イルカ感想・Gブロック

Gブロック作品

2066

2066:オナガセアオマイコドリという特殊な題材を選んだところに一票入れました。このブロックでは、偶然にも「ネコオチ」がかぶってしまっていましたが、それを踏まえてみても、この鳥を選んだこと自体にオリジナリティがあると言えます。けっして「ネコはありがちでダメ」といった意味ではありません。今回は「春」というテーマで桜に関する作品が多いことは予想していましたが、それぞれに使い方や込められている情緒が違って面白味がありました。自分の目で見た者を描くというのは、作家にとっても大切な要素です。同じ桜でも「どう見るか」でちがいが生まれます。カラスやハトではなくオナガセアオマイコドリを見たことを評価したいと感じました。一般的に認知されていない「題材」を扱うときにむずかしいのは、どこまで説明するかという加減です。この鳥は「弟子を取りプロポーズでは二羽で舞い、とても時間がかかる」といったことはしっかりと説明しないと伝わりません(ちなみに『ダーウィンが来た』で見たことあります)。説明を冒頭でするか、オチにするかは選択できたのではないかと思います。この作品ではオチを選んでしまったため、作品全体がウンチクや解説のようになってしまっています。「人間と思わせて、動物でした」という構造は「ネコオチ」とも同じです。ここが、とても残念に思いました。たとえばの一例ですが、冒頭で説明してしまって、師匠と弟子のキャラクターをセリフなども使いながら描写してみたらコミカルになったように思います。

2069

2069:恋人ができて幸せなはずなのに、窓の外では「満開だった桜が静かに散っていた」。感情を書かずに情景描写に託すところは見事です。「世界一の肩書を持つ先輩」に対して、どんな感情を持っていたのでしょうか。好きだけと叶わないと思って諦めて付き合いだしたのか、憧れに過ぎず恋愛対象には見ていなかったけど、とつぜん告白めいたことを言われて複雑な気持ちになったのか。ここから、恋愛マンガの三角関係が始まりそうな予感が素敵です。先輩のセリフや性格がややマンガ的ですが、「世界一の肩書を持つ」ような先輩にはこういうところがあるのかもしれないとも思えて絶妙だと思いました。「俺は「知らない人」と答えることがしか出来なかった。」という一行が、未知と遭遇した瞬間のリアクションが描かれていて、とても好きです。

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