脚本添削『She Keeps Swimming』(★4.45)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.53)

脚本_雨森40v1『She Keeps Swimming』(想い出)_260117

雨森れに
●自己採点
「好き」2.3「脚本」2
●ログライン100
慧との復縁を考えている莉里は、慧の用意したクルーズ船で遭難してしまい、神経質になるも慧の優しさに救われて復縁を決めるが、慧の異常さを目の当たりにし逃げる。
●フック/テーマ
海で遭難/恋愛
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:恋愛におけるいい思い出と悪い思い出を感じさせる会話をさせる
テーマ触媒:想い出
●感想
『ビワ~』のような想い出の使い方を封印して、サイコスリラーに挑戦してみました。
苦手なジャンルかもしれません……10分でまとめるような話じゃなかったのかもですが……
慧のお金持ち設定が活かしきれていないのと、柱9が長い気がしています。

テーマ触媒10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」

フィードバック

米俵
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.5
●ログライン100
慧との復縁を悩んでいる莉里は、遭難したクルーザーでの慧の優しさに触れ、やり直すことを決めるが、その後すぐに狂気を感じて慧から逃げる。
●フック/テーマ
海での遭難✕下心のあるデート/復縁
●カタリスト
天候の悪化
●不明点・不自然な点
飲んだのが睡眠薬なのかな?と思ったのですが、状況理解までが意外と早く、その後も強い感じなので何の薬なのかな?とは疑問に感じました。
薬の内容を明かす必要はないと思うのですが、もう少し薬の影響を受けているリアルな描写が欲しいように思いました。
●自由感想
・閉鎖空間での心理サスペンスとして楽しめました。特に、​窓に映る慧が莉里の髪の匂いを嗅いでいるシーンは、生理的な嫌悪感と不穏さを一気に加速させていて印象的でした。
・「私はお前の獲物じゃねぇ」と言い放ち、泳いでいくシーンが、「自分の人生は自分の力で進む」という強い意志を感じられて好きでした。

脚本太郎
●採点
「好き」2.3 「脚本」2
●ログライン100
恋人の慧との復縁のためクルーザーで海に来た真里は、天候の悪化により遭難する中、豹変した慧に襲われるも、自分の意思で海に飛び込み、泳いで救助船に向かう。
●フック/テーマ
恋人の豹変、海で変質者に襲われる/復縁、男女関係
●カタリスト
柱4:真里の背後で雨雲が発生している。
●不明点・不自然な点
・復縁できそうな流れだったのにわざわざ眠らせて変態のように襲い掛かる意味がよく分かりませんでした。やるとしたら復縁できそうもなく、それならいっそ襲ってやろう……とかの方が理解はできます。
・睡眠薬を飲まされたのかと思ったのですが、結構すぐ起きたので何の薬なのか気になりました。
・それまでは(別れるか悩みつつも)普通のカップルに見えたのに、柱11で真里が、慧の豹変を割と簡単に受け入れていたり、「死んでもヤダ」と言わせる辺り、本当に復縁を望んで来たのだろうかと疑問に思いました。前半で復縁が無理そうなムード、真里が慧にもっと嫌気が指している様子などが分かれば、この流れでも違和感はないと思います。
●自由感想
・「私はお前の獲物じゃねぇ」という台詞が、テーマを端的に表しているようで、また釣りとも掛かっていて、良いと思います。
・自分が知らないだけかもしれませんが、船の上で豹変した恋人に襲われるというサスペンス展開は見たことなかったので、新鮮で面白かったです。

