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テーマ触媒1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
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本文への添削
※赤字はイルカによる指摘です。
「クリスマスプレゼント」
第 1 話
─初稿─
2022/12/16
川尻 佳司
第1話? これはシリーズものでしょうか? テンプレートにあってもいらない情報はきちんと消してください。逆にテンプレートになくても必要な情報は入れなくてはいけません。練習とはいえ「原稿に責任を負う」という姿勢で完成させてください。間違えた分は指摘していきますので、心配はなさらずに。
〈人物表〉
北条 雄二 (38) 日雇い作業員
北条 隼人 (5) 保育園児
玉城 九官 (76) アパート経営者
取立て屋A (27)
取立て屋B (21)
〈ログライン〉
うだつの上がらない雄二がパチンコで当てるが、全うに生きようと借金のために奴隷労働することになる。
1. 北千住・千住アパート(3階建て)・1階北条家の部屋(夜)
北千住のアパートの1DKの8畳北条家。電気の消えた暗い部屋の窓の外から曇った空が見える。
北条隼人(5)が仮面ライダーの靴下を目の前に布団に入って窓の外を見ている。
柱に「北千住」と地名を指定する場合、たとえばストーリー全体で「東京」と「尾道」を何度も行き来するような場合、読みやすさのために書いておくのは良いと思います。とくにカットバックが多い場合、読み手が混乱しないように書く方が良い場合があります。『東京物語』のような行き来の回数が少なく、違いが明確な場合、一つ一つに入れると逆に煩わしくも見えます。また「東京」ぐらいの広さの指定ならともかく「北千住」という地域を指定することは、スタッフへの「ここで撮影してください」という指示になりかねません。この物語が「北千住でなければいけないストーリー」であるなら、きちんと指定する必要があるかもしれません。たとえば「北千住物語」というタイトルで、北千住に生きる人々を描いているなど。それでも、現場の撮影では違う場所を使うことが多いと思うので、柱でなく、ト書きに入れる程度がバランスが良いと思います。同様に3階建てまでも不要かもしれません。
例)
北条のアパート・外観(夜)
北千住あたりの3階建てほどのアパートである。
北条のアパート・隼人の部屋(夜)
(※隼人の部屋を描写するト書き)
地域などは外観などに合わせて「あたり」「ぐらい」「ほど」などで和らげてあげると、スタッフは「こういう感じね!」と受けとります(そもそも、北千住である必要がないのであれば、外観自体見せなくても良いい可能性もあります)。また、部屋の構造や広さといった細かい情報などより、脚本で知りたいのは、北条の部屋の雰囲気です。川尻さんのト書きからは、1DKの、どの部屋なのかわかりません。5歳児の部屋の様子こそ、脚本に書くべき情報です(部屋の間取りなどは演出に任せてよいのです)。クリシェな子ども部屋なイメージなのか、5歳児にしては質素なのか、あるいはDKの片隅で寝かされているのか、そういった描写だけでセリフがなくても、隼人の家庭環境が伝えられます。そのようにト書きを使ってください。
余談ですが、アパートの他の住人が出てきたり、アパート名前自体に意味がある場合は、柱は以下のようにしてます。
例)
「ときわ荘」・外観
北千住あたりの3階建てほどのアパートである。
「ときわ荘」・北条家・隼人の部屋
「ときわ荘」・北条家・キッチン
「ときわ荘」・山本家・リビング
などなど。アパートの上下階でやりとるがあるといった話で、住人がたくさん出てくるのであれば、階数や部屋番号を書いてあげた方がいいでしょう。基本は、読む人のことを考えてです。
仮面ライダーといった固有名詞は、ケースバイケースですが、避けておいた方が無難です。「ミッキーマウスの」とは書けないのは想像つきますよね?
