※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★4.28)
脚本_山極03v1『Make Family』(父親)_251025
山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
教え子の母と結婚した義之は、教え子である娘の綾香との関係に悩んでいる。妻や後輩の言葉を助けに、綾香との距離を少し縮めるが、綾香の実の父親が現れる。
●フック/テーマ
教え子である娘との関係/血の繋がらない親子
●ねらい/テーマ触媒
本当の親子になる小さな兆しを描く/父親
●感想
これから起こるであろう大きな出来事に向かう前の小さな動きを描きました。ラストがDeathもしくはPP1だと想定していただければと思います。よろしくお願いします。
テーマ触媒8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
フィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.2「脚本」2
●ログライン100
妻の連れ子・綾香と関係が深められないでいる義之は、家族三人で出かけることを綾香に提案し、了承してもらう。
●フック/テーマ
生徒が娘になる/血の繋がらない親子
●カタリスト
10分作品として見るなら:柱1、綾香とうまくコミュニケーションが取れないまま、綾香が出ていく。→ディベート柱3、デス柱4、PP1柱5、MP柱8、フォール柱9
この後も続くとするなら:柱9、北坂が現れる→セットアップ柱1~2、CCもしくはCQ(結婚は間違ってないが父親として正解か不安)、want(距離を縮めよう)柱4、再セットアップ柱5~8前半
●不明点・不自然な点
・綾香の義之への態度
私の感覚だと反抗期とするには柱1以外であたりのキツさを感じませんでした。明日実が義之を安心させようと反抗期という言葉を使ったとしたら夫婦のセットアップ不足かもしれません。長編だと考えた際にも綾香に抱えている何かがあるというのは感じられるものの、義之と交互に見せている分、お出かけを了承するに至った理由が見えませんでした。
・義之は主人公か
上で綾香について指摘したように、綾香側のほうが抱えてるものがあるように見えたので主人公感が強く思えました。この後を面白く展開させるためにもラストまでに義之に個性を出すべきかもしれません。アクト1を10分とするなら、アクト2は20分、アクト3は10分とざっくり想定できます。今の10分を利用するのであれば、メインストーリーで義之を輝かせるには結婚観や過去の出来事が必要かと思われます。また、10分の尺として考えるなら義之に感情移入させてほしいというのが素直な気持ちです。
・教師の設定は機能しているか
今後活きてくるのかもしれませんが、教師という設定が魅力ではなくノイズになっているように思えました。同じ学校にいるならそれならではのシーン、たとえば廊下ですれ違うとかあると締まる気がします。
●自由感想
面白そうな予感がするものの、中途半端に終わってしまったなという感覚になりました。
続きが気になるというよりは肩透かしになってしまっている気がします。
この後の展開を予想するには着地点(MPやBF)がわからないので、なんとも言えない部分が多いからだと思います。
ですが、義之と綾香を交互に見せてキャラクターアークを同時進行させているのがうまいなと思いました。両者の迷いが伝わってきました。
ラストもアプリ発信のショートドラマとしたら相当引きがある終わり方だと思います。
●ツイストアイデア
10分作品として完成させる。
ログラインでいうと「主人公が、何して、どう変わったか」にフォーカスする。
私が取ったログラインでいうと「妻の連れ子・綾香と関係が深められないでいる義之は、家族三人で出かけることを綾香に提案し、了承してもらう」なんですが、義之を説明する要素が多くてその後が少ないと思いました。
また山極さんが取った「教え子の母と結婚した義之は、教え子である娘の綾香との関係に悩んでいる。妻や後輩の言葉を助けに、綾香との距離を少し縮めるが、綾香の実の父親が現れる」だと実の父親のインパクトが強すぎて義之の変化がほぼない状態です。
アクトの中でも三幕構成があり、ビートの中でも三幕構成があるので変化しないままだと観客の途中離脱に繋がります。ラストの引きが強いので、それまでに主人公側の出来事や変化を足すとより魅力が深まる話だと思います。
