映画『聖地X』(三幕構成分析#157)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

夫の滋と離婚寸前になった要が、兄の輝夫と滋のドッペルゲンガー現象を解決していくことで、気持ちの整理をつけて別れを選ぶ。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「なし」
ジャンルセットから入ったと判断。なし。

CC「主人公のセットアップ」:「指輪を投げるが翌日には着けている」
「ジャンルのセットアップ」)アメリカ夫妻の変死

Catalyst「カタリスト」:「トイレから滋登場」
商店街でみかけた滋を追いかけた先には新規開店前の日本料理屋。そこのトイレにいると思って話しかけるが、出てきたのは江口。絶縁の言伝を頼んでいると、トイレから滋が出てくる。
怪奇現象の始まり。

Debate「ディベート」:「庭に現れる滋」
追いかけてこなかったことに腹を立てていたが、それを察したかのように庭に滋が現れる。
要の心が揺れる。

Death「デス」:「滋への電話」
要以外の記憶が曖昧なうえに携帯さえ持っていない滋を不審に思い、輝夫が電話すると滋が電話に出る。目の前の滋は電話していない。
日常、常識の崩壊。滋への謎が深まる。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「東京の会社での写真」
現時刻の滋の写真を送ってもらうことで、滋が2人いることを確信する。
怪異現象(ドッペルゲンガー)を解き明かす旅に出る。

Battle「バトル」:「もうひとりの京子」
仲直りした翌日に京子を名乗る女性から電話。

Pinch1「ピンチ1」:「不可解なことが続く」
日本料理屋で茶碗蒸しがプリン、座布団が健康器具、眼鏡が増えるなどの不可解なトラブルが続く。
ピンチ2でなにが原因が判明する。

MP「ミッドポイント」:「ドッペルゲンガーの合体」
増えた人間(京子)がひとつになる。
ドッペルゲンガーが増えるだけでなく、ひとつに戻れることがわかる。

Fall start「フォール」:「祈祷失敗」
怪奇現象をムーダンの祈祷により祓おうとするが、ムーダンから無理だと告げられる。

Pinch2「ピンチ2」:「輝夫の書いた本」
ピンチ1で続いたトラブルが当事者たちの思い込みが現実化したものだと裏付けするために輝夫が本を使う。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「離婚届」
輝夫が滋に統合するための条件として離婚届を出す。
要にとってすべてを失うことになり、輝夫にとってトラブル解消になる。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ドッペルゲンガーは自分の記憶からの産物」
離婚したいのが自分なのか、それとも滋なのかがわからなくなる。

BBビッグバトル:「3人目の滋を作る」
事情を知らないスヨンに空き部屋へ話しかけてもらうことで3人目の滋を作成。
記憶の混濁を避けつつ滋の統合をする。

image2「ファイナルイメージ」:「滋のいない物置」
ドッペルゲンガーの滋を滞在させていた物置が空になっている。
要が気持ちを整理できたことによりドッペルゲンガーの滋が消え去ったことの現れ。

エピローグ:
京子は回復。要の離婚は進展。輝夫は怪奇現象をネタに小説を書き、韓国語を習い始めた。

【感想】

「好き」3「作品」2「脚本」2
怖いというよりは不可解・不思議に全振りしたホラー作品。
コップの使い方が効果的。巨木と古井戸については、土地の謎をもう少し解き明かす処理をしないと無駄に見えてしまう気がした。
他にもドッペルゲンガーが鏡味に映らないシーンを入れているのに水面には映っていることや、胸の穴の後出し要素があり映像としてみた時の作品として2の評価に。
設定や世界観に引っ張られて主人公の人間ドラマが中途半端で、要の心理が曖昧でわかりにくいのもあり、脚本も2としました。
設定・世界観もりもりな分、興味として楽しめました。

(雨森れに、2023.6.27)

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