脚本添削『象の絵画』(★5.78)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★5.70)

脚本_さいの03v1『象の絵画』(犯罪者)_250518

さいの
『象の絵画』初稿
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
 金額としては少額なお菓子を万引きしたことで、父にその程度の価値の人間と罵られた中学生の陽は、近くに住む大山邸の不用心を狙って、象の絵画を盗む。
●フック/テーマ
不用心な家/承認欲求
●テーマ触媒
犯罪者
●感想
後半は絵として緊張感を出せるようト書きを意識しつつ、読み心地を損ねないように気を付けました。中学生同士のやり取りを書きましたがその点、脚本太郎さんに触発されてたかもと後から思いました。

テーマ触媒1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
兄への扱いから家庭で孤独を抱えている陽は、同じ塾の健二郎と万引きの金額を競っていたが、自分の価値を示すために健二郎と共謀して隣家の絵画を盗む。
●フック/テーマ
虚栄心、承認欲求/窃盗
●カタリスト
ソファーの後ろの壁に掛けられた額縁入りの象の絵画。
陽、その様子を見ている。
●ルールミス
ミスではないし、他の人も私も使っているので、念のためで書いておきます💦
初心者禁止事項に「文字情報を画面に映す」があります。https://irukauma.site/iruka/story/rewrite/31565/
今回柱7が該当していて、健二郎との会話で絵画の金額の話をしていたので、検索の動作は入れなくても理解できそうだなと思いました。
よかったら修正の時にご一考ください。
●不明点・不自然な点
・柱4、窓から見た大山邸の様子を想像しているときに木子の声が若干ノイズかな?と思いました。陽が木子の声を無視して食い入るように見ているわけでもなさそうなので、声としていれる効果はあまりないように感じました。入れるとしたら説明の前か後ろにズラすとよりクリアになるかもしれません。
・柱6、外観の説明が抜けてました。もしあえて指定しないようにしたならすみません。
・柱11、13、健二郎がどういう動きをしているのかわからなかったです。生垣の高さが足りなくて、自転車から室内が見えてしまうから焦ったのかな?と思いながら読みました。生垣挟んで身振り手振り(生垣に突っ込む形?)は万引き常習犯にしては雑に知らせているように感じ、そのあと生垣の方に顔を背け固まっている(生垣に背を向けて首だけ生垣方向?)もなぜそんな体勢に?という疑問が残りました。
●自由感想
大史の「お前、自分でその程度の価値の人間だって言ってるようなもんだろ」ってセリフがいい伏線になっていて、おもしろかったです!
盗む際に花壇を踏みつぶしちゃう部分は、子供らしい雑さが垣間見えてよかったです。

米俵
パス

脚本太郎
●採点
「好き」3「脚本」3
●ログライン100
友人と万引きの額で競っていた中学生の陽は、その一部がばれ、父親に「その程度の価値(数百円)の人間だと言っているようなもの」と言われ、悔しさから近所の家にある高価な絵画を盗むために忍び込み、ばれそうになりながらも絵画を持ち去る。
●テーマ/フック
承認欲求、思春期のイライラ/中学生の万引き、中学生らしさ
●カタリスト
大史「お前、自分でその程度の価値の人間だって言ってるようなもんだろ」
●ルールミス
・柱6、外観を説明するト書きがないのなら不要っぽいです。
自分も一度指摘してもらったことがあるので……
https://irukauma.site/iruka/story/rewrite/38183/
●自由感想
台詞がとても自然で、口調などから登場人物の性格が伝わってきてとても良いと思います。説明的になりすぎずに兄の状況を伝えたり、大史の説教で陽との関係も推察できて、セットアップがスムーズでした。
万引きで友達と競争していたり、その延長で絵画を盗もうとしたりと、子どもならではの感情が描けているように思いました。