削る部分については、綾香のシーンがいいかもしれません。ネックレスをストラップに変更して学校で眺めながら友人に相談、もしくは学校のシーンをまるっと削って自室シーンに要素を足すとか。内容を変えなくてもシーンの調整ができそうな気がします。
米俵
●採点
「好き」2.2「脚本」2
●ログライン100
妻の連れ子の綾香と関係を深めたい義之は、三人で出かけることを綾香に提案し、了承してもらうが、実父の北坂が家に来る。
●フック/テーマ
再婚家庭の親子関係
●カタリスト
柱3 義之「行ってくる」と、テーブルに缶を置く。
●不明点・不自然な点
・柱7の西友との会話が浮いているように感じてしまいました。セリフから伝わってくるものが他のシーンと重複しているような印象もありました。
●自由感想
綾香の気持ちがあっさり変わる様子や何を考えているのか分かり難い点など、思春期っぽさを感じました。
ただ、ラストで北坂が現れて終わるところは、もう少し義之の変化を見たかったです。
北坂を早めに登場させても良いように思いました。
脚本太郎
●採点
「好き」2 「脚本」2
●ログライン100
高校教師の義之は、再婚により新しく親子になった生徒綾香とうまくいっていなかったが、妻明日美の言葉に勇気付けられ、テスト明けに家族三人で遊びに行くことを誘う。友人の説得もあり綾香が誘いを受け喜んだのも束の間、三人の元に綾香の実父が訪ね、さらなる不和を予想させる。
●フック/テーマ
家族の不和/新しい家族の関係
●カタリスト
柱1: 義之、ちらっと綾香を見て、揚げ物をつまむ。
●不明点・不自然な点
・何となく予想はできますが、貝殻のネックレスにどのような思い入れがあるのか、さらっとでも触れていた方が良いかと思いました。
・柱6の「先生がパパになったこと、まだ受け入れられないの?」という台詞がちょっと軽すぎるように感じました。これを言わせるのなら、美鈴の家も同じように複雑な家庭であれば納得できるかもしれません。
●自由感想
・家族間のぎくしゃくした空気が伝わってきました。
・ありがちですが、義之の焦ると眼鏡のブリッジを押し上げる癖は自分も眼鏡をかけてたらやりそうだと共感しました。
・最後に実の父親が訪ねてくる展開が、今後のさらなる不和を予想させて続きが気になるものになっていました。
・「別に、出かけるだけでしょ」という台詞に強がりや照れなどの心情が籠っていて良かったと思います。
さいの
●採点
「好き」2「脚本」2.3
●ログライン100
高校教師の義之は、結婚相手の明日美の連れ子で義之の生徒でもある綾香と共に暮らすことになった。事態を受け入れられない綾香との距離を、義之が不器用にも縮めようとしていたところに、綾香の実父・北坂が現れて……
●フック/テーマ
結婚相手の連れ子が生徒/家族
●カタリスト
インターフォンが鳴る
●不明点・不自然な点
・特になし
●自由感想
・学校という社会の中で大人の側が成長していくという題材に作家性を感じます。同じテーマに継続して取り組むことで深化していく部分があるのだと思います。
・義之と綾香の描写を並行して描くより、義之から見た綾香だけに絞った方が、最後の北坂の登場が印象的になったのではと思います。義之にとっての西友、綾香にとっての美鈴といった多面性を見せるための触媒的な人物を対句的に置くのも意識的にやっているのかなと見受けます。柱6は綾香の胸中を描写する機能があると思いましたが、柱7は尺に対しての必要性としては少し疑問符でした。
しののめ
●採点
「好き」2.2「脚本」2
●ログライン100
生徒の母と結婚した教師・義之は、義娘となった綾香との距離感に悩むも、思い切って家族三人での外出を提案する。綾香は友達に、義之は同僚に背中を押され互いに歩み寄ろうとするも、綾香の実父が登場し雲行きが怪しくなる。
●フック/テーマ
生徒の保護者と結婚/義娘との関係性、実父と継父の対立
●カタリスト
明日実「後悔してる?」
●不明点・不自然な点
・西友「でも、少しずつでいいんじゃなないっすか。奥さんと3人で少しずつ」→「な」が重複しておりました。
・生徒の親と教師が結婚した場合、教師が異動せずそのまま生徒のいる学校に残るのかな、というのが少し気になりました。私立とかならそのまま残ることもあり得るんですかね…。普通にあるあるでしたらすみません!
