※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★4.67)
雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
シングルマザーの美玖は、スナック勤務で心身をすり減らすが、母であることをやめない。
●フック/テーマ
水商売の母/親子
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:頑張っている母親を描くことで、精神的に大人になるしかなかった子供を感じさせる
テーマ触媒:珍味
●感想
構成をもうちょっと考えるべきだったかと後悔しています。
あとは、とにかく珍味を出さなきゃという思いで書きました。
ちなみに豆腐の天寄せっていうのは長野の郷土料理です。https://www.oishii-shinshu.net/recipe/recipe-suwa/3812.html
長野と新潟、秋田の一部はなんでも寒天寄せにする傾向があるそうです笑
フィードバック
米俵
●採点
「好き」2.7「脚本」2.7
●ログライン100
スナックで働くシングルマザーの美玖は、悪質な客への対応に疲弊するが、帰宅後、息子の優しさに癒される。
●フック/テーマ
シングルマザー・天寄せ/頑張る母親とその姿を見て成長する子ども
●カタリスト
勉、美玖の尻の下に手を差し入れる。
●不明点・不自然な点
・悪質な客の描写が少し多くなってしまっているように感じました。その部分をもう少し削って瞬斗の様子を入れると、「ねらい」にも沿うのかなと思います。
・疲れている感じを出したのかなと思ったのですが、母親が28歳というよりも35歳くらいといった印象を受けました。親子での会話が落ち着いているせいかなと思います。
●自由感想
天寄せの使い方(意味が変化している様子など)が凄く上手で、勉強になりました。
少しクリシェな部分も感じたのですが、しっかりと母親に感情移入出来、心が動かされました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.7「脚本」2.3
●ログライン100
スナックで働くシングルマザー美玖は、職場で厄介な客に絡まれるなど苦労を強いられるも、帰宅後母親として息子と向き合う。
●フック/テーマ
シングルマザー、天寄せ/母の苦労、親子の距離
●カタリスト
柱4: 美玖、ママチャリでスナックに向かう。
●不明点・不自然な点
・柱5で、田崎が突然現れたように感じたので、立ち止まる前にどこから歩いてきたのかなど書いた方が読みやすいと思います。
・ねらいには「精神的に大人になるしかない子どもを感じさせる」とありますが、母親の仕事の苦労がメインに描かれていた印象で、瞬斗の「精神的に大人になるしかない」という要素はあまり感じませんでした。また、冒頭の冷たい対応から、最後に優しくするという変化のきっかけも、見える部分ではそんなになかったように感じます。
●自由感想
・台詞が自然なのもあって、美玖の可哀想な境遇や、親子の微妙な距離感がよく伝わってきました。
・構成的な問題はありそうですが、ミニプロット的に母親の日常を切り取ったドラマとして、飽きずに読むことができました。(迷惑客が暴れるというのがどのくらいの非日常感なのかは判断が難しいですが)
さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
息子の瞬斗を育てるためスナックで働いているシングルマザーの美玖は、男性客の度重なるセクハラと、それを見て見ぬふりするボーイに苦しみ満身創痍で自宅に戻るが、母を助ける息子の逞しい姿に成長を喜ぶ。
●フック/テーマ
シングルマザー/母
●カタリスト
柱6: 勉、美玖の尻の下に~
●不明点・不自然な点
柱5で勉がビビでなく美玖と呼んでいたのが誤字なのかわからなかったです。
●自由感想
毎回思うのですが、取材した題材を作中でフックとして使おうとする姿勢は見習いたいなと思います。オリジナルのテーマ触媒のようなもので、書き続けることで積み重なっていくものがあるのだろうなと思います。天寄せって初めて知りました。
『柔らかな琥珀』が天寄せのことであることは分かるのですが、作中において天寄せの存在が機能していたかと思うと疑問符でした。初め、主人公一家は天寄せのルーツである長野から作中のスナックのある土地に移住した過去がある?と読みました。とすると、移住の経緯の方にドラマとして興味のある内容が含まれているので、それが明らかにならないと天寄せが機能しないなと思いました。
一方で天寄せに対して田崎が「子供の頃よく食べた」と言ってるので長野なり地方都市で起きている話なのかと思いましたが、判然としませんでした。上述のように、天寄せは主人公がマレビトであること、地理的な距離を表すための道具と思っていたのですが、スナックが長野にあるのだとすると天寄せに込められた意図を見失ってしまった感があります。
