三幕構成について語ろう

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  • このトピックには16件の返信、2人の参加者があり、最後にイルカにより4年、 5ヶ月前に更新されました。
16件の返信スレッドを表示中
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    • #4494
      イルカ
      キーマスター

        物語についての疑問でも、作品の感想や意見など、なんでも語り合える場に使っていただけたらと思います。
        分析について語る性質上、ネタバレは自由にしましょう。

        (緋片イルカ2019/05/22)

      • #4495
        みみたぶ

          その節はお世話になりました。
          これからも勉強させてください。
          ちなみに、save the cat1を読んで、とくに10のジャンルから分析していきたいと思うのですが、その場合の参考書はcat2がいいのか、小説を書く!の方がいいのか、お勧めが知りたいです。シドフィールド、AIは未読です。
          とくに2に関しては訳がイマイチという評がありましたので逡巡しています。

        • #4515
          イルカ
          キーマスター

            みみたぶさん、コメントありがとうございます。
            10のジャンルと仰っているのはCat2にある「10のストーリータイプ」のことでよろしいですかね?

            脚本を書かれているなら「10のストーリータイプ」に載っている映画で、
            小説を書かれているなら「CATで小説を書く」で小説を、という感じになるかと思います。
            今のところ、その拘りがなく、三幕構成の基本を身につけるのが目的でしたら、映画から入った方が楽だとは思います。

            映画はだいたい2時間で終わるので、見直しても一日で終わりますしアメリカ映画(特に大作映画ほど)はっきりとしたビートがあるので見つけやすいです。

            小説は分量も長いし、後からどこにどのシーンがあったか探すの大変だったりもしますし、文章ががうまい作家ほど、変化が多くどれもビートに見えてしまったりするかと思います。
            せめて、短編ぐらいからやっていくと良いかも知れません。
            正直、僕も小説の分析は、読みながら「これがプロットポイントだな」とかは感じていますが、厳密にはまだしたことありません。

          • #5745
            横紙

              はじめまして。
              横紙と申します。

              緋片さんのこちらのサイト、参考にさせてもらってます。
              私は小説を書いているのですが、構成ができていなかったと気づき勉強し直しています。
              こちらのようなサイトがあると参考になるので、とても助かっています。

              今日は教えて頂きたいことがあって書き込みします。
              ご教示下されば幸いです。

              教えて頂きたいのは二幕前半、ミッドポイントまでの展開です。
              何冊か本を読んだのですが、もっと深く知りたいので、詳しく解説している本があったら教えて下さい。

              ちなみに読んだのは、以下になります。
              ・SAVE THE CAT (小説)
              ・ボグラー「神話の法則」
              ・シド・フィールドの脚本術1と2

            • #5761
              イルカ
              キーマスター

                横紙さん、サイトをご覧頂いてありがとうございます。

                ご質問のミッドポイントまでの展開ということでしたが、3つポイントがあると思います。

                1つめは映画を参考にすることです。
                映画のミッドポイントは音楽や映像など演出上でも盛り上げているので見つけやすいです。めちゃわかりやすいのは『タイタニック』ディカプリオとケイトウィンスレットが舳先で抱き合ってる有名なシーンとかですかね。プロットポイント1から、そのシーンまででどういったシーンを展開をしているかと逆算して見てみると参考になると思います。

                二幕前半について具体的に書いているのはSAVE THE CATのビートだと思いますが、Bストーリー、お楽しみといった書き方しかされていないので、迷われるポイントだと思います。ここはビートシートの抜けている部分だと思うので、僕は個人的に「バトル」というビートでとらえるようにしました。これは一言でいえば「葛藤シーン」です。

                ちなみに分析してみると葛藤シーン(=バトル)が大きいものが一つしかない作品もあれば、細かいバトルがたくさんあるような映画もありました。なので「バトル」の数にはセオリーはありません。

