※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★5.02)
雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
副業で害獣駆除を受けている吉水は、猟師として一人前になるために猿を撃ち、その際に猿が人間のような仕草をしたことにショックを受け、猟師を辞める。
●フック/テーマ
猿の駆除/善意の行為
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:人はときに「人のため」と信じて他者を傷つけ、失敗しながら生きていく――というのを害獣駆除に絡めて描く
テーマ触媒:春
●感想
最近クマをはじめとする害獣問題が多い気がして書いてみました。
あとは、身近に猟師もいるので下調べがスムーズでした。新たに取材や下調べするのも面白いですが、ある程度知っていることで描くと自分の中の解像度が上がって楽しいことに気づきました。
フィードバック
米俵
●採点
「好き」2.6「脚本」2.7
●ログライン100
副業で猟師の仕事をしている吉永は、猿を打つことで1人前になると言われ、葛藤しながらも実行するが、殺される前の猿の行動にショックを受け、猟師を辞め、介護の職に就く。
●フック/テーマ
動物を人間都合で害獣として駆除すること/人間の都合で命を奪うことは正しいか。人のためとは何か。
●カタリスト
柱3 吉水「次の土日は銃で向かいますので」
●不明点・不自然な点
人のためになりたいという吉水が最終的に選んだ職が介護職という流れに唐突さを感じました。田辺の「若いな」という言葉で少し緩和された印象はありますが、それでも人のためになる職が他にもある中で何故?という疑問が残りました。
●自由感想
人間の都合で殺される動物が出てくるものは苦手ではあるのですが、柱2と3のやり取りではリアルな人間の汚さも描かれており、吉水の葛藤も伝わってきて面白かったです。
また、全体を通して田辺は自然で人柄も見えるようなセリフが印象的で好きでした。
ただ、田辺の妻がアルツハイマーという設定は活かしきれていないような気がしてしまいました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.7 「脚本」2.5
●ログライン100
不動産の営業をしながら副業で猟師をしている吉水は、先輩の田辺と共に初の銃を使った猿の駆除に赴き、葛藤しつつも達成したが、猟師を諦め別の道を探す。
●フック/テーマ
猟のシーン/人のためになる仕事、天職
●カタリスト
柱1: 田辺、吉水に向かって猟銃を構えるマネをする。
●不明点・不自然な点
・吉水が猟をやめた理由は分かりましたが、介護職に行くまでの過程が分からなかったので、「天職」と言い切る感情に付いていけない感じがしました。それより前のシーンで介護に関する要素を触れた方が良いと思いました。
●自由感想
猟のエピソード単体だととても良いのに、後半の介護のエピソードとの繋がりが弱いのが残念でした。いっそ介護のシーンはなくしてしまった方が良いようにも思います。
さいの
●採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
不動産の営業をする傍ら、副業として猿を駆除する猟師をしている吉水は、急増する猿被害への対応として初めて銃で猿を撃つが、急所を外してしまい、もがき苦しむ猿にとどめの一発を撃ったことで、自分の生き方を問い直し、不動産の営業も猟師もやめて、介護施設職員として働くことを決める。
●フック/テーマ
害獣駆除、猟師/死生観、天職
●カタリスト
柱5 吉水、足を止める
●不明点・不自然な点
・引きつけ役とは何か
●自由感想
・柱5まではかなりスムーズに興味を持って面白く読み進めることができたのですが、以降描かれる吉水の変化に対して理解が追いつかずという感じでした。そこまで先のことを描かなくても10分で展開するにはすでに魅力的な内容を含んでいると思います。
