文章添削1「短文化」

文章添削のポイントを解説していきます。まずは下手な文章の実例をお読み下さい。

悪文
「男は停車した電車の開いた扉から満員電車の客に背中を押されて押し出されるようにしてホームに出た。」

内容は「駅に電車が止まって、男が降りる客に押し出された」というだけの一文ですが、読みにくいかと思います。
まずはサクっと直してからポイントを解説していきます。

添削例
「電車が止まった。扉が開く。満員電車の客がいっせいに出口へ向かう。男は背中を押されて、そのまま流されるうようにホームへ降ろされた」

今回の添削ポイントは「短文化」です。
英語の文法でSV、つまり主語、動詞に注意することをうるさく言われた経験のある方は多いと思います。
日本語では、主語、述語という言い方をしますが、かんたんに言えば主語=「誰が」、動詞・述語=「何する」です。

英語は主語の後にすぐに動詞が来ますが、日本語は文章の最後に述語がきます。
だから、一文が長くなるとわかりづらくなります。
悪文を改めて見てみます。主語、動詞を探してみてください。

男は停車した電車の開いた扉から満員電車の客に背中を押されて押し出されるようにしてホームに出た。

悪文では「男は」の動詞は「出た」です。
ところが「男は」の直後に「停車した」という一見動詞に見えるものがあるので「男が停車した」と読み違えそうになります。

主語と述語1つずつの組み合わせで1つの「文」とすると、悪文では何重にも文が重なっています。

抜き出してみると、
「男がホームに出た」
「電車が止まった」
「扉が開いた」
「客が男を押した」
これだけの文を一息に伝えようとするから読みづらくなるのです。

そこで、今回のポイント「短文化」。文章は細かく切りましょうということになります。
あまり短い文章は子供の作文のようだと避けたり、明治の文豪なんかのマネをして長い文章を書くことが文学だと勘違いしている方がときどきいますが、文は読みやすいに越したことがありません。わざと崩したり、リズムをつけるために長い文章を入れることは必要ですが、まずは読みやすい文章を書く基本ができなくては応用はできません。

長い文章だなと思ったら2つや3つに分けられないか考えてみてください。
その際、主語と述語を意識すると見分けやすくなります。
また、逆にそればかりで単調に感じられるなら、長い文章を挟むことでリズムが生まれます。
リズムについては感覚によるところも大きいですが、音読してみることが一番わかりやすいと思います。

緋片イルカ
2020/02/06改稿

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