                2つめは「主人公の目的」についてです。
                二幕は「葛藤だ」とよく言われますが、「葛藤」は「主人公が目的に向かう力」と「それに向かう障害や壁」によって成立します。ミッドポイントまでの展開に迷う原因は、二幕前半での主人公の「目的」が曖昧なことがよくあります。

                思いつきの、適当な例で恐縮ですが「あるサラリーマンが、お笑い芸人を目指す」というような話があった場合、具体的にお笑いの学校に入るのか、路上ライブを始めるのか、第二幕自体いろいろあると思いますが、ともかく「お笑い芸人を目指す活動を始めること」がプロットポイント1になると思います。

                その時点で「いつか○○劇場でライブをやる!」とか「テレビに出る!」といった、一つの具体的な目的を持たせてやると、その目標が達成された時点がミッドポイントになります。逆算して、その目標を達成するためにどうするかが「バトル」(ミッドポイントまでの展開)になります。もちろん構成の仕方はいくつかあるので、ミッドポイントで達成しないやり方もたくさんあります。

                具体例なストーリーで「こんな展開だとミッドポイントどうなる?」と聞いていただけたら「それだと、こんな風になるのでは?」とかお答えできるかもしれません。既存の作品の場合、忘れてたり、読んでなかったりすると、すぐにお答えできないと思います。

                3つめはミッドポイントの意義です。
                個人的には、ミッドポイントは三幕構成の本質と言ってしまってもいいぐらい重要だと思っています(そのことはどこかの記事でも書いた気がするのでが見つけられませんでした。すいません)。ミッドポイントの意義に関しては、お持ちのシドフォールドの脚本術2でCBとして書かれている辺りは参考になると思います。より深く考え出すとジョーゼフキャンベルとかになりますが、逆に混乱してしまうかもしれません・・・。僕の場合は作品の分析をたくさんこなしている中で気付いたことが大きかったので、今のところ書籍で「これだよ!これ!」というのは見たことないです。とにかく既存の作品を分析してミッドポイントを見つけるうちに「ミッドポイントとはこういものか!」というのが見えてくると思います。もう少し説明したいと思うのですが、なかなか文章にするのはむずかしいです。

                返信、長くなりまして恐縮です。わからない点ありましたら、いくらでもご質問ください。

              • #5762
                横紙

                  緋片イルカさん

                  返信ありがとうございます。
                  ご説明とても分かりやすかったです。

                  私もミッドポイントが重要だと思っています。(本を読んで、その重要性に気が付いたのですが)
                  ミッドポイントでは、主人公が「WANT」ではなく「NEED」に気が付く or 気が付くような出来事を起こすべきポイントと理解しているのですがどうですか?

                  緋片さんがあげられた例を借りるなら、主人公がお笑い芸人になりたいのは「WANT」で、お笑い芸人なることで手に入れたい「NEED」があるかと思います。その「NEED」にシフトするターニングポイントがミッドポイントなのかなと考えています。

                  最近、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見直したのですが、ミッドポイントは消え始めている写真をドクに指摘され、両親の出会いを邪魔したことで未来に戻るどころか自分の存在が消えかかっていることに気が付くシーンだと考えているのですが、どう思われますか?

                • #5764
                  イルカ
                  キーマスター

                    横紙さん、ありがとうございます。

                    ミッドポイントで「WANTではなく「NEED」に気付く瞬間というご指摘はとても鋭いご指摘だと思います。まったくその通りだと思います。

                    ストーリーのタイプにもよりますが、アクション映画などではミッドポイントが、ただストーリー上の変化が起きる地点としか機能していないものもたくさんありますが、そういう作品は主人公の変化や成長をテーマにしたものではないので、別物と考えるべきだと思っています。

                    「主人公の変化」という内面の問題と「物語の展開」という構成の問題をリンクさせたものが、ボグラーなどがいうヒーローズジャーニーとかハリウッド三幕構成の考え方ですが、このメリットとしてはセオリーに従うだけで、ある意味、誰でも主人公の変化(っぽいもの)が描けるところです。でも、本質的に「人間が変化するとは?」といったことを考えていくと、主人公がミッドポイントで「何に気付くのか?」などが重要になってくると思うし、それ自体が物語のテーマにもなることもあると思います。

