脚本添削『過ぎた正義』(★4.83)

※このページで脚本が読めます(初稿と修正稿、PDF形式)。

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初稿(★4.57)

脚本_山極11v1『過ぎた正義』(夏)_260404

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.3「脚本」2.2
●ログライン100
お節介で正義感溢れる正義は、痴漢未遂にあった女性を助けるため、御堂を注意し、挙句に暴行を働き、やがて警察から聴取を受けるが、自分のしたことは間違ってないと、悪びれることはおろか、行為を正当化する。
●感想
文字情報使っています。
夏らしさがあまり筋に絡んでいないので、なんとか絡めたいと思いつつ、出している状況です。
主人公に変化を持たせた方がいいのかもしれませんが、変化しないひとつの信条を持った人物を描きたかったという思いです。

テーマ触媒5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」

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雨森れに
●採点
「好き」2.2「面白さ」2.5「没入感」2.3「題材」2.3「視点」2.5「構成」2.3「描写」2.2
●修正依頼
・正義のキャラクターを調整する
この物語のエンジンは正義の「異常なまでの」正義感だと思うのですが、異常というより自己肯定感や本人の気づかない生きづらさのほうが強く出ている気がします。痴漢を防ぐために殺人まで犯す男が、柱4のやりとりをぽかんとするだけで終えるでしょうか。加えて自分を正当化している描写が常人の範疇かもしれないですね。もしくは、あえて生きづらさのほうを活かすとテーマ性が出ると思います。この場合は悩んだ上に監禁していた痴漢を殺すなどの葛藤が見せどころになるかもしれません。
●感想
・じくじくとした夏の苛立ちと正義の物言いがリンクした作品になっていると思いました。 もし夏が気になるのであれば、遺体がが腐り始めているとか、柱6から猛暑の気配を出しておくとかもありだと思います。どの程度の気温を設定しているかにもよるので、過去気象データを参考にするといいかもしれません。
・いつもよりシーン混みあっている気がします。おそらく刑事側に視点を渡している回数が多いからだと思います。柱2は必要だとして、柱7以降からを主人公の敵である刑事に渡すと刑事がBBを担うことになるかと。10分以上の作品なら群像劇の始まりでちょうどいいかもしれません。ですが10分だと主人公の描写も敵の描写もそこそこになります。事件が起こっているのに不完全燃焼になるといった具合です。ログラインに添ってできる限り主人公視点で進めると、更に山極さんの良さが際立つと思います!
・柱6のおばあちゃん子な描写と父親のバックストーリーが垣間見える会話がうまいなと思いました。こういうの好きです。

米俵
「好き」2.3「面白さ」2.3「没入感」2.5「題材」2.9「視点」2.2「構成」2.1「描写」2.3
●修正依頼
正義の善意が行き過ぎる人物像は伝わるのですが、現状はバーでのやり取りや祖母との会話、取り調べの場面など、全体的に正義がどういう人物かを説明する方向に寄っているように感じました。そのため、序盤から危うさが強く見え、ラストの自白が予想の範囲に収まっている印象でした。前半ではもう少し、空気が読めない一方で善人にも見える余地を残すと、殺人にまで及んでいたことが分かったときの怖さが、より際立つように思いました。
●感想
・善意や正義が行き過ぎたときに暴力へ転じる、というコンセプトは分かりやすく、短編として描こうとしているものが掴みやすかったです。タイトルと内容も噛み合っており、正義という人物の良かれと思って踏み込み過ぎるという異常性も一貫した方向で描かれているように感じました。
・ただ、過ぎた正義という題材に対して、正義の行為を皮肉として見ているのか、あるいは善意の暴走として怖がっているのかといった作者の視点が、現状はまだ少し見えにくいように思いました。興味を引く題材だとは思うので、人物の見せ方やラストの効かせ方が整理されると、より印象に残る作品になる気がしました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.5「面白さ」2.3「没入感」2.4「題材」2.7「視点」2.5「構成」2.5「描写」2.5
●修正依頼
・冒頭の正義による台詞を、彼の思想に合ったものにする。
「あなたは、間違っている」という台詞は作品のテーマに沿ってはいますが、正義の過激な思想からすると少し弱く、殺害にまで至るという異常さとは少しミスマッチがあるように感じました。冒頭ということもあり、もっとパンチの効いた彼の内面が分かるような台詞が欲しいです。
●感想
・随所で夏の暑さが表現されているのが、作品の雰囲気とも合っていて、視聴者も登場人物たち(特に刑事二人)と同じようにもどかしさを感じられると思います。
・過ぎた正義というテーマは個人的にも惹かれるものがあり、長編やシリーズ化してもSNSでのリンチなど現代的なテーマにも繋げられそうだと思いました。

