一番好きなマンガご紹介します。
MIND ASSASSIN 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
↑こちらのAmazonのリンク先の「試し読み」から第一話が無料で読めますのでぜひ読んでみてください!
やさしいお医者さん……
主人公の「奥森かずい」はお医者さん。
身長が高く(ドイツ人のハーフ)、ドアの壁におでこをぶつけては、子ども達に笑われています。
しかし、ふだんは穏やかでやさしい奥森先生には秘密がありました。
奥森医院の看板には「※精神 記憶に関する相談うけたまわります」の文字。
奥森先生じつは記憶を消す特殊能力を持っているのです。
第一話で、記憶の相談に訪れるのは恋人を亡くした少女。
人を愛する気持ちが、今を生きる足枷になってしまうことがあります。
少女の悩みを聞いた奥森先生は、能力をつかって記憶を消すか訊ねます。
少女は答える。
「先生……もし先生の彼女があたしみたいな立場だったらどうする? 先生のこと忘れちゃっても幸せになってしほしいと思う?」
「思いましたよ。昔ね……」
この一言にキャラクターの深みを感じます(この”昔話”は別の回ででてきます!)
もう一つの顔……
しばらくして、記憶を消した少女から電話があります。
奥森先生のことも憶えていないはずなのに、何があったのでしょう?
彼女は、ある人物によって、ムリヤリ記憶を呼び起こされてしまったのです。知りたくもなかった真実とともに。(彼女に何があったかはぜひ「試し読み」をどうぞ。)
いつか「大切な想い出」として思い出せるようにと、彼女の記憶を完全には消しませんでした。そのために、彼女を不幸にしてしまった……
奥森先生は、そっとピアスを外します。それは記憶を消す能力の制御装置でもあります。
記憶を消す能力は、証拠を残さずに人の精神を崩壊させる殺人の能力にもなるのです。
奥森先生は、もう一つの顔「マインドアサシン」となって、そっと家をでていきます。
ちなみに奥森先生と話している男の子は虎弥太くん。ある事情から先生が育てています(これも後の回でわかります!)
すてきなエピローグ……
日常にもどった奥森先生の元に、死んだ少女の友達が訊ねてきます……
このマンガ、エピローグがいつも素敵です。
悲しい話のあとでも、おだやかな、ふわっとした気持ちにさせてくれます。
二話目以降も、記憶にまつわる素敵な話が展開されていきます(殺人がない回もあります)。
これが週刊ジャンプに連載されていたというのが、今思うとすごいなと思います(しかし、途中からややバトル色がでてきて連載終了します)
その後は、月刊誌や季刊誌に移って続きます。連載時しか読んだことない方もいるかもしれませんが、主人公の過去など、ステキな話もでてきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
作者のかずはじめさんは、その後、
『明稜帝梧桐勢十郎』
などジャンプらしいマンガを経て、
『Luck Stealer』
という作品を描かれます。
「運」を盗んだり、分け与えたりできる能力を持つ殺し屋という設定で『マインドアサシン』に通ずるものがあって好きです。
読み切りも上手い作者さんですので、
『Unify―かずはじめ短編集』
『UNIFY Second Generation かずはじめ短編集』も読み応えある隠れた一冊です。絶版なのが残念です……。
緋片イルカ 2019/08/25
2020/06/06大幅改稿
●書籍紹介
現在、Kindle版のみが正規販売しているようです。全5巻なので大人買いしても2000円程度です。気になった方はぜひぜひ読んでみてください。
[まとめ買い] MIND ASSASSIN
コミックス版・文庫版はマーケットプレイスからどうぞ。
MIND ASSASSIN 全5巻完結(ジャンプコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
Mind Assassin コミック 全3巻完結セット (集英社文庫―コミック版)
その他のざっくり読書のリストはこちらから