                    お笑い芸人の話だとしたら、当初の目標を達成してみて「そもそも何でこんなことしたかったんだろう?」と自問したり、「ここに来るまで家族に迷惑かけてきたな」と気付いたり、目的を1つ達成することで、次の目的を探す必要が出てくるので、変化するきっかけになる地点だと思います。

                    学園青春ものとかで「文化祭でお笑いショーをやって、人気者になる(狙っている女の子に注目されたい)」といったストーリーであった場合、最初の「WANT」である「文化祭でお笑いショー」はミッドポイントでは達成されずに、三幕の見せ場まで引っ張ることになると思います。代わりにミッドポイント付近では「狙ってる女の子に彼氏ができてしまう」とか、別の展開があると思います。

                    バックトゥーザフューチャーのミッドポイントは横紙さんがおっしゃる「消え始める」地点だと思います。厳密にビートの定義をしておくなら、PP1でタイムスリップして以降「戻る方法を見つける」というのが目的なので、「消え始める」直前のドクとの会話で「雷を使えば戻れる」という帰る方法を見つけた地点がミッドポイントといえると思います。「消え始める」のは、次の目的「父と母をくっつける」プロットが始動する地点なのでビートとしては「フォール」になります。同じシーン内ですし、そこまで厳密に定義づけなくてもよいのですが笑

                    ちなみにマーティーは変化という変化はしていないので、NEEDはないような気がしますね。ミュージシャンになりたいというフリがあって、ステージで演奏するというウケはありますが、その点に葛藤はしていないので、あくまで設定レベルの行動だなという気がします。最近、見られた横紙さんにはどう見えましたか? よかったらご意見きかせてください。

                  • #5784
                    横紙

                      緋片さん
                      マーティの変化については私も気になっていました。
                      これについては今のところ以下のように考えています。
                      まず、第一幕で、マクフライ家の「欠如」が描かれていますね。その原因がビフであることも仄めかされています。家族の「欠如」を回復するという意味では、プロットが整っていると思っています。家族の修復を過去に戻って行うというのは、反則かと思いますが…笑
                      あと、この作品は三部作で、一作目はキャンベルが言う「出立」「イニシエーション」「帰還」の「出立」にあたると考えています。それならば、マーティが無自覚に冒険に出発するという意味ならこれでいいのかと思うのですが、マーティの問題の「すぐカッとなる」が具体的に提示されるの二作目からなんですね。それなら一作目でもうちょっと仄めかしてもよかったと思っています(バンドのオーディションに落ちて、ジェニファーに愚痴るところがありますが、そこはちょっとニュアンスが違いますね)。
                      こうなったのは、脚本の不備ではなく制作の事情かなと。

                      それと、この物語で気になっていることがあります。
                      それは、オイディプス王のモチーフがあることです。
                      マーティは、父と母の出会いを邪魔してしまいますが、これは父親を殺して母親を奪っているのではと思っています。そして、その罰として、オイディプスが自らの目をえぐって追放されたようにマーティも存在が消滅するという危機に陥ります。危機を修正するというのはオイディプスにはないですが、この物語が人気なのは実はここなんじゃないかと思っています。
                      タイムマシーンで過去に行って現在を修復するというだけでは、この物語はここまで人気にならなかったのではと思います。その修復の過程に神話的モチーフがあったからではと考えています。
                      これについては今のところ解説が見当たらないので、よかったら緋片さんの意見を伺ってもいいですか?