・害獣が熊ではなく猿だったら、という昨今の情勢とパラレルな楽しみ方ができました。相手が猿だからか人間の態度も強気なように感じましたし、吉水の相手が熊で、命を脅かされるほどの恐怖を感じていたら展開も変わっていたのかなという風に思ったりしました。また猟師の目線を通して、命の扱い方そのものと、人類と文明の境界線という二つの普遍的テーマを描けるのだなと気づきがありました。シリーズ化したらゴルゴ13の猟師版というか、賞金首の猛獣駆除のため世界各国を旅するハンターを通してお国事情や死生観を描くという趣向の作品が作れそうだななどと想像しました。
しののめ
●採点
「好き」2.5「脚本」2.4
●ログライン100
副業で新米猟師をしている吉水は、自分を気に掛ける先輩・田辺と共に猿猟に挑戦する。何とか猿を撃つことに成功するが、猿が人間のような仕草をしたことで罪悪感を覚え、猟を辞めて介護職に転職する。
●フック/テーマ
猿猟/「人の為になる*こと」とは何か
●カタリスト
住民1「猟友会は何してんだ」
●不明点・不自然な点
・私の読解力不足かもしれませんが、柱3の意義が若干わかり辛いなと感じました。住民VS猟友会の構図はあるある描写っぽくてそれとしては面白いのですが、住民との対立が後に効いてくるような話でもないので、吉水に対する田辺の思いが垣間見えるシーンなのかなと解釈しました。その場合、田辺からも気にかけて貰っているが、それでも続けられないと思った、というメリハリをもっと効かせてほしい気がしました。
●自由感想
・同時代性のあるホットな題材に挑戦するというのがまず素敵だなと思いました。それだけで興味を持って読みたくなるように思います。猟のシーンの描写が魅力的で面白かったです。
・吉水は猟に抵抗感があるが、田辺は住民たちからの報酬を吊り上げる程度には吉水を気にかけている、その上で吉水が勇気をもって一線を超えた(猿を殺した)結果どうなるか、という二人の思いや感情のすれ違い、行先が見どころなのかなと思ったのですが、その前提で見ると吉水は単に意志が弱い人物であるようにも感じてしまいました。人の為になることがしたい(ので、猟を選んだ)、という動機は読み取れるのですが、その割には不動産も猟もすぐに辞めてしまう人間という印象も受け、介護職への転職に繋がる直接的な動線もないため、介護なら今度こそ間違いなく続けていける、不動産や猟とは違って「天職である」とする説得力に欠けるような気がします。例えば、人の為になることをしたいという人一倍優しい人間だからこそ、それなりの思いを持って猟という少し特殊な道を選んだし、それ故に(?)田辺も吉水を気にかけているが、猿が人間のような仕草をした際に、人一倍優しい人間だからこそ続けられないと感じた、というドラマとしてもっと際立たせても良いのかなと思います。その場合、吉水の優しくて「人の為になることがしたい」と強く考えている人間性や、猟に対する真面目さ・意気込み等をもう少しセットアップし、それを揺らがせるほどの衝撃として、猿の仕草を入れる、という流れにしても良い気がしました。猟にまつわるシーンだけでも十分魅力的なのですが、前半と柱6以降で話(の着地点)がずれてしまっているような、期待しているものとは別のものが出てきたような印象を受けました。介護職に転職するというオチ自体は悪くないと思うのですが、そこへの経緯が積み重なっていないのかなと思います。例えば柱9のような描写を中盤で出しておき、その後に猿が同じような仕草をする、という流れにすれば、要介護者(ひいては人間)と猿にどれほどの違いがあるのか、という境界線の曖昧さを突き付けられ、猟を辞めて介護職に転職するという流れにももう少しスムーズに持っていけるのかなと感じました。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.4「脚本」2.3
●ログライン100
害獣駆除の仕事をしている吉永は、一人前になるために猿を打つよう田辺から言われる。葛藤しながらも実行するが、ショックを受けて職を辞す。
●フック/テーマ
害獣駆除/害獣を殺すことは正しいことか
●カタリスト
柱5.木の皮が帯状に剥がれている。
