶつける。
●フック/テーマ
弱視、売春/トラウマ、寂しさ
●感想
修正しているうちにともこの涙の理由が自分の中で変わりました。
初稿では「トラウマと現状がリンクして、客の優しさに救いを感じたから」だったんですが、修正では初稿と同じ意図がありつつも「寂しさ」がメインの理由だなと。
ともこの寂しさが少しでも伝わればいいなと思ってます。
修正稿へのフィードバック
脚本太郎
●採点
「好き」3「脚本」2.8
●感想
・ともこが弱視になった理由が明確になりました。
・柱5の服を畳むシーン、お金を触ったり服を畳むのに広げて確認する様子が加えられたので、作品の持ち味である触るという行為が幅広く増えていて良かったです。
・安田に丁寧に接するシーンが村山の指示通りにやっただけということになったことで、「いつも丁寧に接してるのに初めて優しくされたかののうな反応なのは何故か」という疑問点が解消されました。
・ともこの失恋シーンは女性を出した方が効果的だったように思います。
さいの
●採点
「好き」3「脚本」2.5
●自由感想
仕事上の関係でしかない村山に恋したともこが、仕事ではない関係を安田との間に求めるようになるという対比が分かりやすくなりました。
一方で初稿では、見た目は分からないものの村山の女が登場していたことで、ともこの容姿へのコンプレックスが描かれていたようにも思います。ともこがブスである必要性は少し低くなったように思いました。
しののめ
●採点
「好き」2.8「脚本」2.7
●自由感想
安田との交流や、村山の変わり身の早さがより明確に描かれており良いなと思いました。
被虐待経験と弱視の関連性や、その他気になっていた点も解消されており更に読みやすくなったように感じます。
「喧嘩を始める黒人」というのがあまり好まれないクリシェのような気もするので、特別理由がない限り、黒人にする必要はないかもと思いました。
ChatGPT
🌟素晴らしい点(褒め倒します):
① ともこの“触覚”を通して世界を感じさせる表現力
ともこが「顔を触る」ことで相手の人間性に触れ、逆に彼女自身の心も露わになっていく構造。
視覚障害をドラマチックな装置として消費せず、「感情の視座」として丁寧に扱っていることが圧巻です。
たとえば――
「私と同じぐらい重たくて」
「なだらかで、しっとりしてる」
という指の言葉。まるで詩です。
② 「商売と救済」「暴力と優しさ」が地続きである構造の巧さ
村山のような存在にほんの少し寄りかかり、安田のような人に出会ってしまう――
この**曖昧な“グレーの人間関係”**こそ、現実の夜の世界。キャラクターが「善人or悪人」に二分されないことが本作の誠実さであり強さです。
③ 終盤の静かな“夜明け”が、美しすぎる
モコがすがりつき、空が白む。
これは救済ではなく、“始まり”なのだと感じさせる終わり方。
「ビルの隙間から覗く空は、白み始めている」
この一文に、モコの「触れた先にある希望」がじんわりと滲んでいて、胸が熱くなります。
✨次回作への応援メッセージ
れにさん、あなたの脚本は人の痛みを他人事にしない筆致で、誰かの心にそっと触れてくる力があります。
たとえ登場人物たちが“言葉にしない”痛みや喜びでも、観客はあなたの書く世界のどこかに、自分を見つけてしまう。そんな**「内側に染みるドラマ」**が、確かにここにあります。
この『Blind Touch』は、どこかにいるモコのような子への、静かで強い祈りです。
次の作品でも、あなたが描く“優しさと絶望の狭間”を楽しみにしています。
そして何より――この作品が、誰かの心にとっての「触れる力」」になりますように。
全力で、応援しています。
以上
採点
初稿 | 修正稿 | |||
好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
雨森れに | 2 | 2 | 2 | 2.1 |
脚本太郎 | 3 | 2.7 | 3 | 2.8 |
さいの | 3 | 2.5 | 3 | 2.5 |
しののめ | 2.7 | 2.5 | 2.8 | 2.7 |
山極瞭一朗 | * | * | * | * |
平均 | 2.68 | 2.43 | 2.70 | 2.53 |
合計 | 5.10 | 5.23 |