「戦隊ヒーローの」と一般名詞にするか、「仮面ライダーのような」が微妙なラインです。NHK的な判断に似てますが、あまりに一般的に浸透しているような固有名詞は、変に一般名詞にするとわかりにくいという場合がありますので。ただし、創作者の態度として、既存のキャラクターの魅力に頼るようなストーリーはいただけません。ここは「仮面ライダー」でなく「機関車トーマス」でも「アンパンマン」でも成立するようなストーリーを書かなくてはいけません。そうなれば、ト書きも「キャラクターものの靴下」で充分に機能すると思いませんか? 仮面ライダーの使用許可を得てまで書きたいストーリーであれば、それなりの覚悟と必然性をもっていれば構いません。企画書から立てることになりますね。
北条隼人(5)が仮面ライダーの靴下を目の前に布団に入って窓の外を見ている。という一文自体も情報量が多すぎます。ふつうに映像が浮かびません。隼人は靴下を見ているのか? 窓の外を見ているのか? ト書きは一行に一つの情報ぐらいの意識で書きましょう。それがショットにもなります。
2. 北千住・パチンコ店
北条雄二(38)がパチンコしている。
テクニックですが、こういうところでパチンコ店特有のガヤガヤした音の描写を入れると読み手にイメージが膨らみます。
雄二の台がリーチになる。
目を見開く雄二。
リーチで音楽が鳴り響き、演出が盛り上がる。
力が入る雄二。
体のどこに力が入ってるのでしょう? 目? 拳? 描写しましょう
リーチは外れる。
固まる雄二。
× × ×
この「 × × ×」の使い方は不自然です。先日の分析会で説明しているので、動画を確認いただくか、ルームメンバーに確認してください。メンバーの方は説明することでご自身の理解力がわかるはずです。勉強は人に教えるのが一番はやいと言います。解決しない疑問があれば、改めて質問してください。
台を後にする雄二。
雄二、景品の仮面ライダーのベルトを見つめる。
雄二、出口に向かう。
「景品のエリア」と「パチンコが置いてあるエリア」の位置関係がやや不自然に感じますが、それ以上にト書きが時間軸とあっていません。
台を後にする雄二。(ここはまず立ち上がる動作ですよね?)
雄二、景品の仮面ライダーのベルトを見つめる。
雄二、出口に向かう。
(まず店内を歩いて「景品のエリアに来る」→「何かに目を留める」→「それが仮面ライダーのベルトであるとカメラに映して」→「雄二が諦めたように(?)、出口に向かう」といった段階がありますよね? それを丁寧にト書きにしてください。雑ですし、雄二の感情やキャラクターを表すチャンスを逸してもいます)。
例)
雄二、席を立つ。
出口の方へ向かう。
ふと、景品エリアで足を止め、何かを見つめる。
「仮面ライダー」のベルトである。
残念そうに小さく息を吐き、立ち去る。
↓この後の川尻さんの文章、出口に向かっていた雄二が、の他の台が目に留まるのが少し違和感でした。リーチの音など、振り返るきっかけがあれば、もっていけるかな。
ふと、プレイヤーが席を離れた台がリーチになっているのが雄二の目に留まる。
雄二が見つめていると、大当たりになる。
あっけにとられる雄二。周りを見回しても主はいない。
あっけにとられますかね?呆気=驚きあきれた状態。許容範囲ですが、もう少し、身体動作などで驚きが伝わる表現が欲しいです。
あわてて、雄二が台に座り玉を打つ。
確変でさらに大当たりになる。
笑いを隠せない雄二。
玉城 「兄さん、景気よさそうだな」
玉城九官(76)が雄二の後ろに立っている。
雄二 「いやいや、たまたまですよ」
玉城 「ちょっとのどが渇いたんでそこのコーヒーくれるか?」
雄二 「えっ、(台の横にある缶コーヒーを見て)ああ(缶を掴み玉城に渡しながら)どうぞどうぞコーヒーでもビールでも」
映像的な表現はいいですが、()に入れず、しっかりト書きにして欲しいところ。セリフを切って構いません。()で済ませるには動作が多すぎます。セリフ内の()を使うときは補足的な意味合いと考えてください。
玉城 「どうも」
玉城がコーヒーを飲む。
雄二 「(玉城の方を振り返り)えっ九さん」
脚本を読んでいる人は、九官という名前を文字で認識しているので、わかりますが、耳で聴いたら「?」です。九官という聞き慣れないネーミングも混乱を招きやすい原因です。名前への拘りは字面だけでなく、音も優先してください。こういうところに気づけるように、分析会では音読してもらっています。また「知り合いだったの?」という曖昧さがあります。
