映画『エスター・ファースト・キル』(視聴メモ)

感想・構成解説

「好き」2 「作品」2 「脚本」2

(※映画館鑑賞での印象分析)
pp1:エスター家に来る
mp:刑事殺害
fall:母親の本性
pp2:父なしで3人で家に帰る

エスター役の役者さんが26歳で12差を演じるといったところが話題にもなっていたようだが、監督、脚本は前作とは別の人ということで怪しい気配は感じていた。前作の分析記事でも書いた通り「エスターが家に来る」はカタリストに来なくてはいけないところをPP1にしていたが、本作でも踏襲したようにPP1、MPは同じようなことが起きる(シリーズでビートで起きるイベントが似ていることはよくある)。ビートは意義を考えずに表面的になぞっても、何の意味もないが、悪いことに構成的に悪い前作をなぞってしまっているので劣化しかしていない。前作では母や子どもたちのドラマでなんとかアクト2のエンジンを保てていたが、本作に至ってたは観客がエスターの正体を知っている中、ひきとった家族の設定も薄く、説明的なアクト2が展開されるだけ。無意味なホラー的演出すらほとんどなく(ジャンプスケアという言葉を初めて知った)、頑張って見ていたがウトウトしてしまった。フォール以降で、新しいことをやったつもりなのだろうが、意外性こそあれ、ワンアイデアだけを面白がって展開させてしまったような粗悪さ。そもそもエスターに感情移入をできていないのに、エスターvs母・息子を見せられても、どっち視点で見れば良いのかもわからない。ショットの撮り方も両視点混在していてブレまくっている。オカシイやつらが沢山でてくるような、いい意味でのB級感すら出ていない。そのままビッグバトルに入り「いったい何の映画を見せられてるだ?」という気分。息子が一回フェンシングのお面をかぶって外すところはバカすぎて笑った(ボケが面白いというか、この程度のボケで笑いをとろうとしていることに失笑)。あとエスターと母が横並びで屋根に掴まるショットは構図が悪く仲良しにすら見えて笑えた。燃えさかる屋敷から出て行くエスターに、軽快な音楽をつけて、ジョーカーのようなダークーヒーロー的な演出をしたいのだと思ったが、それだとジャンプスケアを入れない理由も納得したが、エスターのドラマが薄っぺらすぎる。「生い立ちが不幸」という設定はジョーカーのようだとしても、本作のエスターは最初からサイコパス。ファーストキルというぐらいだから、むしろ精神病院に入れられる前をやった方がよかったんじゃないか。構成について、簡単な改善案は、母の本性が出るのをpp1まで前倒しすることではあるが、その発想に立てば冒頭の精神病院のシーンにいかにムダが多いかなどもわかる。そこまで考えて、最初に殺されたアナというカウンセラーがいたことを思い出した。根本的な問題が多すぎて、構成だけの問題ではないが、分析や執筆を勉強している人は、こういう作品をしっかり、どうすれば直せるかわかるようになることは、いい勉強になる。

イルカ 2023.4.13

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