徹夜で書きあげるぞ!

主人公のWANT

 俺はプロットを立てはじめた。

 まず、考えなければいけないのがキャラクターの性格だ。

 『ひきこもりのコモリ君』の主人公コモリ君はひきこもり歴12年のベテランで、つらいことがちょっとでもあると、すぐに閉じこもってしまう。カレーうどんの汁が白いシャツに撥ねただけで、ゼツボウして三日も部屋から出てこなかった。コミックスでは、コモリ君を部屋から出そうと、あの手この手で奮闘する家族や友達を一話完結で描いている。もちろんコモリ君が部屋から出ることはない。だから連載がつづいている。

 けれど、いまから書くのは映画版のプロットだ。いつもと同じでいいのだろうか……部屋にいるだけは映画らしくない。冒険をさせたい。

 そういえばコモリ君には一つだけ大きな夢がある。

「美人の金持ち令嬢の奥さんをもらって、生涯、悠々自適に暮らす」というしょうもないものだ。

どうしよう…?

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フリー写真素材ぱくたそ
photo by すしぱく