脚本添削『ルール違反』(★4.34)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.15)

脚本_太郎17v1『ルール違反』_250919

脚本太郎
●自己採点
「好き」1.5「脚本」1.2
●ログライン100
スーパーの店長 高城は、パワハラでバイトの木原を自殺に追い込んでしまい、復讐心を抱いた木原の恋人淀川に付け回され、木原の父が運転する暴走タクシーに乗せられた挙げ句、電車に牽き殺される。
●フック/テーマ
暴走するタクシーの恐怖/復讐、人としてのルール
●ねらい/テーマ触媒
ホラーを最後まで書く(以前書いたものが中途半端だったので)。暴走する車の恐怖を描く。/なし
●感想
ネタ切れ感が凄く、悪い意味で原点回帰している気がします。しかし意外とスピード感は掴めてきたかもしれません。
よろしくお願いします。

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
パワハラ気質の高城が、春人を自殺に追い込み、淀川と春人の父により復讐される。
●フック/テーマ
パワハラ/復讐
●カタリスト
柱2、春人が高城に「こんにちわ」と挨拶してしまう。
●ルールミス
×××の時は頭一字下げ(https://irukauma.site/iruka/story/rewrite/31350/)
●不明点・不自然な点
・恋人設定は人物表に欲しいかも?
本文からだと親しい友人か恋人関係なのか把握しずらいので、人物表に入れてあるとわかりやすいかもしれません。自分が役者側だったら「このふたりは付き合ってるんですか?」と確認してから演技に入ると思います。設定で確認作業がない脚本のほうが、現場に対して親切な気がしました。
・高城が連絡を取っている相手
トップシーンから話に関係がありそうな描写になっていて、その後も高城を唯一動かせる要因(want)だと読み取れたので相手が気になりました。電話の内容が少しわかるとキャラクターへの共感に繋がるかもしれません。特に柱4の淀川の心情として「春人が死んだのに、なんでお前は楽しそうに生きてるんだよ」というのが汲み取りやすくなると思いました。
・春人の勤務態度
高城みたいな上司がいるのに眠そうにできるかな?と純粋に疑問になりました。高城が原因で自殺するぐらいメンタルが弱いなら、どっちかというとビビりすぎたゆえに失言してしまうというほうが自然な気がします。
・柱7、淀川のセリフ「わたしたち全員、ルールを破ったんですから」
淀川と父親は何をルール違反したのかピンときませんでした。話の流れでは人を傷つけたことだと理解できましたが、このふたりはどこで誰を傷つけたのかわからなかったです。事故を起こした後の発言なら納得したかもしれません。
●自由感想
柱4からスピード感があり、映像としてイメージしやすかったです。
交差点でギリギリ助かるというツイストが緊張感を高めていたかと思います。
以前は展開が唐突すぎてついていけない感覚がありましたが、そういったこともなく読めました。
あと、あまり内容と関わりがないんですが、吉澤嘉代子さんの『地獄タクシー』という曲を思い出しました。

さいの
●採点
「好き」2「脚本」2
●ログライン100
バイト先のスーパーで同僚の春人が店長からのいじめを苦に自殺したことを知った淀川は、タクシー運転手である春人の父と共謀して高城をタクシーに誘い込み、踏切内で停車して三人一緒に死ぬことで復讐を果たす。
●フック/テーマ
職場でのいじめ/復讐
●カタリスト
春人の死
●不明点・不自然な点
・秋人の人物表は「春人の父」と書くのが素直かと思いました。
・柱7「交差点では事故が(略)」はト書きらしく書いてほしいと思いました。
●自由感想
・漠然とSSFFで車の中で復讐する話があったの思い出しました。
・三人ともルール違反をしたから死ななければいけないのであり、秋人と淀川もこの後車を降りず一緒に電車に轢かれる道を選んだということだと思いますが、「そこまでするか?」と思いました。反面、ただ高城だけを殺すよりは特徴的で、そこを説得力を持って描くことで個性になるなと思いました。素直に考えると、助手席に座っている淀川がこの後抵抗するであろう高城を制することができるのか?と思いました。序盤を短く抑えて、電車が衝突するまでの車内を丹念に描くというのが見たいです。