                    • #5788
                      イルカ
                      キーマスター

                        横紙さん、ご返答ありがとうございます。

                        マクフライ家の変化として捉えるというのは、なるほどと思いました。たしかにその部分でも変化が起きていますね。マーティ個人と合わせても、そこが一番のテーマになっている(第二幕でテーマになっているもの)わけでないので、やはりオマケ的な変化だなという気はします。

                        三部作として捉えたとき、マーティの怒りっぽいという性格は3で変化していましたかね?3部作でみたら、ドクの方にも何か流れがありそうな気もします。いずれにせよ、見たのが前すぎて、あまり記憶にないです笑
                        機会があったら見直してみたいなと思いますが。

                        当時は「過去を改変して解決する」という安直さに怒る人もいたというのをどこかで聞いたことあります。二作目をつくるつもりはなくて、ドクと未来へ行くエンドにしてしまったために、2をつくるときに未来から始めるしかなかったという話もありますね。

                        モチーフに関してはタブーとされる近親相姦のモチーフをコメディのノリでやってしまうところに、ブラックジョークに似た不謹慎さと面白味があるように思います。

                        「禁止」→「違反」というのはプロップもあげている物語の要素ですが、価値観が多様化している現代では、そこに全面的に共感させるのは難しいような気がします。たとえば「不倫」なんかは昔をタブーの一つとして描けたでしょうが、現代ではそんな展開ばかりではなさそうです。不倫したからといって罰は与えられるとは限りません。

                        けれど、バックトゥーザフューチャーの「母親に言い寄られる」ことに困るマーティには、おそらくほとんどの観客が共感できるのではないかなと思います。根源的に、母親と恋仲になりたいとはほとんどの人が思わないのでしょう。思わないように無意識に避けようとするのか。

                        両親のプロットが、ただのタイムスリップものでない人気の要因であるのは全く同感です。

                        エディプスコンプレックスを克服する=父親殺しといったモチーフは成長の証として、アメリカ映画によく見られる気がします。あるいは評論家がその視点から、論じたがるのかもしれないと思っています。マッチョ社会のアメリカは父性が強いのも影響してるのかもしれません。河合隼雄は日本の神話・民話を分析して、母親的な文化だと(太陽神がアマテラスであるとか)言っていますが、日本の物語では父親を越えることよりも、母親から離れることの方がテーマなのかもしれません。この辺りは語り始めると、答えもないしキリがなくなってしまうのですが笑

                      • #5792
                        横紙

                          緋片さん

                          マーティは、三作目で変化しています。
                          おそらくマーティの「影」であるビフの先祖のとの対決で、殺すのではなく「影」を克服することで成長したのかなと思ってます。機会がありましたら見直してみて下さい。

                          プロップは大塚英志の本で読んだだけで直接は読んでないです。
                          何度も質問して恐縮なのですが、気になっていたこと伺ってもいいですか?

                          プロップの12~14が、SAVE THE CATで言う二幕目の「お楽しみ」にあたるのかと思いますが、プロップの本を読んでいないせいか私ではこの機能を映画や小説に当て嵌められないんです。
                          ご存知でしたら教えて頂けないでしょうか?

                          >日本の物語では父親を越えることよりも、母親から離れることの方がテーマなのかもしれません

                          よかったら聞かせて下さい(笑)

                          それとは違うかもしれませんが、私は別の意味で現代の日本は父親を克服することこそが重要なテーマの一つなのではと思っています。
                          思春期に親を否定して違う大人になりたいという人は多いかと思います。
                          でも、二十歳を過ぎ、だいたい20代の後半ぐらいから、その親と悪い意味で一体になってしまっている人が多いように思います。「影」と一体になってしまうのでしょうか。
                          こういうのを一般では大人になったと言われていますが、私は違うような気がしています。
                          なので、本当に重要なのは大人になる時に、この親を克服することなんじゃないかと考えています。

