※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。
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初稿(★4.86)
脚本_さいの09v1『connection』(サイレント)_250726
さいの
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
単身赴任中の俊樹は、幼い娘の誕生日パーティーの為に帰国しようするが寝坊してしまい、パーティーの時間に間に合わなくなる。娘の友人家族を招いたパーティーにビデオ通話で参加し、コミュニケーションがなかなか上手く行かない中、奮闘する自身の滑稽な姿によって娘の笑顔を引き出す。
●フック/テーマ
単身赴任、飛行機に乗れない/親子愛
●ねらい/テーマ触媒
テーマ触媒:サイレント
ねらい:セリフよりも身振りが物言う年代のキャラクターを使う。
●感想
サイレントを描く上でステレオタイプというものを意識せざるを得ないなと感じました。もっとも、本作は特にそうしたものへのチャレンジを持っているような意欲作ではないです。
テーマ触媒2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
フィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.2「脚本」2.4
●ログライン100
ベトナムに単身赴任している俊樹は、娘の誕生日に帰国しようとするも叶わず、テレビ通話を通し誕生日会に参加し、画面設定に悪戦苦闘している姿を見られてしまうが、結果娘の笑顔を引き出す。/89文字
●フック/テーマ
海外へ単身赴任している父親/父親
●カタリスト
柱3、俊樹、ハッと目覚め枕元のスマホを確認。天を仰ぐ。
●不明点・不自然な点
・柱1で国を指定してあげると、ベトナムだということがわかりやすくなると思います。
・搭乗できなかった理由がわかりませんでした。
柱8で時間を見たうえでガッツポーズしていたので、予約時間を間違えていたんだろうなと予想していました。ログラインを読んで寝坊だと理解できました。
・カメラ画面について。
テーブルの上の配置については指定がなかったので、勝手に食事の邪魔にならない隅の席にタブレットを置いていると思いながら読みました。なので、柱18の芽瑠が手を伸ばして倒すの下りで、カメラは天井を映していそうだなと思いました。柱17でブラックアウトするほど強く倒れてるかな?と疑問が残ります。俊樹の悪戦苦闘している部分も、俊樹側の環境が古いのか、タブレット側に問題あるのかがわかりずらかったです。俊樹側だとしたらピントが合わなくてカメラの設定を変えようとするのは不自然なような……ワインボトルが見えにくい時点でスマホに切り替えることもできた気もします。あと個人的に気になったのは、暗い部屋で画面の映像と娘の顔を撮ることができる一眼レフがあるのに、PCやタブレットは気にしない家なんだなという印象を受けました。
・永愛が少し大人びしているように感じました。
多分3歳じゃそっけない顔で済まないと思います。現実的に見るとタブレット消してぐらいの癇癪や友達に対して不機嫌な対応をするぐらいはあると思いますし、むしろそれをバトル要素として入れてもいいと思いました。
・サイレントなので感情や関係性がわかりやすいト書きが入ると、役者側も演じやすい気がします。
●ツイストアイデア
娘との攻防戦で事前に手配してあったプレゼントが届く→娘の笑顔を引き出す要素があるとラストが引き締まると思います。
●自由感想
スマホのCMで使えそうだなと思いました。このお話は一眼レフで写真を撮っていましたが、スマホで撮影して「画面も暗がりも鮮明に映る。思い出を残せる」というカメラ機能を押し出せそうです。
空港でのシーンも面白かったのですが、他の方も指摘しているように「誕生日会に行けない説明」が長いかもしれません。逆に空港でビデオ通話して、悪戦苦闘しながらも娘に許してもらい、次の便を取って向かう。道中、自分の手配したプレゼントを喜ぶ娘の写真届く……という父親側に寄せた話でもいいのかなと思いました。
脚本太郎
●採点
「好き」2.5「脚本」2.4
●ログライン100
