脚本添削『ドーパミン中毒療養記』(★5.30)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★5.07)

脚本_さいの18v1『ドーパミン中毒療養記』(何も起こらない話)_251209

さいの
●自己採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
 ドーパミン中毒で無気力な日々を送る独身男性・義弘は、ふと見たドラマの熱血教師の言葉に感化され、ジムでの肉体の限界に挑んで活力を取り戻し、前向きな朝を迎える。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒、テレワーク、静かな退職/生きがい
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:プロットアークではなく、描写で持たせる
テーマ触媒:何も起こらない話
●感想
 覚えたてのストーリーサークルで言うと、人物(本来は親切な人間)、作者の視点(サボることはデメリットのほうが大きい)、題材(ドーパミン中毒、テレワーク)はある程度揃えたつもりです。テーマ(視点x題材)はドーパミンからアナログな苦痛と達成感への回帰あたりでしょうか。描写(人物x視点)としては、本来は人間的な行いをして自己実現できるはずの人物が、ドーパミンに毒されて、深淵に落ちてしまっている様子を描きたかったです。コメディっぽさに手を出さず、ヒューマンとしてまとめ上げる方向でも良かったかなと思います。

テーマ触媒4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
自堕落な生活をするドーパミン中毒の石川は、唯一集中して最後まで観ることができたドラマに感動し、活力を取り戻し、生活を改める。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒者/心機一転
●カタリスト
柱6、ドラマの続きを見る
●不明点・不自然な点
・石川の涙
ドラマに対して感動するエンジンが不足しているように思え、石川が涙するような内容だったのかピンときませんでした。もしかしたらPCや自分の体を見るような仕草が指定されると「全力で生きろ」という言葉が映えるのかもしれません。もちろんそれまでにセットアップされてるのですが、現状とドラマの対比を素早く見せると納得感が増すように思えます。
・なぜこのドラマに惹かれたのか
一度離れて縦型動画に移ったのに、なぜ再視聴に至ったんだろうなと純粋に気になりました。部屋に野球グッズとか野球をやっていた思い出が飾ってあればバックストーリーを想像してピンときたかもしれません。
・本来は親切な人間?
ドラマを見た影響で親切なことができるようになったと捉えてしまい、本来親切な人間であることが伝わってきませんでした。
・ドラマと現実を別で柱立てたほうがいいかも?
動画とドラマを差別化するためと、別の場所で撮影する必要があるシーンなので別で柱立てしてもいいかもしれません。
●自由感想
柱8まではSSFFのブランドショートにもありそうだなと思いました。逆を言えば、柱8で切ってしまっても「なにも起こらない話」としてありな気がしました。柱6で見どころも作っているし、ドーパミン中毒の描写も面白かったです。
題材の性質上、画面を見せるしかない部分をどう処理するかが肝になりそうですね。スマホを持っている状態で画面を見せるのか、それとも観客自らが見ているようにするのか。このあたりの調整だけでも感情移入をコントロールできるかもしれません。ですが「なにも起こらない話」でどの程度感情移入させるべきかも難しいところですね……

米俵
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
ドーパミン中毒で堕落した生活を送る石川は、唯一ハマって見ていたドラマのセリフに感銘を受け、ジムに通い、人に親切にし、活力を取り戻す。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒/観ているだけの人生から人間的な生活を取り戻す
●カタリスト
ドラマの続きを見る
●不明点・不自然な点
他の方も書かれていますが、本来親切な人間という部分を読み取ることが出来ませんでした。
●自由感想
・しょうもない石川に、自分を見ているような感覚にもなり、面白かったです。柱6は特に好きでした。
・柱11ですが、それまで他者と関わらなかった主人公の最初の接触が若い女性相手になる点で、受け手によっては意図とは違う読みが生まれる可能性があるかもと思いました。
・親切になるといった点も伝わりにくい気がしたので、仕事に関して、張り切り出すといった方が、自然かなと感じました。
・全然関係ないのですが、ドラマ部分を読んで、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」の劇中ドラマを思い出しました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
ドーパミン中毒の石川は、何にもやる気が起きず、自堕落にショート動画ばかり観る生活をしていたが、動画の中の教師による熱い台詞に感化され、ジムに行くなど、生活の改善を図るようになる。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒の生活/生活改善
●カタリスト
柱8: ふとスマホを開き、ドラマの続きを⾒出す。
●不明点・不自然な点
・動画の中の教師の言葉に感化されるまでのエピソードが、そこに向けて積み重ねている感じがなく、セットアップがダラダラ続いているように感じました(長編ならありだと思いますが10分だと長すぎるかと思いました)。
●自由感想
・生活感がリアルなのに、適度にコメディが入っているため、生々しくなりすぎず楽しめて良いと思います。中華料理屋からの帰り道に次々と周囲でトラブルが起きているのにスマホに夢中で気付かないところが面白かったです。
・多かれ少なかれ悩んでいる人が多そうな題材で興味深かったです。

