イルカ感想・Fブロック

Fブロック作品

2055

2055:SF作品。飛び立っていくロケットの中。加速中でGがかかっている中でしょうか。火星ではどんなミッションを課せられているのでしょうか。それでも忘れられない玄関の鍵に情緒があります。このキーアイテムだけでショートストーリーが一本作れそうな物語の予感を感じます。カトーという日本人の名前もマッチしていると思います。残念なのは描写が少なくて臨場感に欠けることです。Gがかかっているのなら、鍵は握っていられないでしょう。「覚悟を決めて」スイッチを入れる瞬間にも読めますが「飛行する」と矛盾します。仲間達の表情や、どんな形の鍵なのか、キーホルダーが付いているのか、そういう映像が見えてきたら、もっと世界に引き込めると思いました。

2058

2058:応募作品に限らず「ショートストーリー≒オチがある≒怖いオチ」というイメージを持たれてる方が多いように思います。これはショートショートや掌編を書いた先人作家が創り上げたイメージだと思いますが、現代の作家は新しいものを創り上げていかなくてはいけないとも思ったりします。この作品は「人間の狂気オチ」とでもいうようなパターンで、前半ではフツウに見せておきながら最後で「実は怖い人だった」というようなオチがつくものです。残念ながらストーリーにはあまりオリジナリティはないと言わざるを得ませんが、軽やかな語り口がとても面白いと思いました。改めて読んでみると「次のターゲット」が決して、猟奇的な意味とは限りません。そう解釈したとき、途端に、前半の「ばか丁寧言葉」や「うふふ」といった、この語り手のキャラクターが浮かび上がってきます。「どっちなんだろう? どうなるんだろう?」と、つづきを読みたくなります。

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