脚本添削『カラスの哭く刻』(★4.68)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.55)

脚本_山極02v1『カラスの哭く刻』(犯罪者)_251009

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
妹を殺された復讐に燃えるさちかはフリースクールを営み、手掛かりを探している。黒幕とつながりのあるアサに狙いを定め、仲間の粟原と共にアサを殺害する。
●フック/テーマ
復讐/フックと同じ
●ねらい/テーマ触媒
笑顔の裏に潜む葛藤を描く/犯罪者
●感想
文字情報を出しています。 妹の死について深く言及していないため、さちかや粟原の言動に説得力が生まれていないかもしれません。端的に関係性を示せるようにしていきたいです。 あと、淡々としたト書きにならないよう意識はしてみましたが、まだまだといった実感です。

テーマ触媒1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.2「脚本」2.2
●ログライン100
妹を殺した犯人を探すさちかは、その死に関わった人間を殺して
塾長であるさちかは、妹の死に関わった人間や生徒を殺しており、同僚に気づかれるも、協力を得ることになる。
●フック/テーマ
犯人探し/復讐
●カタリスト
柱2、さちかがリマに尋問する
●不明点・不自然な点
・「葛藤」か「殺人」か
どちらかというと殺人を見せたい印象があったんですが、殺害シーンもわりとすんなり進んだ感じがあります。
おそらくなんですが、さちか視点が少ないからかもしれません。柱10のアサ視点をさちか視点にして、柱11も俯瞰からさちか視点にするなどの調整で見せたいことの調整ができるかなと思いました。
・粟原の関与
さちかとの関係性が親しい友人なのか、それとも恋人なのかがわかりませんでした。なので、殺人に加担する理由が見いだせなかったです。
もしかしたらですが、柱7で止めようとするより、自分も加わりたいという雰囲気で進めたほうが関係性をほのかに感じたかもしれません。
・柱9の少女たちの会話と柱10の電話相手
リマのしていたヤバいことと、アサの電話相手が繋がっていると読み取りました。いただき女子を束ねているような人間がいるとか。もしそうであるなら、柱4にその中心人物のショットを入れたりしたら黒幕側の輪郭が見えやすい気がします。妹の死か黒幕、どちらかの詳細をハッキリさせたほうが感情移入しやすいかもしれません。
●自由感想
グロテスクなシーンがうまく処理されていると思いました。
ねらいにある「笑顔の裏の葛藤」については葛藤「後」の印象を受けました。
ですが、自らが塾長をやっているフリースクールで生徒を殺すほどの葛藤ってどのような苦しみがあるのだろうと思いを馳せてしまいました。ギフトで例えるなら「Thinking」だと思います。この物語を様々な視点で見てみたいと思いました。

米俵
●採点
「好き」2.5「脚本」2.2
●ログライン100
フリースクールを経営しながら、妹の復讐を実行しているさちかは、生徒のアサが妹の死に関わっていることを知り、共犯者の粟原と共にアサを殺害する。
●フック/テーマ
教師による復讐/復讐
●カタリスト
柱2 さちかがリマを追い詰める
●不明点・不自然な点
・粟原がなぜそこまでさちかに同調しているのかな?と感じました。2人の関係性が見えないので、一蓮托生のセリフに少し違和感がありました。感情移入出来るよう関係性はもう少し明らかにしても良いかもしれません。
・細かいかもしれないのですが、「ふわぁ」と伸びをするところは、少し漫画的かなと思いました。ここで、さちかの葛藤が感じられるような様子が入るとキャラとしての魅力が増すかなと思いました。