●不明点・不自然な点
柱5のラストから柱6への移行が唐突に感じました。猿を殺してショックを受けた次の瞬間に転職しているというのは、展開が早い気がします。田辺に辞めると告げるシーンや、ひとり葛藤しているシーンなどが間にあると、理解しやすくなるように感じました。 ただそれでも、なぜ介護の仕事?という疑問が残るように思います。
●自由感想
いつもながら、題材選びの視点には学ぶところが多いと感じています。今作においても、害獣駆除というホットな話題を扱い、それを殺す側の葛藤を描くのが興味深かったです。 一方で、要素が多いようにも感じました。田辺の母がアルツハイマーを患っている描写は本筋に関係のあるようには見えず、猿とのバトル、その葛藤に焦点を絞るのもひとつ手段としてあるのではないかと感じました。
ロバの絵本
このごろ、熊が人間の住んでいるところによく出没して、話題になっている。
きっとそうせざるおえない山の環境があるのだろう。
動物のすみかをどんどんなくしてしまうのも、自然環境を変える原因を作っているのも人間、ウイルスが流行ると大量に動物を処分したりと、ほめられたことではない、人間だけを守るような都合の世界も起きている。
猿の猟のお話は珍しいと思った。フンがおとりであったり、賢いんだろうなとオオカミ王ロボの話なども思い出した。手で猿が拝むところが印象深かった。作者さんはこういった猟の体験があったり、詳しく取材をされたのかなあと、知っていく場面がよかった。
動物への敬意、自然への畏敬の念、共存意識というものは、どうすれば人間全体でもっと培っていけるのだろうか。大きな決定には、一人一人は呑まれてしまう、なかなかとめられないこともある。
シカやイノシシの猟をする人が、シカの瞳なんてかわいくて、増えすぎたときのバランスで猟をしているけれど、いつまでも、動物の命を絶つということに、慣れるということはないという話をしてくれた。
完全に捨てるところのないように食料にしたり、革にしたり、使うようにすると言っていた。
知るということ、自分に出来ることを行うことで、環境問題の改善にもきっとつながっていく。
修正稿(★5.40)
脚本_雨森37v2『祈りの残響』(春)_251118
修正期間:2025.11.6→2025.11.18(12日)
雨森れに
●自己採点
「好き」2.6「脚本」2.3
●ログライン100
猟友会に属する吉水は、猟師として一人前になるために猿を撃ち、死ぬ間際の猿の仕草や依頼主たちの身勝手さにショックを受けるも、乗り越える。
●フック/テーマ
害獣駆除/人のためとは何か
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:要素を削る。できるだけFBを取り入れる
テーマ触媒:春
●感想
猿を映さなくても伝わるシーンがあることに気づいたので、残酷な部分を緩和させるト書きを意識しました。距離感を出したりや雰囲気に必要なところだけ猿を出してます。
ハッピーエンドは変えたくなかったので、方向性を調整しました。これにより柱3の意味が出てきたと思います。その分、田辺のキャラクターをブラッシュアップしたほうがいい気もします……いかんせん人数を出しすぎているのでそのあたりもノイズかもれません。
ちなみに猿の内臓を山に埋めているのは、猟師のルールとして本当に存在しています。意味合いは地方によって変化するそうですが、基本的には山の神様への感謝なんだとか。
修正稿へのフィードバック
米俵
●採点
「好き」3 「脚本」3
●自由感想
・介護施設の要素がなくなったことで物語が一層引き締まり、初稿に比べて吉永への感情移入がしやすくなりました。初稿ではフラフラしていたような吉永への印象も良くなりました。
・“命”に対する向き合い方が丁寧に描かれており、読み終えたあとも静かに余韻が残るようなテーマ性を感じました。
・桜の使い方も印象的で、勉強になりました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.8「脚本」2.7
●自由感想