                        • #5814
                          イルカ
                          キーマスター

                            横紙さん、こんにちは。

                            マーティは変化しているんですね。機会あったら三作連続で見てみたいです。

                            『昔話の形態学』がうちにあったのであったの引用してみますと、

                            12.主人公が贈与者によって試され・尋ねられ・攻撃されたりする。そのことによって、主人公が呪具なり助手なりを手に入れる下準備がなされる。(中略)
                            (1)贈与者が、主人公を試す
                            (2)贈与者が、主人公に、挨拶をし、いろいろと尋ねる。
                            (3)死にかけている者、あるいは、死者が、自分のために尽くしてくれるよう頼む。
                            (4)捕らわれている者が、自分を解き放してくれるように頼む。
                            (5)主人公に、(贈与者となるはずの者が)容赦してくれるように頼む。
                            (6)取り合いをしている者たちが、獲物の分配をしてほしいと頼む。
                            (7)他のもろもろの頼み。
                            (8)敵意をもつものが、主人公をなきものにしようと試みる
                            (9)敵意をもつものが、主人公と戦う
                            (10)主人公に対し、呪具が示され、交換しないかと言われる。

                            13は、↑に対して主人公が引き受ける、引き受けないといったリアクション(反応)です。プロップはあくまでロシア民話でのパターンなので、ハリウッド映画で言えば、ジャンルごとのお楽しみが入ると思います。

                            たとえば、カーアクションであればアクト2に入ってすぐに、そういうシーンが入りますし、スーパーヒーローものであれば変身して活躍するシーンが入ると思います。プロップの機能には演出的な意味合いがないので、創作に応用するなら「お楽しみ」と意識した方が売れやすいかと思います笑

                            河合隼雄が定本 昔話と日本人の心〈〈物語と日本人の心〉コレクションVI〉 (岩波現代文庫)で指摘していたのが、日本の民話は、結婚して終わるものがほとんどなく、鶴の恩返しのようにせっかく得たものが去って行って元にもどって終わる(変化していない)というようなことです。

                            西洋の心理学の枠組みで捉えると、結婚=子供は成長して新しい伴侶を得る、は自立の証で、この過程で、魔女や竜を殺して姫を助けるのは、母や父を殺していることになる。その枠組みで日本の神話を見ると、自立に失敗した物語になる。だけど、日本には日本の文化があるのだから、西洋の枠組みからみて、自分達をダメだととらえず、こういう文化の枠組みを作るのが大事じゃないかと。それが河合隼雄の有名な「中空思想」に繋がっていきます。

                            僕の理解としては、そんなかんじです。

                            自立できない、いつまでも子供でいたいといった心理がロリコン的な文化やひきこもりなんかに繋がっていくという人もいますね。すべてではないけど、一理はあるかもしれないと思います。

                            父親の克服とか、大人になるとは?といったテーマは横紙さんの作家性のようにも感じました。その視点をもっと広げていったら、横紙さんにしか書けない独自の作品が生まれてきそうですね。

                          • #5881
                            横紙

                              緋片さん

                              面白そう本ですね。
                              西洋的なヒーローやバージンとは違う日本独自の元型があるんじゃないのかなと思っていたので興味深いです。
                              今度読んでみます。

                              長々と質問してすいませんでした。
                              最近、勉強していて、他に聞ける方がいなかったので甘えてしまいました。
                              不快に思われたらご容赦下さい。

                              これからも、サイト伺います。
                              色々と教えてくれてありがとうございます。

                            • #5882
                              イルカ
                              キーマスター

                                横紙さん、こちらこそ、とても楽しかったです!
                                横紙さんが日頃から勉強されてるのが、伝わってくるような高度なご指摘やご質問だったので刺激になりました。
                                いつか、酒でも飲みながら語りあいたいぐらいです笑

                                不快とかはないので、何でも聞いてください。僕のわかる範囲でしたらいくらでもお話します。むしろ語りすぎてしまう性分で、返信長くなりすいませんでした。

                                今後ともよろしくです。

                              • #6119
                                みみたぶ

                                  天気の子、分析お疲れ様でした。
                                  僕は視聴中、正直中だるみを感じていました。
                                  「君の名は」が受け入れられなかったためかなと思っていましたが、やはり物語に違和感が残ります。

                                  ビートが弱いのは同感です。
                                  この話が何の話かよく分からなかったので、僕は演出面から考える事にしました。

