三幕構成の理解と実践について

【三幕構成が認知されてきた】
僕がハリウッド三幕構成に興味を持ち始めた10年以上前にはシド・フィールドの本は絶版、「ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101」や「ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)」など一部の本が翻訳されているだけで、ほとんど認知されていませんでした。その頃に比べると物語や創作に興味ある人では、かなり知れ渡るようになり、多くの本が翻訳されています。
一方でいまはSAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術を読んだだけでわかったようなことを言う人や、三幕構成なんて理論に過ぎないと切り捨てるアンチも増えたように思います。

【三幕構成の理解】
技術にはなんでも、理論と実践があります。
理解するだけでよければ講習をうけるという方法があります。受験勉強でいえば学習塾のようなもので、講師がわかりやすいく説明してくれたりコツを教えてくれます。
しかし、これには欠点があります。
日本で講習を受ける場合、講師の実力がわからないということです。とくに三幕構成はアメリカ発祥の理論なので、日本人で講習をしている方はハリウッド帰りを自認している人がほとんどですが、とはいえ、アメリカでどの程度の実績があるのかとなると、?がつきます。最前線のストーリーアナリストであれば日本で講習などはしていないのではないでしょうか?
一方、アメリカへ直接、プロに習いに行くには、英語と費用のハードルがあります(それをクリアできる人はこのサイトなど読んでいないでしょう笑)。
これはをまた受験勉強で喩えるなら、地方にいて都内の大手予備校に通える環境にはないというような状況です。

そういう受験生はどうするのか?

一つはサテライト授業のように、ネットや動画を使った授業を活用することです。
英語力の問題をクリアできていれば「MASTER CLASS」のような講座が受けられます。
たとえばアカデミー賞脚本家のアーロン・ソーキンのような一流の授業を受けられます。
費用もけして高くはありません。

お金もない、英語もできない、僕のような人間が学ぶのは翻訳された本をきちんと読み込むことです。
なんとなく一読しただけでなく、きちんと意味を考えて、理解する。

予備校に通えない受験生が、参考書をしっかり読んで、自分の力で理解することです。
どのような本がおすすめかはこちらにリストアップしていますが、まずは何冊かしっかりと読む込んで自分なりに理解することです。
それは講習などを受けて、人の意見を受け売りして、わかった気になるより、大事なことです。

受験は答えがあるので受け売りこそが効率のよい方法ですが、物語創作はクリエイティブな作業なので受け売りではチープなものしか作れません。

【三幕構成の実践】
三幕構成には大きく2つの実践方法があります。「分析」と「創作」です。
「分析」はいうまでもなく三幕構成に分析することでストーリーの問題点を見つけたり、良いところを見つけてテクニックを盗むことにも使えます。「創作」は三幕構成をつかってプロットを立てたり、体に染みこんでくると、シーンを書いていても自然と三幕構成になっていたりします。客観的に分析できるようにもなるので、初稿後のリライトでも役立ちます。

これらは一言でいえば「たくさん読んで」「たくさん書く」だけのことです。作家になるための当り前の作業です。

しかし、読むとき、書くときに三幕構成の視点を持ち込むことでフォームの矯正ができます。
これはゴルフのスイングや水泳のフォームのようなものを想像してみてください。
物語でも、効率よくテーマを伝え、観客を飽きさせない力学というのが研究されているので、それに合わせて自分の思考を矯正していくのです。

ロボットのように完璧に従う必要はありません。
体が一人一人ちがうように、自分の体に合わせた理想のフォームは、力学的な理想とは違うはずです。
自分なりのフォームが作家性や文体になります。

芸術を神聖視して力学を無視していると、なかなかいいフォームにたどり着けません。
オリンピックを目指すマラソン選手が、科学トレーニングをせずに、一人で根性練習をしているようなものです。もちろんそのやり方で、目標が達成できるのなら構いません。
けれど、あの人が科学的なトレーニングも取り入れたらもっといい成績がでたかもしれないというように、分析をしてみると構成を無視しすぎているために、面白いネタがもったいなく処理されているという作品にも多々であいます。それらは個性というよりは未熟に見えます。

具体的な実践方法をいくつかご紹介します。

まずは実際の映画をビート分析してみること。DVDの再生を止めながら、ビートにあたるシーンの時間を計ってビートシートに埋めていきます。実例はこちらにあります。(有名な作品は当サイト立ち上げる前にやってしまったので微妙な作品が多いですが……)
この感覚で、自分の書いた作品を分析すればリライトの際にとても客観的に方向性が見えてきます。

創作で実践するときはビートシートに当てはめて物語を箇条書きにしてみます。実例はこちらにあります。

【サークル的なものを企画中……】
「分析」にしても「創作」にしても、一人で実践していくのはなかなか難しいものです。
とくにビート分析の初心の頃は、自分のビートがあっているのか答え合わせができません。書籍を読んでも、分析家によって「プロットポイント」の位置が違っていたりもします。
そのとき、ビートの意義をしっかりと考えることに向き合う必要がでてきます。
そもそも「プロットポイント」とはなんだろう? どういう意義があるのだろう? そこを定めないと答えが出せないからです。

以前は、仲間内で月に一度、映画作品を決めて分析してくる勉強会をしていました。
それを発展させた、分析と創作をかねたサークルのような定期的な集まりを、企画していこうかと考えています。現在、三幕構成の分析をする「読書会」などを開催しています→イベント情報

緋片イルカ 2019/07/17

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構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

三幕構成の書籍についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)

文学(テーマ)についてはこちら→文学を考える1【文学とエンタメの違い】

キャラクター論についてはこちら→キャラクター概論1「キャラクターの構成要素」

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