・後半の介護のエピソードを削って猟のその後を描いたことで、話にまとまりが出ました。
・猿の墓を作るエピソードで田辺の仕事に対する向き合い方が見え、好印象でした。
さいの
●採点
「好き」3「脚本」2.6
●自由感想
・介護施設のくだりが無くなり、猿を殺したこと自体の是非、葛藤にフォーカスされるようになったかと思います。猿の最後を音と花びらで描くのも映像的で参考になりました。
・住民のリアクションが猿を殺した葛藤を深化させるものなのか、住民の声は背景に過ぎないのか、判然としない印象がありました。前者なら、もう少し吉水のことを写すト書きが欲しかったように思います。ベタな手札ですが、一人くらいは吉水に感謝を伝える住民がいたら猿を殺したこと自体の是非にフォーカスがいくのかなとも思います。現状だと吉水がかなり毅然としていて、住民らのもとに帰ってきた時点で腹が決まっているようにも映ります。後者として描くのであれば、墓を作るシーンは柱6の時点で明示しても良いのかなと思いました。
しののめ
●採点
「好き」2.7「脚本」2.7
●自由感想
・話がすっきりまとまり、一本筋が通ったように思いました。柱3がより活かされる形になったのも良かったですし、桜の描写も素敵でした。柱6~8以外は大幅には変更されていないと思うのですが、こんなに変わるんだなと勉強になりました。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●自由感想
転職するといったところを排除して、猿とのバトル及びその葛藤に照準を合わせたことで、吉永に感情移入しやすくなったように感じました。また、猿の殺害を直接的ではなく、発砲音と桜で見せたのも良かったと感じました。そのために前半で桜をふっていた意味がよく理解できました。 ただ、ログラインにあるように、依頼主の身勝手さにショックを受けるといったことがあまり読み取れず、猿への葛藤だけでも十分ドラマになるのではないかと感じました。
ChatGPT
■ 一番大きな問題点(1つ)
主人公・吉水の「選択」が、物語を動かしているという実感が弱い点です。
吉水は悩み、葛藤し、苦しみますが、実際の流れは「周囲(住民・田辺・状況)に押されて進んでいく」印象が強く、彼が“自分で何かを選び取った結果、何かが変わった”という手応えがやや薄い。特に、
・発砲の決断
・公民館で住民に対峙する姿勢
・ラストの言葉
ここが「彼自身の意思として踏み込めるかどうか」で、
この脚本は胸に刺さる作品にも、少し距離のある寓話にもなり得ると感じました。
■ 良い点(1つ)
「殺す側の倫理」を、説明せず“行動と風景”で描いている点が非常に強いです。
・拝む猿の仕草
・山桜の花びら
・上着をかける行為
・墓を作るラスト
どれも台詞で語らず、映像として罪悪感・祈り・言い訳・救済を同時に孕んでいる。
特にラストの山桜は、安易な救いにも完全な断罪にもならず、
この作品のトーンを美しく固定しています。
これは簡単にできることではありません。
■ 応援メッセージ
この脚本はもう「題材が重いから評価される段階」を超えています。
今は “誰の物語なのかを、あと一歩だけ明確にする段階” です。
恐れずに、吉水をもう一度だけ突き放してください。
その一歩ができたら、この作品は観る側に問いを残す脚本になります。
ここまで書き切ったこと自体、十分に誇っていい。
次の稿、楽しみにしています。
採点
| 初稿 | 修正稿 | |||
| 好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
| 雨森 | 2.5 | 2 | 2.6 | 2.3 |
| 米俵 | 2.6 | 2.7 | 3 | 3 |
| 太郎 | 2.7 | 2.5 | 2.8 | 2.7 |
| さいの | 3 | 2.5 | 3 | 2.6 |
| しののめ | 2.5 | 2.4 | 2.7 | 2.7 |
| 山極 | 2.4 | 2.3 | 2.5 | 2.5 |
| 平均 | 2.62 | 2.40 | 2.77 | 2.63 |
| 合計 | 5.02 | 5.40 | ||