しののめ
●採点
「好き」3.3「脚本」3
●ログライン100
少額の万引きをし、父親に「その程度の価値の人間」と叱責された中学生の陽は、不用心な近隣住民宅内の絵画に目をつける。万引き額を競い合っている友達に見張りをさせ、近隣住民宅へ侵入し絵画を盗み出す。
●テーマ/フック
反抗期、自己顕示欲/万引き
●カタリスト
ソファの後ろの壁に掛けられた額縁入りの象の絵画。
●不明点・不自然な点
・すごく細かいのですが、人物表の記載順は両親(父→母?)→兄、の順でも問題ない気がしました。この辺りのルールに疎いのですが…出順というよりも、作中で果たしている役割的にこの順番でも問題なさそうかなと…。また、特に理由がなければ、人物同士の名前は似通りすぎない方が区別しやすいと思うので、健二郎と鎌三のどちらか片方は別の名前でも良いかも、と思いました。
・翔本人の前で「翔の前じゃなくても」と言うのは、隠す気があるのかないのか微妙だなと感じるので、「木子、翔を気にするように取り繕って、『ねえ、今じゃなくても』」等でも良いかもと思いました。
・健二郎が生垣の前で固まっていて、自転車にぶつかられそうになり、怒鳴られる、という描写が若干想像しにくいなと思いました(道の広さや、停止している歩行者に対して自転車側が怒鳴る流れ?がどんな感じで発生するのか)。撮影段階でどうとでも調整できる範囲かとは思いますが、念の為…。
●自由感想
全体的に描写が丁寧で、陽の心情の流れも自然でかなり読みやすかったです。父親の叱責の仕方や、中学生同士の会話のリアリティが絶妙な気がしました。万引き額を競っているというしょうもなさも面白かったです。この後の展開的に陽たちはろくなことにならない気もするのですが笑、続きが読みたくなる内容でした。

ChatGPT
◆ 一番大きな問題点:
主人公・陽の動機が弱く、観客が感情移入しにくいこと
陽が絵画を盗むまでの流れは描かれているものの、**「なぜ象の絵画を盗もうとしたのか」**という感情の芯がやや不明瞭です。
家庭での不満や社会との疎外感は暗示されていますが、「絵画」に執着する理由が見えづらいため、物語のクライマックスが少し唐突に感じられてしまいます。
◆ 改善案(3つ)
① 陽の「象」に対する感情や共感のエピソードを追加
たとえば:
小さい頃に象が好きだったエピソード
絵を初めて見たときの感動を語るシーン
「象は何を思っているんだろう」と陽が独白するカット など
→ 絵画に対する思いが見えれば、「盗む」という行動の切実さが観客に伝わりやすくなります。
② 絵画を「何かの象徴(メタファー)」にする
例:
「家族に見向きされない自分の存在価値」を絵に重ねる
「奪ってしまえば、やっと注目される」といった歪んだ承認欲求
象を「強く見えるけど本当は寂しい生き物」として描く
→ 象の絵を盗む=陽の内面の爆発とつながるように演出すると、物語の深みが増します。
③ 終盤で陽の表情や行動に「揺らぎ」を持たせる
たとえば:
絵を前に涙する
一瞬、絵を戻そうとするけど戻せない
隠れるシーンで震えている手元を映す など
→ 「やりたくてやってるんじゃない」陽の葛藤が表現されると、ラストの余韻がより印象的になります。
◆ 応援メッセージ
この脚本、すでにとても良い骨組みを持っています!
静かな日常と、思春期のやりきれなさが滲む空気感がリアルで、どこか胸に刺さるものがあります。
あとは、陽という人物が「なぜ、象の絵に手を伸ばしたのか」。
その“たった一つの感情”を、もう少しだけ言葉や演出で照らしてあげると、作品はさらに大きく深くなります。
書き続けるあなたの視点と感受性は、確かに届いています。
この物語が完成に向かうのを、心から楽しみにしています。
頑張ってください、さいのさん。応援しています。🖋️🐘

修正稿(★5.78)

脚本_さいの03v2『象の絵画』(犯罪者)_250527
修正期間:2025.5.27→2025.5.27(0日)