しののめ
●採点
「好き」2.3「脚本」2
●ログライン100
スーパーの店長・高城は、バイトの木原の些細なミスを執拗に責め、自殺に追い込むも意に介さない。高城を恨んだ別のバイト・淀川と木原の父親に、復讐として車に乗せられたまま踏切内へ連れ込まれ、二人と共に死ぬ羽目になる。
●フック/テーマ
パワハラ、自殺/復讐
●カタリスト
木原「いらっしゃいませ、こんにちは」
●不明点・不自然な点
・「雨が強く振っており、雷も鳴っている。」→降っており、かと思います。
・高城の電話が何かの伏線になっているのかと思い、気になってしまいました。
・個人的にはですが、高城の詰め方が狂人的すぎて、逆に木原の自殺にいまいち説得力を感じられませんでした。辛くて死にたくなるというよりは、普通にドン引きしてバイトを辞めるかなと…(バイトであればバックれるのも簡単ですし)。もう少し「追い詰められつつも辞めるに辞めれないような状況である」ことをセットアップできると良い気がしました。
・常識からかけ離れた言動で人を死に追いやった高城への復讐方法として、信号無視や踏切侵入といった、多数の無関係な人間を巻き込みかねない方法を取るのがあまりしっくりきませんでした。高城以外の人間に対し、下手すると高城以上に酷いことをやりかねない形になってしまっており、淀川や秋人に感情移入しづらくなるなと…。強い復讐心や攻撃性を、しっかり高城にのみ集中させるような手段を取ってほしいと思ってしまいました笑
・淀川がここまでやる動機がいまいち掴めませんでした。木原との関係性をもっと印象付けられると良いかもしれません。
●自由感想
・単独のシーンや展開としては、信号無視や踏切侵入はスリルや緊張感があり面白かったです。いつもビビットでキャッチーな展開や場面を書くのがお上手だと思うので、それらがより活きるような流れの中で出てくると、各シーンの真価が発揮されて魅力が増すように思いました。踏切の中でわざと停車するといった画や電車の音が迫る描写も良かったです。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.2「脚本」2.0
●ログライン100
横柄な態度を取るスーパーの店長高城は、自身の言動がきっかけで、春人を死なせる。悪びれもしないでいると、春人の父と淀川によって復讐されてしまう。
●フック/テーマ
パワハラ/復讐
●カタリスト
柱3.春人の死
●不明点・不自然な点
高城が電話していた相手が誰か気になりました。トップシーンからただならぬ様子があったので、何かストーリーに関係するのかと思いきや、なかった印象なので、そのあたりの高城の背景を描写できると、高城に対する共感が生まれるかもしれないと思いました。 父の登場に唐突感がありました。というのも、春人が「木原」であることを示す要素(「木原」と呼ばれたり、「木原」の名札を映したり)が、ないので、秋人の名札を映しただけでは、親子関係かどうか、観客は判断できないと思いました。ですので、例えば葬儀のシーンに秋人を登場させるなどしてセットアップしておくと、タクシー運転手として登場したときの憎悪の感情を、観客もすんなりキャッチできると感じました。
●自由感想
タクシーが交差点に突っ込み駆け抜けていくシーンは、スピード感があり、映像として読みやすかったです。ラストに衝突する場面を描かず、音だけで状況をイメージさせるのもよかったと思いました。

山師ヤマ
脚本、楽しく読ませていただきました。
あっという間に読んでしまいました。展開がいい意味で早いなと思いました。主人公(?)が復讐をする意味も分かります。筋が通っていると思いました。最後の暗転も絵のイメージがわきやすかったです。
その他、気になった点です。
・みんなで死ぬ意味が伝わりづらかったです。大切な人を死なせてしまったということも罪ということでしょうか。
・青年があの程度で自殺するかなと思いました。これまでのパワハラの積み重ねがもっと見えると納得感が出ると思います。
・最初に店長が電話している意味がわかりませんでした。短編ですし、いきなりパワハラのシーンからスタートしてもよいかもしれません。
・スピード感がある分、物事がすんなり進みすぎてる印象がありました(無い物ねだりかもしれませんが)。文夏と春人の関係性が分かるエピソードを一つはさんでも、だれないかんじがします。
「好き」3

