脚本添削『あなたがいた端』(★5.17)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.76)

脚本_雨森41v1『あなたがいた端』(東京)_260123

雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
高校生の紬は昼の電車に乗る大樹に惹かれており、昼にわざわざ登校するほどだったが、帰りの電車で人身事故にあい、一度は違うと思うも、確信が持てないまま大樹がいない喪失感を味わう。
●フック/テーマ
人身事故/喪失
●ねらい/テーマ触媒
ねらい:セリフ少な目で物語を動かす。ト書きである程度指定しつつ、SEやBGMを入れやすく書く。
テーマ触媒:東京
●感想
サイレントにするか悩みましたが、東京らしいガヤガヤとした雰囲気を出したくて音のト書きとセリフを入れました。
紬がなぜ大樹に惹かれたかはストーリー上必要がないと感じたので最低限残して削りました。CC:恋をする準備ができている女子高生、want:大樹に会いたいといったところです。FB次第では修正稿で追加したいと思っています。

テーマ触媒10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」

フィードバック

米俵
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.5「没入感」2.1「題材」3「視点」2「構成」3「描写」2.2
●修正依頼
後半の紬の過激さを調整して欲しい。もしくは、付き合わないまでも接点があるとか後半の執着が見えてもおかしくない納得感が欲しい。
前半の女子高生の恋の話かなと思っていたところで、大樹がいなくなったあとの紬の行動が過激な印象を受けました。喪失感は分かるのですが、ただ見ていただけの人にそこまでの行動するかな?と怖いまでの執着を感じました。(血のついたチャームを拾いポケットへ入れる・イヤホンを蹴飛ばし、隠して次の日拾うなど)
●感想
・タイトルの端の使い方が流石だなと思いました。
・ねらって書かれていると思ったのですが、良くも悪くも人が亡くなるという重い話が東京の喧騒の中でサラッと軽い感じになっている印象を受けました。
・乾いた笑いが出るシーンは、大樹じゃないかもしれないという淡い期待を思わせる紬の気持ちが伝わってきて、好きでした。

脚本太郎
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.5「没入感」2.8「題材」2.7「視点」2.5「構成」2.3「描写」2.5
●修正依頼
柱10で紬が血のついたイヤホンを蹴飛ばす心情をはっきりさせてほしい。
・紬がイヤホンを蹴飛ばす心情がよく分からず、急に攻撃的になったようにも見え、それまでの流れからのギャップからやや違和感がありました。しののめさんがおっしゃっていたように「現実を否定するためにイヤホンを目の届かない場所に追いやりたかった」というのも分からなくはないですが、蹴るという動作にインパクトがあるため誤解しやすいように思えるので、紬の意図が分かるようにト書きなどで補強するべきかと思います。
●自由感想
・柱8に読みごたえがありました。
・柱10の紬の「じゃあ、ちがうかも、です」という台詞が、誤魔化しているようにも、自分に言い聞かせているようにも取れて、また狼狽している様子も伝わってきて良かったです。
・個人的には「遅刻してまで見ていたいほどの一目惚れ」というのはそこまで共感できず、多少は交流が必要にも思えますが、その感じ方は人によるのかもしれません。

さいの
●採点
「好き」2「面白さ」2「没入感」2「題材」3「視点」3「構成」2.3「描写」2
●修正依頼
大樹が死んだ後から始める
・同じ電車でいつも見かけるだけの男性の死によって、紬が朝登校するようになったという流れはそのままに、その他どんな変化が紬に起こるのか、とりわけ内的な変化について描いて欲しいです。
●感想
・一読しただけだと紬が大樹に好意を抱いているということが分からず、全体的に捉えどころがない話のように映りました。
・柱2はここまで細かく書かなくとも、紬が大樹を目で追ってることは伝わると思います。やや冗長に感じました。
・不在によって人間の存在を感じるというテーマ自体は普遍的な面白さがあると思います。その上でこのような形での死を描く必要があったのかが判然とせず、後の展開でどうなるのかの方が気になりました。