●自由感想
ねらいの葛藤の部分が感じられなかったので修正稿でみられたら良いなと思いました。もしくは、復讐の正当化をもっと出しても面白くなりそうです。
ミステリー要素がきいていて、続きが気になる展開でした。タイトルも好きです。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5 「脚本」2
●ログライン100
フリースクールの塾長を勤める復讐者さちかは、妹の死に関わった者を探る中、アサに目星を付け、同僚の栗原と共にアサを殺す。
●フック/テーマ
フリースクールの教師が復讐者、殺害シーン/復讐
●カタリスト
柱2: リマ「あの人なら!」
●不明点・不自然なシーン
・栗原の「一蓮托生」という台詞から、彼もさちかと同じように復讐心を持っていると受け取ったのですが、その割に、さちかがもう何人も殺しているにも拘らず関与していないのが気になりました。
・また、敢えてかもしれませんが、さちかの妹に何があったのかや、栗原との関係性がほとんど提示されていないので、あまり感情移入できなかったです。
・「関わった人間全員殺す」の「関わった」というのがどの程度なのか分からず、場合によってはただ胸くそ悪い話になりそうで、気になりました。(例えば、ただその場にいただけだったり、犯人の親族というだけで殺しているなども考えられるため)
●自由感想
「フリースクールの先生が復讐相手を探している」という設定に新鮮味があり、興味深く読めました。この作品単体だと違和感がありますが、長編の冒頭として読むと続きが気になる内容でした。

さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2.2
●ログライン100
妹のひまりを何者かに殺され復讐に燃えるさちかは、真相を確かめるため勤めているフリースクールで、同僚の粟原と協力して事件に関わっていると思われるアサを殺す。
●フック/テーマ
フリースクール/復讐
●カタリスト
さちか「ひまりっていうんだ」
●不明点・不自然な点
細かい点ですが、!マークの使用も初心者禁止事項です。
●自由感想
・フリースクールという切り口からトー横キッズ的な社会や貧困を描くというアイデアは新規性があってかなり面白いと思います。さちか目線では潜入捜査的な趣向もありますし、リマ、アサといった匿名の関係性で生きている彼女たちの処世術といったものに関心を持ちました。
・謎が多く、全てがこの時点で明かされる必要はないのですが、10分で評価しにくい作品だなと思ったのが正直な所です。さちかの復讐心のルーツには何があるのか、本来ならトップシーンの回想などでイメージを入れておくのがセオリーかなと思いました。

しののめ
●採点
「好き」2.3「脚本」2.2
●ログライン100
何らかの理由で妹を亡くし、フリースクールを経営しながら復讐の機会を伺っているさちかは、妹の死に関与しているとして生徒のアサに目を付け、事情を知る同僚・粟原と共にアサを殺害する。
●フック/テーマ
フリースクールでの殺人、大人が子どもを殺す/復讐
●カタリスト
リマが血を流して倒れている。
●不明点・不自然な点
・柱2、さちかがその場にいることをト書きで説明した方が親切かなと思いました。さちかの姿を映したい部分(現状だと「さちか、ぎゅっと拳を握る。」でしょうか?)で、「さちかがリマを追い詰めている。」といったト書きがあっても良いかもです。
・「さちかとアサ、入る」→句点が抜けていました。
・柱11、てっきり水に毒が入っていて、アサを毒殺するのかなと思っていたのですが、粟原が刺したので水の描写が意味深だった理由が分からず仕舞いでした。粟原が出てこなかったらどうやって殺すつもりだったのか気になりました。
●自由感想
・怪しげな雰囲気が出ており、ワクワクしながら読みました。フリースクールで大人が子どもを殺したり、粟原が殺人を知っていたりと、ちょっとした意外性があって楽しかったです。
・大人が子どもを殺す話ってよっぽどのことがないと許容されないと思うので、どんな事実が明かされるのか非常に気になりました(薄ら「告白」とかを思い出しました)。挑戦的で良いなと思います。
・リマが殺されるくだりとアサが殺されるくだりで、あまり大きな違いを感じず、似たような展開が繰り返されている印象を受けました。柱2~柱11まで殺人犯の正体が分からないようにしておいて柱11で読者を「さちかは善人なのか悪人なのかどっちだ!?」とハラハラさせてからバラすとか、柱11で「さちかとひまりの関係性が判明する」以外にも何か新情報が提示されたり大きな出来事が起こるとか、最初からさちかを殺人犯として提示するなら柱11で思わぬトラブルやしっぺ返しに遭って窮地を迎えるとか、何かしらの差別化が図れるとより面白いかなと思いました。
・「笑顔の裏に潜む葛藤を描く」という狙いに関しては、あまりピンと来なかった印象です。どちらかというとさちかの覚悟が決まりまくっており、迷いがない印象を受けました。笑顔の裏に潜む「怒り」とか「憎悪」ならまだ分かるかもという感じです。