現状では天寄せをもっと別の、瞬斗の好物のものなどにした方が内容に沿うように思います。
しののめ
●採点
「好き」2.3「脚本」2.3
●ログライン100
スナックで働くシングルマザーの美玖は、お通し用に作った天寄せを息子に勧めるも嫌がられる。店では悪質な客にも何とか対応しやり過ごそうとするが、激昂されてしまう。誰にも守って貰えずボロボロになったところで、気を遣って天寄せを食べる息子に癒される。
●フック/テーマ
シングルマザー、夜職、天寄せ/頑張る母と大人びてしまう子ども
●カタリスト
勉は動じず、美玖の表情が陰る。
●不明点・不自然な点
・美玖の苦労が丁寧に描かれている一方で、瞬斗の描写があまりないので、「頑張っている大人にとって都合よく変化してくれるヤングケアラー感」が出すぎてしまっているかもと感じました。環境的に瞬斗がそうなってしまう説得力はありますし、ねらいの部分にもある程度合致するのかなとは思うのですが、瞬斗の変化の過程が描かれていないので、「作者(物語)にとっても都合の良い登場人物」になりすぎている感が若干あるかもしれません。この後にでも瞬斗の苦労(大人にならざるを得ない過程、葛藤)が描かれるのであれば問題ないと思います。もしくは、「物語/大人/作者にとって都合よく変化してくれる子どもキャラ(を生み出してしまうクリエイター)」を皮肉る目的で書く、とかであれば、また違った感想になるかなと思います。
●自由感想
・終始苦々しい内容で、つらいなーと思わせてくれるお話でした。美玖も瞬斗も報われてほしいと感じました。いつも人物に感情移入できるような切ないお話を書くのがお上手で、勉強になります…!
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.0「脚本」2.0
●ログライン100
シングルマザーの美玖は、スナックで働いている。客から執拗に迫られ心身を疲弊するが、帰宅して息子の姿を見て、心が落ち着く。
●フック/テーマ
天寄せ/懸命に頑張る母
●カタリスト
柱8.美玖、勉の卓から離れる。
●不明点・不自然な点
ねらいの部分がうまくハマっているかというと、疑問符がつく構成だったように感じました。「母親が頑張っているから、瞬斗も自立しようとしている」という風には映らず、瞬斗の変化を感じることは難しかったです。 美玖が理不尽な状況に置かれている裏で、瞬斗はどうしていたのか、シーンとして描写されていると、ねらいがうまく機能するように感じました。 それに伴い、テーマは親子というより、困難な状況に晒されながらも頑張る母。であったように思いました。
●自由感想
スナックと瞬斗のシーンで天寄せが対比して使われていたのが良かったです。また瞬斗には、小学校高学年特有の反抗的な態度と天寄せをつまみ食いしてしまう子供っぽさが並立して描かれており、リアルさがありました。 だからこそスナックでのシーンより、親子の葛藤に重きをおいた構成にすると、美玖の感情と瞬斗の感情とがぶつかり合い、テーマである親子がより活きた話になるのではないかと感じました。
ロバの絵本
天寄せに、この女の人の郷土の風習が出ていて、手作りで子どもを思う気持ちや、子どもを養うためにも多めの収入を得て生計を立てたいけど、お客さんと男女の関係までにはなりたくないところ、素朴な一人の女性の背景が出ていて少し切なかったです。
スナックで体を狙われることが多く、回避してもつけ狙われたりして恐ろしかったです。
天寄せが飛んでいったところと、息子が美味しそうに食べていたところが切なかったので、危ない目にまたあわないように仕事を変えられたらいいなあと思いました。
息子の支えが頼もしかったです。黒服が守ってくれなかったりしたので、まずは働くお店だけでも変えたほうがいいのかなと思いました。
天寄せは、見た目の可能性として、綺麗なアレンジが幅広い食べ物ですね。宝石のようで素朴で、この女の人のことを表していたりもするのかなと思いました。
修正稿(★4.97)
脚本_雨森36v2『やわらかな琥珀』(珍味)_251021
修正期間:2025.10.14→2025.10.21(7日)
雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
シングルマザーの美玖は、スナック勤務で心身をすり減らすが、息子に癒される。
●フック/テーマ
水商売の母/親子
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:親子愛を感じさせる
テーマ触媒:珍味
●感想
いろいろ考えたんですが、天寄せが機能しないままになってしまいました💦
瞬斗側のシーンを差し込むことで、別々の場所で同じ夜を過ごしているのを表したかったんですがどうでしょうか……
修正稿へのフィードバック
米俵
●採点
「好き」2.7 「脚本」2.7
●自由感想
