脚本添削『ビワ、あるいは記憶』(★5.47)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

※作品はライターズルームのメンバーによるもので、作者の了承を得た上で掲載しています。無断転載は禁止。本ページへのリンクはご自由に。

※作者の励みになりますので、コメント欄に感想を頂けましたら嬉しく思います。

初稿(★5.10)

脚本_雨森38v1『ビワ、あるいは記憶』(兄弟)_251113

雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.2
●ログライン100
施設にいる認知症の弟を見舞った嘉一は、弟に思い出のビワを食べさせようとし、結果的に食べさせることができないが弟と思い出を語らうことができる。
●フック/テーマ
認知症の弟/兄弟
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:人生の終盤のむなしさ寂しさをほのかに感じさせる
テーマ触媒:兄弟
●感想
自分がひとりっこなもので、兄弟っていうのがピンときませんでした。
人生の終盤、わりと仲がよかったらこんな感じかなという理想を書いてみました。

テーマ触媒9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」

フィードバック

米俵
●採点
「好き」3「脚本」2.9
●ログライン100
認知症の弟を見舞いに来た嘉一は、ビワを見た弟の「懐かしい」という発言をきっかけにビワを食べさせたいと思い、施設に交渉する。が、上手くいかず、悔しい思いを抱えるが、弟と思い出話を出来たことを嬉しく思う。
●フック/テーマ
兄弟の思い出と認知症/老いた兄弟の絆
●カタリスト
柱4 弟のビワを懐かしむ発言。
●不明点・不自然な点
特にありませんでした。
●自由感想
文芸作品のような静かな描写の中で惹きの強い作品だと思いました。
認知症の弟との会話はリアリティも感じられ、切なさが伝わってきました。特に、記憶を取り戻した弟の兄を気遣う発言(腎臓のところ)にグッときました。
素晴らしい作品だと思いますが、兄弟のビワの記憶がもう少し強く伝わってくると更に良くなるような気がしました。(フワッとしててごめんなさい)

脚本太郎
●採点
「好き」2.7 「脚本」2.7
●ログライン100
腎臓を病んだ老人嘉一は、認知症で自分のことを忘れがちな弟佳二にビワを食べさせようと施設に交渉して失敗するも、佳二思い出話に花を咲かせる。
●フック/テーマ
介護施設での生活、病気の老兄弟/兄弟関係と記憶
●カタリスト
柱4:午後の光を浴びるビワの木があり、実がなっている。
●ツイストアイデア
・冒頭で主要人物と関係ない入居者が吐いているのを佳二にしたら固形物が食べられないセットアップに使えるかなと思いました。
●自由感想
目的は達成されず切ないながらも安らかなラストが良かったと思います。
物語の中で記憶を扱うと説明的になりそうで難しいと思いますが、きちんと感情の機微が伝わってきました。
ただ、ビワのエピソードの薄さは自分も少し感じました。

さいの
●採点
「好き」2.3 「脚本」2.4
●ログライン100
認知症の弟・佳二を見舞うため介護施設を訪れた嘉一は弟が自分のことを覚えているかどうか判然としない中、二人にとって思い出の果物であるビワを食べさせようとするものの施設に断られ、ただ二人で庭に生えるビワを見て想い出話をする。
●フック/テーマ
認知症/兄弟愛
●カタリスト
佳二「どなたでしたっけ」
●自由感想
・国破れて山河ありというか、二人の体にガタが来ているのと風になびくビワの木との対比が印象的でした。柱4から始めても問題ないように思います。
・佳二が認知症で兄に対する記憶が曖昧になっていることが嘉一にとって初めてのことなのか、それともまだ受け入れられていないだけなのか、作中からは図りかねました。前者だとしたら、嘉一のリアクションがもっと欲しいように思います。
・自分を覚えているかどうかに躍起になっていた嘉一だが、最後、佳二が二人にとって共通の思い出であるビワについてだけは覚えている。それを機に自分を忘れていることは受け入れて、佳二との新しい距離感、関係性を見つけるという落とし所がピンとくるように思います。