さいの
●採点
「好き」2「面白さ」2「没入感」2「題材」3「視点」1.5「構成」1.5「描写」2
●修正依頼
・現状、なぜ正義が殺したのかというホワイダニットの構成になっていると思いますが、いかにありがた迷惑な人間だとしても殺人に至るには性急なように映りました。正義が歪んだ利他心を育んだ結果、大した悪を働いていない人間でも殺してしまったという種明かし部分が面白いので、ある程度ミスリードを作ったらどうかなと思います。つまり正義に殺人の大義名分がある、あるいは正義が殺していないかのように作るというものです。フラッシュアイデアですが、トップシーンは無くすか犯人をぼかしてフーダニットにしてしまう。和子は御堂のことを正義に相談したら、不思議と店に来なくなった。代わりに注意してくれたらしい。他にも次々世話を焼いてくれるので自分に好意があるからと思ってたら、本当にただのお節介らしい。最後警察が来て、実は殺していた、という具合です。
●感想
・ありがた迷惑な主人公が過剰な正義の代理執行として犯罪をするというコンセプト自体は面白いと思います。これから犯罪をする可能性がある人間を先に裁くという話だと、『PSYCHO-PASS』のドミネーターも想起します(ちょっとこれはノイズかなとも思いました)。主人公・正義の行為が偽善なのか、はたまた本心から良かれと思ってなのか等、もっと作者の視点が見えたいです。短編ならテーマ的にはやや拍子抜けな終わり方な印象、長編としてもこの後の展開が想像しにくいような幕切れと思います。
・柱1、「拳を突き出す」というト書きは素直に「殴りかかる」「拳を振り上げる」とかの方が分かりやすいです。
・柱3、正義のセットアップとしてはエアコンから何から何まで全て修理だったり片付けだったりが終わっている状態から始めた方がスムーズかなと思います。エアコンを修理するどころか廃品から使えそうなのを拾ってきて交換してたり、DIYしたお手製家具家電を作ってたりだとか、「そこまでやる!?」というフックがあると正義の優しさが過剰であることを印象付けられるように思いました。そして、それが店長には思いやりとして歓迎されている描写にした方が、その延長線で殺人したんだなーと繋がりやすいように思います。
・柱6、きっと祖母に褒められることがありがた迷惑のルーツにあるというセットアップなんだと思いますが、テンポを削いでいるので刈り込むか、無くてもいいと思います。店長との会話の中で「ウチの婆ちゃんがね……」とか軽く触れるくらいにしておいて、正義のDIYだらけの祖母の家をインサート的に映すくらいでどうでしょうか。
・あと、地名にどことなく世田谷っぽさを感じました。

しののめ
パス

修正稿(★4.83)

脚本_山極11v2『過ぎた正義』(夏)_260512
修正期間:2026.4.12→5.12(30日)