さいの
●採点
「好き」2.1「脚本」2.3
●ログライン100
元カレの慧と復縁するため二人でクルーザーに乗って釣りを楽しんでいた莉里は、悪天候に見舞われ遭難する中で始めは拒絶していた慧と仲を深めていくも、途中で慧の猟奇的な下心に気付き、逃れるため海に飛び込んで自分だけ助かる。
●フック/テーマ
海での遭難/復縁、下心
●カタリスト
莉里の背後で雨雲が発生している
●不明点・不自然な点
・特に無し。
●自由感想
・今ひとつ莉里に感情移入できませんでした。計画的に遭難したり媚薬?を盛ったりと、慧の猟奇的な面が明らかになって莉里が拒絶する、なら分かります。現状は莉里が慧の優しさを受け入れている一方で、身体的な接触や性行為に対してはなにかトラウマのような強い拒否感を抱いているという印象で、それが莉里の語る慧の恩着せがましさに起因しているのかは、一読では理解できませんでした。
・復縁という設定も特に必要には感じず、ノイズになっているように思います。莉里が慧を倒す過程にどのようなテーマを感じれば良いのだろうという読後感でした。チープですが、マッチングアプリで出会った相手かキャバ嬢と客同士だったりにして、どちらかというと莉里の方が金持ちの慧に下心を持ってクルーザーに乗るも、慧の猟奇的な面に痛い目を見るというのはどうでしょうか。あるいは神経質過ぎる莉里の恋愛観を異常なものとして描いて、安心しきったところでモンスター慧登場もいいかなと思いました。

しののめ
●採点
「好き」2.6「脚本」2.4
●ログライン100
慧との復縁を迷っている莉里は、慧とのクルーズで悪天候に見舞われ遭難するが、慧の気遣いに態度が軟化し復縁に傾く。しかし下心を出してきた慧の言動に復縁が仕組まれていたと気付き、逃げる。
●フック/テーマ
クルーズデート、海での遭難/悪質な復縁計画からの逃避
●カタリスト
空を黒い雲が覆い、激しい雨風が降っている。
●自由感想
・慧の悪質さと気持ち悪さに引きつつも、こういう奴いそう~という感覚とオチの爽快感でニヤニヤしてしまいました笑 「私はお前の獲物じゃねぇんだよ!」以降の流れが特に好きでした。面白かったです。
・慧が飲ませた錠剤は睡眠薬などの類だと認識したのですが、もしそうであれば、莉里が飲んだ後、慧が密かにほくそ笑むような描写があるだけでも分かりやすくなるのかも?と思いました(ただ、意味深に薬のアップ等が挟まるだけでも意図は伝わりそうな気もしつつ…)。
・莉里が復縁を迷っているというどっちつかず感の調整が難しい気もしたのですが、直感的・感覚的には慧に対する嫌悪感をある程度抱きつつも(思わず突き飛ばしてしまう)、頭では復縁も考えている(クルーズには来る、やり直したくて~などの発言をする)という状況を、チグハグ感含め実はちゃんと台詞や言動で示せているようにも思ったので、あとは撮り方や役者の演技次第なのかな…とも感じました。
・わざと遭難するようなタイミングでクルーズに誘ったこと、睡眠薬を飲ませたことなどが全て慧による悪質な計画で、そうした意図の全貌に気づいたからこそ柱11で莉里の心情が一気に別れへと傾いたのだと読み取ったのですが、人によっては単に性暴力まがいのことをされかけたから拒絶したのだと読み取りかねない気もしたので、「今子供ができても、俺、嬉しいよ」の台詞をもう少しネタばらし寄りの発言にするなど、「慧の意図とそれに気づく莉里」を明確に描写するのもありかなと思いました。
・慧に対し割と頑なな姿勢を見せていた莉里が慧に心を許すきっかけ・理由が、もう少し明確になると良いかもしれません。現状は、柱9後半~柱10がそれにあたると思うのですが、これだとやや弱い気もします。慧の計画を考えても、もう少し慧がヒーローに見えた方が納得感があるかなと…。起きてられるように栄養剤をあげるより、めちゃくちゃベタですが例えば「俺が一晩中起きて見張っとくから、休んでても良いのに」とか言いつつ莉里の好きなチョコ(睡眠薬入り)をあげるとかの方が、かりそめの優しさが強調されるかもなと思いました。ただそうすると、その後の異様な眠気による慧の騙した感が弱まるので難しいところですが…。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.2「脚本」2.0
●ログライン100
慧との別れを考えている莉里だったが、遭難した船での慧の優しさに触れ、やり直すことを決めるが、直後に彼の異常さを目の当たりにし、逃げる。
●フック/テーマ
海上での遭難/復縁か破局か
●カタリスト
柱6.だが、莉里はそれを突き飛ばす。
●不明点・不自然な点
柱1~4あたりの莉里の描写(浮かない顔や申し訳なさそうに微笑む)から、彼女は別れたがっているという印象を受けました。だからこそ、柱6で突き飛ばしてしまったと。そう考えたときに、柱9での心の変化は性急に感じ、またその後にやっぱり別れたいとなる変化も急に感じ、自分勝手な人という印象を抱きました。別れたい→別れたくない→別れたいと私は捉えたわけですが、その点ログラインとずれが出ており、莉里が復縁を考えているという描写が冒頭からほしいように感じました。 また、慧が栄養剤を渡すくだり、これは別の薬で莉里が眠らされて、みたいな展開になることを邪推しましたが、何もなく、あれはただの慧の優しさなのか、とはいえ慧の異常さを描写した後なので、勘ぐられてしまいかねないかなと感じました。
●自由感想
別れ話/復縁話を船上でする理由というのがいまひとつピンとこず、そのあたりのセットアップが必要なように思いました。それこそ想い出としてふたりでよく出かけた海であるとか、そのあたりが知りたいと思いました。 慧が泳げないことや莉里が泳げることは予め知っておきたいような気もしましたが、そのふたりの対比は滑稽なラストだったと感じました。