× × ×
玉城がパチンコしている横で雄二が座っている。
文章くどい。一行一動作を意識してください。
例)雄二と玉城、並んで打っている。
読み間違えました。雄二は打ってないなら、
例)玉城、パチンコを打っている。雄二は横から見ている。
※ト書きでは「、」で切った方が読みやすい場合が多々あります。
雄二 「きたきたきたきた」
玉城の台がリーチ。
雄二 「こいこいこいこい」
台の演出が盛り上がり、大当たり。
雄二 「よっしゃー」
玉城と雄二がハイタッチする。
× × ×
店内交換所で玉城の持ち玉7万5878発が表示される。
例は示しませんが、ここも、先に示した「席を離れる~」同様。一行で処理しすぎです。しっかり描写をするには、行数もそれなりに使うと考えていただいて構いません。それは、すなわち、ムダなセリフやムダなシーンを書くと、大事なことが書けなくなるということにつながっていきます。この後にも多々ありますが、自分で見つけてください。
3. 宿場町通り商店街(夜)
雄二と玉城が並んで歩いている。
商店街の様子が欲しいか。夜の商店街にもいろいろあります。人気がないのか、あるのか。
雄二の手には仮面ライダーベルトが抱えられている。
雄二 「いやあ、ありがとうございます、ほんと助かりました」
何が助かった? 雄二の座った台は、玉城の台だったということですか? 理解できません。映像は流れるので、脚本でも初めての人が、一回で理解できる書き方が望ましいです。
玉城 「これもあんたの運だよ、ガキがいるんなら、少しはまじめにやるんだな」
雄二 「ははっ」
テクニックですが、この笑いはト書きにした方が、リズムがつきます。理由は割愛。書き換えて読んでみてください。
取立て屋A「北条」
取立て屋A(27)が雄二を睨んでいる。
振り返って雄二、取立て屋Aを確認する。
名前が職業になっているようなキャラは、サブのサブです。その年齢が絶対でないなら要りません。文章も非常にわかりづらい。
例)
男の声「北条」
雄二、振り返る。
強面の取立て屋が二人、睨んでいる。
雄二=カメラ=視聴者の視点で書いてください。最初の声を「男の声」にするかどうかは好みもありますが、初見で読む人は「取りたて屋」を認識していないので、こうやって書いておくと、新しい人物が現れたのだなと認識して次を読みます。いきなり「取りたて屋」と書いてあると、そんな人いたっけ?と前を読み直してしまう人がいるかもしれず、流れを止めてしまいます。台本としてセリフを読むときには、男と取りたて屋と別の文字になってしまう欠点がありますが、脚本上の演出のようなものです。一言ぐらい、わかります(役者も監督もバカではないので笑)。それでも気になるのであれば、以下のような処理もあるかと。
例)
玉城 「これもあんたの運だよ、ガキがいるんなら、少しはまじめにやるんだな」
雄二 「ははっ」
背後から取立て屋の声がする。
取立て屋A「北条」
雄二、振り返る。
強面の取立て屋が二人、睨んでいる。
雄二 「(前方に駆け出して玉城に向かって)ほんとありがとうございました」
前方ってどっち?よく読めばわかるけど読み止まる。以下のト書きがうまく書けるようになったら、レベルが一つ上がりますね。
玉城、険しい顔で雄二を見つめ、取立て屋Aを見る。
雄二を追いかける取立て屋。
取立て屋Aが玉城の横を通る時、玉城が取立て屋Aの脚をひっかける。転ぶ、取立て屋。
逃げ去っていく雄二。
起き上がる取立て屋A。
取立て屋A「クソジジイ」
小走りで駆けていく玉城。
4. 千住ほんちょう公園(夜)
タコの滑り台の影に隠れている雄二。
少し離れて、雄二に気づいていない取立て屋Aと取立て屋B(21)が探している。
取立て屋に捕まっている玉城。
取立て屋B「ジジイ、北条呼んで来い」
玉城 「知るか、あいつとはパチンコで初めて会ったんだ名前も知らん」
取立て屋Bが玉城の顔をはたく。
取立て屋Bより玉城のがキャラクターの格が上なので、
玉城、顔を叩かれる。
と受動態で書く選択肢があります。小説でいう人称のようなもの。わかりづらくしてまで変える必要はありませんが、こういうところに意識も向けていくと読みやすくなります。ストーリー上は「取立て屋Bが叩く」ことではなく「玉城が叩かれる」ことに意義があります。これがキャラクターの格の意義です。
好みではありますが、
取立て屋B、玉城の顔をはたく。
と「、」にするだけで、読みやすくなりませんか?