山極瞭一朗
●自己採点
「好き」2.5「脚本」2.4
●ログライン100
人のためになることなら何でもする正義だが、その性格は周囲から受け入れられず、息苦しさを感じる中、山中から人骨が発見され、その一人とトラブルを起こしていたことで、警察から聴取を受け、悪びれることはおろか、善意だと言い切る。
●フック/テーマ
お節介の息苦しさ/行き過ぎた正義感
●修正意図
冒頭から正義の仕業であることを示すことをやめ、刑事たちの視線を減らし、正義視点を多くするようにしました。正義の行動は100%の善意として、お節介であることの生きづらさを抱えながらも、善人でありたいキャラクターになるように調整を図りました。
●感想
文字情報使っています。
ほぼ全編書き換える形となり、初稿より整理できたように感じます。ただ、題材自体をまだうまく調理できていないようにも感じております。
よろしくお願いします。

修正稿へのフィードバック

雨森れに
●採点
「好き」2.4「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」2.3「視点」2.4「構成」2.5「描写」2.4
●感想
・観客側が正義への違和感を自然と感じられるような入りになったと思いました。融通の利かない考え方がわかりやすかったです。
・人骨の数は最初から14体にしてしまっていい気がします。現状だと追加で4体出てきたように取れました。セリフとかで補足してあげるといいかもです。
・わりと人数殺してて、どうやったんだろうと気になりました。殺人の数増やすと異常性もあがりますね。
・人の流れに逆行するのは映像としてだいぶ強いと思いました。場所も繁華街ということで、交通ルールの正しさが問われないような所なので、違和感がなかったです。
・麗華が「どうしてんだろ」って言うのがちょっとコメディっぽく思えました。性的に不快な思いしてるのに近況を知りたいような雰囲気だなと。もしそういう意図がないなら「別の車両にでもいんのかな」と不安から逃げる心境を忍ばせるとか、正義との対比で「別の人ターゲットにしたのかも。刑事さん、ちょっと調べてみてよ」と正統派な正義感出すとかすると引き立つと思います。

米俵
●採点
「好き」2.4「面白さ」2.5「没入感」2.5「題材」2.8「視点」2.4「構成」2.5「描写」2.5
●感想
・初稿で気になった、正義が序盤から危うく見えすぎる点については、今回、表面上は好青年にも感じられる描写が増えたことで、以前より自然に入りやすくなっていたと思います。バーでの「ありがた迷惑」や、スーパーでの万引き少年への対応も、正義が他人の判断より自分の正しさを優先してしまう人物であることが、行動として分かりやすくなっていました。
一方で、今回は14体の人骨という事件性が大きくなったことで、エンタメ性は上がったように思いますが、テーマの焦点は少しぼやけたようにも感じました。どちらかというと事件そのものに意識が向いてしまい、「善意や正義感が行き過ぎた怖さ」というより、「連続殺人事件」としての印象が強まりました。
個人的には、正義の怖さは大きな事件そのものよりも、日常の中で「自分は正しい」と信じて他人の境界線を越えてくるところにあるように感じました。なので、事件性を大きくするよりも、日常のありがた迷惑や小さな断罪が積み重なった結果として殺人に至る方が、「過ぎた正義」というタイトルにはより合っているように思いました。

脚本太郎
●採点
「好き」2.6「面白さ」2.5「没入感」2.6「題材」2.7「視点」2.6「構成」2.6「描写」2.7
●感想
・正義が人の流れに逆らって進むシーンがところどころ出てきて、彼の性質を視覚的に表していて良いセットアップだと思いました。
・万匹少年を止めるシーンや、死体が発見されて焦るシーンが加わり、初稿より正義がメインで話が動いている感が出ていました。
・冒頭の職場でありがた迷惑を指摘されるシーンは初稿の方が自然で好きでした。祖母の話も少し無理矢理出している感じがしてしまいました。

