脚本添削『告白の続き』(★5.14)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.82)

脚本_山極01v1『告白の続き』(キーアイテム)_250807

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
茉凛は教師の井桁に告白して以降、気まずさから井桁を避けるような行動を取っていたある日、井桁への手紙を落としてしまう。叶わないとわかっていながらも想いをやめられない茉凛だったが、井桁から予想外の告白の返事を受ける。
●フック/テーマ
手紙の行方/生徒×教師の恋愛
●ねらい/テーマ触媒
告白後の揺らめく想いを描く/キーアイテム
●感想
初、10分脚本提出です。
あえて告白のシーンは描かずに、その後のドラマを描写しました。婚約者がいながら生徒との関係に走る井桁の行動が些か突飛な気がします。それだけの魅力が茉凛にあると描けているのか微妙ですが、どういうところが好きになって、というのを描くと冗長になると思い、あえて割愛しました。

テーマ触媒2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」

フィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.4「脚本」2.3
●ログライン100
教師の井桁に告白し失恋した茉凛は、諦められないながらも、告白したことを謝罪しようとするが、井桁が返事を撤回したことで恋が成就する。/65文字
●フック/テーマ
教師への恋心/禁断の恋
●カタリスト
柱1、井桁、封筒を拾う。
●ルールミス
今回はルールを伝え忘れており申し訳ございません💦
もしルールの中でわからないことがあったら聞いてください!
●不明点・不自然な点
・手紙の内容が若干伝わりにくい?
完全に個人的な感覚です。茉凛が告白済みだとわかりにくいかもしれません。柱1の井桁との会話は照れ隠しか、日常的なものに思えました。柱4の一心の「言ったんだろ」も手紙の存在が提示されているので「言わずに手紙で伝えたのかも?」と考えてしまいました。手紙の行方というより手紙の意義の部分がノイズになっている印象を受けました。告白のあとに手紙で謝罪しなければいけなかった理由が必要かもしれません。
・茉凛より井桁の決断のほうが大きい。
茉凛の葛藤は「手紙の行方」と「今後の井桁との関わり方」だと思えました。そのふたつを合わせても井桁の「親に紹介まで話が進んでいる恋人がいながら、未成年の生徒を選ぶ」には敵わない気がします。児童生徒性暴力防止法も頭をよぎるので、観客側は井桁にヘイトを感じる可能性もあります。少女漫画的な展開としては、井桁の魅力を増すために大迫の存在は必要だと思います。ですが、茉凛が主人公である以上、調整が必要かもしれません。
・フックが描けていないかも?
「手紙の行方」に対して、茉凛の動きがもう少し欲しい気がします。観客側は井桁が手紙を手に入れたことがわかっています。でも茉凛は知らないので、柱2で憤って終わりにしないほうがいいと思います。行方を探してほしいです。どこかのゴミ箱を開ける、とかでもいいと思います。屋上の代わりにゴミ捨て場で探してて、そこで井桁に見つかるでも説得力が増すと思います(でも雨の描写がとてもいいので悩むところですね…!)
●自由感想
とても読みやすかったです!
・井桁が茉凛を好きになった要素のひとつとして映画があるんだろうなっていうのが伝わってきました。
・ちょこちょこクサいセリフがありましたが、逆にそれが魅力になる場合もあるなと思いました。上でも少し触れたのですが、少女漫画の実写化というイメージで読みました。狙ってる層と媒体(漫画原作やライトノベル等)次第で設定の許容範囲が広がると思います。もしよかったらそのあたりを想定して描くといいかもしれません。

脚本太郎
●採点
「好き」 2.3 「採点」2.2
●ログライン100
担任教師の井桁に振られた高校生茉凛は、渡すのを躊躇していた『告白を謝罪する手紙』を落としたことに気付き悶々としていると、井桁に想いを打ち明けられ恋が叶い、手紙を破り捨てる。
●フック/テーマ
両想いか片想いか分からない関係のハラハラ/誰と恋をするか
●カタリスト
柱1: その拍子に、鞄から封筒が落ちる。
●不明点・不自然な点
・柱2でト書きに「発狂」とありますが、具体的にどれくらいの取り乱しようなのかは書いた方が良いと思います。自分としては「発狂」というからには奇声上げて暴れ出すくらいのイメージですが、茉凛のイメージとは合わないのと、読む人によって感覚が違いそうなので……
・柱6の「興味ない人からの好きって恐怖でしか――」と「もやもやするんだ」という台詞が繋がってないように感じます。間に「茉凛は違う」という意味の台詞をワンクッション挟んだ方が良いかなと。
・柱1で手紙が出てきた段階で詳細が分からないため、途中まで告白の手紙だと思って読んでいましたが、ミスリードだとしてもあまり意味があるとは思えないので、1ページ目か2ページ目で手紙の詳細をセットアップした方が良いかと思いました。
・仲の良い恋人がいながらリスクのある生徒との恋愛を選ぶという井桁の選択に説得力をあまり感じませんでした。直前に美依と仲良さそうに話していることと茉凛に対する特別な想いが見えてこないことが原因かと思います。
●自由感想
特に情景についてのト書きが丁寧なのが好印象でした。恋愛ものの空気感ができていたと思います。
茉凛のひた向きな感じや井桁の裏表がありそうな感じ、一心の発言全部間違えてそうな感じなど、登場人物に皆味があって魅力的だと思います。

さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ログライン100
生徒の真凛から想いを伝えられた高校教師の井桁は返事をしようとするも逃げられ、真凛の鞄から抜け落ちた手紙を手にする。結局は、真凛を捕まえて自身の想いを伝える。
●フック/テーマ
教師と生徒の恋愛/フックに同じ
●カタリスト
その拍子に、鞄から封筒が落ちる。
●不明点・不自然な点
・柱6「告白されてから意識…」の部分の内容がピンと来ませんでした。
●自由感想
・ 静かな筆致ですが丁寧なト書きで情景、心情が書き込んであり、ストレスなく読むことができました。 真凛の手紙が井桁へのダメ押しの手紙であるとミスリードさせた上で最後、実は真凛の方が二人の関係について客観的になっているという構成上の狙いも上手いと思います。
・読後感として、井桁の方が想いを寄せていることは意外ではありましたが、ミスリードによってハッとさせられたという印象ではなかったです。
・井桁が真凛の手紙の内容を知らないままでいる必要はないように思いました。むしろ真凛の手から渡した方がミスリードを強められるのではと思います。

しののめ
●採点
「好き」2.4「脚本」2.5
●ログライン100
生徒の茉凛に告白された井桁は、自分を避ける茉凛からの手紙を拾う。同僚と付き合う身でありながらも茉凛を捕まえ、好意を告げて両想いになり、茉凛からの手紙が告白に対する謝罪であったと知る。
●フック/テーマ
手紙の内容/教師と生徒の恋愛
●カタリスト
井桁、封筒を拾う。
●不明点・不自然な点
・「告白されてから意識~」以降について、分かりやすすぎない会話をしているのが素敵なのですが、にしても若干分かり辛いかもと思いました。井桁は告白される前から好きだったからこの発言をしていると認識したのですが、であれば「興味ない人からの~」と続くかな?というのが少し疑問でした。ミスリードの一部かとは思うのですが…。美衣への皮肉も込められているようであれば、柱5で美衣への気持ちが見える描写がもう少しあっても良いかもしれません(薄ら迷惑そうな表情をしている旨のト書きなど?)。茉凛も「美衣先生いるじゃん」と言っていますが、どの段階で、なぜ、井桁の思いに気づけたのかがよく分かりませんでした。全体的に私の読解力不足でしたらすみません汗
●自由感想
・とても読みやすく勉強になりました。細部の描写が丁寧で、雰囲気や情感がよく伝わってきます。
・「手紙の中身が何なのか」が読む側のモチベーションとして設定されている、あるいは「告白の手紙かと思ったら、告白を取り消すような?手紙だった」というミスリードを狙っている、また「手紙を読まれたと思っている茉凛」と「手紙の内容を知らない井桁」の間ですれ違いが発生していたという構造的な面白さも狙っている?、と認識したのですが、であれば手紙の中身が弱いかも、と思いました。手紙の中身が何であれ、柱6における茉凛の応答や葛藤の方向性、二人の会話、井桁の行動があまり変わらないような気もして、敢えてミスリードする意義や、キーアイテムとしての重要性をいまいち読み取りきれませんでした。
・「それでも溢れる想いを閉じ込められない」がちょっとクサいというか、芝居がかりすぎてるかなと思いました。敢えてでしたらすみません!個人的には生徒と恋仲になる教師にドン引きするタイプなので笑、未成年との恋愛に酔ってる大人の台詞として、敢えてこの言い回しにしてるとかであれば腑に落ちます笑
・かなり微妙なラインなのですが、「告白されてから意識~」「咄嗟に『ごめん』って~」「告白してごめんなさいって手紙~」の辺りなど、若干説明台詞感が強かったり、言い回しがまどろっこしかったり、自然にすっと入ってきづらかったりするように思いました。好みの範囲かなとも思いつつ…。
・一心が良いキャラクターだなと思いました。一番感情移入しやすく、応援したくなるなと。彼の今後も気になります。

