脚本添削『男子、厨房にて』(★5.05)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.52)

脚本_さいの16v1『男子、厨房にて』(母親)_251110

さいの
●自己採点
「好き」2「脚本」2.2
●ログライン100
ひとり親である母・京子が毎日作る愛情たっぷりのデコ弁を恥ずかしく思っている高校生の生原想は、忙しい母を傷付けないようこれから代わりに弁当を自分が作ることを提案するも、自分の作ったマズい弁当に文句一つ言わずに感謝を伝えてくれた母に申し訳なくなり、母に教わりながら一緒に弁当を作って料理を覚えることにする。
●フック/テーマ
母の愛情弁当/食事への感謝
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:やさしい世界を描く
テーマ触媒:母親
●感想
 私も高校生の時、某TBS連ドラのように母の作る弁当に平気で文句を言っては悲しませていることにも気づかないガキ畜生でした。本当に反省しています。題材としてはありきたりなものを視点で面白くすることに取り組みたいのですが、現状かなりクリシェな感じと思います。算段としては柱4が劇的アイロニーを活かした面白い攻防戦になると良くなるのではと思います。一方こういうやさしい世界観に対してクソ喰らえと思う気持ちも反面あって、ツイストアイデアとしては、弁当を作ってもらったことに感謝していたはずの想が、自分が作ったことに対しては途端に横柄になり、柱7で母が素直に「マズかった」と伝えてくることに激怒してデコ弁についてを責め、喧嘩になるというものです。

テーマ触媒4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.2「脚本」2.2
●ログライン100
母親の作るデコ弁を恥ずかしく感じている想は、自分で作るようにしようと試みるも味が悪く、母親と一緒に作ることになる。
●フック/テーマ
年頃の男の子にデコ弁/普遍的テーマ:自立、時代的テーマ:なし。しいて言えば男が料理。
●カタリスト
柱1、由美にデコ弁を見られそうになる。
※柱3を非日常への入り口とした場合
●不明点・不自然な点
・母親への気持ち
シングルマザーの母親に対しての気持ちが見えなかったです。おそらくお弁当を作るに至ったのは、恥ずかしさの他に母親の負担を減らしたいという気持ちもあるのだろうと感じたのですが、決定打がなくて観客に解釈を委ねているような印象でした。こういう思春期の感情ってわかりずらいというか複雑なものなので描きにくいかと思います。なので、先日イルカさんが仰っていた「ト書きで目と手を指定してあげる」という技が使えると思います。バタバタしている母親を見ている。手伝おうとして手を出すが、何をすればいいかわからず引っ込める。そういったト書きで想の感情を更に想像しやすくしてあげると解釈が捗ると思います。
・由美が物語を複雑化させている
冒頭のやり取りで恋愛要素が混ざっているように思えました。想の弁当への恥ずかしさ、思春期男子のかっこつけの要素としては機能していると思います。ですが、女子が登場して恋人の有無について話している以上、ジャンルセットアップが恋愛よりに傾きやすいのではないでしょうか。今のジャンルセットアップだと、由美にかっこつけたいけど母親に文句も言えないという葛藤を期待します。あとは完全に個人的な感覚ですが、由美視点で考えると「恋愛対象の男子が急に母親と弁当作ってるって語ってきた。マザコンかも?」と感じそうで、綺麗な話で終われない気がしました。由美を削るか、恋愛方向の要素を増やすかするのも手だと思います。
●ツイスト
・カタリストの強化
カタリストが事件やきっかけという感じがあまり出ずに終わった気がしました。
もう少し弁当を見せないようにする攻防戦があってもいいかもなと。
あとは、この後の母親とのやり取りや母親への感情を表すために弁当を食べている描写も追加するといいかもしれません。食事の描写って、場所や仕草で感情を表しやすいのでディベート要素も強められるかもです。
・柱4、母親視点から想視点へ変更
母親の目覚ましを止めたエピソードはセリフで知るより、映像で見たいと思いました。act2の想のミッションは「母親に弁当を作らせない」と「自分で弁当を作る」なのでその様子を見たいです。最初と最後が杏子視点で描かれているので、柱4に関しては感情移入がしずらいかもしれません。
●自由感想
さいのさんの「こういうやさしい世界観に対してクソ喰らえと思う気持ちも反面あって」という言葉に笑いました。
私は性善説を唱える理想主義なので、やさしい世界観は大好物です。でもやっぱり物足りなさがあるんですよね。
やさしさって毒があるから引き立つものだと思います。だからさいのさんらしい毒を混ぜてみるべきです!
思春期って扱いが難しい反面、なんでもありのチートキャラみたいな部分もあるので、それで練習していくのもありかもです。

