※「脚本課題」から「テーマ触媒」と改題しました。文中は課題のままです。
「ライターズルーム」での脚本課題についてヒントや意図を説明します。
今後は〆切を切らないので、自主的なペースで進めてください。
いつまでに、どのレベルのプロになりたいか?
そのためには、どれくらいの練習が必要か?
など、自分の目標を意識して進めていただければと思います。
可能なら一日一本出していただいても構いません。冗談ではなく、プロになりたくて、それぐらいこなす人はいます。
ただし、これまで通り、フィードバックを受けてのは修正稿は必ず出してください
フィードバックを待つ時間が空いてしまうときは、次の課題の初稿へどんどん進んで構いませんが、フォードバックが集まった時点で修正稿にとりかかってください。
フィードバックする側(分析や採点をする側)は、返すのに一週間以上かかる場合は、目処を知らせてあげてください。
ちなみに仕事でも、初稿は早さ、修正稿では質が大事です。
以下の課題は、一人でも終わりそうになったら次の課題をどんどん提示していきます。
目指せ100本!
脚本を仕事にするということは、一生書いていくということです。
まずは量に対する抵抗感は乗りこえましょう。
005「指定小説を脚色」
※この課題は第1回 脚色募集『鏡地獄』に伴いナンバリングから外しました。
同じ原作を元に、脚色(脚本化)してもらいます。
江戸川乱歩『鏡地獄』
https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57343_60022.html
著作権フリーの作品です。長さも手頃です。
江戸川乱歩はスジがはっきりしているので、脚色しやすい原作だと思います。
脚色は、原作をただ脚本形式に直すといった、事務的な作業ではありません。
拾うべきところを拾い、映像作品として面白くなるように「色」をつけるのが脚色です。
セリフ一つとっても、小説やマンガのセリフは、人間の喋るセリフにはなっていませんので、そのまま使えないものが多くあります。
シーンやキャラクター、時代設定やテーマなど、原作の大事な部分を崩さずに、変更しても構いません。
実際問題では原作者が了承するかの問題もありますが、課題ですし、著作権フリーですので思いきってやってみてください。
言うまでもなくて「映像作品として面白くしてください」ということです。
また、観客は原作を知らずに見ると想定してください。原作がこうだからといった言い訳は観客に届きません。
観客は、ただ面白い映像作品を見たいのです。
なお、この課題に限りテンプレート10枚以上、15枚以内とします。
30分ものドラマのイメージです。この範囲で、きちんと完結させてください。
なお、脚色は仕事の練習になるので、今後も定期的に入れていこうと思っています。
005「主人公の二面性」
主人公のwantを意識して欲しいことは再三言っておりますが、たった一つのwantでキャラクターを動かすと一面的になります。
アンパンマンのような裏のない主人公です。
リアルな人間は本音と建て前があります。
「〇〇したい」と思っていても、怖れや迷いがあって、突き進めません。
そういうものをきちんと描けてこそ、人間がリアルに描けます。
創作のコツとしてはwantを2本立てるようなかんじです。
どちらかはウソというのではなく、どちらも本音です。
また、シーンとしてどう見せるかというテクニックも必要になってきます。
感情をセリフでばかり説明していると、wantが2つあるキャラクターは、ブレているようにも見えてします。
2つの気持ちが、きちんと観客に伝わるようなシーン作りを工夫してください。
006「キーアイテム」
キーアイテム=小道具です。
何を使っても構いませんが、その小道具がストーリーの中で重要な役割を果たすようにしてください。
「ああ、あそこのアレが、ここで効いてくるのか!」という仕掛けです。
常套テクニックであり、効果的なテクニックでもあるので、映画などで見たことがあると思います。
知っていて得しかないテクなので、練習しておきましょう。
007「サイレント」
一切、セリフがなしの課題です。
それでも、これまで通り「主人公のwant」をきちんと伝えてください。
ト書きやシーン、シチュエーションで「どうやって感情を伝えるか?」です。
チャップリン映画のような、大げさなリアクションになりがちだとは思いますが、難しい課題ではあるので、ある程度のオーバーリアクションは許容します。
何よりも課題の意図は「ト書きで感情を伝えること」です。
それが出来るようになれば、普通のドラマを書くときの人間描写の幅が広がります。
この意義を考えながら、間に合わせの課題処理にならないようにして欲しいと願います。
ちなみに短編映画などではセリフ無しで、とても面白いものがたくさんあります。
『アーティスト』という2012年にあえてサイレントで撮って、アカデミーを受賞した作品もあります。
緋片イルカ 2023.2.8
テーマ触媒のリスト
1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」
※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。
いつも勉強させていただいております。
個人的にこの課題に取り組んでおり、質問があります。
それは、10分の尺で、「2時間映画のキャラクターアークを10分にまとめて描くのか」、「カタリスト~PP1といった一部分や、感情変化の短いシークエンスを描くのか」、どちらで取り組めばよいのでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただければ幸いです。