                                  僕は、この作品のテーマは「自分の願望のためなら世界に反抗するのも厭わない若さ(の素晴らしさ?)」だと思いました。
                                  これは漫喫のシーンで「ライ麦」が傍に置いてあった点を重視したためです。ライ麦って若い子が社会に苛立つ話でしたし。
                                  (素晴らしさとしたのは劇中で穂高の姿勢への反省が見られなかったからです。このあたりは後半で説明します)

                                  アイテムとしての拳銃
                                  これは随所で言われていることですが、ファンタジックな物語世界のなかで拳銃の存在は明らかな異物です。天気で人を喜ばせるどうこうの話に人を殺せる道具を登場させるちぐはぐさはどう考えても意図的です。
                                  この異物としての拳銃を穂高は劇中2回、用います。自らの願いのためには手段を選ばないという穂高の異常性を示しているのではないかと思いました。
                                  銃の引き金を引いて以降、穂高はどんどん犯罪行為に手を染めます。
                                  というわけで僕の中では初めて拳銃を撃つシーンはデスではなくターニングポイント1かなと思っています。で、次に改めて向ける時がポイント2。こうして見ると少年vs社会(警察)の構図は活きてくるように思われます。

                                  結末について
                                  ライ麦に即して展開するなら、穂高は陽菜と出会い、心が浄化されるべきです。自分なりの考えを持って、社会と折り目をつけるのがライ麦でした。
                                  ところが穂高は最後まで自分のスタンスを変えませんでした。たしかに最後の警察から振り切るシーンは映像として映えますが、それは普段優等生キャラが土壇場で見せるからカッコイイのであって穂高は2時間通して変化を見せませんでした…

                                  僕ならラスト付近、空の上で二人が再会するシーン、ここで拳銃を登場させます。
                                  空から落ちていくなか、ポケットから拳銃が滑り落ち、穂高は拳銃を失う。代わりに陽菜に指輪を渡す。
                                  もしくは、滑り落ちた拳銃をキャッチし、物語の最後の最後でチラ見せすることで穂高の社会への反抗の決意と、その先の薄暗い未来を暗示させます。

                                  ネットでは拳銃ではなく傘を使って反抗すべきだという意見も見ました。ボロボロになって使えなくなった傘と、雨を全身に受ける(受け入れる)穂高を演出できる、と。
                                  これはこれでアリかと思いますが、僕の案って結構イケてないですか?

                                  個人的には「ライ麦」を出した段階でここまで考えて作って欲しいです。正直、ライ麦は色んな作品で安くチラ見せされ過ぎだと思います。

                                  演出面では、ラブホテルのシーン、陽菜から「天気が良くなってほしいか」と問われた穂高が、何も考えず「うん」と答えたところでルームランプが明滅する演出が好きです。
                                  2人の暗い部屋で最後の灯りが消えかかる、渋い演出です。

                                  アニメ的な演出面で言うと、歴代のアニメ作品と似た構図がいくつか見られ、ツギハギの感がありました。
                                  決してアニメ警察ではないつもりですが、オトナ帝国の階段シーン、けいおんの枕投げ(これは冤罪かも)、時をかける少女の真琴が走るシーン、はパッと見てそれっぽいなと思ってしまいました。一緒に見た友人も同じ事を言っていました。

                                • #6128
                                  イルカ
                                  キーマスター

                                    みみたぶさん、コメントありがとうございます。

                                    「銃を撃つ」をプロットポイントとする場合、「ミッドポイント」はどこになるとお考えになりますか?

                                    銃を撃ち、犯罪行為、自らの願いのために手段を選ばない行為が、アクト2のアークにはなっていないような気がします。あるいは別のアーク(WANT)があるでしょうか?

