「ヒーローズジャーニー作品比較」(三幕構成22)

以下は、過去に映画の勉強会で用いた資料です。HDDから発見したので公開しておきます。映画を初見でプロットポイント1、2、ミッドポイントがつかめるぐらいに三幕構成を理解している方に向けています。初心者の方はどうぞこちらからご覧ください。

「ヒーローズジャーニー」というプロットタイプに該当する、以下の三作品の映画を分析、比較したものです。
主人公や世界観が三者三様でも、構成はいかに同じかということ。あるいは、違いにこそ個性があるということ。

●ログライン

『スターウォーズⅣ』
→辺鄙な村でくすぶっていた青年が、師とともに宇宙を守る旅に出て、敵の要塞を撃破し表彰される。

『塔の上のラプンツェル』
→塔に幽閉されていた少女が、泥棒とともにランタンを見るため旅に出て、継母から解放されて城で泥棒と結婚する。

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』
→山奥の平和な村のホビットの青年が、危険な指輪を安全なところに運ぶ旅に出て、仲間達とも別れて一人で旅を続けていく。

●WANT

『スターウォーズⅣ』
→オルテラーンに設計図を届ける。ジェダイの騎士になる
→冒険したい。平和を守りたい。フォースを習得したい。

『塔の上のラプンツェル』
→城へランタンを見に行く。(MP以降)フリンと結ばれる。
→自由になる。(MP以降)フリンと離れたくない。

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』
→指輪を村から離す。(フォール以降)指輪を滅びの山へ捨てに行く。
→冒険してみたい。村を危険な目にさらしたくない。(BR以降)世界を守る。

●分析の詳細

スターウォーズⅣ 塔の上のラプンツェル ロード・オブ・ザリング
旅の仲間
主人公の年代 ルーク、18歳。 ラプンツェル。18歳。 フロド。年齢不明だが若者。
憧れ(CC) アカデミーに憧れている。 塔の外から見えるランタンに憧れている。 密かに冒険に憧れている。
憧れを禁止する存在 叔父が反対している。 継母が禁止している。 なし。
旅に出る決心をする 叔父が殺される。 継母が永遠に塔から出す気がないと知る。 指輪が危険だと知る。
PP1 旅に出る。 旅に出る。 旅に出る。
旅の種類 SF的な宇宙惑星。 おとぎ話のようなファンタジー世界。 冒険ファンタジー世界。
ガイド(メンター)の存在 オビワン。 フリンライダー。 ガンダルフ(ただしAct2前半では同行しない)。
ガイドから学ぶこと フォースを信じること。 夢を叶えることを恐れてはいけない。 今できることをすること。
サイドキックの存在 C3POとR2D2。 カメレオンのパスカル。 サム、ピピン、メリー
Pinch1で加わる仲間 ハンソロ。 マキシマス。 アラゴルン。
MP 目標点(オルデラーン)に着く。 危険を乗り切る。 目標点(エルフの谷)に着く。
PP2 オビワンが死ぬ。 フリンと別れる。 ガンダルフが谷に落ちる。
ビッグバトルで得るもの 宇宙の平和。 継母からの解放+フリンの愛。 一人で旅をする決意。
ビッグバトル後の祝福 レイア姫から表彰。 城に迎えられ、フリンと結婚。 なし。旅が続いている。
シリーズ続編 あり。 なし。 前提に作られている。

●キャラクターのエゴグラム

●補足
このページの「分析表」で使われている用語について、ご質問をいただいたので、イルカの返信の一部を転載しておきます。

ご質問いただきました件ですが、まず、古い資料をそのまま転載していたため、今は使っていない用語が紛れ込んでいたことで、混乱させてしまったことをお詫び申し上げます。「分析表」の右上にある日付は印刷日で、分析自体は10年近く前にしたものだったと思います。

「BR」ですが、これは「Booster Rocket」の頭文字です。この用語は、僕が分析表を書いた頃に、三幕構成を習っていた先生が使っていた用語です。その先生は、アメリカで脚本を学ばれた方でしたが「BR」というのは構成の用語としては、一般的ではないようなので使わなくなりました。「セーブザキャット」には盛りあげるキャラクターとして「ブースターロケット」と書かれているのを目にしたことがあります。ここで「BR」としているのは「フォール」と同じです。「セーブザキャット」では「迫り来る悪いヤツら」にあたります。

「BD」という用語は、むかしの資料も漁ってみたのですが、どうしても何を指しているのかを思い出せませんでした。無責任ですみません。現在の視点で見直してみたところ「BD」に当てているイベントは、スターウォーズの「+脱出」、塔の上のラプンツェルの「+継母と塔へ帰る」で(ロードオブザリングに関しては不明)、これらは「プロットポイント2」のイベントである「オビワンが死ぬ」「フリンに振られる」というの後のリアクションだと思います。「分析表」の「wander」というのも「歩き回る」の意味で当時つかっていた(今は使っていない)用語で、「BD」と合わせてセーブザキャットの「心の暗闇」(ダーク・ナイト・オブザソウル)と同じと捉えられると思います。

「セーブザキャット」が抱える問題ともつながるのですが、僕はビートはなるべく一言でいえるイベントで捉えるべきだと考えています。「オビワンが死ぬ」のように。いくつかのシーンやシークエンス(シーンのかたまり)をビートとしてしまうと、自分が書くときにメリハリがなくなってしまうからです。その辺りのことで、「セーブザキャット」や習っていた先生に違和感をもって模索していた時期なので、いろいろな新しい用語をつくって分析していた経緯があります。

「分析表」にある今は使わない用語を補足しておきますと、「Fun&Games」はハリウッドでも使われる言葉ですが、ビートではなく「アクト2の雰囲気を表現したもの」で、現在の僕はビートシートには入れていません。

「Hell」は「もしも主人公が旅に出なかった場合、何が起こるか?」という要素が、物語で意味をなすように感じたために、用語をつけたものです。その後、あまり研究してませんが、改めて効果があるようにも感じられました。次の「prophecy」とも似ていると思います。

「Prophecy」は「主人公の行く末を言い当てる」ことで、観客に対して視点を提示している要素です。「Premise」と呼んで、テーマを提示するということを書いている人がいますが、テーマをセリフで言わせたりすると露骨になるので、個人的に扱いが難しいと思っています。サブキャラクターが予言するかたちでテーマを提示するのは映画的にはスマートだと思いますが、エンタメ作品では露骨でもよいかもしれないとも思います。「Prophecy」はすべての映画にある訳ではないので、ビートシートには入れていませんが、ときどき見かけて使うことがあります。

「Twist」は「賑やかし」「驚かし」ぐらいの意味です。たとえばホラー映画で「誰かいると思ってドアを開けたら、誰もいない」→「背後に立っている」みたいなものです。こういった、驚かしは、物語上では意味があるとは言えないのでビートシートには入れていませんが、観客を飽きさせないためには重要だと思います。構成というより、描写のテクニックかなと思います。アクト3では、たくさん入ることが多いので、分析するときに研究していたので、当時の「分析表」には記載してあります。 

2021/01/23補足

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