ヒーローズジャーニー
目を覚ますと、不思議な城の中庭にいた。
「オレは死んだのか? ここは天国?」
「ここはフカシギ王国です。」
振り返ると、あの不思議な恰好をした女の子。オレをつきとばした張本人だ!
「よくも、オレのことを!」
「本当にごめんなさい。ここへ連れてくるには一度、死んでもらすしかなかったんです。」
「連れてくる……?」
少女はヘラと名乗った。なんと、このフカシギ王国の王女であるという。はいはい、あのパターンね。ゲームのRPGとかラノベの転生ものとかね。この手のジャンルに造詣の深いオレはすんなり現状を受け入れた。フカシギ王国は、突如あらわれた魔王によってピンチに陥っている。まあ、よくある設定。
「つまり、オレがその魔王を倒すために異世界から召喚された勇者ってわけね。」
「よろしくおねがいします。」
「そんっでもって、元の世界に帰るためには倒さないといけないんでしょ? クリスタルの力が足りないとかなんとかの理由で。」
「その通りです!」
「ぜったいムリ! ボクのこと知ってますよね? 12年間ひきこもってて部屋から出るなんてお風呂とトイレぐらいなもんですよ。そんなボクが魔王を倒すなんて……ありえない」
面倒なことに巻き込まれちまった。カワイイ子につられて家から出たのがまちがい……しかし、潤んだ瞳で見つめるヘラ姫を見ていると……
「まあ……魔王を倒さないと帰れないんでしょ?」
「はい、魔王さえ倒していただければクリスタルの力が解放されて、コモリ様を元の世界へ返すことができます。」
「はあ……」
オレは溜息をついてから、やるしかないと受け入れた。それに……魔王を倒したあかつきにはやっぱり……
「ありがとうございました。勇者コモリ様。これは私からのお礼です……」
なんて抱きつかれて、ヘラ姫のやわらかい唇がオレの唇にちゅっ~って、いや~、そんな~、姫様、大胆な……いいんですか? じゃあ……
「コモリ様?」
いかん、いかん。また妄想に浸ってしまった。
「ゴホン。魔王を倒すには、どうしたらいいんだい。ヘラ姫。」
「こちらにも力が必要です。東の洞窟には『伝説の剣』があると言われています。しかし、その洞窟には罠がしかけられていて、選ばれし者しか手にすることができないと言われています。西の森には魔女が住んでいて、とても性悪な性格ですが、信頼を得ることができれば『究極の魔法』を教えてもらえるかもしれません。」
- やっぱ武器でしょ。「東の洞窟」へ行く。
- 魔法があれば心強い。「西の森」へ行く。
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photo by エリー