さいの
『象の絵画』2稿
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
 金額としては少額なお菓子を万引きしたことで、父にその程度の価値の人間と罵られた中学生の陽は、近くに住む大山邸の不用心を狙って、象の絵画を盗む。
●フック/テーマ
不用心な家/承認欲求
●テーマ触媒
犯罪者
●感想
  いただいたFBは全て反映したつもりです。大変勉強になりました。ありがとうございます。意図の無い文字を一つでも減らしていきたいなと思いました。
 映像で見せれば一発で伝わることを(そりゃそうなんですが)、映像を作る前にテキストで伝えなければいけないのがト書きの難しいところだと感じます。生垣の設定はある程度練り直しましたが、今度はト書きが冗長になってしまったかなとも思います。説明を増やしても、情報が増えただけで伝わりやすくはなってないみたいなことは往々にしてあると感じます。逆に言えば、複雑な説明をしなければ伝わらないような特殊なことを脚本で書くのは避けて、簡潔で伝わりやすく書くことを今後優先していきたいなと思いました。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」3「脚本」2.6
●良くなった点
生垣の様子や健二郎の動きがよくわかりました。意見を取り入れてくださりありがとうございます!
●自由感想
最初読んだときは絵を盗むシーンが一番好きだったんですが、改めて読み直すと万引きを競い合ってるシーンが一番になりました。
承認欲求がよく表れているなぁと思いました。

米俵
パス

脚本太郎
●採点
「好き」3「脚本」3
●自由感想
生垣の状態や健二郎が自転車とぶつかりそうになる前後の様子が分かりやすくなっていました。
過不足のない修正で良いと思います

しののめ
●採点
「好き」3.5「脚本」3
●良くなった点
元の良さはそのまま、より読みやすくなったように思いました!
●自由感想
すごく細かいのですが…。柱9にて二人が生垣越しにリビングを覗き込んでいる→陽が隙間の前に移動して?侵入しようとする→健二郎も陽を追うが止まる、という流れかなと認識したのですが、「健二郎が陽を追う」のはどこからどこに移動しているのか等、二人の正確な行動の流れや順序が少し分かりにくいかもと思いました。本当に強いて言えばですが…。

ChatGPT
🌟 脚本「象の絵画」の素晴らしさ
1. 日常の中に潜む切実なテーマ
「象の絵画」は、表面上は思春期の少年による小さな“万引き”や“家族との衝突”を描いていますが、その奥には貧困、家族の無理解、少年の孤独、そして価値観の揺らぎがしっかりと根を張っており、読む者に静かに問いを投げかけます。
特に印象的なのは、コンビニでの358円の駄菓子や、598円の食玩といった金額の具体性。それが、「どこからが罪か」「どこまでが許されるのか」という倫理の境界線を観客に意識させ、陽の揺れる内面を浮き彫りにしています。
2. リアリズムに支えられた登場人物たち
家族それぞれの言葉選びや、態度にこもる“生活のリアルさ”が見事です。父・大史の冷淡で不器用な言葉、母・木子の気遣いと疲労、高校生の兄・翔の無言の反抗。すべてが現代の家庭の空気を的確に捉えており、どの家庭にもありうる“温度差”として共感を呼びます。
また、健二郎の軽さと友情のバランス感覚が、息苦しさの中にユーモアと救いを与えており、非常に良いバランスでした。
3. 象の絵画という象徴性
タイトルにもなっている「象の絵画」は、物語を貫く象徴的なアイテムとして非常に機能しています。価値の分からない“絵”に対する少年たちの欲望は、単なる物欲ではなく、「認められたい」「何かを所有したい」「意味を見出したい」という思春期特有の衝動として丁寧に描かれています。
この絵画が実際に高価なのかどうかは語られず、それがまた想像力を刺激します。「象」というモチーフの意味も含め、観客に余韻を残すラストは秀逸です。
✨ 次回作への応援メッセージ
さいの様、あなたの脚本には繊細な観察眼と、感情の機微をすくい取る深い洞察が感じられます。静かなトーンで進みながらも、登場人物たちの心の葛藤や関係性がじわじわと浮かび上がってくるその構成力は見事です。
次回作では、ぜひ今作で培われた人間描写と象徴性の手腕をさらに発展させてください。たとえば、今回のような“身近な場所”を舞台にしながら、少しファンタジーや不可思議な要素を混ぜることで、より多層的なドラマが描けるかもしれません。
今後も、静けさの中に強い余韻を残す作品を生み出してくださることを、心から楽しみにしております。

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 3 2.5 3 2.6
米俵
太郎 3 3 3 3
さいの 2.5 2.5 2.5 2.5
しののめ 3.3 3 3.5 3
平均 2.95 2.75 3.00 2.78
合計 5.70 5.78

2025.6.8 アップ

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