脚本添削『私のほんとに好きな人』(★4.83)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.68)

脚本_山極07v1『私のほんとに好きな人』(ラブストーリー)_260122

山極瞭一朗
『私のほんとに好きな人』初稿
●自己採点
「好き」2.3「脚本」2.2
●ログライン100
春哉への想いを引きずる雨音は、海外へ発つ春哉に想いを告げるチャンスを今カノ杏南に邪魔され逃す。帰国後、春哉に会いに行った雨音は、杏南の前でキスをする。
●フック/テーマ
三角関係/未練
●ねらい/テーマ触媒
全員自分勝手な感を出す/ラブストーリー
●感想
どろどろとしたメロドラマ的なストーリーを意識しました。主人公を応援したくなるというより、全員悪人的な風に映したいなと考えています。 とはいえピュアなラブストーリーもいいのかなと思いつつ…。 雨音と春哉の関係性のセットアップを冒頭ではなく、英恵との会話でしたことで、そこが説明に寄っている気がします。冒頭はやはり雨のシーンでいきたいという思いがあり、このような構成となりました。

テーマ触媒1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」2.3「視点」2.3「構成」2.3「描写」2.3
●修正依頼
・雨音に推進力を持たせる。もしくは杏南を主人公にする。
雨音が受動的すぎるので、「ほんとに」好きなのか微妙なラインだと思えました。英恵との会話で奪う覚悟を決めたり、ラストに諦めを告げて恋の終止符を打つなりの方向性があるといいかもしれません。
雨音を調整しないのであれば杏南を主人公にすれば山極さんの想定している「全員悪人」が引き立つ気がします。
●感想
・フック/テーマ:三角関係/フックと同じ
・映像で想像しやすかったです。とくに柱3が好きです。女性ふたりの関係性も感じられました。
・杏南のパンチが強く、次に雨音が印象に残りました。春哉はこのふたりから愛されるだけの男なのかと言うと、現状個性はないように思えます。もっとクズみがあると全員悪人感が増すかもしれません。春哉だけ超善人のパターンも観てみたい気もしますが……笑
・雨のシーン、うまく使えてると思いましたし映像的でよかったです。春哉が帰国した時に晴れているのも好みでした。

米俵
●採点
「好き」2「面白さ」2.5「没入感」2.8「題材」2.3「視点」2.3「構成」3「描写」2
●修正依頼
・雨音のしたたかさの強化。
長い年月を経てから再会しているので、雨音が単に昔のように好きという感情だけではなく、27歳の女性ならではの執着心や再会してからの1年間で積み上げた覚悟を台詞やト書きに滲ませて欲しいと思いました。
一案ですが、雨音が大人しく見えるのを逆手にとって、ラストのキスや英恵への相談も全て、彼女の計画の一部として描くというのも雨音のエグみが足されるかなと思います。
10分で描けるのかというのはありますが、英恵への相談が実は春哉の周りを固めているとか、春哉の親にも手を回していたとかなるとラストのキスが更に効いてくるように思いました。
●感想
構成が非常にスムーズで、映像的な対比が綺麗にまとまっていて読みやすかったです。ただ、形が綺麗な分、キャラクターの精神性が少しピュアな印象も受けました。
構成の良さを土台にして、そこに27歳の女が勝負をかけるしたたかな計算が加われば、より引きの強い作品になるのではないかと思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」2「面白さ」2.2「没入感」2.3「題材」2.5「視点」2「構成」2.2「描写」2.2
●修正依頼
雨音が行動に移るまでの葛藤や心の変化をシーンとして具体的に描く。
・現状だと雨音が主人公にしては受動的すぎ、英恵に説得されて行動を決めただけのように移るため、雨音自身の思考が見えると、その想いの強さや魅力が見えてきて感情移入できるように思います。
●自由感想
雨音と杏南がはっきり逆のタイプの女性として描かれているため、三角関係の面白さが際立っていると思いました。
また三人の過去(雨音が別れたくないのに春やと別れた理由)にも興味が惹かれる部分があるので、匂わすだけではなくてもう少し具体的に見たいと思いました。