ChatGPT
一番大きな問題点
教師と生徒の恋愛関係がそのまま肯定的に描かれており、物語としてのリアリティや読者・観客の受け止め方に危うさがあること。
→ 禁断の恋を題材にすること自体は強いドラマ性を持ちますが、「美化されすぎてしまう」と、説得力や深みが損なわれてしまいます。

改善案(3つ)
●葛藤の厚みを強化する
井桁が茉凛を抱きしめる前に「教師としての職務」と「個人の感情」との板挟みにもっと苦しむ場面を描く。
これにより観客が「禁断の恋」としての重みを感じ、軽々しい美化を避けられます。
●第三者の視点を強調する
一心や美衣を「見守る人・気付く人」として活かし、彼らの感情や反応を濃く描写する。
恋愛が周囲にどう波紋を広げるかを示すことで、より現実感が増し、物語に奥行きが出ます。
●結末に余韻を残す
「抱きしめ合って笑顔で終わり」ではなく、雨に濡れながらも二人がそれぞれ別方向へ歩き出す、手紙を破り捨てずにしまい込むなど、「完全な成就」を避ける結末にする。
禁断の恋を描くなら「成就よりも痛みや複雑さ」を印象づけた方が、観客の心に残ります。

応援メッセージ
山極さんの脚本は、映像的な描写の巧さと、人物同士の微妙な距離感を切り取るセンスが光っています。この題材は扱いが難しい分、より深い心理描写や現実感を加えることで、物語の強度が一層増すはずです。挑戦的なテーマに真正面から向き合う姿勢は素晴らしいので、次回作でもぜひその勇気と筆力を発揮してください!

修正稿(★5.14)

脚本_山極01v2『告白の続き』(キーアイテム)_250822
修正期間:2025.08.15→2025.08.15(0日)

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.7「脚本」2.5
●ログライン100
教師に想いを寄せる茉凛は、その想いを記した手紙を落としてしまう。探している最中、井桁に声をかけられ、秘める想いをどうするか問われる。諦めムードの茉凛だったが、井桁に励まされ、想いを告げる決意を固める。
●フック/テーマ
手紙の行方/生徒×教師の恋愛
●ねらい/テーマ触媒
告白後の揺らめく想いを描く/キーアイテム
●感想
井桁の立ち位置を大幅に変更し、茉凛にとってライバルであり、味方となるように設定しました。茉凛の葛藤に重きを置きましたが、変化が唐突な感もあります。 またその結果、告白が、好きという気持ちを伝える以外の意味も持ちました。 文字情報や固有名詞は必要性を見出せなかったため、一切排除しています。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.6「脚本」2.5
●良くなった点
・設定の見直し
井桁の設定もそうですが、茉凛の片思い相手を美衣にしたことで初稿よりもヘイトがなく、話に個性が生まれたように思えました。
美衣の嫉妬心が垣間見える会話もよかったです。ラストに繋がるセットアップになっていました。
・手紙を探す描写
初稿ではどこか俯瞰気味だったのが、当事者として探しているように思いました。
・柱9の美衣
雨の演出も相まって、この後を予感させる引きでした。この後が気になります。
●自由感想
綺麗な話で終わるのかと思いきや、波乱の予感で終わらせるラストが好みでした。
また、フックの「手紙の行方」という部分もうまく描けているように思えました。
山極さんのおっしゃる通り、茉凛の決断は唐突なように思えますが、井桁のセリフに例え話を入れたりして調整することで解消される気もします。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●自由感想
・三角関係のような状態になり、関係性に深みが出て、初稿より続きが気になるようになりました。
・井桁の立場が変わったことで、身勝手さや嫌みがなくなり、応援したくなりました。
・初稿より「手紙の行方」という要素をフックとして最後まで上手く使っていると思いました。
・手紙の内容を誤認させることから手紙の宛先を誤認させることにミスリードの方向が変わりましたが、より効果的で意味のあるものになったと思います。