ロバの絵本
妹さんの復讐劇。手伝ってくれる男の人もいそうだ。
妹さんが何も悪くないのに巻き込まれて殺されたのであれば、慈悲を願っても殺される女の子たちのことも、主人公の女の人が、どうしても許せない怒り、悲しさ、虚しさなどが現れていて、展開と、だんだん明かされていく、ひどい事件とを知っていきたいお話だと思う。
妹さんがどんなふうにいい子だったのか、どんなふうに姉と仲がよかったのか、男の人はどんなふうに女の人と仲がよかったのかなどもでてくると、また事件のことが許せなかったり、復讐の殺人に手を染めている2人のことが気がかりになったりすると思う。
それにしても、ずいぶん若い学生たちが、組織で動いて起こした事件。
そういったものは、関わった人物を特定するのがとても難しそうだ。親玉を追い詰めるときもきっとくるのだろう。
男の人のほうが、女の子を抱えたと思ったら殺していた展開が見応えがあった。

修正稿(★4.68)

脚本_山極02v2『カラスの哭く刻』(犯罪者)_251023
修正期間:2025.10.20→2025.10.23(3日)

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.4
●ログライン100
妹を殺された復讐に燃えるさちかは、フリースクールを営み、妹の恋人だった粟原と共に手掛かりを探している。そして妹の死に関わっていたリマを殺害し、黒幕を追い詰めることを誓う。
●フック/テーマ
殺人/復讐
●ねらい/テーマ触媒
笑顔の裏に潜む葛藤を描く/犯罪者
●感想
リマの殺害を後半に持ってくる構成に変更し、さちかにとって最初の殺人と位置づけました。それにより、葛藤と決意を初稿より描けた気がします。 初稿ではみなさまの仰る通り何もわからなすぎたので、敵役を追加し、構図を明確にしようとしてみました。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.3「脚本」2.2
●良くなった点
・さちかと粟原の関係がわかりやすくなった。
・黒幕がハッキリしたので、これからの展開の期待値が高くなった。
●自由感想
柱2の会話がいかにも導入という感じで、私は入り込みやすかったです。自然に情報を提示している部分も好印象でした。
その他、修正が入っている部分であげると、アサ殺害を削除してリマに焦点を当てたことで、この後の話に広がりを感じました。慣れた殺人より初犯のほうが主人公の葛藤が深くなりますね。
なので、初稿に比べてさちかの苦しみが伝わってきました。特にラストの描写は心細さも表せていたと思います。
一方、細かい部分が補足されたことで、柱ごとの尺の調整が必要が生じたかもしれません。10分で見るには導入と伏線が壮大なので、起こった出来事が小さく感じられ、人によっては物足りないまま終わる可能性があるなと思いました。個人的には10分ではなく長編で見たいですね。すごく続きが気になってます笑

米俵
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.3
●自由感想
粟原とさちかの関係が分かりやすくなり、更に初犯という点が加わり、さちかの葛藤が伝わってきました。
黒幕のトップが出てきたことで構図も分かりやすくなっていました。
ただ柱9に関しては、少し説明的な印象を受けました。
長編の出たしという感じで続きが気になりました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.2
●自由感想
・柱7の修正点でさちかと栗原の関係が分かりやすくなりましたが、初稿より説明的になってしまったと感じました。
・黒幕が出てきたことにより、話に奥行きが感じられました。
・初稿だと自分より弱く、何をしたかも定かでない子どもを淡々と殺していった印象でしたが、修正稿だと殺しが初めてということもあり、二人が葛藤するのが伝わってきたため、好印象になりました。
・リマがどの程度の罪を犯したのか分からないまま殺されたのでまだ少しモヤモヤしました。