さいの
●採点
「好き」2「面白さ」2.4「没入感」2.5「題材」2.5「視点」2.2「構成」2.3「描写」2.7
●修正依頼
キスする方を悪人として描写する。
・トップシーンでの杏南の酷い仕打ちに対して雨音が仕返しをするという風に映るとスカッとします。例えばトップシーンでは雨音と春哉がまだ付き合っていて、杏南が春哉とキスをするのを偶然目撃する。ラストでは杏南と春哉が付き合っていて、雨音がキスをするという流れでどうでしょうか。突然押しかけてキスするだけだと味気ないので、その過程でどのように春哉の居場所を掴んで、杏南に見せつけるよう計画したのかという部分で悪い人間っぽさを描けるのではないかと思います。構成としてはトップシーンの回想を杏南とのキスを目撃する部分だけにして、雨音の復讐をメインに書くという感じです。
●感想
・冒頭の雨音と春哉をクロスカッティングさせる構成など、映像的にどうなるのだろうと思わせる魅力、引きがあり最後まで興味を持って読めました。その分ラストの流れがあっけなく、肩透かしな印象でした。
・柱7での時系列での説明がやや煩雑で、少し混乱しました。柱5までは回想と明記した方が分かりやすいかと思います。

しののめ
●採点
「好き」2.4「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」2.2「視点」2.2「構成」2.4「描写」2.4
●修正依頼
・雨音、春哉のキャラクター性をもう少し際立たせる。
この短尺で全員悪人感を出すのは難しいようにも思うのですが、もしそれが叶うなら、更にキャッチーなセットアップになり、より続きが見たくなるかと思います。長編の冒頭として見た場合、ひとまずは必ずしも三人全員最初から悪人全開じゃなくても良いと思うのですが(むしろ異様に良い人物っぽく見せる等)、いずれにせよ杏南の印象が二人よりも強く一歩前に出ているので、何らかの方向性で海音と春哉ももう少し印象的な登場にできると良いのかなと思いました。また、杏南は典型的なライバル女という感じの人物造形だと感じたので、三人のうち一人だけでも、どこか新規性のある人物像を提示できると更に面白いかもと思います。
●感想
・「雨音、春哉の前で止まると、にっこりとっ笑って、」→「っ」は衍字でしょうか。
・山極さんの作品はいつもそうですが、日本ドラマの導入や一部としてすんなりイメージできるような構成、描写が既にある程度できていると感じ、尊敬します。引っ掛かりなくすらすら読めますし、柱8~9など、いかにもありそうな描写でカメラワークも想像しやすく、お上手だなと思いました。

修正稿(★4.83)

脚本_山極07v2『私のほんとに好きな人』(ラブストーリー)_260208
修正期間:2026.1.31→2.8(8日)

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.4「脚本」2.4
●ログライン100
元カレ春哉に対して未練を抱える雨音は、今カノ杏南に春哉とのキスを見せつけられ、負けまいと渡米した春哉にアプローチする中、春哉が帰国したその日、杏南のいる前で春哉にキスをし、必ず奪うと誓う。
●修正意図
フィードバックありがとうございます。雨音のキャラの見直しに重点を置き、修正をしました。シーンを書き換えたというより、追記することで、雨音の積極性を出せるように意識しました。
●感想
文字情報・回想を使っています。今回の修正により、初稿より全員悪人感が強まったように感じております。 冒頭のシーンはさいのさんの仰るようにキスを目撃するところから始めてもよいのではと考えたのですが、雨にうたれるところと、雨音と杏南の対比を使いたいと考え、そのまま残す形をとらせていただきました。 よろしくお願いします。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.8「面白さ」2.5「没入感」2.6「題材」2.3「視点」2.3「構成」2.3「描写」2.5
●感想
・雨音が積極的に動いている部分が加わって、ラストに迎えに行く唐突感がなくなった。
・ラスト、雨音が意思表示をしてその後の展開がより気になる作品になった。
・春哉のクズっぷりがわかりやすくなった。初稿では優柔不断な男性に思えていましたが、「ダメじゃない」発言や雨音と電話している部分を加えたことで来るもの拒まずな性格に見えるようになりました。これは御曹司という設定も大きく関係しているからだと思います。バックストーリーを匂わせつつ、キャラクターの個性を出す技を感じました。

