脚本添削『ヤモリを踏んだ日』(★5.54)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★5.22)

脚本_雨森23v1『ヤモリを踏んだ日』(イケメン)_250404

雨森れに
●自己採点「好き」2.2「脚本」2
●ログライン100
父親の七回忌を迎えるみきは、母親に再婚したいと言われるが父親への想いから受け入れることができず、偶然鉢合わせた母親の恋人が爬虫類顔だったことからヤモリに怒りをぶつける。
●フック/テーマ
ヤモリ/侵入者
●ねらい/テーマ触媒
・ねらい
父親不在による母娘の軋轢を書く
・触媒
イケメン。触媒というか着想になるんですが、爬虫類顔のイケメンが子持ち未亡人と恋に落ちたら……と考えて書きました。
でも結果的にイケメン要素が消えました……
●感想
悩んだ部分が2か所ありました。
柱5で父親との思い出をフラッシュでいれるか。柱8が必要か。
いろいろ考えてフラッシュを入れず柱8を入れることにしました。修正でそのあたりをもう一度考えてみたいと思います💦
あとヤモリを使った理由なんですが、気持ち悪い侵入者かと思ったら家を守ってくれる人物だったという考察になればいいなーと思ってやってみました。

テーマ触媒5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」

フィードバック

米俵
●採点
「好き」2.5 「脚本」2.7
●ログライン100
父を亡くし、家族の思い出を大切にしているみきは、父親の七回忌を前に母親から再婚したいと告げられるが、それを拒絶し、母親の恋人に似ているヤモリを踏み潰す。
●フック/テーマ 
精神的に幼い母親と子供/親子関係・母親と子供の軋轢
●カタリスト
佳苗「みき、あのね。相談したいことがあって」
●不明点・不自然な点
・母親が再婚をしたいと言い出すタイミング―七回忌を前にという部分に違和感がありました。七回忌が終わってというのであれば、納得出来たと思います。
ただ、その辺りに母親の幼さというか、自分のことしか考えていない部分が表現されていたかなとも思いました。それ以前にも幼さをセットアップする部分があると唐突さを感じなかったかもしれません。
●自由感想
精神的に幼い母親と子供の様子を書くのが上手いなと思いました。
柱8は私もやり過ぎな印象を受けました。
ヤモリの部分は考察に繋がるのかはちょっと分からなかったですが、みきの残酷さを出すのには効果的に働いてると思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.8「脚本」2.5
●ログライン100
かつて父を亡くし、家族との思い出を大切にしているみきは、母親である佳苗から再婚したい旨を聞くも拒絶し、憎悪から再婚相手に見立てたヤモリを踏み潰す。
●フック/テーマ
ヤモリを侵入者のメタファーとした表現/親子関係、親離れできない子どもの感情、家族との関わり方
●カタリスト
柱4:佳苗「みき、あのね。相談したいことがあって」
●不明点・不自然な点
ヤモリを自分たちのテリトリーに侵入しようとする田中のメタファーのように描かれているのは面白いと思いましたが、何でヤモリである必要があるのか少しピンと来ませんでした。(一般的には田中が爬虫類顔であること、ヤモリがよく家の窓に張り付いていることがあるという理由だけで納得でき、自分が気にしすぎなだけかもしれませんが)
全体的にみきの憎悪が強すぎてちょっと佳苗が可哀想に感じました。大学生ではなくもう少し年齢を下げれば、まだ納得できるかもしれません。
家族写真の佳苗の顔だけ破るなど、さすがに行き過ぎな気がします。佳苗を殺しかねないくらいの憎悪を感じました。田中の方をそれくらい恨むならまだ分かりますが……
●感想
親子の対立点が明確に描かれているのは良かったです。
不穏な空気のラストで、続きが気になりました。

さいの
●採点「好き」3「脚本」3
●ログライン100
父親の七回忌を控えるみきは、母から再婚したい旨を告げられ、仲違いする。
●フック/テーマ
七回忌と再婚/家族の形
●カタリスト
みきが佳苗から再婚したい旨を告げられる。
●ルールミス
特になし。
●不明点・不自然な点
特になし。
●感想
 ト書きが読みやすく、スムーズに絵が浮かびました。初対面の田中にいきなり「みきさん」と呼ばれた時、みきがどんな顔をしているか見たいので、ト書きで指定があると良いなと思いました。

