「3本のキャラクターアーク(ポジティブ・ネガティブ・フラット)」(三幕構成7)

初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

前回、主人公が成長しなくてはいけないという考え方は思い込みであることから、プロットアークとキャラクターアークを切り離すことを考えました。また切り離すことによって、はっきりと浮き上がってくるキャラクターアークは3本に分けられることを確認しました。

今回はその3本について『キャラクターからつくる物語創作再入門 「キャラクターアーク」で読者の心をつかむ』参考にしながら、掘り下げていきます。

【主人公のWANTとNEED】
主人公が求めているもの、欲しがっているものがWANT本当に必要なものがNEEDです。
生活している表面上で求めているものがWANT、無意識が求めているものがNEEDと言い替えることもできます。

たとえば、WANTが「金」で金儲けに執着している男が、本当に必要なNEEDは「愛」。
この男は両親から愛情を受けずに育ったが、ある日、恵まれた小銭を親に渡すと褒められた。
それで彼の中には「金があれば愛される」という価値観がつくられた、とします。

ちなみにこういうトラウマ的要素を脚本用語ではゴーストGhostと呼びます。またNEEDにあたる教訓については「キャラクターコア」も参考にしてください。

【ポジティブなキャラクターアーク】
彼は、アクト1では金儲けに執着する状態から始まり、アクト2では金が通用しない世界で暮らすことになり「愛」の大切さを学ぶ。
そしてアクト3では、金に執着する自分から解放される。

これは三幕法の一般的なアークです。「主人公が変化する物語」「成長物語」「ビルドゥングスロマン」「ヒーローズジャーニー」呼び方はいろいろありますが、これがポジティブなキャラクターアークです。(わからない方はプロットを考えるシリーズを御覧下さい)

【ネガティブなキャラクターアーク】
ネガティブなアークはさらに三種類に分かれます。
・失望のアーク The Disillusionment Arc
・転落のアーク The Fall Arc
・腐敗のアーク The Corruption Arc

失望のアークでは、主人公はNEEDが何かを学びますが、それがいいものではありません。例えの金に儲けに執着している男で言えば「愛」の大切さを知りますが、知ったときには「愛」をわかちあう相手が誰もいないと知るなど、学びこそすれバッドエンドをむかえます。(作品は『グレート・ギャッツビー』)

転落のアークでは、主人公はNEEDを拒みます。例えの男で言えば、「愛」が大切だということを受け入れず「金」にしがみつき、周りをも不幸にしていきます。当然、バッドエンドです。(作品は『嵐が丘』)

腐敗のアークでは、主人公は一度はNEEDを学びますが、何らかの事件で以前の考え(WANT)に戻り、バッドエンドを迎えます。例えの男で言えば、「愛」の大切さを学び、「愛」に生きようとするも、つらい目にあって「金」の世界に戻ってしまいます。(作品は『『スター・ウォーズ』エピソード1~3)

これらは、いずれも「変化に失敗した主人公」とも言えます。

【フラットなキャラクターアーク】
フラットなキャラクターとは変化をしないキャラクターです。なぜ、しないかといえば、最初からNEEDをわかっているからです。
「金」よりも「愛」が大事なことをわかっている人物が主人公になります。
このアークの場合、「プロットアーク」として、周りのキャラクターが変化する形をつくります。
マザーテレサやガンジーのような聖人を浮かべるとわかりやすいかと思います。
NEEDを知っている主人公に影響されて、周りが変化していくのです。

また、探偵やアクション、ハードボイルドな主人公などは事件や問題解決がWANTであり、それは仕事や任務であるので変化は強いられません(NEEDを学ぶ必要はない)。
だから、フラットなキャラクターアークとなります。
この場合も、事件や任務そのものといった「プロットアーク」が面白くなければ、物語としては弱くなります。

もちろん、事件解決をしながら「ポジティブなアーク」や「ネガティブなアーク」を辿らせることもできます。

●書籍紹介
著者のK.M.ワイランドは「ハリウッド三幕構成を小説に応用する」でも紹介しました。物語を的確に掴んでいて、後半にあるQ&Aも参考になります。プロットポイント3という呼び方が「プロットポイント2」の誤植かと思って気になりましたが原著でも「3」になっていました。ミッドポイントを2つめと数えての「3」なのでしょうが個人的には少し気になりました。
キャラクターからつくる物語創作再入門 「キャラクターアーク」で読者の心をつかむ

緋片イルカ2019/05/05

「プロットを考える」の過去のリストはこちら

構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

三幕構成の書籍についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)

三幕構成のビート分析実例はこちら→がっつり分析シリーズ

文章表現についてはこちら→文章添削1「短文化」

文学(テーマ)についてはこちら→文学を考える1【文学とエンタメの違い】

キャラクター論についてはこちら→キャラクター概論1「キャラクターの構成要素」

「物語論」すべてのリストはこちら

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