イルカ感想・Aブロック

Aブロック作品

2004

2004:言葉あそびだけのオチは低俗に見えてしまいがちです。オヤジギャグを言われたときのような、作者はドヤ顔でオチをつけても、読む方は「まあ、おもしろいですけど……」と苦笑いになってしまうのです。しかし、この作品では全編が言葉あそびになっていて、それが売り子のキャラクターと相まって、白け感がありません。オチの「値も張る」の後、目の前の客が立ち去って「待って~な~」なんて引き止めようとする姿が浮かんで笑えます。シンプルに面白い作品だと思いました。欲を言えば「財布を買うた値段の二百倍が年収になる」という法則は、そこまで一般論ではなく、この売り子のキャラクターとも合わないような印象を受け、浮いたかんじがしてもったいないなと思いました。どんな財布かの描写をしつつ、さらなる掛詞をたたみ込んで欲しかったところです。

2006

2006:改行がなくて少し読みづらい作品ですが「元カノ」と有名人になっている主人公の関係に、時間の流れや感情の変化(あるいは変わらない気持ち)が浮かびあがってきます。「あれは」も「あれは……」としてしまいがちなところですが、俗に言う「三点リーダー症候群」に陥らずにピタっと止めているところにも、主人公の性格が表れていると思います。「香水」は時期的にも瑛人さんのヒット曲を連想させてしまう危険性がありますが、内容的にはとくに関連がないので問題ないと思います(数年後にこの作品を読んだら、誰も曲を連想しないでしょう)。「リハの時間だ」とか「もうあの香水使ってないから」といった少ない言葉で、説明をせずに、今の状況や関係性を伝えてるところも、よくできてる作品だと感心しました。

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