修正稿(★4.45)

脚本_雨森39v2『ブルーハウス検証』(冒頭セリフ指定)_260113
修正期間:2025.1.26→1.27(1日)

雨森れに
●自己採点
「好き」2.3「脚本」2
●ログライン100
マッチングアプリで慧と出会った莉里は、付き合う前のデートでクルーズ船に乗っており天候不良で遭難してしまう。その中で慧の本性を目の当たりにした上に襲われそうになるが、救助船を見つけ泳いで逃げる。/96文字
●修正意図
・慧が泳げないという情報をわかりやすくしました。
・ノイズと指摘された復縁要素を取り除き、さいのさんから提案頂いた「マッチングアプリで知り合った男女」の設定を使ってみました。ですが、莉里に下心持たせるのが難しくてその点は断念しました。
・復縁のために練られた計画的遭難ではなく、偶然起きたトラブルという扱いにしてみました。
・薬を説明するセリフが混乱を招いていると思ったので、削除しました。睡眠薬で朦朧とさせて手籠めにしようとしています。
●感想
慧の異常性を描写しようとすると視点が莉里から離れやすくなってしまい、難しさを感じました。
次にこういう話に挑戦するときは視点を固定してみたいと思います。

修正稿へのフィードバック

米俵
●採点
「好き」2.2「面白さ」2.2「没入感」2.1「題材」2.3「視点」2.2「構成」2.6「描写」2
●感想
正直、初稿の方が慧の気持ち悪さが感じられて好きでした。2稿は、凄くまとまりが良くなり、分かりやすくなった反面、初稿にあったネチャッとした気持ち悪さというか、精神的な追い詰められ感が半減してしまったような印象を受けてしまいました。完全に好みの問題だとは思いますが…。すみません。初稿の慧の方がどこまでも追ってきそうな感じで、キャラとして魅力があったように感じました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.4「面白さ」2.3「没入感」2.3「題材」2「視点」2.3「構成」2.4「描写」2.5
●感想
けいが襲ってくるまでのシーンに険悪さが増していて、さらにけいの異常性のベクトルも分かりやすく具体的になったことで、その後の展開への違和感がなくなり、また、解放へのカタルシスも生まれたように思います。けいが露骨なモンスターではなく普通の変態になったこともプラスだと思います。