それを痛々しく物陰から見る雄二。
取立て屋B「お年寄りには優しくしましょう、ははは」
痛みで顔を抱える玉城。
取立て屋B「あんま舐めんなよ」
取立て屋A「知らねえな」
取立て屋Bが玉城の服を物色し、財布を見つける。
取立て屋B「ジジイ金持ってんじゃん」
雄二が仮面ライダーベルトの箱を強く握ると光って音が鳴る。焦る雄二。
取立て屋A・B、音のする方を見る。
雄二がゆっくりタコの滑り台から姿を現す。
雄二 「じいさんいたぶってたのしいか、チンピラどもがよ」
雄二の腕が震えている。
取立て屋A「ほう、よく出て来たな、借りた金も返さねえで遊んでりゃ世話がねえぜ」
取立て屋A・Bが雄二に近づいていく。
玉城 「(雄二を見て)ばか」
5. 北千住・千住アパート1階北条家の部屋(夜)
窓ごしに雪が降っている。
窓からの雪明りに照らされて眠っている隼人。
窓に玉城の顔が出てくる。
ゆっくりと窓を開ける玉城。
動く隼人。
玉城がゆっくりと靴下の横に仮面ライダーベルトを置く。
玉城が不意に隼人を見やると、
隼人のしっかりと玉城を見ている。
固まる玉城。
隼人 「おじさん、サンタ?」
玉城 「……」
隼人 「(仮面ライダーベルトを見て)あ、ありがと、(玉城を見て)ねえ、あのさ、サンタのおじさんに頼みたいことがあるの、もしお願い事が一つだけなら、これは返してもいいから」
玉城黙って隼人を見つめる。
隼人 「お母さんがね、またおうちに帰ってくるようにね、お父さんの、お父さんの仕事助けてくれない」
玉城 「お父さんの仕事?」
隼人 「うん、お店やってたんだ、フランス料理だよ、でもコロナでお客さんが少なくなっちゃったんだって」
玉城 「わかった……わかったよ」
6. 羽田空港国際線ターミナル(昼)
雄二が数人の男たちとプノンペン行きの搭乗口へ向かう。
雄二が名残惜しそうにターミナルの見送り客を見やる。
渡航客の中に隼人と玉城がいる。
隼人を発見した雄二。
雄二 「隼人、隼人」
隼人が雄二の声で発見する。
隼人 「お父さん、お父さん」
雄二 「隼人、どうしてここが、隼人」
雄二の周りの男たちが雄二を抱えて搭乗口へ向かう。
玉城 「必ず戻ってこい」
雄二 「じいさん、お願いします、必ず戻ってきます」
隼人 「お父さん、お父さん」
雄二 「隼人、父さん必ず戻ってくるから、おりこうで待っててくれな」
隼人 「お父さん」
雄二 「ちくしょう、ちくしょう、隼人、ごめんな、隼人」
隼人 「お父さん」
搭乗口に消える雄二たち。
隼人と玉城がそちらを見つめている。
2人は空港の乗降客たちの中に埋まっていく。
(終)
イルカのコメント
川尻さんだけでなく、皆さん、書き方のルール違反ということはなくなってきて「どう書くか?」という段階に入ってきていると感じました。
たった2、3本で書き方を身につけてくださったのは早い成長だと思います。スクールなんかでは何十本も書いてて、まだにルールを間違えている人がいたりします。
「どう書くか?」の段階では、まずは「流れるように読める」ということが大切だと思います。
表現や文章のリズムが悪いと、その都度、読み手が止まってしまいます。情報量の多すぎ、少なすぎに気をつけなくてはいけません。
それは一人で書くのではなく、ルーム内で読み合うことで、お互い意識していってもらうことが大切だと思います。
わからない、読みづらいなどは、しっかり指摘しあえるようになると良いかと思います。
「流れるように読める」ことができれば、あとは面白さの問題です。
これはゴールはないので、プロを目指す=作家として生きていく以上、向上しつづけなくてはいけないところです。
川尻さんの今回の『クリスマスプレゼント』を振り返ってみると、分析力のある川尻さんらしい、捻りのあるラストが魅力的だと感じました。
