「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。
037「想い出」
良い想い出、嫌な思い出、いろいろあると思います。
ここでのポイントは「回想は禁止」のまま、どう過去を扱うかです。
ここまで書いてきてレベルが上がってる作者なら「説明セリフ」がいけないのも当然でしょう。
ヒントとしては「想い出」が「キャラクターの〈いま〉にどう影響しているか?」です。
「想い出」は振り返らなければ忘れられた記憶になります。
漢字表記とおり「想い」が「出る」から想い出なのです。
そういったシーンを創作してみてください。
038「東京」
「海」「山」と描いてきた場所シリーズの延長です。
逆に「東京」という地域を指定します。
脚本コンクールでも地域主催のものでは、その場所を使うことが応募条件になっていたりします。
ついついヨイショするような内容になりがちですが、物語として舞台が影響していることが大切です。
官公庁が創るような地域紹介映像にならないように、しっかりドラマを創りましょう。
ヒントとしては「良いところ」だけじゃなく「悪いところ」もしっかり入れることです。
東京のどこを使うかは自由です。
港区と足立区と八王子市では雰囲気は違います。
東京から範囲を狭めて地域を描いてもいいし、広くとって「東京らしさ」を掘り下げても構いません。
039「植物」
樹木でも花でも苔でも、「植物」から連想をするものであれば何でもかまいません。
ト書きでは「花が咲いている」などではなく植物名を明記してください。
「花が咲いている」のように抽象的なアイテムとして使った場合、それは背景の一部でしかありません。
ですが、わざわざ「植物名をト書きに明記」するということは、その植物がストーリー上の意味をもっていることでしょう。
作中でイメージしたものに近い画像があれば、人物表の後などに添付してください(引用元も必ず明記)
040「身体障害者」
健常者は、ついつい描くことを避けがちな題材です。
障害者のキャラクターを描けないと思ってしまうのは、関わりを避けていることにも繋がります。
しっかり書かなくてはいけないと思うなら、調べれば良いだけのことです。
「精神障害者」は高度な描写力を求められるので禁止(作者が頭のおかしい人を描いてるようなつもりで、ただキャラクターが破綻してるだけになりがち)。
あくまで身体的な障害者としてください。
脳機能障害は、きちんと描けるなら構いません。
人物表などに医学的診断として、どういう障害を抱えているかを明記してください。
調べてもわからなかった、間違えてしまったなどは医者ではないので構いません(仕事であれば監修もつきます)。
ですが、調べもせず無神経に描写してしまう場合、批判も免れないという創作に対する責任も感じてください。
これは実は障害者に限ったことでないのです。
作者がただのキャラクターのつもりで、犯罪者とか特定の職業を描いたつもりでも、現実には相当する人が生きています。
現実の人間と真摯に向き合う姿勢がなければ、キャラクターの魅力は描けません。
たとえば、軽薄に見える人にも魅力があるし、嫌悪してしまうような人にも、その人なり過去や価値観があります。
「軽薄」とか「嫌悪」というのは、相手が持っている特質ではなく、こちらが感じている偏見かもしれません。
そういう「視点」を持てなければ、魅力的なキャラクターなど絶対に描けるようにならないでしょう。
このことの、とっかかりだけでも感じていただければ、今後の描写が変わっていくでしょう。
2023.6.18 公表
テーマ触媒のリスト
1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」
※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。