さいの
●採点
「好き」2「面白さ」2「没入感」2.5「題材」3「視点」1.5「構成」1.5「描写」2
●感想
・テーマや趣向が未整理な部分は初稿に続いて感じました。ネタの面白さはあるのでまだまだ面白くできる余地はあるかなと思います。ありがた迷惑と正義、過剰な私罰みたいな似たような概念の整理が必要かなと。
・率直に浮かんだ疑問としては、正義が単に復讐として痴漢魔を殺したという話と趣向的に何が違うのかなというのがあります。もちろん、正義が赤の他人のために疑いなく過剰な私罰を下せる異常な人物というのは分かるのですが、そのような異常さがセットアップ的に情報提示されたに留まっている印象があり、どう受け止めればいいのかなと思いました。どう見せたいかまで消化できたら化けるように思います。具体アイデアがあるわけでは無いのですが、すみません。
・罰として殺人を行うよりは、ありがた迷惑の延長線上に行為があるように描いたらどうかという指摘に関しては米俵さんと同意見でした。
・個人的にはこの構成だと、「正義、この後逮捕されて話終わりじゃん」と思ってしまいました。『ユージュアル・サスペクツ』みたいににこれから正義の取り調べが始まるのかなと妄想しました。それはそれで面白そう。

しののめ
パス

ChatGPT
●一番大きな問題点:主人公・正義の殺人に至るロジックがまだ飛躍して見える点。脚本全体は「善意の暴走」というテーマで統一されているが、現状だと万引き少年への執着と痴漢被害者を助ける行為は描かれているものの、「なぜ殺人まで正当化するようになったのか」の内面が十分には見えてこない。結果として、正義が異常人物であることは伝わる一方で、彼自身の中では筋が通っているはずの“正義の理屈”がやや不足している印象を受ける。あと一段階、「善意で救った経験」や「見逃した結果誰かが傷ついた経験」などがあると、彼の危うさがより説得力を持つと思う。
●良い点:テーマが非常に明快で、タイトルとの一致度が高い。「人のため」という言葉を繰り返し使いながら、周囲との認識が少しずつズレていく構成が上手く、終盤の取り調べシーンで一気に意味が反転する。また、バーの店長との会話も効果的で、「ありがた迷惑」という何気ない一言が、実は作品全体を象徴する台詞になっている。さらに、万引き少年の件を挟むことで、正義の異常性を殺人の前段階として見せているのも巧く、読者が自然に警戒心を抱ける構成になっている。
●応援メッセージ:短編ながらテーマの軸がぶれず、「善意」と「暴力」の境界を扱う作品としてとても読みやすかったです。特に正義という名前を持つ主人公が、誰よりも正しさに固執した結果として怪物化していく構図は印象に残ります。正義自身の理屈や過去がもう少し補強されれば、単なる異常者ではなく“理解できてしまう怖さ”を持ったキャラクターになりそうです。テーマ性の強さはかなり魅力的な作品だと思います。

採点

初稿 修正稿
好き 脚本 好き 脚本
雨森 2.3 2.3 2.5 2.4
米俵 2.4 2.4 2.5 2.6
太郎 2.4 2.6 2.6 2.7
さいの 2.0 2.0 2.2 2.0
しののめ
山極 2.3 2.2 2.5 2.4
平均 2.28 2.29 2.43 2.40
合計 4.57 4.83

初稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.2 2.5 2.3
米俵 2.3 2.3 2.5
太郎 2.5 2.3 2.4
さいの 2.0 2.0 2.0
しののめ
山極
平均 2.25 2.28 2.30
初稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.3 2.5 2.3 2.2
米俵 2.9 2.2 2.1 2.3
太郎 2.7 2.5 2.5 2.5
さいの 3.0 1.5 1.5 2.0
しののめ
山極
平均 2.73 2.18 2.10 2.25

修正稿「好き」詳細
好き 面白さ 没入感
雨森 2.4 2.5 2.5
米俵 2.4 2.5 2.5
太郎 2.6 2.5 2.6
さいの 2.0 2.0 2.5
しののめ
山極
平均 2.35 2.38 2.53
修正稿「脚本」詳細
題材 視点 構成 描写
雨森 2.3 2.4 2.5 2.4
米俵 2.8 2.4 2.5 2.5
太郎 2.7 2.6 2.6 2.7
さいの 3.0 1.5 1.5 2.0
しののめ
山極
平均 2.70 2.23 2.28 2.40

2026.6.9 アップ

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