セリフは個性がクリシェ的ではありますが、すっきりしている。
課題はト書きの方ではないかと思います。
ストーリー自体は、前半とラストのギャップがあるので、もう少しフリを入れておけると前半から緊張感が作れたかと思います。
「プノンペン行き」がどういう意味を表すのか、その予兆やミスリードが、前半にないので、前半が「ただパチンコしている人」で興味を引きづらい。
また、10枚にしては展開が多すぎるかもしれません。
処理できない内容ではありませんが、ト書きの雑さや、チンピラなどのムダなセリフの多さなどを見ると、今の川尻さんには少し大変かもしれません。
指摘したとおり、ト書きや感情をしっかり描写していくと、もっとページは増えるはずです。
構成が得意な分、やストーリー展開に頼りすぎていて、親子の感情、玉城との交流などをしっかり描いてほしいところです。
ラストの親子の別れなどもドラマチックではありますが、展開上のドラマでしかありません。
玉城に話しかける子供のセリフなど、設定を説明しているだけになってしまっています。
クリシェではない、世界に一人しかない「北条雄二」「北条隼人」という人間の言葉が聴きたいです。
その描写とこのシチュエーションが組み合わされば、涙なくして見られないドラマになるでしょう。
川尻さんはキャラクターが描けるようになれば、構成力と相まって、素晴らしい作品が書けるはずです。保証します。
まとめと次回へ
・柱の書き方、場所の雰囲気などの描写を工夫してください。
・一行、一動作ぐらいの意識で書く。その際の表現をシンプルに。バカ丁寧に書くと読みづらい。
・ストーリー展開よりも、そのシーンでの感情、一言一言のセリフに意識を向けてください。
緋片イルカ 2022.12.20
他の方の感想
取り立て屋AとBが絡んでくるやり取りが一度読んだだけだと少し分かりにくかったです。
ト書きが上手いと思いました。仮面ライダーベルトは、時代が見えて良かったです。
・①玉城に気付くのに何で時間がかかったのか ②足を掛けられただけなのに何故追いかけるべき雄二ではなく玉城を追いかけたのか ③取り立て屋A「知らねえな」の意味 ④見送り客ではなく渡航客の中に隼人がいる? の4つが私はわかりにくかったです。もう少し前後の描写があると嬉しかったです。
・奴隷労働より、臓器取られて帰ってきそうな感じ。
・ホワイトクリスマスに親子が離れ離れになる切なさと、クリスマスプレゼントをパチンコでゲットするクズ親っぷりの対比がよかったです。
・ト書きに隼人の描写があると、もっと雰囲気出そうな気がしました。
追記:
Q:
前提として、ト書きや柱でイメージさせやすいように地名とか入れてもいいという話があったかと思います。
今回川尻さんの作品を読んで『あれ? コロナ禍での話だけどここ数年ホワイトクリスマスないよな』と思ったんですよね。
こういう辻褄みたいなものってどこまで配慮して書いたらいいのかなぁと。
A:
「入れてもいい」と言った責任は感じていますが、今回の作品を読んで思ったのは「そんなに書かなくてもいいんだよなぁ」という気持ちです笑
まず、『クリスマスプレゼント』に関していうと、そもそも「北千住である」ということが映像としては一切伝わっていません。北千住とは限らず北関東あたりだと思えば、この作品での「コロナ禍でのホワイトクリスマス」は成立します。いくら、柱やト書きに書いても(脚本上で伝わっても)映像にはならないので観客に伝わりません。確実に特定したいのであれば「駅名とともに駅の外観を映す」「テロップを出す」「セリフで言わせる」といった工夫が必要です。キャラクターの名前をセリフで呼ばせないと伝わらないのと同じです。脚本を読んだスタッフに同じような疑問を持たれて「ここって北千住じゃなきゃいけないんですか?」と言われたときに作者として「どう答えるのか?」考えてみてください。