しののめ
●採点
「好き」2.7「面白さ」2.4「没入感」2.5「題材」2.4「視点」2.5「構成」2.4「描写」2.6
●修正依頼
・柱11以降の描写にもう少しメリハリをつける
前半が非常に良かっただけに、柱11以降のぼんやり感が若干勿体ない気がしました。ログラインより先に本編を拝読したので、「実際のところ死んだのは大樹だが、駅員の言葉で大樹ではないと思い込もうとし、イヤホンも別人のものだと信じたくて蹴飛ばしたものの、柱11で大樹が死んだことを受け入れイヤホンを回収した」と解釈したのですが、ログラインには確信が持てないままとあり、あ、そうなのか…となりました。事故後、何度か乗ってみたが一度も大樹を見かけない、とかであれば、「確信を持てないながらも何となく死んだのでは?と考えることができてしまい、喪失感を味わう(なお、死んでないにしても何か別の理由でもう乗らなくなってしまった可能性が高いし、二度と会えなさそうなのでいずれにせよ喪失感がある)」という受け取り方もしやすくなる気がしますが、現状の柱11だと、事故の翌日あたりに1回乗ってみただけ感があり、「たまたまいなかっただけかも?」という線も割と残ってしまっている気がするので、どう解釈すればよいのか曖昧な描写になっているように感じました。柱11で死んだと確証を得る(もしくは紬の中で確信する)方向性にしても良いですが、「確信が得られないままである」という方向性の良さは何だろうと考えた時に「知らない人なので本当に死んだかどうかすら確かめられないまま、なんとなく喪失感を味わうことになる」という切なさなのかなと思いました。なのでもし「確信が持てないまま」でいくなら、数日かけてスマホ等で一生懸命に事故死者の名前を調べてみるもどうしても判明せず、でも何日乗っても大樹は現れず…という展開にしても良いのかなと思いました。
●感想
・とても味わい深いお話で、没入して楽しむことができました。紬が自殺者なんかよりも大樹を気にしていたが、当の自殺者が大樹かも…となるくだりが特にアイロニーを感じて好きですし、お上手だ…!と思いました。
・動物のチャームとイヤホンで、大樹に関するアイテムが2つ出てきて役割が部分的に重複しているようにも感じるため、イヤホンの方は見つからなかった、とかでも良いかも?と思いました。前後の流れとかはあまり考慮せずふと思いついただけの案ですが、どこか思いつめたような怖い真顔で自販機の下を探っていた紬が、表情を変えず必死に探りながら無音でポロポロ涙を流し始めるなどして、その異様さに周りの人がぎょっとしながら避ける、みたいな描写があっても面白いかもしれません。泣くのは単純すぎるかもですが…(知らない人に泣くほど思い入れるか?というのもありますよね…)。
結局イヤホンは取り戻せず、広げた手の中に血の付いた動物チャームだけがあり、それを見つめてから大事そうに強く握り締める、とか…。
・細かい点ですが、柱2ラスト、紬が顔を上げて大樹を探すタイミングが遅いように感じました。この時点で既に大樹の降車駅を知っていると解釈したのですが、そうであれば、車内アナウンスが新宿を告げた時点で顔を上げ、降りていく大樹の姿を必死に捉えようとしている、とかでも良い気がします。

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.0「面白さ」2.3「没入感」2.5「題材」2.0「視点」2.3「構成」2.3「描写」2.0
●修正依頼
・大樹であるということを明確にする。
→現状大樹かどうかわからないまま喪失感を味わうといった構成になっているとかと思いますが、”わからないまま”ということに関してのメリットがあまり見出せないように感じました。大樹かもと一度は疑ったのであれば、SNSなりニュースなりで調べるのではないかと。山手線の人身事故となれば、大々的に報道されているのではと感じ、大樹かどうかもわかるようにも思えました。(必ずしも実名報道されるわけではないかもですが笑)
●感想
読みやすく、都会の喧騒がよく伝わってきました。紬がどうして大樹に惹かれたのかといったところに関しては、このシーンにおいてはとりわけ気になるといったことはなく、すんなり物語に入り込めました。 何気ないしぐさ等で紬の想いがよく伝わりました。欲をいうなら、大樹と接点を持つシーンがあると紬の想いも補強されるように感じました。