単身赴任中の俊樹は、寝坊が原因で娘の永愛の誕生会にリモートでの参加になってしまい、タブレット越しに素っ気ない態度の永愛を笑わせようと奮闘し、成功する。
●フック/テーマ
ビデオ通話越しの誕生会/親子の交流
●カタリスト
柱9: スタッフ、搭乗券を⾒て⼀転、怪訝な表情。俊樹に話しかける。俊樹、ポカンとする。
●不明点・不自然な点
・序盤の起床してから飛行機に間に合わなくなるまでのシークエンスですが、ちょっと長すぎな気がします。セットアップをここまで丁寧にやるよりは本筋である親子の交流に尺を割いた方が良いですし、バランスも良くないように感じました。永愛の写真も、柱11よりもっと序盤に出した方が効果的に思います。
・リモートでの誕生会参加になってしまったことと永愛が素っ気ない態度であることに繋がりが感じられないので、「楽しみにしてたのに来てくれなかった」など、素っ気ない理由が見えるように提示した方が分かりやすいと思います。
●自由感想
最後、笑顔の永愛が映る写真が追加されているのが素敵だと思いました。
サイレントということでしたが、台詞がなくても状況や心情が伝わってきました。自分はまだチャレンジできなさそうなので、すごいなと思います。
しののめ
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
海外に単身赴任中の俊樹は、娘の誕生日会の為に帰国するはずがミスで帰れなくなり、仕方なくビデオ通話で参加するも娘からそっけない態度を取られる。ケーキの蝋燭を吹き消すくだりで消灯された為に何も見えなくなり、悪戦苦闘している様子を娘に笑われ、雰囲気が和む。
●フック/テーマ
ビデオ通話で誕生日会/娘の信用を取り戻そうと悪戦苦闘する父
●カタリスト
俊樹、ハッと目覚め枕元のスマホを確認。天を仰ぐ。
●不明点・不自然な点
・場面や展開は多いのですが、その割にはドラマが薄いように感じてしまいました。柱1~11までの疾走感や、何の為に急いでるんだろう?という引きは良いのですが、ここが主題ではないこともあり、「乗るはずの飛行機に間に合わなかった」のを描写するのにここまで事細かに描かなくても良い気がしました。手巻き寿司の代わりにエビの生春巻きを食べているのも面白いですが、買い物のシーンを入れるほどではないかなと。もう少し、娘の気を引く為に試行錯誤する様子を中心に描いても良い気がしました。
●自由感想
・サイレントですが状況がとても分かりやすく、すんなり読めました。
・暗闇に浮かび上がるタブレット、そこに映る間の抜けた俊樹の顔、を想像すると少しシュールで微笑ましく、そのシーンを見たくなりました。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.4「脚本」2.4
●ログライン100
海外に単身赴任中の俊樹は、寝坊してしまったため娘の誕生日パーティーに向かうはずが、飛行機に乗ることができなくなってしまう。娘の友人家族を招いたパーティーにビデオ通話で参加するが、娘からそっけない態度を取られたことをきっかけに、俊樹は悪戦苦闘する。その滑稽な姿に娘は笑顔になる。
●フック/テーマ
ビデオ通話で誕生日会に参加/娘に振り向いてほしい父親
●カタリスト
柱13.詩子、電話に戻って、呆れ顔。
●不明点・不自然な点
寝坊から飛行機に乗れないくだりがやや長いように感じました。父親と娘の愛や関係性がテーマである以上、誕生日パーティーに参加できないと早々に知らせてしまい、娘と父の攻防戦をより描く方がテーマをより見せられるのではと感じました。 また、娘が俊樹にそっけない理由が読んでいてやや読み取れないところがありました。スマホの待ち受けに「そっけない永愛」とあることから、娘は父親に対し慢性的にそっけないのかなと捉えました。では父親が誕生日パーティーに来れなくて怒ってる。=そっけなくなる。ことはないのかと。例えば、普段はそっけなくないけど、父親が寝坊して怒ってる。→俊樹が悪戦苦闘して、笑顔を取り戻す。のような流れだと、感情の変化が際立つように感じました。
●自由感想
サイレントの脚本を初めて読みました。そのためリズムがなかなか掴めず、繰り返し読みました。ですが、俊樹の置かれた状況や。状況をなんとかしたいともがく俊樹の姿はありありと伝わりました。 柱14.の「芽瑠、入ってくる。永愛、駆け寄る。」や柱20.の「詩子と画面の俊樹、苦笑い。」などのト書きはそれぞれの関係性を端的に示すト書きであると感じました。
