脚本(黒歴史)『29歳、切れない黒髪』(★1.00)

僕が初めてくらいに書いた脚本がありました。僕にとっては黒歴史ですが「最初はみんなこんなもんじゃないですか」という目安にアップしておきます。ちなみに脚本より前に小説執筆歴が数年以上あります。

400字で1.5枚、「迷ってる人」というスクールの課題、2007.11.10に書いたものらしいです。

なお、ルール違反や誤字もそのままにしておきます。「見本」にしてはいけません。

『29歳、切れない黒髪』

人物
 新堂真美(29)家事手伝い。
 中野和子(25)美容師

○美容室・外観
  待合室に8人程ガラス越しに見える。

○同・内
  新堂真美29が鏡の前の席に座っている。後ろに中野和子25が立っている。和子が真美の黒髪に手櫛を入れる。
和子「今日もいつも通りでいいですか?」
真美「う~ん。そうですね~」
和子「たしか、新堂さん、和式の結婚式されるんですよね?神社で」
真美「そうなんです。だから彼氏が切るなって言うんですけど…」
  真美、自分の髪を手で掬う。
真美「でも、なんだか最近ブルーで…。気分変えたいとも思うんですよ…」
和子「彼氏さんと何かあったんですか…?」
真美「そういうんじゃないんだけど、何となく、私の人生これでいいのかなって…。でも来年で30でしょ?これ逃したら結婚できないんじゃないかなとかも考えちゃうし…」
和子「そんなこと…。短くすると若く見えますよ?新堂さんなら学生ぐらいに見えちゃいますよ。結婚式はかつらでも大丈夫でしょうし」
  和子、真美の髪を手で持ち短く見せる。
真美「うん。ほんとだ…」
和子「黒のロングは大和撫子って感じで落ち着いてて…。これはこれで魅力的ですよね」
和子、持っていた真美の髪を下ろす。

(了)

原形バージョン

たぶん課題を書く前に長いバージョンとして書いたものです。

課題の枚数に収まらないので、ラストだけを切り抜いて提出したようです。

奇しくも「バックストーリー」の役割を果たしていました。1.5枚の方で、伝わりきっていないのは明らかに技術力不足です。

『29歳、切れない黒髪』

人物
 新堂真美(29)バイト。
 後藤晃一(34)会社員。
 星龍二(24)ジムインストラクター。
 ウェイター
 美容師

○スポーツジム・休憩室・内
  テーブルが20程並んでいる。4分の1が埋まっている。
  新堂真美(29)が、ソーサーを持って、カップに口をつける。
  星龍二(24)がやってくる。
星「すいません。お待たせして。他の生徒さんの質問責めにあってしまいまして…」
真美「いえ。それで、先生。何ですか? お話って?」
星「その、もしよかったら、この後ご飯でもいかがかなと思いまして…」
  星、自分の首を片手で揉む。
星「ご迷惑ですか?」
真美「いえ、迷惑ではないんですが…今日はちょっと、ごめんなさい」
星「そうですか。こちらこそ突然すいません」
真美「先生、私、どうですか? 付いていけてますか?」
星「ええ、大丈夫ですよ。次回細かいデータをお返ししますから、それを見ていただければ…あ、いや…」
真美「何ですか?」
星「いえ、私がとやかく言うことではないんですが…」
真美「何ですか? 言って下さい?」
星「髪型はもう少し短い方が…」
真美「ああ、そうですね。伸びてきましたね…」
星「すいません。余計なことを言ってしまいました。
真美「いえ、アドバイスありがとうございます」
  真美、飲み終えて、バッグを手に立ち上がる。
真美「私、そろそろ行かないと」
星「はい。またお誘いしてもよろしいですか?」
真美「ええ。よろしくお願いします」
真美「ほんとに、また今度誘ってくださいね」
星「はい」

○レストラン・内
  40程のディナーテーブル。ほとんどが埋まっている。ウェイターが行き来している。
  後藤晃一(34)が、テーブルについている。
  晃一が目をあげる。
  ウェイターに案内され、真美が晃一の席を見つける。
真美「お待たせ」
晃一「うん。スポーツジム行ってたの?」
真美「うん。お腹すいちゃった」
  晃一、ウェイターを呼び止める。
晃一「料理、お願いします」
ウェイター「かしこまりました」
真美「仕事、平気なの?」
晃一「うん。これ食べたら、すぐ戻る」
恵美「そっか」
晃一「式場のことなんだけど…」
  恵美、他のテーブルを眺めている。
晃一、パンフレットを見せる。
晃一「これ、調べてきたんだけど…真美?」
  真美、晃一のパンフレットを見るが、ちらっと他のテーブルを見る。
晃一「知り合い?」
恵美「うんん。あの女の人の髪型かわいなと思って」
  席につこうとしているショートボブの女性の後ろ姿。
晃一「式は和風だから、髪は長い方がいいんじゃないかな?」
真美「うん。でも運動する時、邪魔でさ」
晃一「式が終わってから切ればいいじゃない」
恵美「そうなんだけど…」
晃一「他に理由があるの?」
恵美「ううん…別に」

○美容室・内
  真美が鏡の前の席に座っている。後ろに美容師が立っている。
美容師「今日はどうしますか?」
真美「う~ん。ショートボブぐらい切っちゃおうか、伸ばすのとどっちがいいと思います?」
美容師「短いと若く見えますよ? 新堂さん、なら学生に見えますよ。黒で伸ばすのも落ち着いた感じになりますよね…」
真美「そうなんです。どっちも魅力があって…」

(了)

イルカ 2023.4.2

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