TIFF(東京国際映画祭)2025①(視聴メモ)

見た作品の記録がてらの簡易感想。

てっぺんの向こうにあなたがいる
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38000TOC01
「好き」2「作品」3「脚本」3
邦画らしいダメなところ。構成が映画の構成ではないので、ストーリーの焦点がボケボケで、エピソードが羅列してあるだけに見えてしまっている。フリのようなことはしているが、つじつま合わせにしか見えない。エベレスト登頂シーンなども予算をかけているわけではないので派手さもない(映像的な見所もない)が、かといって人間ドラマの方に焦点を合わせてきれてもいないので、作品としての見所もブレている。ブレているからだろう、物語の終わりどころが見い出せないまま、だらだらと病室のシーンが続くアクト3。吉永さんの回想キスシーンでようやく終えられた。

迷宮のしおり
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38007ANM08
「好き」4「作品」3「脚本」2
河森正治という監督を好きかどうかで許せる部分が多くなるだろう。ロボットや歌唱シーンは少ないながら監督らしい。テーマも明確だが、押しつけ過ぎていて説教くさい。小学生ぐらいに向けたアニメのような。世界観・設定のルールなどが掴めないまま、展開に合わせて説明がつけられて進んでいき、こちらの理解が追い付かない。演出のテンポは良いが、キャラの行動原理を説明するかのように台詞もきつい。メインキャラ陣の声優もややきつい。

アラーの神にもいわれはない
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38007ANM01
「好き」5「作品」4「脚本」5
アニメとしての演出は、日本の観客などには馴染みがなく抵抗感をもつ観客も多いだろうが「実写作品だったら?」と想像してみれば、この作品が良作だとわかる。アニメ独特の表現などはないので、実写で撮れないものをアニメで表現しているというかんじか。テンポは良く、全体のバランスが良い。ストーリーはショートフィルムなどではよくある題材だが、主人公の少年の冒険譚のプロットタイプに落とし込みながら、少年兵の悲壮もしっかりと伝えている。

ドリームズ
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38005WFC10
「好き」5「作品」5「脚本」4
トップシーンから引き込まれる上質な画作り。少しスローな展開もあるが、停滞するほどではない。バレエシーンはもう少し見せ場にすることもできるかもしれないが、しっかりと見せるシーンにはなっている。アクト3、男女の立場が逆転することで浮かび上がってくる女性(アメリカ)の欺瞞が、予想範囲内ぎて、もう少しパンチが欲しかった気がする。そのテーマは前半から浮かび上がってはいるので、それをもう一歩推し進めたパンチが欲しかった。

アトロピア
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38002CMP01
「好き」4「作品」4「脚本」3
兵士の訓練施設という「アトロピア」という仮想空間を使うことで、現代に重ねる設定は、いろいろ出来そうだが活かしきれていない印象。エンドで現在はイラクではなくロシアになっているとテロップが出るが、それならロシアでやれば良いとは思うが難しいのだろうが。イラク題材が古くささを感じさせながら、設定自体はイラク戦争当時なので、観客がどの立ち位置から見ればいいのか混乱しそうになる。テーマ、キャラクター、皮肉、いろいろと掘り下げられそうなものがあるのに、掘りきれず、最後までピントが合わなかったような印象。会場では前半で笑いが起きていたが、笑いというのは、ある種、笑った人間の価値観を表出させるものでもある。そこで笑う観客は、そこをバカにしている意識が潜んでいるのかもしれない。

イルカ 2025.10.28

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