米俵
●採点
「好き」2.1「脚本」2.1
●ログライン100
母の作るデコ弁が恥ずかしい想は、弁当作りに挑戦するが、失敗する。それでも美味しいと言ってくれた母の優しさに気付き、一緒に作るようになる。
●フック/テーマ
デコ弁/母への感謝
●カタリスト
由美にデコ弁をいじられる。
●不明点・不自然な点
・高3を想定していると思うのですが、なぜ今更?と疑問に感じてしまいました。
由美にいじられたことがきっかけだと理解は出来たのですが、仲の良さそうな由美にお弁当を見られるのは初?初めて同じクラスになった?など色々と考えてしまいました。
・母親に関しても息子の気持ちを考えずにデコ弁を作るようなキャラクターには思えませんでした。息子に対して敏感そうな描写もあるので、デコ弁を作り続けている理由やデコ弁=愛情と考えるようなタイプという背景が感じられる程度にあると、納得出来、2人でデコ弁を作る描写にも活きてくるかなと思いました。
●自由感想
個人的には、さいのさんの感想にあった優しい世界観なんてクソ喰らえ精神で書いた方がキャラの性格や感情も見えて、面白い展開になると感じました。
さいのさんの色を出していく方がクリシェからも離れられるような気がしました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.3
●ログライン100
母の作る派手な弁当を恥じていた高校生の想は、クラスメイトにからかわれたことをきっけに自分で母のも含めて弁当を作るようになるが、出来が悪いことを自覚すると共に母の愛に気付き、母に料理の教えを乞う。
●フック/テーマ
料理を介した親子の関わり/親子関係
●カタリスト
柱1: 近くの席のクラスメート・飯田由美(17)、話に入ってきて、
●不明点・不自然な点
・細かい点かもしれませんが、洸平の台詞から彼にはお弁当が派手であることを知られているようですが、席の近い由美が知らないのはピンと来ず、今までとうやって食べてたんだろう、と少し疑問に思いました。席替えしてすぐとか、別のクラスから来たとかも感帰られるかもしれませんが。
・最後に想が由美に想いを寄せているような描写がありますが、それに対するセットアップが少し弱く感じました。
●自由感想
・母親に文句を言うのではなく自分でお弁当を作るあたり、行動力と思いやりがあって魅力的な主人公だと思いました。
・現状だと恋愛面のセットアップは弱く感じますが、お弁当を通して想い人との仲が深まっていく展開は面白く感じました。

しののめ
●採点
「好き」2.4「脚本」2.3
●ログライン100
母の作るデコ弁が恥ずかしい高校生・想は、母の負担を減らすという名目で弁当作りに挑戦するが、味付けに失敗する。しかし自分の作った弁当に文句一つ言わず感謝を述べてきた母に申し訳なくなり、一緒に作るようになる。
●フック/テーマ
高校生男子にデコ弁/思春期、母への感謝
●カタリスト
由美「何?生原くんって彼女にお弁当作ってもらってんの?」
●不明点・不自然な点
・高校生3人の年齢が人物表と本文で異なっておりました。
・想自身がデコ弁当を作るという展開は予想外で面白かったのですが、その決断に至るには若干説得力が足りない気がしました。あまり良い案が浮かばないのですが、例えば、京子の屈託ない「ありがとう」だけではなく、「……ごめん、マズかったよね」の後にもう少し、想の心を動かすような京子の言動などがあっても良い気がします。
・あくまで想が母と向き合う話だと思って読み進めていたのですが、終盤で不意に由美との恋愛線も薄ら浮かび上がってきた気がして、あれ?私が書き手の意図を見落としていたのかな?と読み返してしまいました。再読すると確かにそういうフリが入っているようにも見えつつ、どの程度そういうつもりで書いているのか、ちょっと掴みかねてしまいました。単に母親の弁当が恥ずかしいだけではなく、ちょっと気になっている女子に見られるのがとりわけ嫌、という感情線だったのでしょうか。その場合、由美の存在がきっかけであることをもう少し強調するなどしても良いかもと思います。映像で見れば普通に感じ取れる部分かもしれませんが…。
・私も、母親の目覚まし時計を止めておくシーンは映像で入れて良い気がしました。
●自由感想
・恥ずかしい弁当に対して想がありきたりに文句を言うのではなく、何とか誤魔化して自分で作ろうとするのが良い子だな~!と微笑ましくなりました。分かりやすい対立やドラマにはなりにくい路線だと思うのですが、敢えてそちらに挑戦するのが良いなと思います。
・主旨と逸れてしまい申し訳ないのですが、さいのさんの「感想」が面白すぎて笑ってしまいました。やさしい世界観を安易に腐さないという姿勢にも価値があると思うのですが、両方書けるに越したことはないと思うので、クソ喰らえ精神全開の作品も楽しみにしてます笑