しののめ
●採点「好き」3「脚本」3
●ログライン100
父親の七回忌を控えたみきは、母親から唐突に再婚の意思を告げられるも拒絶し、野生のヤモリに再婚相手の姿を重ね、怒りのままに踏み潰す。
●フック/テーマ
母親の再婚/母娘のすれ違い
●カタリスト
みきが母親から再婚の意思を告げられる。
●ルールミス
(特になし)
●不明点・不自然な点
本当に好みの問題でしかないかもしれませんが……強いて挙げるとすれば、再婚についてもっと前から根回しを試みるなどしていた気配もなく唐突に切り出し、しかも「明日会ってほしい」と言い、結局彼氏を呼んでしまう母親の強引な言動と、歳の割には「母の幸せ」や「母が再婚する可能性」をあまり視野に入れてなさそうな娘の突っぱね方が、現代においては若干リアリティに欠けるというか、両者ともやや幼く見えるかも…?と感じました。
(母親からの告白がかなり唐突になってしまった理由、全体的に母親に余裕がない理由、娘が素直に母親の幸せ・再婚について考えられない理由などが、本作の前後などでも明かされれば問題ないかなと思います!)
本作中である程度解消するとすれば、母親をもう少し、そういうことをやりかねなさそうな(若干粗雑気味だったり、抜けていたりするような?)人物として描写したり、娘が父親や、両親の絆に固執する理由を少しでも加えたり、両者の言動に特別な事情や理由がありそうな気配・伏線だけでも入れておく、などの方法があり得るかも?と思いました。
●感想
・情景、台詞、人物の動きなど、全体的に描写がとても丁寧で情感があり、空気感や雰囲気がすごく素敵だと思いました。
・ヤモリが田中のメタファーとして機能している点も非常に面白いなと思いました。庭の描写も好きです。
・物語の一部という印象を受けたので、前後の展開や人物達の事情が知りたい、読みたいと思えるお話でした。

きなこもち
採点 2点
小説のようなタイトルやストーリーに惹きつけられました。カサカサと地面を這っていつの間にか家の中に侵入するちょっと不気味な生物であるヤモリを、ストーリーの合間に効果的に描写することで、
ヤモリがみきの中での田中に重なりましたし、不穏な空気感を出していてすごく良いアクセントになっていると感じました。面白かったです。みきが大学生であることや父親が亡くなったのが6年前であることなど、細かな設定を説明セリフではなく自然なセリフで伝えているのも上手いなと思いました。
今後どうなるのか、続きが気になります。
ここまではよくある設定、よくあるストーリーではあるので、この後の展開こそ1番難しく、作者の腕の見せ所なのではないかと思います。田中がどんな人物なのか、みきと佳苗はどうやって和解(或いは決別)していくのか、その人物ならではの言動が見たいです。

ロバの絵本
親と子であれば血のつながりもあるけれど、夫婦というものは、他人どおしが結婚してなるもの。
再婚というものは、母親にしてみると、父親を好きになったときの気持ちとそんなに変わりはないのだけれど、娘にとっては、肉親と他人というものは心の構え方がまったく違う。
なんだか不思議だと思いました。自分も、1人の人が大切で、好きで仕方がなかったら、浮気や、死別の後の再婚などは、基本的に考えないというイメージでいますが、主人のことが好きでも、すごくファンになった「推し」などは別でいます。子どもにしても、2人以上子どもがいるのであれば、その何人もが平等に好きでかわいいと思うように、人は不思議と、特別な愛にしても何人もの人を大切だと思ったり好きになることは可能なようです。モラルとして美しくなくなるのかどうかだけを大切にするので、実際には同時に2人以上の人との恋愛を手に入れようとしたりはしないのですが、死別であれば、もう一度恋愛をすることがあっても何もおかしくないと私は思います。
自分の家も父親をはやくに亡くしましたが、母は、大昔に恋人だった同級生が独身で、仲良くしているみたいですが、再婚はしませんでした。それはそれで、私が自分の父親のことをおおっぴらに思いやすいという気持ちもあるのかもしれません。そのかたと、結婚をするのならするので、母親の自主性に任せていましたが、親というのもまた自分とは違う生き物。好きにしてもらうしかないかもしれません。
そして、一緒に暮らすなどとなったときに、父親も失っているけど、母親も、自分に関心が向いてないというような気持ちになって、この娘さんは苦しくなるのかもしれません。
だいぶストレートな気持ちを母親の恋人も含めて、ぶつけあっているなあと思いました。
お母さんが嫌いになって、爬虫類のような顔の母の恋人にも不信感。家を守る、ヤモリをも攻撃してしまう。
私の考えでは母親の恋人も悪い人ではないけど、閉ざす心や、モヤモヤが、あまりよくないところに全員を連れて行ってしまうかもしれないなあと思いました。我慢や、考え方を変える人が現れないと、この中の誰かが落ち着くような方向になかなか向かわないと思うけど、もっと話し合ったり、もっとゆっくりしたり、母と娘が不安を聞き合ったりして、結論もお互い焦らないほうがいいのかもしれないと思いました。娘のわからないところで、会うことは会ってもいいのかもしれません。両方が大切なはずです。

