次回の読書会より、分析だけでなくて創作の要素をとりいれていくことにしました。
「作品合評会」と称して参加者から作品の応募を募り、講評したりしてしていきます。それに伴い、書いてみたいけど、どう書いたらわからないという方へ向けたヒントを書いていきます。(第一回はこちら)
前回は、主人公のWANT(目的)を決めると、それがエンジンとなって物語が動き出すということをヒントにしました。
今回は「事件を起こす」ことを考えてみます。
事件に巻き込まれる
「コンビニへ行く」という目的で、その理由が「強盗する」であれば、物語は自然と動いていきます。主人公のWANTが非日常的であれば、それだけでも物語は創れるのです。
けれど、派手なばかりが物語ではありません。
「コンビニへ行く」という目的で、その理由が「ランチの弁当を買う」ではどうでしょうか?
日常過ぎて物語にはならなそうに見えます。
そんなときは、非日常な事件を起こしてやるのです。
説明のため、一番わかりやすい例をあげるなら「ランチを買いにコンビニへ行ったら、強盗が入ってきて人質にとられる」です。
平凡な主人公でも、非日常に巻き込まれれば物語は動きます。
派手な事件の危険性
非日常であれば、どんな事件でも、物語自体は動きます。
ランチを買いにコンビニへ行ったら……
・街中の人がゾンビになっていた。
・コンビニの店ごとUFOにさらわれた。
・魔法使いのお婆さんと出会った。
SF、ファンタジー、ホラーといった超自然現象を扱ったものは、それだけで非日常となります。
しかし同時に、クリシェに陥る危険があります。
「街中の人がゾンビになっていた」→驚いて逃げだす→身を隠しながら仲間をみつけて……
ありがちな物語ですよね?
こういうのをクリシェといいます。
事件の非日常度が強すぎると、誰でも同じようなリアクションになってしまいキャラクターの個性をつぶしてしまいがちです(ゾンビになっていても驚きもしないような、ぶっとんだ主人公であればコメディなんかになるかもしれませんが……)
主人公にとっての非日常
事件がジャンルを決めてしまうことは多々あります。
ラブストーリーだったら、どうでしょう?
「コンビニへ、ランチを買いにいきたOL」が、そこで「素敵な男性に出会う」とします。
どんな男性でしょうか?
店を出ようとしたら雨が降っている。男性が傘を貸してくれて、自分は雨の中を濡れながら走っていってしまう。
これではクリシェです。どこかの少女漫画で見たことあるようなシーンです。
もっと読者に「素敵だな」と感じさせるようなシーンがあるはずです。それさえ思いついたら、物語は動きだすことでしょう。
ラブストーリーというジャンルの、特徴は「恋愛」というのは個人的な問題だということです。
ある人にとっては「傘を貸してくれた男性」が洒落くさく感じても、別の人にとっては素敵に感じたりします。
つまり主人公次第なのです。
「非日常な事件」というのは、主人公にとって非日常であれば、何でもいいのです。
閃いたら、勢いで書く
何かひらめいくものがあったら、考えすぎずに書いてみることをオススメします。
どこかで見たことあるようなアイデアでも恐れる必要はありません。
作品には必ず、作者の視点が入るので、同じアイデアでも全く同じになることはありません。恐れずに書きましょう。
一番、大切なことは書き上げることです。
書き上げなければ、誰かに見せることもできません。
すてきな作品ができましたら、ぜひ「作品合評会」にご参加ください。お待ちしております。
緋片イルカ 2020/07/21
今回は「事件」という視点から、書くヒントを考えました。
次回は別の視点からヒントを考えます。→ はじめての小説③「オチをつける?」
その他の参考記事:三幕構成の短編への応用:ミニマムビートシート(WISビート)(三幕構成10)