ロバの絵本
単身赴任をしながら、娘の誕生日を一緒に祝いたい気持ちのお父さん。
場面と場所がサクサクと切り替わるのも面白かったです。
本当は、伝えてくれているワインの話題の、ワインの文字がよく見えていなかったり、タブレットが倒れて、自分にはパーティーの場面が見えなかったりするところが切なかったです。
子どもがそっけないときとあったけど、最後にお父さんににこにこの笑顔を向けて、それをお母さんが撮って、お父さんに送っていたという結末はうれしかったです。終わりよければすべてよしといいましょうか。
手巻き寿司の、楽しいパーティーの様子のエビと、買ってきた生春巻きのエビが対照的で、切なかったです。
すべて1人で想像してこのお話を作っているのがすごいなと思いました。さびしさはあるのですが、思いが伝わりあったのではないかという、かわいらしいお話です。
ChatGPT
🔍一番大きな問題点
ドラマの葛藤や緊張感がほとんど「外的状況」だけで構成されており、主人公の内面ドラマが弱い。
俊樹は飛行機に乗り遅れ、誕生日に間に合わず、リモートで家族とつながろうとしますが、
この状況によるすれ違いはあっても、彼自身が何かに「葛藤し、決断し、変化する」姿がほとんど描かれていません。
そのため、全体が「とても丁寧な日常描写」にはなっていても、
観客の心を深く動かす“物語のうねり”が欠けてしまっている印象です。
💡改善案(3つ)
① 俊樹に「迷い」や「選択」を与える
例えば、彼が乗り遅れたのは、
「会議を優先するか、誕生日に飛び立つか」でギリギリまで迷った結果
だった…という描写があるだけで、彼の“内面の揺れ”がぐっと立ち上がります。
この迷いと、失敗と、再接続への行動が、“物語”になります。
② 娘との関係に“溝”を明確に設定する
現在の永愛は“そっけない”だけですが、
例えば前回の通話で永愛が泣いてしまい、俊樹を「嫌い」と言った過去があれば、今回の小さな笑顔と手振りが、「関係の再構築の第一歩」としてドラマティックに映えるでしょう。
③ ラストに主人公の「決意」を添える
現行のエンディングは非常に詩的で美しいです。ただ、俊樹が“何を学び、何を次に繋げるのか”が曖昧なため、「いい話だったね」で終わってしまうリスクも。
たとえば最後に俊樹が**「次の出張先は断ろうか」と手帳を見つめる描写**などがあれば、彼の変化が静かに、しかし力強く観客に届くはずです。
🎉応援メッセージ
さいのさん、この脚本には、「顔が見えているのに届かない、ぬくもりの温度差」が丹念に描かれています。
食卓を囲む人々、モニター越しの父親、物語が静かに流れる中で、“家族って何だろう”という問いが観客の胸にじわじわと残っていく。
日常の尊さを美しく切り取るセンスは抜群です。
次はそこに、もう一段階深い“人の内面の揺れ”を描いてみてください。
きっと、観客の心の奥底に響く作品になると信じています。
connection=接続。
それは、Wi-Fiや通話のことじゃない。
「この人を、ちゃんと見たいと思うこと」こそが、本当の接続なんだ。
さいのさんの次の物語、心から楽しみにしています。
修正稿(★5.34)
脚本_さいの09v2『connection』(サイレント)_250806
修正期間:2025.08.04→2025.08.06(2日)
さいの
●自己採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
単身赴任中の俊樹は、幼い娘の誕生日パーティーの為に帰国しようするが寝坊してしまい、パーティーの時間に間に合わなくなる。娘の友人家族を招いたパーティーにビデオ通話で参加し、コミュニケーションがなかなか上手く行かない中、奮闘する自身の滑稽な姿によって娘の笑顔を引き出す。
●フック/テーマ
単身赴任、飛行機に乗れない/親子愛
●ねらい/テーマ触媒
テーマ触媒:サイレント
ねらい:セリフよりも身振りが物言う年代のキャラクターを使う。
●感想
飛行機に乗れないまでを短縮し、バトルを増やしました。ベトナム感を出すための姑息な技ですが、文字情報の禁術を使っています。マイクミュートに気づかないというのはもはやクリシェと思いますが、良い案思いつかずです。