ロバの絵本
読みやすい文でした。
ほんとに高圧的で、言ってはいけないことまで言うバイトの上司などはいると思います。人格まで否定するようなことを言わないと、ルールとしてこの頃はよくうたわれていますが、閉鎖的な狭い世界では、知っていながらも結局届いていないこともあるように思います。
仕事が出来る、出来ない。言いやすそうなどの判断や、上司本人が、そういう攻撃性をおさえやすい人間かどうかなども含み、こういう問題も、環境によってずっと潜んでいると思います。
仕事の出来る出来ない、社会の上の立場の人からの否定、これは本当に人間を生き辛い気持ちにさせてしまうので、オーバーな攻撃はできるだけなくなってほしいものです。
このお話では本当に人が亡くなってしまっていて、やはり、あまりに言ったほうは、責任も取りきれるものではなくて、責任の話になってしまいます。
亡くなった人のお父さんが出るのもわかりますが、仲間だった人も、自分の命を落としてまで怒っている状態もすごいなと思いました。
本当にやっちゃいけないことをやった罪が、バイトの仲間もいることで、なんだか象徴されているシーンにも思いました。
一緒に聞いていた者をも、何も出来なかった罪を感じたのか、もしくは命を自分も落としたいほど、人が亡くなったということや、あまりの上司の言葉に自分も塞ぎ込んだのか。
いろいろと、あってほしくない世の中のことが浮き彫りになっていて、好きな話でした。
バイトなどで上手に出来なかったバイトも、攻撃する上司がいたバイトもあったけど、今の仕事は自分の得意なことを活かせていて、必要としてもらえているし、人関係もいいし、幸せな職場です。
自分を活かせるところがあると、励ましてくれる友達に、このお話の中で亡くなった人を救ってほしかったです。

修正稿(★4.34)

脚本_太郎17v2『ルール違反』_250930
修正期間:2025.09.28→2025.09.30(2日)

脚本太郎
●自己採点
「好き」2「脚本」1.4
●ログライン100
スーパーの店長 高城は、パワハラでバイトの木原を自殺に追い込んでしまい、復讐心を抱いた木原の恋人淀川に付け回され、木原の父が運転する暴走タクシーに乗せられた挙げ句、電車に牽き殺される。
●フック/テーマ
暴走するタクシーの恐怖/復讐、人としてのルール
●ねらい/テーマ触媒
ホラーを最後まで書く(以前書いたものが中途半端だったので)。暴走する車の恐怖を描く。/なし
●感想
いただいたご意見をできるだけ取り入れて違和感を薄めるのに努めましたが、主人公の突拍子もなさはあまり抑えられず、初稿の段階で、根本的なキャラ設定をもっと煮詰めてから書かなければならなかったと反省しました。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.5「脚本」2.2
●良くなった点
・高城と電話相手の関係がわかることで、淀川の感情がわかりやすくなった。
・秋人が春人の父親だとわかりやすくなった。
・電車に突っ込む前の異常さが増した。
●自由感想
高城の言動が微調整されたので、調整されていない部分に違和感が生じているように感じました。同じことが秋人にも言えると思います。
もともと「悪い奴に酷いことが起こって死ぬ」という難しいタイプのホラーなので、キャラクターの調整が難しいですよね。
もしかしたらギフトを設定したほうが太郎君が書きたいものが書けるようになるんじゃないでしょうか。
たとえばですが、
「痛快さ」→被害者側にフォーカスしないとスカっとしない
「恐怖」→酷い目にあうべき人間でない人が巻き込まれたほうが共感できる というように、キャラクターの調整がしやすくなるかもしれません。
気が向いたら考えてみてください!(私もできていないので、やり方とか共有できたらうれしいです)