さいの
●採点
「好き」2.1「面白さ」2「没入感」2「題材」2.4「視点」2「構成」2.3「描写」2
●感想
・慧のセリフが増えたことに加え、ト書きもフラットなものが多いので今ひとつ莉里を主人公として捉えられなかった印象です。例えば最初に小さな異常性に気づいて帰ろうとするも嵐で後戻りできなくなって後悔する(航海だけに)という風に描くと、見やすくなるかなと思います。
・金持ちがイキってるけど、莉里を抱けなくてかつ泳げなくて死ぬというのはシンプルながらスカッとする構造があると思います。ただ慧のノンデリ発言が増えたことで内容も相まってクリシェっぽさが増していたように映りました。

しののめ
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.4「没入感」2.3「題材」2.2「視点」2.2「構成」2.4「描写」2.4
●感想
・設定や情報がすっきりして読みやすくなったのですが、個人的には慧の単細胞発言を聞いてなお慧を受け入れる莉里に全く共感できなくなってしまい笑、慧を突き飛ばすまではむしろお金目当て疑惑が強まったようにも感じてしまいました。また個人的にはですが、泳げる、泳げない設定は最後に明かされた方が「あんだけイキっといて自慢げにクルージングもしてるのにお前泳げないんかい!笑」という滑稽さと、「莉里はバリバリ泳げるんかい!笑」というカタルシスを感じられて好きだったので、今回好きを0.1下げてしまいました。単なる私の好みの部分もかなりあると思います、すみません。。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.2「面白さ」2.3「没入感」2.3「題材」2.1「視点」2.2「構成」2.2「描写」2.3
●感想
復縁するしないの話がなくなったことで、読みやすく、話の流れがスムーズになったように感じました。また、慧が泳げないということが前半で提示されたことで、ラストシーンも唐突感がなくなり、滑稽さが増したように感じました。 確かに慧の視点が多くなり、莉里が主人公というより、むしろ慧が主人公といった印象を受けました。どうしても莉里を手に入れたい慧の物語と言いますか、とすると慧のことをもう少し知りたいと感じました。常習的なものか、莉里のどういうところに執着しているのか。ラストの泳げない展開は好きなので、異常な男が女にしてやられる話というのもおもしろいかもしれないと感じました。

ChatGPT
●一番大きな問題点:中盤の密室サスペンスとしての緊張は非常に強いが、莉里が「泳ぎ続ける」というタイトル的テーマと、金・安全・身体のコントロールの話がラストでやや象徴的に収束しているため、前半から“泳ぐこと=主体性”の伏線がもう少しだけ具体的に積み重なると、最後の選択がさらに必然として響く。
●良い点:クルーザーという閉鎖空間でのパワーバランスの反転が非常に明快で、会話のテンポと身体的距離の変化だけで恐怖を増幅させていく構成が秀逸。終盤、海に出た瞬間に物語の主導権が完全に莉里に戻る流れは鮮やかで映像的。
●応援メッセージ:ジャンルの緊張感とテーマ性のバランスがとても良く、「観客が息を止める時間」をきちんと設計できている脚本だと思います。ラストの一本の泳ぎがちゃんと意味を持っているので、この芯を信じて磨けばかなり強い作品になります。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.3 2.0 2.3 2.0
米俵 2.5 2.5 2.2 2.3
太郎 2.3 2.0 2.3 2.3
さいの 2.1 2.3 2.0 2.2
しののめ 2.6 2.4 2.4 2.3
山極 2.2 2.0 2.3 2.2
平均 2.33 2.20 2.25 2.20
合計 4.53 4.45

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森
米俵 2.2 2.2 2.1
太郎 2.4 2.3 2.3
さいの 2.1 2.0 2.0
しののめ 2.5 2.4 2.3
山極 2.2 2.3 2.3
平均 2.28 2.24 2.20
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森
米俵 2.3 2.2 2.6 2.0
太郎 2.0 2.3 2.4 2.5
さいの 2.4 2.0 2.3 2.0
しののめ 2.2 2.2 2.4 2.4
山極 2.1 2.1 2.2 2.3
平均 2.20 2.16 2.38 2.24

2026.2.5 アップ

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