しののめ
●採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
ドーパミン中毒により堕落した生活を送る石川は、適当に見ていたドラマに感銘を受け、心機一転、ジムでのトレーニングに励み、人にも親切にし、活力を取り戻す。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒、リモートさぼり/堕落生活からの脱却
●カタリスト
イヤホンを付け、スマホで先ほどのドラマを見る。
●自由感想
・めちゃくちゃ面白かったです笑 ぜひショートムービーで見たいなと思いました。
・リモートワークでのサボりっぷりあるある、柱6でのやりすぎ感、辺りが特に好きでした。(ドラマを見て涙を流す場面もしょうもなすぎてめちゃ面白かったのですが、私の受け取り方がさいのさんの意図とは若干違うかもしれません)
・「ふと見たドラマの熱血教師の言葉に感化され、ジムでの肉体の限界に挑んで活力を取り戻し、前向きな朝を迎える。」、「本来は親切な人間」あたりの意図があまり汲み取れず、最後まで「しょうもない人間」として面白がってしまいました。大して頑張ってない癖に雑に見ているスポ根ドラマで一丁前に涙を流すしょうもなさや、仕事は頑張らないのにジムではなんか頑張ってる風で自己満足しているしょうもなさ、大して頑張ってないけど女性への下心は薄らあるしょうもなさ、辺りを皮肉っているのかなと感じてしまい…笑 ちゃんと石川の人間的良さや成長を描く場合、前半の堕落っぷりがかなり戯画的な分、何かに感銘を受けて心を入れ替える流れや、善性の出し方ももっと大袈裟に分かりやすくしてほしい気がします。これだけ堕落っぷりを見せられると、ジムでちょっと券売機の使い方を教えた程度ではそこまで善性を感じられないというか…笑 仕事をサボり散らかした分、仕事と関係ない所(ジム)で頑張るのではなく、心を入れ替え無駄に張り切って仕事を頑張る(意味もなく突然出社し始めてついでにオフィスの掃除なんかもやってみちゃうとか?)の方が、意図が読み取りやすいかもしれません。また、画面の教師「何してんだよ」~涙を流すまでのどこかで、石川がドラマの台詞にハッとするト書き等を入れるだけでも分かりやすくなるかもです。ただ、BGMを上手く使うだけでもさいのさんの意図を分かりやすく表現できる気もしています。
・ちょっとやりたいことが多いような気もしました。柱4までと柱7~8はリモートさぼりあるある、柱4~柱6は「スマホに集中するあまり、もっと面白い現実に気づけない」という皮肉、柱9~10は「仕事は頑張ってない癖になんか頑張ってる風で自己満足している」という皮肉、柱11以降は「大して努力してなかったが、女性への下心は薄らある」という皮肉……と、色々詰め込まれている印象でした(後半2つは私の勘違いで、皮肉ではなさそうですが)。
・柱6がドーパミン中毒(スマホ中毒)の弊害を描くにしてもちょっと筆がノリすぎている感があり笑、短編なら「スマホに集中するあまり、もっと面白い現実に気づけない」というテーマ一本だけでも成立しそうな勢いを感じました。それにしても柱6を猛烈に映像で見たいです。教師役の俳優と黒ずくめのおじさん拉致集団が出てくるのが最高です。
・石川のことを散々しょうもないと腐しましたが、正直自分にも石川っぽい側面が多々あるので、感情移入はしないが共感はできてしまい、図星を突かれて痛いです笑 そういう意味でも面白かったです。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.3
●ログライン100
ドーパミン中毒の義弘は、なんの気なしに見ていたドラマの教師のセリフに感化されたことをきっかけに、ジムに通い、人間らしい生活を取り戻す。
●フック/テーマ
ドーパミン中毒・テレワーク/人間的な生活を取り戻す
●カタリスト
柱8.ドラマの続きを見出す。
●不明点・不自然な点
最後の柱、「・洗面台」が抜けていました。 フックにある静かな退職の意図が本文からは今ひとつ掴めませんでした。 また、雨森さんの仰るように、本来は親切な人間であるということが見えづらかったです。トレーニングをして、現状、人間的な部分を取り戻したことで、親切にできるようになったという印象です。
●自由感想
テレワークの経験がないので、読んでいて新鮮でした。現実にも義弘のような人がいるんだろうなと思わせるようなリアルさがあったと思いました。 大きな事件は何も起こっておらず、それでいて義弘の感情は確かに変化しており、ただその変化をもたらした要因がドラマであったのはどうしてだろうという疑問は残りました。ドラマと義弘の共通項のようなものが見えると、より理解しやすくなるように感じました。

修正稿(★5.30)

脚本_さいの18v2『ドーパミン中毒療養記』(何も起こらない話)_260209
修正期間:2025.12.18→2026.2.9(53日)