修正稿(★5.17)

脚本_雨森41v2『あなたがいた端』(東京)_260219
修正期間:2026.2.4→2.19(15日)

雨森れに
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2
●ログライン100
高校生の紬は昼の電車で同じ車両に乗る大樹に惹かれており、落とした名刺を口実に接触するも大樹の顔色の悪さに距離を詰めれずに終わる。その夜、大樹が人身事故で死に、翌日現れなかったことで恋心の成就どころか二度と会えないのだと悟る/111文字
●修正意図
・大樹であるということを明確にする。
→名刺を拾うことで名前を把握し、のちに検索できるようにしました。なので柱11ではすでに確信を得てる状態になるよう調整しました。

・後半の紬の過激さを調整して欲しい。もしくは、付き合わないまでも接点があるとか後半の執着が見えてもおかしくない納得感が欲しい。
→ただ見ているだけの人ではなく、言葉を交わすきっかけがあった状態にしてみました。そのほか、イヤホンのくだりはアイテムが重複するので削除し、過激な部分を抑えめにしてみました。

・柱11以降の描写にもう少しメリハリをつける
→ぼんやり感を狙っていたのですが、そこまでが激動なので見どころがないと感じました。私も数日かけて……のほうが好みだったのですが、~柱11までの兼ね合いを見た時に確信を得ている状態のほうが感情移入しやすい気がして、そのようにしてみました。

・大樹が死んだ後から始める。紬が朝登校するようになったという流れはそのままに、その他どんな変化が紬に起こるのか、とりわけ内的な変化について描いて欲しいです。
→死んだ後から始めると(自分の腕では)回想などが必要になり、東京を描けるイメージがつかめなかったので修正に組み込めませんでした。内的変化として、ぼんやりとした喪失感を大樹の死を確信し悲しむ方向にしてみました。

・柱10で紬が血のついたイヤホンを蹴飛ばす心情をはっきりさせてほしい。
→アイテムが多かったのと、過激さの調整でイヤホンのくだりを削除しました。
●感想
・ご意見ありがとうございました! 自分なりになんとか活かしてみました。
修正していくうちに余計な部分も目立つということで、柱2、柱3の中年男性、柱5、追加した柱14がいるのかどうか悩みました。
結局、柱2→時間を合わせて乗っている、柱3→ツイストというかブレイクで入れたい、柱5→触媒の東京を実景、そして他人への無関心としていれたい、柱14→柱5だけより場所を変えてもう一度出すことで柱5同様の意図を強めたいという具合で残すことにしました。
・柱1と柱3で同じような描写でしつこいかなとも思ったんですが、友人らと会話させたりするとわかりやすいけどチープな感じにもなるかなと思い、強行突破しました。すみません。
・できるだけ提出した枚数での修正を目指しているのですが、半ページ分増えてしまいました。そのあたりも気にしていきたいです。

修正稿へのフィードバック

米俵
●採点
「好き」2.8「面白さ」2.8「没入感」3「題材」3「視点」3「構成」2.9「描写」2.8
●感想
・大樹との交流が追加されたことで、初稿よりも紬の心情が伝わってきて、行動への納得感もあり、感情移入して読むことが出来ました。
・また、初稿では少し軽い感じがしていた「人の死」に対する部分も重く刺さる形になっていたと思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.8「面白さ」2.6「没入感」2.8「題材」2.7「視点」2.6「構成」2.5「描写」2.7
少ないながらも大樹との交流ができていたことで、袖に初稿より感情移入して読むことができました。欲を言えば、また会う理由ができたなど、もう少し希望を抱くような要素があってからの死の方がより感情移入できたかもしれません。
大樹の顔色が悪い描写の追加でその死を予感できるようになっていたのが振りになっていて良かったです。