さいの
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.3
●自由感想
冒頭からアサの視点が描かれていたことで、
今後さちかとアサのバトルがドラマの中心になると理解できました。
ゴトウの存在によって、アサが関わってるヤバいこととは何か、ひなたの死の真相といった謎を説明しなくともノイズにならなくしているようなレトリックがあるなと思いました。
やはり何故リマを殺す必要があったのかについては、依然として分かりませんでした。ここはさちかの葛藤を見せるようになった分、余計そう感じるようになったかなと思いました。

しののめ
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.3
●自由感想
・長編の冒頭というイメージで読んだので、続きが気になりました。人物同士の関係性などを、最初の10分でどれだけ分かりやすく描写するかといった点には好みや良し悪しもあるかと思いますが、この短編だけを読んだ感触としては、黒幕らしき人物も出ていたり、さちかと粟原の関係性などもより丁寧に描かれており、分かりやすさが増したと思います。殺人が1件になったことでその重みも増した上、初犯にしたことでのドラマが生まれたと思います。

山師ヤマ
脚本、楽しく拝読しました。
フリースクールやパパ活(?)など、現代性を感じる内容でした。
復讐物で、動機がはっきりしていて、また主人公の辛さに共感できたので、物語に入りやすかったです。これから、主人公たちは色々大変な目に遭うんだろうなぁと思えるラストでした。
以下、その他の感想です。
・なぜ少女が殺されたのかがわかりにくかったので、そこが気になって続きを集中して読めなかったです。悪の組織を裏切った、ということでしょうか。
・主人公たちが短絡的に人を殺し、かつ、その現場に普通に戻っていて、もっと考えて行動したほうがいいのでは?と思いました。もし、狙って短絡的な行動させるのであれば、主人公たちの人物像をもっとそちらに寄せたほうがいいと思います。
・悪の組織が何をしていて、どのくらいの規模なのかが分からないので、主人公たちの前に立ちはだかる壁の大きさが分かりにくかったです。ここがはっきりすると、より主人公に肩入れできて、物語への没入感も増すと思いました。
・主人公たちが殺す相手がもっともっと憎い人間だといいのかもしれません。どういう人物なのか分かりませんでした。
「好き」2

ChatGPT
◎素晴らしい点
心理描写と緊張感の表現が巧み
登場人物の感情や葛藤が細かく描かれていて、特にさちかとリマ、さちかと粟原の関係性が緊張感をもって描かれています。手の震え、目線の動き、間の取り方など、読んでいて情景が鮮明に浮かび、心理サスペンスとしての引き込み力があります。

△問題点
場面移動と時間軸の切り替えがやや混乱しやすい
墓地、事務所、学校、繁華街、ビル屋上……と場面が頻繁に切り替わります。読者・観客が時間や場所を追うのに少し注意が必要で、テンポはいいものの、情報量が多すぎて混乱する箇所があります。場面転換の前後に「時間」「場所」をもう少し明確に示すか、視覚的・台詞的な手がかりを加えるとよりスムーズです。

★次回作への応援
この脚本はキャラクターの心理を丁寧に描く力が際立っています。次回作でもその強みを活かして、物語の構造を少し整理すれば、さらに深みのあるサスペンスが作れるはずです!あなたの描く人物たちの緊張感と繊細な心理は、きっと多くの観客を引き込む魅力があります。次回作も期待しています。

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森れに 2.2 2.2 2.3 2.2
米俵 2.5 2.2 2.5 2.3
脚本太郎 2.5 2 2.5 2.2
さいの 2.5 2.2 2.5 2.3
しののめ 2.3 2.2 2.5 2.3
山極瞭一朗 2.5 2 2.5 2.4
リーダー① * * 2 *
平均 2.42 2.13 2.40 2.28
合計 4.55 4.68

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