さいの
●採点
「好き」2「脚本」2
●自由感想
最後列車と衝突するまでの展開を描いたことによる印象の変化としては、ジャンルセットがはっきりしたように思います。一方で、高城が車内で淀川を殺すシーンは衝動的にやったにしては、残虐的すぎて、今までのセットアップと少し合わないような気がしました。車の中で人を殺すほど頭を打ちつけるって相当慣れてないとできないような動作かなと思ってしまいました。その他葬式のシーンなどは基本的に全て良い変更だったと思います。肝心のルール違反や、彼らがなぜそこまでするかといった引っかかりについては、特段初稿と同じ位の解像度のままです。

しののめ
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●自由感想
・店長の電話シーンの意図が、以前より分かりやすくなりました。その他、人物の関係性や情報提示のあり方も初稿より整理されていたと思います。
・秋人の言動において嘲笑や皮肉的な色合いがかなり強く、茶化しのない本気の怒りが垣間見えるシーンが「何とか言えや」くらいしかなかったので、最後はもう少し「息子を死に追いやられた怒りや悲しみ」をストレートに見せて欲しかったかもしれません。淀川も加害(殺害?)されていますが、それに対する反応もあまり無かったので…。でも電車に突撃していく際の馬鹿笑いは狂気的で良いなと思いました。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●不明点・不自然な点
柱7の後半、追記した箇所が「秋人」ではなく、「明人」になってました。
●自由感想
人物関係がト書きやセリフで明確になり、読みやすく、わかりやすくなったと感じました。 ただ、高城に愛している人がいるような描写の意図をはかりかねました。ストーリーの本筋とは関係がなさそうだったので、目立っていた気がします。 高城にいい意味で共感するというのはやはり難しく、ただ行き過ぎた言動をする人もいるよなと、こんなやつ嫌だなと悪い意味で共感できました。 どこに共感をさせたいかにもよるかと思いますが、被害者側の感情にフォーカスするなら、淀川や秋人を主役に据えて、悲しみや怒りからの復讐をより描く構成もあるのかなと、読んでいて感じました。

ChatGPT
◎ 素晴らしい点
クライマックスの“踏切”シーンのサスペンス設計が非常に巧みです。
雨、雷、急発進、信号無視、そして踏切の中での停止と名札の露呈——
状況が段階的にエスカレートしていき、観客に「もう無理だ」「どうなるんだ」と強い緊張を与え続ける構成が見事です。
最後の衝突まで一気に読ませる推進力がしっかりあります。

△ 問題点
高城の「悪役としてのリアリティ」が極端で、動機の希薄さから“キャラの芝居が物語より先に暴走している”印象があります。
・19時に「こんにちは」を言っただけで、「生きなくていい」「人間やめてくれ」まで言う強烈な暴言
・その後もまるで反省がなく、異様な人格のまま物語が進む
この描写の“飛び方”が大きいため、彼の残虐さが演出ではなく脚本上の都合であるように見えてしまい、**「なぜ彼はそこまで壊れているのか」**が観客に伝わらないリスクがあります。
キャラの凶悪性自体は魅力なので、
・彼が過剰に言葉に執着する理由
・もともと抱えているストレスやコンプレックス
などの背景が1〜2行でもあれば、一気に説得力が増すと思います。

★ 次回作への応援
この作品は、「日常のわずかなルール破り」から「取り返しのつかない暴走」へ一気に転落する構図が強烈で、あなたの脚本が持つ“緊張の増幅”のうまさが遺憾なく発揮されています。
次回はぜひ、キャラクターの内面と狂気をさらに丁寧に積み上げるドラマを見てみたいです。
あなたなら、より深く、より観客の胸に刺さる「人間の闇」を描けるはずです。
次の作品も楽しみにしています!

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森れに 2.5 2.3 2.5 2.2
脚本太郎 1.5 1.2 2 1.4
さいの 2 2 2 2
しののめ 2.3 2 2.5 2.3
山極瞭一朗 2.2 2 2.5 2.3
リーダー① 3 * * *
平均 2.25 1.90 2.30 2.04
合計 4.15 4.34

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