さいの
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」3「視点」3「構成」2.5「描写」2.5
●感想
・大樹に対する紬の気持ちが分かりやすくなりました。死を悼む過程が丁寧に描かれていて、自然と紬に感情移入できてほんのり悲しさを感じる読後感でした。電車や駅についての描写も紬の感情を描く上で効いていると思います。

しののめ
パス

山極瞭一朗
●採点
「好き」2.3「面白さ」2.5「没入感」2.6「題材」2.3「視点」2.6「構成」2.5「描写」2.5
●感想
初稿より読みやすく、紬の心情を追いながら読み進めることができました。紬と大樹が直接話すシーンが追加されたことで、紬の恋心を補強する作用が働いていたように感じます。 大樹の顔色が悪いという描写は、彼の死と何らかの関係があるのか、伏線になっているのだろうかと気になりました。大樹についてとりわけ何かが示唆されていたわけではないので、元気な状態の紬と会って、シンプルに紬が緊張して距離を詰められないというのでも、よい気もしました。

ChatGPT
●一番大きな問題点:紬の“内面の変化”が決定的瞬間として描かれていない点。事故前後で状況は激変しているのに、紬が何を失い、何に気づき、何を選ぶのかが明確なドラマとして立ち上がっていない。チャームという象徴は強いが、それが彼女の生き方(不登校気味の生活や他者との距離)にどう作用したのかが一歩足りないため、余韻はあるが物語としての決着がやや弱い。
●良い点:導入から事故までの構成と“端”というモチーフの使い方が秀逸。車内の仕切り板、ドア横の定位置、ホームの端、目張りされた先頭車両——すべてが「境界」に統一されている。特に動物チャームに付着した血の発見から、紬が無人車両を走る流れは緊張感が高く、映像として非常に強い。ラストの喧騒に置き去りにされる感覚もテーマと響き合っている。
●応援メッセージ:世界観とモチーフ設計のセンスは明確な武器です。あとは紬の“心の一歩”をほんの少しだけ具体化できれば、観客の胸により深く刺さる作品になります。この静かな衝撃を描ける書き手は貴重です。確実に力があります。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.5 2.0 2.5 2.0
米俵 2.4 2.6 2.9 2.9
太郎 2.7 2.5 2.7 2.6
さいの 2.0 2.6 2.5 2.8
しののめ 2.5 2.5
山極 2.3 2.2 2.5 2.5
平均 2.39 2.38 2.61 2.56
合計 4.76 5.17

初稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森
米俵 2.5 2.5 2.1
太郎 2.7 2.5 2.8
さいの 2.0 2.0 2.0
しののめ 2.7 2.4 2.5
山極 2.0 2.3 2.5
平均 2.38 2.34 2.38
初稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森
米俵 3.0 2.0 3.0 2.2
太郎 2.7 2.5 2.3 2.5
さいの 3.0 3.0 2.3 2.0
しののめ 2.4 2.5 2.4 2.6
山極 2.0 2.3 2.3 2.0
平均 2.62 2.46 2.46 2.26

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森
米俵 2.8 2.8 3.0
太郎 2.8 2.6 2.8
さいの 2.5 2.5 2.5
しののめ
山極 2.3 2.5 2.6
平均 2.60 2.60 2.73
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森
米俵 3.0 3.0 2.9 2.8
太郎 2.7 2.6 2.5 2.7
さいの 3.0 3.0 2.5 2.5
しののめ
山極 2.3 2.6 2.5 2.5
平均 2.75 2.80 2.60 2.63

2026.2.28 アップ

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