・些末な点かもしれませんが、美鈴が妙に義之擁護派っぽい所が気になりました。「先生がパパになったこと、まだ受け入れられないの?」と言っていますが、そう簡単に受け入れられるものでは無い気がしますし、一般的な友達ならその感覚にもう少し寄り添うのではないかなと。自分の家族は長らく出かけてない、という理由っぽいものは一応入っていますが…。美鈴の言動にもう少し説得力が欲しい気もしました。
●自由感想
・ちょっと変わった人物関係や、ラストが印象的で面白いなと思いました。実父登場で終わっているのはかなり引きがあり、続きが気になります。
・親と教師が結婚するって、女子高生からするとそこそこ気持ち悪いことのような気もするので笑、もっと反抗的でも良いかもと思いました。折角上手くいきかけていたのに実父が出てきて…という流れにしたいのかなとも思ったのですが、この尺で実父登場まで持っていくのであれば、当然のごとく綾香から猛反発を受けている上に実父登場、という感じで、課題山積み感、八方塞がり感があった方がドラマが盛り上がる気がしますし、義之の主人公感も増すかなと。もっと尺があれば、綾香の猛反発→義之と綾香の和解、をじっくりかつ激しく描いて、かなり大変だったけどやっと歩み寄れたね、という所で実父登場、一難去ってまた一難、的な流れにもできそうですが…。
・義之と明日実が結婚してどれくらい経つのか気になります。まだあまり時が経っていない印象を受けましたが、期間によって人物たちの言動のリアリティや説得力も変わってくると思うので、どこかで明言されても良い気がしました。
・柱7の会話にあまり深みや意義が見出せないなと思いました。かなり表面的な会話に留まってしまっており、かつ柱3と内容が重複気味な印象です。
・割と特殊な人間関係になっているにも関わらず、明日実、美鈴、西友など、人物たちが現状を妙に受け入れきっており、一人孤独に葛藤を抱えているのが綾香だけなので、その分綾香が主人公っぽく見えてしまっているように感じました。
修正稿(★4.78)
脚本_山極03v2『Make Family』(父親)_251108
修正期間:2025.11.03→2025.11.08(5日)
山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
教え子の母と結婚した義之は、教え子である娘の綾香との関係に悩んでいる。そんな中、綾香が実の父と会っていることを知り、父親として正々堂々と向き合うことを決める。
●フック/テーマ 教え子である娘との関係/血の繋がらない親子
●ねらい/テーマ触媒
本当の父親になる小さな兆しを描く/父親
●感想
修正に手こずりました。視点を入れ替えて描く癖があると気づきました。原則義之視点に固定して、親子の距離が縮まるというより、父親としての自覚みたいなところに焦点を当てて再構成しました。その分ラストの引きは弱くなりましたが、義之の変化は垣間見えるようになったかと、、。 よろしくお願いします。
修正稿へのフィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●良くなった点
・北坂が効果的に使われている。義之との対比になっていて面白い。
・学校での義之と綾香の会話があることで、設定が活きた。「さすがに親子が一緒の学校にいるのはよくないとか、何とか」というセリフもリアルでいい。
・綾香側のシーンを削ったことで、義之に感情移入しやすくなった。
●自由感想
「父親」の形を模索する物語として深みが出ていました。
北坂がちゃんとクズでいいですね。導入で敵を認識できるとストーリーの速度があがる気がしました。
初稿で感じた物足りなさはなくなって、純粋に続きが気になるお話でした。一回の修正でここまで持ってこれてすごいと思います!
改めて山極さんの柔軟性を感じました。
米俵
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.5
●自由感想
・視点が定まったことで、義之、綾香、北坂の関係性が分かりやすくなり、義之に感情移入して読むことが出来ました。
・北坂と義之の対比が良かったです。義之を応援したくなりました。
・初稿よりも義之の今後が気になり、楽しく読むことができました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.2「脚本」2.2
●自由感想
・北坂の登場が冒頭からセットアップされ、唐突感がなくなりました。
・初稿だと北坂のポジションがハッキリせず、読者(観客)としてどう処理すれば良いか分からなかったですが、修正稿だと嫌な感じがはっきり出ていたため、キャラが固まったように思いました。
・貝殻や友人などのノイズがなくなり、話としてのまとまりがでました
さいの
●採点
「好き」2.3 「脚本」2.4
●自由感想
・義之の物語としてストレスなく読むことができ、主人公の抱えている問題と変化の兆しを十分に感じることができるようになったと思います。
・綾香が北坂をまだ慕っていることから、綾香は義之も明日実も嫌いなのかなと思う反面、三人で出かけることは了承していて大人だなと思いました。
しののめ
『Make Family』修正稿
●採点
「好き」2.4「脚本」2.4
●不明点・不自然な点
・北坂、乱雑受け取り、さっと中を確認する。→乱雑「に」が抜けているかと思います。
●自由感想
・大幅に修正されていて驚きました!こんなに修正できるのすごいです。尊敬します…!