米俵
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.5「没入感」2.8「題材」2.3「視点」2.5「構成」3.1「描写」2.3
●感想
​・​雨音が1稿では感情に流されている印象でしたが、2稿では杏南とあえて同じ言葉を使いこなし、春哉をハメていく姿に、知的な怖さと執念を感じました。特に、遠距離であることを利用して電話で杏南を排除する流れは、計算された奪う側の強さが出ていて魅力を感じました。
​・個人的には春哉のクズさが明確になった部分も好きでした。杏南の着信を切る冷酷さや、空港で見せる自意識過剰な笑みなど、毒みが増したと感じました。
・回想シーンでの杏南の振る舞いを、現在の雨音がそのまま上書きしていくような構成が上手いなと思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.2「面白さ」2.3「没入感」2.4「題材」2.5「視点」2「構成」2.3「描写」2.2
●感想
・雨音の意志がはっきりと示されるようになり、主人公感が出たと思います。
・柱8が追加されたことで 雨音の動きが分かるようになったのは良いのですが、いきなり関係が進んだようにも感じてしまいました。
・柱5までを回想にする意味があまり感じられませんでした。

さいの
●採点
「好き」2「面白さ」2.3「没入感」2.4「題材」2.5「視点」2.2「構成」2.3「描写」2.7
●感想
・雨音が悪い女というよりは、杏南と付き合っているのに連絡をとり続ける春哉が思わせぶりでだらしない男という風に映りました。柱9で春哉と雨音が普通に電話しているのも唐突に感じました。雨音の仕返しをテーマにするのであればそこに至るまでの過程を描いた方が良いと思います。

しののめ
パス

ChatGPT
●一番大きな問題点:主人公・雨音の「ほんとに好きな人」が物語上で確定していない点。タイトルからは“本当の愛の発見”が主題に見えるのに、実際は元カレ略奪宣言で終わっており、成長や選択の物語になっていない。電話で現カノの着信を切らせる構図も含め、雨音が主体というより“恋愛バトルの一手を打つ人”に留まっているため、テーマと結末のズレが最大の弱点になっている。
●良い点:映像的な演出力が高い。土砂降り→晴天のカフェ→ニューヨークの朝→空港の再会と、場面転換がスムーズで画が浮かぶ。特に「ダメじゃない」のリフレインや、柱の陰を一瞥する杏南など、対比と反復で関係性を見せる構成は巧み。三角関係の緊張はしっかり作れている。
●応援メッセージ:構図づくりと映像センスは確実に武器です。あとは“雨音が何を選ぶ物語なのか”を一段深く掘れば、タイトルが効いてきます。略奪劇で終わらせるのか、自己発見に転じるのか、その一点を決めれば一気に化ける脚本です。書けています。もう一段いけます。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.6 2.3 2.6 2.4
米俵 2.4 2.4 2.6 2.6
太郎 2.2 2.2 2.3 2.3
さいの 2.3 2.4 2.2 2.4
しののめ 2.5 2.3
山極 2.3 2.2 2.4 2.4
平均 2.37 2.31 2.43 2.40
合計 4.68 4.83

初稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.7 2.5 2.5
米俵 2.0 2.5 2.8
太郎 2.0 2.2 2.3
さいの 2.0 2.4 2.5
しののめ 2.4 2.5 2.5
山極
平均 2.22 2.42 2.52
初稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.3 2.3 2.3 2.3
米俵 2.3 2.3 3.0 2.0
太郎 2.5 2.0 2.2 2.2
さいの 2.5 2.2 2.3 2.7
しののめ 2.2 2.2 2.4 2.4
山極
平均 2.36 2.20 2.44 2.32

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.8 2.5 2.6
米俵 2.5 2.5 2.8
太郎 2.2 2.3 2.4
さいの 2.0 2.3 2.4
しののめ
山極
平均 2.38 2.40 2.55
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.3 2.3 2.3 2.5
米俵 2.3 2.5 3.1 2.3
太郎 2.5 2.0 2.3 2.2
さいの 2.5 2.2 2.3 2.7
しののめ
山極
平均 2.40 2.25 2.50 2.43

2026.2.28 アップ

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