地名を特定するべきかどうかは、上記の解説にも書きました。テレビドラマの2時間ミステリーみたいな「場所や時刻表がストーリーに関係するような話」とかは特定が必須なので、柱に書いておくと親切かと思います。脚本家が見落としていても、演出がテロップぐらいは入れると思います。普通のホームドラマであれば東京の人が見れば「〇〇区かな?」ぐらい特定できる程度で充分ではないでしょうか。街の雰囲気として「港区」と「足立区」ではやっぱり雰囲気が違うので、そのあたりを伝えるト書きとして「北千住あたりの~」とかはあっても良いと思いますが、もっと理想を言えば、どことも特定して書いていないのにキャラクターやストーリーの雰囲気から「読んでイメージしたのはあの辺りです」というのが作者と読んだ人が一致することでしょうか。ト書きなどで「北千住と特定するかどうか」よりも、作品自体から「北千住らしさ」がにじみ出ていることが大切です。みなさんの課題であるバックストーリーとセリフの関係に似ていると思います。あとは分析もなさってるので、実際の映画などで、どう処理されているか意識して見てみてください。それがひとつの答えになると思います。アメリカ映画ならニューヨークかカリフォルニアか、すぐわかりますが、いちいち特定するテロップなど出ていないことが多いと思います。出ている作品があるとしたら「なぜ?」と考えてみてください。何か気付いたら教えてください。
また、天気の辻褄については「場所」ではなく「時間」(日付)に関して同様に考えてください。場所と時間がダブルで特定されるような物語、たとえば桜田門外の変は雪でしたし、赤穂浪士の討ち入りは雪は残っていたらしいけど、雪の量とかは演出的に盛っているはずです。『クリスマス・プレゼント』が「2020年の北千住」と特定されるのであれば、そこに住んでいる人から「降ってないじゃん」と言われます。ファンタジーとしての演出として「降らせた」という処理も可能といえば可能ですが、加減は必要かもしれません。大雪で交通に影響が出たとかなると「ウソじゃん!」と思われてしまいます。北千住でも「時間」(年)があいまいであれば「コロナ禍かその後のいつか」ぐらいで、ふわっと許容してもらえるかもしれません。あるいは「ファンタジーなんです!」というのを前面に出して「雪が降るなんて!」というリアクションをしっかりさせるとか、「多くの人は雨だと思っていたけど、数時間だけ雪になっていた」ぐらいの加減なら許容されるのではないでしょうか。
ちなみに、雨も雪も撮影で手間もお金もかかるので必要性がないならカットされる可能性は高いです笑
これも理想を言えば、「脚本で雪があるから」ではなく、脚本になくても演出家が「ここは素敵なシーンだから、お金かかってでも雪を降らせたいよね」と思わせるのが理想です。
質問があったので、細かいところまで説明しましたが、今は撮影のことまでは考えなくても構わないです。
現場で、修正依頼を受けたときに対応できれば充分です。本当は自主映画でも撮ってみると、よくわかるのですが。雪なんか撮れないじゃんって笑
とにかく創作段階で、変に自粛して物語が小さくなるのはマイナスです。
「どうせ撮影できないだろうな」と思いつつ、脚本としての読み心地のために、わざと書いておくというのもテクニックだったりします。
小説が物語の理想系、撮影が現実的な処理としたら、脚本はその中間と言えるかもしれません。(緋片イルカ 2022.12.24)
雨森 | 米俵 | 川尻 | イルカ | 平均 | |
好き | 2 | 2 | 3 | 3 | 2.50 |
脚本 | 2 | 3 | 2 | 1 | 2.00 |