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
高校生の想は、母の作るデコ弁を恥ずかしく思っている。母を傷つけまいと、自分で弁当を作ることを提案するが、失敗。それでも文句一つ言わない母に申し訳なくなり、一緒にお弁当を作ることにする。
●フック/テーマ
デコ弁/母への感謝
●カタリスト
柱4.想「ああ、弁当作ろうと思って」
●不明点・不自然な点
変化がやや唐突な気がしました。一回作ってみて、失敗。母から感謝されて、改心だと、想が作ると言い出した意志が弱い気がします。想の性格がどのようなものであるかがわかれば、理解しやすくなると思いました。 例えば、デコ弁が恥ずかしいからその場しのぎで作ると言い出したのなら、一回での変化も理解できます。一方、母親のことを思って、思いやりの気持ちが強いのだとすると、もう少し自分で頑張ってみようと思うのではないかと思いました。頑張ったけどできずに、母の偉大さを知る、のような流れだと母への感謝も増大するのではないかと思いました。
●自由感想
優しい世界が描かれていたのがよかったと感じました。高校生となると、反抗期も相まって母の作った弁当に文句を言いたくなりそうなところ、母を傷つけまいと自分で弁当を作ると言い出すあたり、個性のある主人公のように思えました。 バズりや刺激優先で目まぐるしく変わる展開の作品が世の中多いところ、こうして優しい日常を描くのは大事だなと感じました。

修正稿(★5.05)

脚本_さいの16v2『男子、厨房にて』(母親)_260129
修正期間:2025.11.20→2026.1.29(70日)

さいの
●自己採点
「好き」2.3「脚本」2.5
●ログライン100
生原家の調理担当を始めた想は、毎日弁当や夕食を作る中で担任・福田からヤングケアラーではないかと疑われたことで料理がマズすぎる母を傷つけないためだと真相を明かすも、帰りが遅くなって久々に母が作る料理を食べることになる。(109)
●修正意図
・想が料理をする理由をミステリーのストーリーエンジンとして構成し直しました。
●感想
・主人公の行動原理自体をミステリーとしすぎると、主人公たりえなくなるような気がしました。京子を主人公とするのもアリかなと思います。
・不味さの表現を単に味が薄すぎるとかにした方がリアリティ出るかなと思って悩んで、結局こうなりました。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.5「没入感」2.4「題材」2.5「視点」2.3「構成」2.3「描写」2.3
●感想
・母親との会話が増え、親子関係がわかりやすくなった。メシマズ要素が加わったのも面白かった。
・恋愛要素が排除され、親子愛というか主人公の自立や優しさが強化された。感情移入しやすくなった。
・弁当や料理の内容を見せることにより「料理モノ」としてもよさも加わった。
・教師の唐突なヤングケアラー発言に驚きましたが、コメディとしてこのぐらいの発言があったほうが勢いが出るとも感じました。

米俵
●採点
「好き」3「面白さ」3「没入感」2.8「題材」3「視点」3「構成」2.7「描写」2.5
●感想
・序盤は温かいホームドラマとして入り、中盤以降で視点が反転していく構成として読みました。個人的にはその点が面白く印象的でした。
・想の行動が一貫して母を思っての選択をしているので、感情移入して読むことが出来ました。
・進路指導室での会話は、セリフにリズムがあり、想の本音が出る場面として読み応えがありました。
ただ、その一方で、少し説明的に感じられる部分がありました。10分では難しいかもしれませんが、福田側の理解が一気に進むのではなく、段階を踏むことで、前半で描かれていた日常との断絶が和らぎ、想の告白も自然に際立つように感じました。
・描写部分は会話での説明が少し多い気がして、低めになっています。すみません。

