『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち いま読みたい38人の素顔と作品』(読書#11前編)


村上春樹からボブ・ディランまで。世界で話題の文学は、こんなにも面白い!
毎年10月に発表される、ノーベル文学賞。その候補者と噂される作家ばかりを紹介した文学ガイドが登場! 27カ国38人の作家を、早稲田大学、東京大学、学習院大学、一橋大学などで教鞭をとる専門家たちが、プロフィールから有名作品の見どころまで、わかりやすく解説されています。それぞれの代表作のあらすじ、日本語訳がある作品リストはもちろん、「この作家が好きな人は、他にこんな本を読んでいます」という読書案内までカバー。(Amazon商品の説明より)

【受賞者を3人的中させている本】
ノーベル文学賞は10月の木曜日に発表されます。明日です。
昨年は協会員のセクハラ問題で発表が見送りになったため、今年2019年は2人発表になるそうです。
ノーベル賞では、候補者が発表されないので誰が「(受賞に)もっとも近い」のかは不明です。しかしこの書籍に挙げられた作家から、過去3年の受賞者が出ているそうです。

イントロダクションの都甲幸治さんの言葉を引用します。

毎年秋になるとノーベル文学賞受賞者が発表される。今年こそは村上春樹が獲るのではないか。日本のメディアは期待を煽るが、気づけば聞いたこともない書き手の名前が読み上げられる。ヘルタ・ミュラーって誰だ? トーマス・トランストロンメルって翻訳あるの?
なぜこんなことになっているのか。実は、本書を読めばわかるとおり、ノーベル賞を獲るほどの作家には多くの場合すでに日本語訳が存在する。つまり熱心な翻訳者や研究者がいて、書物や論文の形で読者を誘惑しようと何年にもわたって努力し続けているということだ。(中略)「文学的意義」って何だそれ? 面白いかどうか、明日も生きていくための力を与えてくれるかどうかもわからない本に、時給換算で何時間分にもなるお金を投資するなんて、とてもリスクが大きすぎるよ。
 でもさ、実はその感覚こそが文学なんだ。世界中にいるどの作家だって、実際の社会の中で、日々金を稼いでなんとか暮らしている。ということは、僕らが直面しているのと同じ、あるいはそれ以上に厳しい理不尽さ、筋の通らなさに直面して、苦闘し、物語の形で思考を紡ぎ、僕たちとシェアしようとしている。文学は、芸術ぶった夢見がちなヒマ人がぼんやりと絵空事を書きつけているようなもんじゃない。むしろ見たくない現実を見て、生き延びるための言葉をどうにかして掴もうとする運動なんだ。

そういう一冊に出逢うのに最適な読書ガイドだと思います。

以下に、挙げられている作家と代表作をリストアップします。
・括弧内は生年と出身国。
・「作品の特徴」は引用。
・「日本語で読める作品リスト」は任意に選びました。
・人数が多いので前後編に分けました。
・書籍にはより詳しいデータも載っていますので、興味のある方はぜひ書籍をご覧下さい。

【38人の作家リスト(前編)】
村上春樹(1949年、日本)
作品の特徴:夢と現実、光と闇、「こちら側」と「あちら側」が交錯するシュールレリスティックな世界が、独特の比喩と話法で描き出される。
日本語で読める作品:

アシア・ジェバール(1936年、アルジェリア)
作品の特徴:旧フランス植民地のイスラム圏出身女性として、アルジェリアと女性をとりまく状況を歴史家の視点を交えて多声的、重層的に叙述する。
日本語で読める作品:

スヴェトラーナ・アレクシエヴィチ(1948年、ウクライナ) ※2015年にノーベル文学賞受賞
作品の特徴:戦争や災害、社会主義体制とその崩壊。そういった体験をしてきた人々の生の声を集めるオーラルヒストリー。
日本語で読める作品:

ジョイス・キャロル・オーツ(1938年、アメリカ)
作品の特徴:熟練のテクニックと綿密なリサーチで、アメリカの社会構造にいやおうなく規定される個人の生とそこに潜む性と暴力を生々しく描き出す。
日本語で読める作品:

ミラン・クンデラ(1929年、チェコスロヴァキア)
作品の特徴:省察、エッセイ、短編小説など多様なジャンルを組み合わせ、音楽的な変奏形式をしばしばとりながら、人間という存在を解明していく。
日本語で読める作品:

トマス・ピンチョン(1937年、アメリカ)
作品の特徴:重厚なのにスピーディ。深遠なのに笑わされる。近現代の歴史をまるごと、自分なりのフォーマットに落とし込む。
日本語で読める作品:

ウンベルト・エーコ(1932年、イタリア)
作品の特徴:著名な記号学者から小説家と転身した、「語る欲求」に忠実な作者によって用意された様々なしかけが、読む愉しみを刺激する。
日本語で読める作品:

ダーチャ・マライーニ(1936年、イタリア)
作品の特徴:1970年代よりイタリアのフェミニズム運動を牽引した作家として、フィクション、ノンフィクション(自伝含む)を問わず様々な女性の物語を扱う。
日本語で読める作品:

グギ・ワ・ジオンゴ(1938年、ケニア)
作品の特徴:民衆が植民地支配からの独立にかけた希望や夢が無残に壊れ、新たな権力に翻弄される社会と人間模様を、大きなスケールで描く。
日本語で読める作品:

ナーダシュ・ペーテル(1942年、ハンガリー)
日本語で読める作品:

アドニス(1930年、シリア)
日本語で読める作品:

ミルチェア・カルタレスク(1956年、ルーマニア)
日本語で読める作品:

高銀(1933年、韓国)
日本語で読める作品:

ヨン・フォッセ(1959年、ノルウェー)
日本語で読める作品:
※日本では『だれか、来る』『名前』『眠れ、よい子よ』『ある夏の一日』、『死のヴァリエーション』、『スザンナ』といった戯曲が上演されている。

ヌルディン・ファラー(1945年、ソマリア)
日本語で読める作品:
※簡単に入手できる日本語訳の作品はない。

サルマン・ラシュディ(1947年、インド)
作品の特徴:インド亜大陸の近現代史やイギリスとアメリカへの移民の物語を、宗教やテロリズムの問題を取り込みながら、魔術的リアリズムの手法で重層的に描く。
日本語で読める作品:

ドン・デリーロ(1936年、アメリカ)
作品の特徴:テロリズム、大衆文化、マスメディアなどが、現代人の心性にいかに影響を及ぼしているか。それを追及しつつ、意外な切り口で固定観念を揺るがす。
日本語で読める作品:

フィリップ・ロス(1933年、アメリカ)
作品の特徴:ユダヤ系移民の子として育った生い立ちを作品に色濃く反映させ、男としての利己的なまでの性衝動を描くなど、虚実とりまぜて自己を曝け出す。
日本語で読める作品:

コーマック・マッカーシー(1933年、アメリカ)
作品の特徴:外部の闇へ追放されるもの、消えゆく存在への共感的眼差しを備えつつ、血と暴力と死が充溢する(神話的)世界が描かれる。
日本語で読める作品:

作家リストの後編はこちらから。

●書籍紹介
ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち いま読みたい38人の素顔と作品

kindle版は半額近いのでお得です。

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ノーベル文学賞【増補新装版】――「文芸共和国」をめざして

緋片イルカ 2019/10/09

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