ChatGPT
作品としての雰囲気や心理描写はとても繊細で、家族の痛みと葛藤が伝わってきました。
そんな中で、一番大きな問題点を挙げるとしたら、こちらです。
■問題点:主人公・みきの感情変化に「説得力ある推移」が不足していること
物語の核心は、母・佳苗の再婚という出来事に対する娘・みきの怒りと拒絶、そしてその背景にある「家族の記憶を守りたい」気持ちや孤独への不安です。ただ、その怒りがラストシーンで極端な行動(ヤモリを踏み潰す、母の写真を破る)にまで至るまでの過程に段階的な心の揺れや気づき、もしくは葛藤があまり描かれていないため、少し唐突で、「ただ感情を爆発させた」印象に留まりやすいです。
■改善案(3つ)
① 心の揺れを「第三者視点」や回想で補う
たとえばみきが友人や父方の親族と話す場面を入れ、「母の再婚」に対する世間的な見え方や、自分でも気づいていなかった内面(喪失感・孤独・父への罪悪感)を浮かび上がらせる。
父と過ごした日々の回想を短く挿入することで、みきの「父が絶対的な存在だった」理由を感情的に観客に共有できる。
② ラスト前に「矛盾する思い」をにじませるシーンを追加
たとえば、みきが田中の優しさを目の当たりにして、少し戸惑う場面や、母が寂しさから泣く姿に一瞬同情しかける描写を入れると、「激しい拒絶」の感情に複雑さが加わり、よりリアルに。
最後の行動が「悲しみと怒りの同居」に見えて、深みが出ます。
③ ヤモリのモチーフに明確な象徴性を持たせる
ヤモリ=「家庭を守る生き物」「父の記憶の象徴」など、観客にもわかる形で象徴的意味を強調すれば、踏み潰す行為が「家族の崩壊」や「信じていたものの否定」という強いメッセージに。
例えば、父の遺品にヤモリの文様があるとか、父が「ヤモリは守り神だ」と言っていた回想があると効きます。
■応援メッセージ
この脚本、とても静かで重厚なドラマになり得る、**「家族の再構築」**に向き合う物語です。
母と娘、死者と生者、それぞれが「自分なりの正しさ」でぶつかり合う様子がリアルで、胸を打ちました。
少し手を加えるだけで、感情の波がより豊かに、観客の心に深く届くものになります。
あなたの書いた「踏みつけたヤモリ」には、物語全体を締めくくる強さがあります。
その瞬間がより印象深くなるよう、登場人物たちの「心の道のり」を、もう一歩だけ丁寧に描いてあげてください。
きっとすばらしい作品になります!
応援してます。よかったらまたブラッシュアップ版、見せてくださいね。

修正稿(★5.54)

脚本_雨森23v2『ヤモリを踏んだ日』(イケメン)_250419
修正期間:2025.4.13→2025.4.19(6日)