修正稿へのフィードバック
雨森れに
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●良くなった点
・ベトナムということがわかりやすくなった。
・座席カードがあることで、何を考えてタブレットが配置されているのかわかりやすくなった。
・永愛の子供らしさが増して、子供に対する俊樹の気持ちに感情移入しやすくなった。
・プレゼントや歌のバトルが増えて、永愛の笑顔が盛り上がった。
●自由感想
隣室の住人がいい味出してました。大声で歌っていたのが伝わってきました。
マイクのミュートもあるあるですし、修正で加えられた要素が面白かったです。
脚本太郎
●採点
「好き」2.7 「脚本」2.7
●自由感想
飛行機に乗り遅れた下りのシーン数が必要最小限に減り、展開がスムーズになりました。
後半、俊樹が積極的に行動し、ミュートしたまま熱唱するという可笑しさも相まって応援したい良い主人公になったと思います。
個人的には永愛の怒った態度はもう少し手前で出した方が良いかと思いました。
しののめ
●採点
「好き」2.8「脚本」2.8
●自由感想
・寝坊のくだりがすっきりし、娘とのバトルが充実していて良かったです。
・マイクミュートトラブルは確かにもはやクリシェなのかもしれませんが、それでも楽しめました。隣人に迷惑がられるのも面白かったです。
・俊樹側のマイクがミュートなのは良いとして、西本家側はミュートじゃなかったにも関わらず、俊樹は騒ぎに気づかなかったということでしょうか。ずっと目を閉じて歌っているという描写も含めてやや強引ではありますが、コメディ的かなと思いました。
・歌声(音)が聞こえるか否か、が重要な脚本を、敢えてサイレントでやるという所に面白さを感じました。その分わかり辛くなるかもしれないので触媒との相性が図りかねますが、どんな感じになるのか映像で見てみたいなと思いました。
山極瞭一朗
●採点
「好き」2.6「脚本」2.6
●自由感想
寝坊から飛行機に乗れないくだりが簡素化され、娘との攻防戦をメインに据えたことで、読みやすくなったと同時に、テーマがより伝わりやすくなったように感じました。 また娘が、パパが来れないことで怒っていることが強調され、最終的に見せる笑顔の価値が上がったと思いました。 永愛の年齢が5歳になったことで、彼女の行動原理や感情をリアルに読み取れるようになったと感じました。
ChatGPT
この脚本の素晴らしい点は、まず遠く離れていても「つながろう」とする家族の必死さと滑稽さが同時に描かれているところです。
特に「誕生日ケーキ」と「パパの歌」というシーンは、笑いと切なさが同居していてとても印象的でした。マイクがミュートのまま熱唱する俊樹と、それでも娘がふと笑顔を見せる瞬間には、距離を超えた確かな connection を感じさせます。
また、小道具の使い方も巧みでした。折り紙、座席カード、タブレット、ジグソーパズルといった日常的でささやかなものが、家族の温度差や不器用な愛情を浮かび上がらせていて、細部の積み重ねが効いています。
ラストで「写真立てに一枚増える」仕掛けも、映像的に美しく余韻を残し、テーマを締めくくる象徴的なアイデアだと思いました。
――次回作への応援として。
この脚本から伝わるのは「離れていても、誰かを想うことで生まれるドラマ」です。あなたの作品は、人物の間に横たわる“距離”をどう乗り越えるかを描くことに強みがあります。次回は、物理的な距離だけでなく、心の距離や世代間の断絶をモチーフに広げても、より深く共感を呼ぶ物語になるはずです。
🌸次の一作も、人と人との関係性の面白さと切なさをぜひ描き続けてください。楽しみにしています!
以上
採点
初稿 | 修正稿 | |||
好き | 脚本 | 好き | 脚本 | |
雨森れに | 2.2 | 2.4 | 2.5 | 2.5 |
脚本太郎 | 2.5 | 2.4 | 2.7 | 2.7 |
さいの | 2.5 | 2.5 | 3 | 2.5 |
しののめ | 2.5 | 2.5 | 2.8 | 2.8 |
山極瞭一朗 | 2.4 | 2.4 | 2.6 | 2.6 |
リーダー① | * | * | * | * |
平均 | 2.42 | 2.44 | 2.72 | 2.62 |
合計 | 4.86 | 5.34 |