しののめ
●採点
「好き」2.7「脚本」2.5
●ログライン100
施設で暮らす認知症の弟を見舞いに来た嘉一は、ビワを見て「なつかしい」と言った弟にビワを食べさせようと職員に交渉するも、断られてしまう。記憶が曖昧な弟にもつい声を荒げるが、一時的に自分を思い出した弟と思い出話をすることができる。
●フック/テーマ
認知症/老兄弟の絆
●カタリスト
佳二「ビワ、なつかしいねぇ」
●自由感想
・切なくてグッときました…!「ゆきもよに、」もですが、雨森さんの作風や筆致が一番発揮される方向性なのではと個人的に思います。ビワと記憶がリンクしており、柱5辺りで嘉一の感情が高まる流れにも納得感がありました。ビワの木を見る前にまた記憶を無くしてしまったのも切なかったですし、会話の内容があちこちに飛んであまり脈絡が無いように見えるのも、個人的にはリアリティを感じて良かったです。ご兄弟がいらっしゃらずピンと来ないとのことですが、妹弟がいる立場としてはとても好きなお話でした。
・気になる点はあまり無かったのですが、強いて言えば、「子供の頃は足が速かったのになぁ。~~」から「ウチにあったのもこのぐらいのさ――」までの会話は他の内容でも代替可能かもと思ったので、ブラッシュアップの余地があるかもしれません。もう少し何か二人の確信に迫るような話とか、中断された時にもっと切なく感じられるような内容にできるかもと思いました。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.4「脚本」2.3
●ログライン100
施設で暮らす認知症の弟佳二を見舞った嘉一は、弟の記憶に残るビワを食べさせようとするができない。しかし庭になるビワの木を2人で見に行き、昔話に花を咲かせる。
●フック/テーマ
認知症/兄弟のつながり
●カタリスト
柱4.佳二「ビワ、なつかしいねぇ」
●不明点・不自然な点
嘉一と佳二がどれくらい振りの再会なのか、今ひとつ掴めませんでした。嘉一は先月まで入院していて来れなかったというセリフはあるもののそれ以前に来ていたのかどうか、明確にならなかった印象です。 どのくらい振りの再会かによって、嘉一の弟に対する距離感・接し方などが変わり、ビワの木を見に行こうと提案する言葉の重みが変わってくると思うので、そのあたりがわかると嘉一により感情移入できる気がしました。 佳二は忘れているけれど、頻繁に会っていて、毎回ビワの木を見ているというのも選択肢としてあるかなとも思いました。
●自由感想
終わりに向かう兄弟の悲哀が感じられ、胸がきゅっとなりました。認知症の弟もリアルな感がありました。 ビワがキーアイテムとなっているだろうことはわかりましたが、ラストで2人が語り合うことの内容にビワはあまり関係なく、ビワというアイテムの効果が最大限には発揮されていないような印象を受けました。都合よくなってしまうかもですが、佳二がビワの木を見上げて、兄弟にとって大切な記憶を思い出す展開があってもいいかもしれないと感じました。

詩舞澤沙衣
ビワという果物のチョイスが、「子供のころに道端でとって食べられるもの」というのをすぐ連想させ、健康でないと、ビワを採ることも食べることも難しいという兄弟の現実を突きつけるようで、とてもしっくりきました。初夏とはありますが、昨今は気温の上昇が著しいので、もう現実的な描写とも言えないですが、過去にそういう風景があったかのように想起させてくれるようで、読んでいてしみじみとしました。認知症の方が、昔のことは覚えているけれど、最近のことは記憶できない、という描写を丁寧に描いているからこそ、時の流れの残酷さが表現されているように思いました。

修正稿(★5.47)

脚本_雨森38v2『ビワ、あるいは記憶』(兄弟)_260108
修正期間:2025.11.23→2026.1.8(46日)

雨森れに
●自己採点
「好き」2.6「脚本」2.3
●ログライン100
施設にいる認知症の弟を見舞った嘉一は、弟に思い出のビワを食べさせようとし、結果的に食べさせることができないが弟と思い出を語らうことができる。(初稿と変わらず)
●フック/テーマ
認知症の弟/老いた兄弟
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:人生の終盤のむなしさ寂しさをほのかに感じさせる
テーマ触媒:兄弟
●感想
・皆様の意見を参考に、ビワエピソードを追加して思い出の部分を強化してみました(再会頻度と固形物が食べられない設定を見せる部分も考えたのですが、違う話にしたくなったので別の作品に使わせてください!すみません!)
・刈り取れる会話やト書きはできるだけ刈ったつもりです。
・初稿では意識してなかったのですが、手を使った「受容」「拒否」の表現もできると思って段階的にしてみました。