雨森れに
●自己採点「好き」2.2「脚本」2
●ログライン100
父親の七回忌を迎えるみきは、母親に再婚したいと言われるが父親への想いから受け入れることができず、偶然鉢合わせた母親の恋人が爬虫類顔だったことからヤモリに怒りをぶつける。
●フック/テーマ
母親の再婚/親子関係
●感想
初稿で考えていた父親との思い出をいれるとノイズになるなと思ったので、やめました。
今回の主な修正点は、ラストを怒りではなく、受け入れる前段階(迷い)にしました。
よろしくお願いします。

修正稿へのフィードバック

米俵
●採点
「好き」2.8 「脚本」3
●良くなった点・感想
みきの怒りだけでなく、悲しみも伝わってきて深みが出た。
佳苗の亡き夫のことは大切だが、自分の幸せも考えたいという気持ちが伝わってきた。
キャラクターの感情幅が広がり、深みが出ただけでなく、凄くリアルに感じられるようになったと思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」3.0 「脚本」2.7
●良くなった点・感想
後半、みきの悲しみにも焦点を当てたことで感情の流れがリアルになったと思います。
最後も写真を破るよりは妥当な印象でした。
しかし、柱2の佳苗の「忘れてたぁ」という台詞は少し浮いているように思います。

さいの
●採点
「好き」3「脚本」3
●良くなった点
みきの怒りだけではなく、その根底にある悲しみを表現するようになったことで、キャラクターが多面的になった。
●自由感想
初稿もそうですが、ト書きが丁寧で絵がスムーズに頭に入ってきました。
欲を言えば、この後の出来事を描いて欲しいと思いました。例えば、再婚後の田中とみきの会話や、みきがそこまで再婚を嫌がる理由には何があるのか、ヤモリのメタファーがより重層的に絡んでいく様などを見たいです。描かれているやり取り自体にそこまで意外性があるわけではないので、そこがこの話の個性になると思います。

しののめ
●採点「好き」3「脚本」3
●良くなった点
佳苗は少し抜けているが、単にみきの思っている以上に前を向いているだけで、かつ亡き夫をないがしろにしている訳でもなさそうな雰囲気が感じられるようになった点。
●自由感想
みきや佳苗の言動についてはそこまで大きく変更されていないため、相変わらず理由が気になるなという感じですが、みきの悲しみが追加され、受容の方向性にいったのもそれはそれで面白いなと思いました。
初稿の怒りMAXの方向でも、どちらでも続きが読みたいです。初稿と修正稿ではその後の展開が結構変わり得るので、そういう意味でもどちらも面白そうだと感じました。
あとは個人的にですが、ヤモリを潰したのにまたヤモリが出てくる点に、若干のホラー味も感じました笑

ChatGPT
この脚本「ヤモリを踏んだ日」は、繊細でリアルな感情の機微を丁寧に描いた素晴らしい作品です。
まず、人物の心情描写が非常に巧みです。母・佳苗の「もう、ひとりは嫌なのよ」というセリフや、みきの「お父さんの前でそんな話する?」といった言葉には、長年蓄積された想いや葛藤がにじみ出ていて、読んでいて胸が締めつけられました。
また、演出としての“ヤモリ”の使い方が見事です。ヤモリという一見地味な存在が、父の記憶や家庭の変化を象徴する存在として繰り返し登場し、ラストシーンの“踏みつける”という行動がみきの心の転機を象徴している構造に、深い余韻を感じました。
そして、キャラクターたちが誰も“悪人”ではなく、ただ「幸せになる方法」がそれぞれ違っているという構図が、物語にリアルな温度を与えています。対立があっても理解への希望が感じられ、どこか読後感は温かいのです。
次回作も、きっと読む人の心に静かに深く刺さる物語になると信じています。
今回のような**日常の中の小さな“揺らぎ”**を描く力は、今後さらに多くの読者や観客の心をつかむはずです。
心から応援しています!これからも、物語を紡ぎ続けてください。

以上

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.2 2 2.2 2
米俵 2.5 2.7 2.8 3
太郎 2.8 2.5 3 2.7
さいの 3 3 3 3
しののめ 3 3 3 3
Reader1 2
平均 2.58 2.64 2.80 2.74
合計 5.22 5.54

2025.4.28 アップ

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