・瞬斗のシーンが挟まれたこと、柱13,14の描写が変わったことで初稿よりも2人に感情移入することが出来ました。読んだあと、初稿では鬱よりでしたが、2稿では温かい気持ちが残りました。
ただ、天寄せについては初稿の方が印象的で使い方が良かったように感じてしまいました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.8「脚本」2.5
●自由感想
・合間に瞬斗の視点が挿入されたので、最後の唐突感がなくなりました。
・柱3の務の「息子くんと俺、良い親子になりそうじゃない?」という台詞で勉がやばい客なのがセットアップされましたが、その台詞自体が少し唐突に感じられ、削除された分の会話と上手く絡められていればよかったかなと思いました。
・キャンプの設定が加わったことで、瞬斗から美玖への感情が分かりやすくなりました。
さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●自由感想
・瞬斗のシーンが挟まれたことによって親子の関係性がフォーカスされるようになり、瞬斗が家事をしていることで意図したテーマを描くものになったと思いました。
・天寄せの役割と、舞台がどこかについては引き続き同じ印象で、勉の天寄せに対するリアクションの意図を汲みかねる部分がありました。
しののめ
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●自由感想
・合間合間で瞬斗の様子が描かれており、より感情移入がしやすくなりました。水切りラックに皿を並べるくだりなど、家事を行なっている描写が特にぐっと来ました。単純に「切ないけど良い話」で終わる(完結している)というよりは、前半と後半で態度が180度変わっている瞬斗の痛ましさや、完全にヤングケアラー化している様子が胸に刺さったので、今後の展開を期待したくなる作品でした。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●自由感想
瞬斗のシーンが増えたことで、瞬斗から美玖への思いが垣間見えてよかったと感じました。美玖の前だと反抗してしまうけど、美玖が見ていないところでは確かに思っている。反抗期の子供らしさと親思いの一面が両方描かれていて、瞬斗に感情移入しやすかったです。 天寄せに関しては、珍味としての機能・特異性が物語に影響していたかというと、そうは感じられなかったです。ただ親子を繋ぐものとしては機能していると感じました(意図している機能ではないかもですが笑)。これが別の食べ物であった場合、また違った印象を受けると思うので、主観的ではありますが、独自性のあらわれだと感じました。
ChatGPT
🌟 素晴らしい点
母子の関係性が“行動”で語られている点が非常に巧みです。
とくに、天寄せという食べ物が「罪悪感」「愛情」「生活の苦さ」を象徴し、物語全体を静かに貫くモチーフとして機能しているのが見事です。
ラストの“天寄せを食べる瞬斗”“背中を抱きしめる美玖”という流れは、説明なしで「距離が縮まる瞬間」を表現しており、映画的で胸に沁みます。
⚠️ 問題点
スナックのシーンが長く、類型的な「性的搾取の被害」の描写が重複しがちな点です。
雰囲気は非常にリアルですが、勉の言動が同じベクトルで繰り返されるため、
・美玖の内面的な変化
・瞬斗との対比
を際立たせる“段階的な意味の変化”がもう少しあると、重さが物語の必然として生き始めます。
(たとえば、美玖が「客を無視して戻らざるを得なくなる瞬間」など、彼女自身の選択と後悔がわかる小さな決断があるとさらに強くなります。)
✨ 次回作への応援
雨森れにさんの作品は、いつも人間の“弱さと優しさの境界”を丁寧にすくい上げていて、本作もその魅力がしっかり光っています。
特に今回は、言葉にしない気持ちを静かなシーンで描く力量が一段と増しており、作家としての表現世界が確実に深まってきていると感じました。
次の作品では、ぜひ**登場人物たちが「一歩前に進む瞬間」**をもっと鮮やかに描いて、あなたにしか作れない物語をさらに押し広げてください。
これからも、心の奥まで届く脚本を楽しみにしています!応援しています。
以上
採点
| 初稿 | 修正稿 | |||
| 好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
| 雨森れに | 2.5 | 2 | 2.5 | 2 |
| 米俵 | 2.7 | 2.7 | 2.7 | 2.7 |
| 脚本太郎 | 2.7 | 2.3 | 2.8 | 2.5 |
| さいの | 2.5 | 2 | 2.5 | 2.3 |
| しののめ | 2.3 | 2.3 | 2.5 | 2.5 |
| 山極瞭一朗 | 2 | 2 | 2.5 | 2.3 |
| リーダー① | * | * | * | * |
| 平均 | 2.45 | 2.22 | 2.58 | 2.38 |
| 合計 | 4.67 | 4.97 | ||