さいの
●採点
「好き」2.5「脚本」2.5
●ルールミス
・柱8の最後の真凛の台詞前の一字空けが抜けていました。
・柱の同についてはライターズルームでは使わないのでご確認ください。
●不明点・不自然な点
・柱1の「無記名」はどのように映像で表すのかを示した方が親切かなと思いました。
●自由感想
・真凛の好意の向き先が井桁ではなく美衣であるという分かりやすいミスリードになったように思います。
・井桁は真凛の気持ちを知った上で、勝手に美衣の引き出しに手紙を入れたのだと読みましたが、これがどんなすれ違いを引き起こすかは気になりました。もし真凛が想いを胸に秘めておくことにしたなら、井桁の行動が余計なものとして際立つラストになったのですが、手紙で先に好意を知られることでどんな展開になるのか、素直には予想できなかったです。

しののめ
●採点
「好き」2.7「脚本」2.7
●ルールミス
・前回のFBでさいのさんからもご指摘がありましたが、柱に「同」を使わず毎回場所の名称を記載するというライターズルームのルールがありますので、改めてご確認いただけますと幸いです。
●不明点・不自然な点
・柱2、効果を思うと微妙なところですが、必死で手紙を探しているのに暗がりの中(電気を点けない)というのは、探す気があるのか微妙な気もするなと思いました。
・井桁「じゃあどうして本当の気持ちを告白したくれたの?」→「してくれたの?」誤字がありました。
●自由感想
・設定変更によって、より好感を持ってすんなり読める作品になっていました。手紙の行方や内容、ミスリードにも意味が生まれたと感じます。修正の方向性がお上手で大変勉強になります…!
・オチも面白くなりそうで好きでした。無駄にややこしくなりそ~!笑 とワクワクしました笑
・一心「ずっと変じゃん、先生に」について、「先生に対して」まで言っちゃった方がすんなり聞き取れる気もします。
・美衣「ああ、って、何もないよね?」ですが、恋人の浮気心(しかも教師→生徒の)を疑うのはかなり抵抗感や勇気も要ると思うので、もう少し躊躇いや、思い切って聞いた感があっても良いかなと思いました。
・井桁「嬉しかったよ。その想いを打ち明けてくれたこと」ですが、言い回しが少しくどい気もしました。好みの範囲かもしれませんが、「その想いを」は削っても良いかもです。
・井桁「言わずにずっと後悔するより、言って散った方がいいと思うよ。前に進める」ですが、「散った」まで言ってしまうと、茉凛に対する井桁の優勢感やマウント感が出すぎてしまうようにも感じました。教師→生徒という関係性なのにというのもそうですが、異性恋愛が上手くいっている(?)マジョリティの人間が、望み薄(?)の同性愛者(マイノリティ)に対して余裕のある言動をしすぎると、無駄にえぐみが強まってしまうように思います。敢えてでしたらすみません💦
・茉凛「『先生、好きです』ってそんな内容。」も若干くどい気もしました。「『先生、好きです』みたいな。」くらいでも良いかもです。少女漫画風に、ポエム的な言い回しを敢えて採用しているようでしたらすみません。

ChatGPT
素晴らしい点
●繊細な心理描写
茉凛や井桁の微妙な心の動きが、とても丁寧に描かれています。「ちらっと盗み見る」「ビクッとして動きを止める」「宙を仰ぎ見る」など、ささいな仕草や反応で感情が伝わってくるのは本当に見事です。読者・観客がキャラクターの内面に自然に共感できます。
●情景描写の効果的な活用
教室の風、カーテンの揺れ、雨の気配など、情景が感情とリンクしていて、場面の空気感が豊かです。特に雨が降り出すラストの描写は、心情と物語の余韻を美しく結びつけています。
●会話のリズムと自然さ
キャラクター同士の会話が、非常にリアルで自然です。「え?」「あ、ごめん」「え?」など、間の取り方も絶妙で、読んでいてテンポが心地よく感じられます。感情の波が会話を通して丁寧に伝わります。
●伏線と小物の効果的な使用
封筒やノートなど、小さなアイテムが物語の進行やキャラクターの心理に深く関わっており、ストーリーに厚みを与えています。

次回作への応援
この作品の魅力は、心理描写と情景描写が織りなす「静かな緊張感」と「感情のリアリティ」です。次回作では、今回以上にキャラクターの内面の揺れや葛藤をさらに大胆に描いてみると、もっと引き込まれる物語になります。
あなたの丁寧な描写力と会話センスを信じています。次回作も、きっと読者の心に残る素敵な作品になるはずです。

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森れに 2.4 2.3 2.6 2.5
脚本太郎 2.3 2.2 2.5 2.5
さいの 2.5 2.5 2.5 2.5
しののめ 2.4 2.5 2.7 2.7
山極瞭一朗 2.5 2.5 2.7 2.5
リーダー① * * * *
平均 2.42 2.40 2.60 2.54
合計 4.82 5.14

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