                                    みみたぶさんのおっしゃる「少年vs社会(警察)」という展開の仕方はありえると思います。そのテーマにする場合は「わがままに陽菜を求める」ようなミッドポイントが欲しい気がします。天気を操る能力をつかって、社会に対抗するようなアクト2をもってきたいところです。だけど、この映画では、それが監督の描きたかったテーマは社会との対立ではないのだろうなと感じもします。

                                    「ライ麦」の色んな作品で安くチラ見され過ぎというご意見に同感です。もはや「ライ麦」にはコカコーラやカップヌードルが出てくる程度にしか意味はないのかもしれないとも思います。
                                    穂高の持っている本が別の本だったとしてもキャラクターの描き方が変わるとも思えません。あるいは深い意味をもたずにかっこよさげのモノを大事にするあたりが16歳ぐらいの年代にありがちといえるのかもしれません。

                                    ともかく「銃」も含めて、出すからには作者は責任をもって意味を持たせるべきだとは僕も思います。あるいは、どんな小物で、描いたからには意味を解釈されるということを作り手は胆に命じておくべきだとも思います。

                                    ネットの意見や、他のアニメとのシーンの類似は知りませんでした。教えてくださってありがとうございます。僕は日本アニメ詳しくないので判断はつきませんが、率直に「傘」はいいアイテムだなと思いました。みみたぶさんの感じられるように社会との対立をメインテーマに据えるなら、銃とか(拳銃と指輪を変えるというのもステキですね)、天気を操ることに、もっと社会的な意味を持たせる方向で直すべきだなとも思います。

                                  • #11929
                                    イルカ
                                    キーマスター

                                      ジブリ作品のような「惹きこまれる世界観」の作り方について、
                                      もしよろしければ解説していただけないでしょうか?

                                      くじらさんから,以上のようなコメントを頂いたので、それについての返信をしていきます。

                                      コメント元ページ

                                    • #11931
                                      イルカ
                                      キーマスター

                                        もし、このコメントをくじらさんご自身がお読みでしたら「ジブリ作品のような惹きこまれる世界観」というあたりを、もう少しご説明いただけると、求めてらっしゃることに近いお答えができるかと思います。

                                        とりあえず、いただいたコメントへ感じたことを書かせてもらいます。

                                        1:ジブリ作品……どの作品だろう?
                                        まず僕はジブリ作品は見たことはもちろんあるのですが、改めて分析したのは「千と千尋」だけだったような気がします。金曜ロードショーとかも見ない人間なので、同じ作品をなんども見たりしていないので、なんとなくの記憶で「こういう構造だろうな~」程度にしか理解はしていません。

                                        実際に分析してみないとハッキリは言えませんが、トトロともののけ姫ではジャンルもテーマも構成も違うだろうな~と思います。作品名のご指定があれば、あのストーリーはこういう構造じゃないかなといったことなら、お話できるなと思いました。

                                        2:脚本と演出
                                        宮崎駿さんのような、脚本と演出、作画をすべて一人でやってしまうような天才的な方の作品では、脚本と演出の切れ目が曖昧になります。なので、脚本の魅力というよりは、演出やキャラクターの魅力ということがかなり大きいように思います。千と千尋も構造的には三幕構成にはなっていますが、構成として明確なテーマが描かれているかというと、曖昧な印象をもちました。それゆえの「解釈する余地」が多分にあり、見る人によっては深く感じたりもするのだろうと思います。
                                        ちなみに、ディズニーアニメなんかでは演出と脚本を同じ人が一人でこなしてしまうようなことはありえないと思います。クレジットとして名前が入っていても、それぞれの専門が何人かはいてチーム制がとられてるはずです。

                                        いずれにせよ、「ジブリ作品はやらなきゃな~」とは思っていたので、コメントいただいたことはいい機会だなとも思っています。くじらさんありがとうございます。分析シートをつかった、正式な分析までやる時間がとれるか未定ですが、なんらかの記事にしていきたいなと思います。

                                        ライブ配信でご一緒した「くじら」さん(お名前がたまたま一緒なのですが)はジブリに詳しいので、こんど聞いてみようと思います。

                                        くじらさん、コメントありがとうございました。お返事頂ければ、何度でも返答いたします(掲示板なので、他の方もご参加ください)。

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