a:主人公 b:偽の主人公 c:敵対者 d:贈与者
e:助手 f:対象者(王女) g:依頼者(派遣者+王) h:追跡者
機能 | 行為者 | 内容 | 例えば…… | |
プロローグ | なし | はじめの状況を決定するプロローグ | ||
1 | 不在 | a, f | 主人公または対象者が一人になる | 一人で出かける、両親が死んで一人になる。 |
2 | 禁止 | a, f | 主人公または対象者に禁止を課す | 「この部屋を覗いてはいけない」「外に出てはいけない」 |
3 | 違反 | a, f | 主人公または対象者は違反する | 禁止を破り、敵対者が現れる。 |
4 | 情報の要求 | c | 敵対者は主人公または対象者に情報の要求をする | 秘密を聞き出そうとする。王女や王子の居場所。魔法のアイテムのありかなどを聞き出そうとする。 |
5 | 情報の入手 | c | 敵対者は情報を入手する | 主人公や対象者がうっかりもらいしたり、第三者が漏らすこともある。両親がいない=今は誘拐できるなど。 |
6 | 策略 | c | 敵対者は、主人公または対象者に策略をしかける | 探していたもの、人(対象者)を手に入れようとして、だまそうとしたりする。 |
7 | 幇助 | a, f | 主人公または対象者は、敵対者に結果として幇助する | うっかり策略にのってしまうなど。 |
8 | 加害・欠如 | c | 敵対者は、主人公または対象者に「加害」「欠如」を生じさせる。 | アイテム、姫を奪う、作物が実らなくなる、昼の光が奪われるなど、あるいは戦争など。 |
9 | 派遣 | g | 依頼者は、主人公を派遣する。 | 王から姫を救出を頼まれる。グリム童話などでは継母に追い出されるなど。この場合は継母が依頼者に相当する。 |
10 | 任務の受諾 | a | 主人公は、依頼者に任務の受諾をする | 主人公が救出をひきうけるなど。 ※プロップの定義では快く引き受けようとが、いやいや旅立とうが機能とは全く関係ない。 |
11 | 出発 | a | 主人公は、出発する。 | 旅立つ。 |
12 | 先立つ働きかけ | d | 贈与者は、主人公に贈与に先立つ働きかけをする | 贈与者に試練などを与えられる。あるいは戦いを挑まれたり。 |
13 | 反応 | a | 主人公は、贈与者の先立つ働きかけに反応する | 試練に挑む、戦いに勝つなど。 |
14 | 獲得 | d | 主人公は、「何か」を獲得する。 | 贈与者からアイテムを授かるなど。あるいは試練の結果として入手するなど。売り買い、略奪などもありえる。助手が仲間になるという場合もある。 ※ここでも善悪といった価値観は機能とは関係ない。 |
15 | 空間移動 | a | 主人公は、「呪具」、「助手」のサポートなどで、「敵対者」のいる場所に移動する。 | RPGで言うとラストダンジョンのようなもの。 ※RPGでは、12、13、14を繰り返すことで冒険が続き、最後にこの15へ行き着く。 |
16 | 闘争 | a | 主人公と敵対者は闘争する。 | 戦うなど。 |
17 | 標付け | a, f, c | 主人公は、敵対者もしくは対象者から「標付け」をされる | 体に傷を負う、姫(対象者)から指輪や怪我の手当を受けるなど。 |
18 | 勝利 | a | 主人公は、敵対者に勝利する | 敵への勝利 |
19 | 加害・欠如の回復 | a | 主人公は、8「加害あるいは欠如」を回復する | 姫を入手する、敵を倒したことで戦争や、加害が止まるなど。 |
20 | 帰路 | a | 主人公は、出発してきた場所へ戻るため帰路につく | 帰る。 ※物語はここで終わってもかまわない。 |
21 | 追跡 | b, h | 追跡者が、主人公を追跡してくる。 | 敵が完全に死んでいないとか、洞窟を壊す、あるいは偽の主人公、助手の裏切りものなど。 |
22 | 脱出 | a | 主人公は、追跡者から脱出する | 魔法のアイテムを使って逃れる、変身して逃れるあるいは、変身させられてしまうなどの場合もある。 ※脱出を成功してエンドというパターンもある。 |
23 | 気付かれざる帰還 (新たな加害・欠如) |
a | 主人公は、気付かれざる帰還をする。 (新たな加害・欠如を受ける) |
22の脱出の際に、変身などをさせられてしまう場合、身分を隠して逃れたなども含める。 ※プロップの31の機能はすべてがあるという訳ではないので、この機能がない話もある。 |
24 | 偽りの主張 (加害・欠如の拡大) |
b | 偽の主人公が偽りの主張をする。 | 敵は自分が倒したと主張する偽の主人公。 ※これもロシア魔法民話的である。 |
25 | 難題 | a | 依頼者は、主人公に難題を課す。 | 偽の主人公と、主人公を判断するための難題が出される。なぞなぞ、大量のビールを飲む、大量のパンを食べるといったものも。 |
26 | 解決 | a | 主人公は、難題を解決する | |
27 | 認知 (加害・欠如の回復) |
g, f | 依頼者または対象者は、主人公を認知する。 | 17の標付けを伏線として、主人公を主人公として認める。 |
28 | 露見 | b | 偽の主人公の正体が露見する。 | |
29 | 変身 | a | 主人公は変身する | 変身させられていれば、元の姿に戻るとか、新しい衣服に着替えるなど。 |
30 | 処罰 | g | 依頼者は、偽の主人公を処罰する | |
31 | 結婚ないし即位 | a | 主人公は対象者と結婚し、もしくは即位する。 |
・昔話の恒常的な不変な要素となっているのは、登場人物たちの機能である。その際、これらの機能が、どの人物によって、またどのような仕方で、実現されるかは、関与性をもたない。これらの機能が、昔話の根本的な構成部分である。
・魔法昔話に認められる機能の数は、限られている。
・機能の継起順序は常に同一である。
・あらゆる魔法昔話が、その構造の点では、単一の類型に属する。(1つの物語がすべての機能を一つ残らず備えている訳ではない)