脚本太郎
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.7「没入感」2.4「題材」2.7「視点」2.6「構成」2.3「描写」2.7
●感想
想がなぜお弁当を作り始めたのかというのが分かってからがとても面白く、謎の解答としては魅力的だと思います。でもそれに比べると謎のフリの方は少し地味で、謎が明かされるまでに淡々とセットアップされているだけで少し退屈にも思いました。
個人的には福田を主人公にするのがアリだと思っています。そうすると「生徒がヤングケアラーなのでは?」というフリにサスペンスがあり、謎解決後とのギャップでコメディが引き立つのではないかと考えたからです。ただそのためには前半をかなり書き換えなければならず難しい上、さいのさんの意図とも離れてしまうかもしれませんが、あくまで一意見として……

しののめ
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.5「没入感」2.4「題材」2.4「視点」2.4「構成」2.3「描写」2.3
●感想
・気の毒すぎて笑ってしまいましたが、子どもの体調不良問題にまで発展しているので実は割と深刻さもあり、深堀りできそうなテーマであるように思いました。まさしく今作のように、「親の調理が不十分なせいで、独り立ちするまで子ども全員が万年不調だった」みたいな家庭の話も聞いたことがあります。前半と後半の想の温度差、後半で一気に捲し立てる想の勢いに持っていかれました。現状だとシングルマザーの京子も想も気の毒なままなので、どこか良い着地点が見つかるような続きを読みたくなりました。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.4「面白さ」2.5「没入感」2.4「題材」2.3「視点」2.4「構成」2.4「描写」2.5
●感想
初稿とほぼまるっきり変わっていて驚きました。初稿における優しい世界も好きでしたが、こちらも面白いと感じました。とりわけ、不味い理由が滑稽だけど妙に説得力があって、クスッときました。子供の何気ない一言がきっかけとなって母は果物を取り入れた料理を作ってしまう。そこには母子家庭だからということも原因としてきっとある。そんなことを読み取りました。 また、同級生との恋愛線がなくなり、弁当に特化されたことで、読みやすくなったと感じました。

ChatGPT
●一番大きな問題点:オチの構造は見事だが「母の料理が壊滅的にまずい」という真相に気づく観客のタイミングが終盤の説明台詞に強く依存しており、前半での違和感の仕込みがやや弱いため、種明かしの快感よりも“説明された”印象が先に立ってしまう可能性がある(冒頭~中盤に匂わせの小さな失敗例や想の身体反応・回避行動などを散らすと、ラストの余韻がさらに効く)。
●良い点:コメディとしての発想が非常に強く、「ヤングケアラー的な深刻さかと思わせて実は味覚サバイバル」というズラしが秀逸で、キャラクターも全員愛嬌があり、特に想の“優しさゆえに言えない”動機が笑いと切なさの両方を成立させていて、短編としての読み味と舞台化しやすさが抜群に高い。
●応援メッセージ:すでに核となるアイデアとトーンはかなり完成度が高く、二稿の段階でここまで軽やかに読ませるのは強みです。あと一歩、前半の伏線の密度とラストの余韻を整えれば、コンクールでも確実に「記憶に残る脚本」になるタイプだと思います。このまま磨き続けてください、かなり良いところまで来ています。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.2 2.2 2.5 2.4
米俵 2.1 2.1 2.9 2.8
太郎 2.5 2.3 2.6 2.6
さいの 2.0 2.2 2.3 2.5
しののめ 2.4 2.3 2.5 2.4
山極 2.5 2.3 2.4 2.4
平均 2.28 2.23 2.56 2.50
合計 4.52 5.05

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.7 2.5 2.4
米俵 3.0 3.0 2.8
太郎 2.7 2.7 2.4
さいの
しののめ 2.7 2.5 2.4
山極 2.4 2.5 2.4
平均 2.70 2.64 2.48
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.5 2.3 2.3 2.3
米俵 3.0 3.0 2.7 2.5
太郎 2.7 2.6 2.3 2.7
さいの
しののめ 2.4 2.4 2.3 2.3
山極 2.3 2.4 2.4 2.5
平均 2.58 2.54 2.40 2.46

2026.2.8 アップ

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