・視点が定まり、重要人物の数や比重も絞られ、細かい引っ掛かりなども解消されており、非常に読みやすくなっておりました。義之に感情移入しやすくなりましたし、綾香も実父との外出が決まって嬉しいから翌週の予定を許容できたのかなとか、納得感もあって良かったです。強いて言えばもう少しだけ、娘に会わせたくないほど実父が悪質な人間であることを明確に示す描写があっても良い気がしたものの、役者の演技でカバーできる部分かなとも思いますし、今後明かされていく引きの要素として見ることもできるなと思いました。
山師ヤマ
脚本、楽しく読ませていただきました。
家族それぞれが複雑な感情を持つだろうなーと思いました。主人公と娘がすれ違うのは当然で、そういう意味で共感しながら読むことができました。
主人公の変化がはっきりしているところもいいと思いました。
以下、その他の感想です。
・主人公と妻は、教師と保護者という関係だったということでしょうか? そこももう少し明らかにしてもよいかも。
・妻は妻で多面的な思いがあると思いました。枚数の問題やどこに焦点を向けるかというところで省いたのだと思いますが、一言二言加えて多面性が出すと、キャラに深みが出ると思いました。
・主人公が急にたくましくなった感じがしました。「この人の内に実は強さがある」という描写が前半にあると、ラストの変化の説得力が増すと思いました。
・前の夫はいい人じゃないと思うんですが、娘が会う理由って何かな?と思いました。プレゼントしてくれるから? 気になりました。
ChatGPT
◎素晴らしい点
この脚本の最大の魅力は、父娘・義家族の微妙でリアルな関係性の描写です。義之と綾香、明日実の距離感や言葉の掛け合いから、互いに遠慮しながらも本音を探る心理が丁寧に伝わってきます。「ご馳走様」と席を立つ綾香の仕草や、義之の眼鏡のブリッジを押し上げる動作など、細かい描写でキャラクターの心情が自然に表現されている点が素晴らしいです。観客が人物の内面に共感しやすい、繊細で静かな心理ドラマになっています。
△問題点
一方で、一部の展開が唐突に感じられる箇所があります。例えば北坂が突然登場して義之に封筒を渡す場面や、道での父娘の再会シーンなど、文脈上の説明やキャラクターの内心の変化が少ないため、観客は状況を飲み込みにくいことがあります。感情の動きや背景をもう少し補強すると、物語の緊張感や感情移入度がさらに高まります。
☆次回作への応援メッセージ
山極さんの描く家族の心理描写は、本当に心に響きます。キャラクターの細やかな感情表現の力を活かしつつ、状況説明や展開の自然さを少し磨くだけで、より引き込まれる作品になります。次回作でも、その繊細な人間観察力を武器に、観客の心を揺さぶる素敵なドラマを生み出してください。応援しています!
以上
採点
| 初稿 | 修正稿 | |||
| 好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
| 雨森れに | 2.2 | 2 | 2.5 | 2.5 |
| 米俵 | 2.2 | 2 | 2.5 | 2.5 |
| 脚本太郎 | 2 | 2 | 2.2 | 2.2 |
| さいの | 2 | 2.3 | 2.3 | 2.4 |
| しののめ | 2.2 | 2 | 2.4 | 2.4 |
| 山極瞭一朗 | 2.5 | 2.3 | 2.5 | 2.3 |
| リーダー① | * | * | * | * |
| 平均 | 2.18 | 2.10 | 2.40 | 2.38 |
| 合計 | 4.28 | 4.78 | ||