さいの
●自己採点
「好き」3「脚本」2.5
●ログライン100
テレワークを巧妙にサボりながら無気力に生きている独身男性・義弘は、母親からの電話をきっかけに自分の生活に虚無感を覚え、ふと見たドラマの熱血教師の言葉に感化されたことでジムに向かい、肉体の限界に挑んで活力を取り戻す。(106)
●修正意図
・石川の変化のきっかけを描くために無理やり母を出しました。その他、冗長な部分も刈り込んでいます。
●感想
・しょうもない人間がしょうもないままに心機一転し、変化した気になるだけの日常の話としてまとめたつもりです。最後、スマホを手放したことで結果的に周囲に気が向いて、親切を働いて、下心も満たしたというラストが微笑ましく映ればいいかなという塩梅です。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.5「没入感」2.3「題材」2.5「視点」2.5「構成」2.3「描写」2.2
●感想
・どんなドラマを見ているかわかりやすくなった。感動が想像できるようになった。
・中華料理屋でのやり取りが補強されており、ドーパミン中毒者の印象が強くなった。
・細かい補強が増えた分、柱6までのコミカルさとそれ以降の嚙み合わせが悪くなった気がします。一念発起部分もさいのさんらしいコミカルさがあるとまた違うのかなぁと思ったりしました。

米俵
●採点
「好き」2.7「面白さ」3「没入感」3「題材」3.2「視点」3「構成」3「描写」2.8
●感想
・ドラマの熱血と現実との対比が一本軸になり、初稿と比べて非常に読みやすくなり、テーマも明確になったように感じました。
・個人的には母からの電話の追加が一番好きな変更点でした。​母親の「頑張ってね」という無垢な応援に対して、嘘をついて仕事を丸投げしている義弘という図が、その後のドラマのセリフ「お前の人生そんなんでいいのか」とリンクしていて、涙の説得力が増したように感じました。
・ただ、ラストは、義弘のヒゲのない顔を映す初稿の方が、次の日には戻っていそうな、変化した気になるだけという主人公の滑稽さを強調する形になっていたように感じました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」2.7「視点」2.6「構成」2.5「描写」2.7
・修正箇所のト書きは短くまとまっていて読みやすくなったと思います。
・柱2は初稿の方が色んなショート動画を手当たり次第に観ている感があり良かったのと、柱5の初稿の最初にある義弘のだらしない服装は残していた方が現状を表していて良かったと思いました。
・柱8の母親との会話は、そこまで虚無感を覚えるほどのものとは思えませんでした。何かもっと決定的な一言がほしいなと思います。

しののめ
パス

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.6「没入感」2.7「題材」2.7「視点」2.5「構成」2.5「描写」2.5
●感想
追記された町中華のシーン商店街のシーンから、スマホに熱中しすぎているために、周囲に気配りができないということがよくわかるようになっていたと感じました。そしてラストに困った女性に手を貸すといったシーンとより対比が強調されていたように感じました。 一方で、母親からの電話で虚無感を覚えたといった風にはあまり映らず、それが変化のきっかけになったかと言われると疑問符が浮かぶような印象を受けました。

ChatGPT
●一番大きな問題点:終盤のジム通いと小さな他者との接触で“変化”が示されるが、それが本当にドーパミン中毒からの脱却なのか、それとも新しい刺激への置き換えなのかが曖昧で、テーマの射程がややぼやけている点。ラストの「スマホを開かない」行為が一時的衝動なのか、構造的な変化なのかがもう一段見えると、タイトルとの結びつきが強くなる。
●良い点:商店街のシークエンスが非常に秀逸。現実で起きているドラマ(告白、食い逃げ、誘拐騒ぎ、俳優の遭遇)をことごとくスルーし、画面の中の熱血にだけ反応する構図は、テーマを説明せずに視覚的・行動的に語れている。特にレインボーブリッジを走る画面と現実の混乱の対比は、風刺として強い。
●応援メッセージ:題材の掴み方がうまいです。説教にせず、滑稽さと寂しさで包んでいるのがこの脚本の魅力。あと一歩、「彼はどこまで変われるのか/変わらないのか」を決め切れれば、かなり刺さる一本になります。観察眼は確実に武器です。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.5 2.3 2.4 2.4
米俵 2.5 2.5 2.9 3.0
太郎 2.5 2.3 2.5 2.6
さいの 3.0 2.5 3.0 2.5
しののめ 3.0 2.5
山極 2.5 2.3 2.6 2.6
平均 2.67 2.40 2.69 2.61
合計 5.07 5.30

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.5 2.5 2.3
米俵 2.7 3.0 3.0
太郎 2.5 2.5 2.5
さいの
しののめ
山極 2.5 2.6 2.7
平均 2.55 2.65 2.63
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.5 2.5 2.3 2.2
米俵 3.2 3.0 3.0 2.8
太郎 2.7 2.6 2.5 2.7
さいの
しののめ
山極 2.7 2.5 2.5 2.5
平均 2.78 2.65 2.58 2.55

2026.2.28 アップ

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