Mブロック
2123
●2123:社会で生きていくことの、むずかしさ、息苦しさを自分なりの言葉で表現しようとしているところに共感を覚えます。周りから「不自然な行動」と思われようと「鎧」をつくり、「鎧どころか、自分自身を変えてしまう人だっている」。そうやって、社会に適応していく人々を見つめながら、「私」は漏れ出して、「よく迷子」になる。丁寧口調の中に混じる「苦しいです」の一言が肉迫してきます。「鎧」「自分を変えてしまう人」「迷子になる人」、これらのイメージをもう少しまとめあげた方が、メッセージとしては伝わりやすくなりますが、反面、この崩れ方が、もどかしさを感じながらも、言葉を紡ごうとしているようにも感じられます。
2126
●2126:妊娠のタネと思わせておいて、ヨーグルトを増やす菌のタネだったというオチ。と、見せかけてヨーグルトを食べているだけで「本当に妊娠している?」とも読める。「大切に育てて」「今春ついに」というのはヨーグルトを増やすにしては時間がかかりすぎですから「妊娠」の方が狙いなのでしょうか。もう少しストーリーをどっちかにはっきりフっても、よかったかもしれません。最後まで読むと「彼」と「ダーリン」が別人なので、浮気でできた子という雰囲気が出ますが、初見では「彼」=恋人と読めてしまいます。「ヨーグルトでした」という方に落とすのであれば、フリでは、もっと毒を込めて浮気っぽさをフッてしまっていいと思います。逆に「妊娠でした」をオチにするなら、冒頭のフリはヨーグルトで入った方がはっきりします。いずれにせよ、せっかくのギリシアヨーグルトなのですから、白くねっとりした描写をすることで比喩にもできたと思います。もったいないところが目立つと思いましたが、ヨーグルトと子種を掛けるのはオリジナリティのあるアイデアチだと思い、投票しました。