修正稿へのフィードバック

米俵
●採点
「好き」3「脚本」3
●自由感想
・初稿では、ビワは主に過去の思い出を象徴する存在という印象でしたが、修正稿では、二人がその瞬間に抱いている感情がより鮮明に伝わってきました。ビワを介することで、兄弟が積み重ねてきた関係性の深さを感じとることが出来ました。
・また、嘉一のキャラクターが初稿以上に立体的になり、感情を抑えながら佳二と向き合おうとする姿勢が強く印象に残りました。
ラストのひと言からは、「それでも一緒にいる」という覚悟のような重みが感じられ、作品全体の余韻をより深いものにしている印象を受けました。
・読み終わったあとは、二人の時間をそっと覗かせてもらったような気持ちになり、言葉に出来ないような寂しさや温かさを感じました。

脚本太郎
●採点
「好き」3 「採点」3
●自由感想
・柱3の女性の「ごめんなさい。これ、好きだったから」が嘉一のこれからの出来事を暗示しているようで良いと思います。
・柱4の手を握る動作が詳細になったことで感情の動きが分かりやすくなりました。
・柱5、説明的な会話がカットされてスムーズになっていると思います。また、職員に対する感じの悪い台詞が減ったので観やすくなると思います。
・嘉一のことが分からなくなったときの桂二が敬語なのが悲しみを引き立てると思います。
・ビワのエピソードにこの兄弟ならではの深みが出、印象深くなったと思います。

さいの
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.5
●自由感想
 最後の嘉一「またでいいよ」で二人の今後のポジティブな関係性が示され、前向きな方向に落ちが付いたような気がします。嘉一が佳二の認知症を受け入れている様は柱6でも描かれているので、この「またでいいよ」は作中における嘉一の変化を表すのではないと受け取りました。doではなくbeを描いているというか、そういう意味で本作は何も起こらない話として描かれている所感です。

しののめ
●採点
「好き」3「脚本」2.8
●自由感想
・初稿時にも増してグッときました…個人的な話で恐縮ですが、年末年始に会った祖父母が結構ボケてきており、思う所あったのでますます刺さりました。当事者もしくは当事者になりつつある人間に、自身の振る舞いを見直させ得る作品だと思います。
・ラストのエピソードがビワの木に関連しつつ、より印象的なものになっており、兄弟間の愛情も切なさも更に強まったように思います。結構切ないタイミングで会話が中断されてしまったものの、意識がはっきりしている間に佳二は思いを打ち明けてくれたんだなあと泣きそうになりました😂

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.5「脚本」2.6
●自由感想
ビワ通しての兄弟のつながりが垣間見えるようになり、タイトルの意味・説得力が増したように感じました。 また、認知症の描写がリアルに思えました。それに加えてその年齢の口調や言葉遣いには、その年代っぽさを感じ取り、見習わねばと思う次第です。(私はどうしても同年代の人ばかり書いてしまうので笑)そういった上の世代の人をうまく描写することも重要であると感じました。

ChatGPT
●一番大きな問題点:ビワを「食べさせたい」という行為に物語の駆動力を集約している分、施設側との対立がやや早く収束し、嘉一の葛藤(怒り・諦め・受容)がもう一段転がりきる前に情緒へ着地している印象がある。感情線をもう一度だけ揺らす余地がある。
●一番の良い点:認知の揺らぎを「忘却」ではなく「関係の形の変化」として描いている点が非常に誠実で美しい。ビワという具体物が、記憶・身体・兄弟愛を一貫して結び、最後まで象徴として機能している。会話の呼吸も自然。
●応援メッセージ:派手さに頼らず、時間と身体の重さをここまで静かに描けるのは確かな力です。この脚本は読む側の心拍を自然に落とす強度を持っている。あなたの書く「老い」と「記憶」は信頼できる。どうかこの路線を恐れず、さらに深く潜ってください。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.5 2.2 2.6 2.3
米俵 3 2.9 3 3
太郎 2.7 2.7 3 3
さいの 2.3 2.4 2.5 2.5
しののめ 2.7 2.5 3 2.8
山極 2.4 2.3 2.5 2.6
平均 2.60 2.50 2.77 2.70
合計 5.10 5.47

2026.1.16 アップ

★当サイトの作品を原作に利用したい。執筆を依頼したい。あなたの作品を分析して欲しいなどあれば……ライターズルーム仕事依頼

SNSシェア

フォローする