この作品は脚本学習中のどるどるさんによるものです。作者の了承を得た上で掲載しています。無断転載は禁止。本ページへのリンクは可能です。
タイトル『探し物』
400文字シナリオ
テーマ クリスマス
作者 どるどる
登場人物
大川芙美（24）
大川里香（21）
本文
ＳＥ いきなり襖を開ける音。
芙美 あ、里香。びっくりした。おはよー
里香 芙美姉！ 朝っぱらから人んちで何やってんのよ？
芙美 人んちって。実家じゃん
里香 親が病気で入院してるっていうのにろくに顔も出さないで何が実家よ
芙美 探し物があって。ちょっと寒いから、そこ戸閉めて
ＳＥ 襖を閉める音。荷物を漁る音。
里香 勝手に納戸あらさないでくれる？
芙美 あーこれこれ！ 懐かしい～
ＳＥ ツリーのベルを振って鳴らす音。
芙美 昔母さんがよくツリーにこれ飾ってた
里香 そんなの……まだあったんだ
芙美 今日イブだし、ツリー飾ろうか？ 確かツリーも奥にあったはず
里香 だから～。なんで勝手に決めてんの？
芙美 私さ、養子……なんだよね
里香 はぁ？ なにそれ
芙美 母さんずっと子供が出来なくてね。諦めて私を引きとったらすぐ里香が生まれて
里香 芙美姉……うそでしょ？
芙美 子供の頃さ、里香がジャングルジムから落ちたことあったでしょ
里香 急に何の話？
芙美 慌てた母さん、私のこと忘れて公園に置き去りにしたの。あれは悲しかったなぁ
里香 そんなの……初めて聞いた
芙美 里香が羨ましくて、妬ましかった
里香 そんな。それは私の方だよ。褒められるのはいつも芙美姉ばっかりだったじゃん
芙美 可愛がられるにはそれしかなかったから。でもクリスマスだけはいつも平等にプレゼントがあって一番うれしかった思い出
里香 クリスマスツリー……一緒に飾ろうか
芙美 じゃあケーキも買ってくる？
里香 あれ、そう言えば探し物は？
芙美 大丈夫。もう、見つけた
ＳＥ ツリーベルが楽しそうに鳴る音。
了