プロットを考える7「カタリスト」

初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

前の解説

前回までのビートをおさらいすると、
「オープニングイメージ」でテーマを暗示。
「ジャンルのセットアップ」でジャンルを明示。
「主人公のセットアップ」で主人公を紹介。
これで物語の準備は整います。
小説でいえば「いつ、どこで、誰の、何の話なのか」を説明しおえたことになります。
ここまでくれば、あとは事件を起こして物語を進めていくだけです。

その最初の事件を「カタリストcatalyst」とよびます。
catalystは触媒という意味ですが、旅へのきっかけというニュアンスが込められています。
『千の顔をもつ英雄』でいえば「冒険への召命」、Call to Adventureなどとよんだりもします。

「○○したいな~」と願望を持ちながらも、平凡な日常を過ごしていた主人公のもとへ、冒険への招待状が届くということです。
招待があったからといって、いきなり旅に出ません。
旅の出発はPP(プロットポイント)でした。
カタリストの後は、出発へ向けて準備をしたり、本当に旅に出る覚悟があるのかを迷ってから決断したりします。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のカタリストは映画開始5分の「ドクから呼び出しをうけること」です。
それがタイムスリップへの最初のきっかけとなっています。

映画ではカタリストは開始から5分以内に起きることが重要です。
テーマ、ジャンル、主人公の紹介という前置き(セットアップ)が終わったなら、観客は早く本題に入ってほしいからです。
古い映画だと10分を超えることもありますが、基本的には5分前後です。

小説では時間にしばられませんので冒頭から旅に入ってしまっても、しっかりとセットアップさえすれば問題ありません。

★まとめ:
・「カタリスト」は冒険への招待状。
・セットアップが終わったら、すぐに「カタリスト」を起こすべき。
・「カタリスト」は5分以内。
・小説ではタイミングは自由だが「いつ、どこで、誰の、何の話なのか」を明確にする。

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