テーマ触媒4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」

「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。

013「ことわざ」

「ことわざ」をベースに物語を考えてみてください。

使う「ことわざ」は何でもOK。故事成語や四字熟語のようなものでも構いません。

物語の構成(オチなど)には、教訓的な意味合いが込められていますので、そのメッセージを的確に観客に伝える工夫をして下さい。

ルールとして「セリフ」と「タイトル」でその「ことわざ」を入れないこと。

つまり、説明などしなくても、読んだ人が物語から「つまり、あのことわざだよね」とわかることが理想です。

テーマを伝える練習にもなります。

014「母親」

どんな人間にも誕生したからには両親が存在したはずです(SF的な話はともかく)。

母親は肉体的な繋がりもあり、心理学的でもグレートマザーなど、特別な意味合いを持ちます。

母との関係でもいいし、母がいないことを描いても構いません。

どんな形でもいいので、主人公と母との関係が浮かびあがってくるようなストーリーを書いてください。

015「光と影」

「光と影」というのはテーマなど抽象的な意味合いにもとれますが、ここでは技術的な「ライティング」として捉えてください。

撮影のときに、ライティングに工夫が出るようなシーンを考えてみてください。

その光度は自然と、キャラクターの心情や、シーンの意味合いにつながるはずですので(繋がってなくてはいけない)、結局はテーマを描くことにはなります。

とはいえ、テーマから考えると大変ですので、まず表面的なライティングが活きるシーンとして考えて練習としましょう。

016「何も起こらない話」

ビートはテンポよく物語を進めていくためのものです。

途中で飽きられてしまう物語は、何か起きているようで、その実、起きていないのです。

では、あえて「何も起こらない話」を書いたら、どうなるでしょうか?

挑戦してみください。

この課題に限っていえば、つまらないと言われたら成功と言えるかもしれません(何か起きてるのにつまらないのは下手なだけですよ?笑)

無音の中で、耳を澄ますと、普段は意識しない音が聴こえてきます。

何も起こらないようで、キャラクターの小さな心の動きは実はビートになりえます。

あえて、ビートを殺したような話を書くのは、ビートのセンスを再確認するための練習です。

補足(2024.5.8)
このテーマの意図を補足しておくと、ミニプロット系というアークが緩やかな(MPが低いともいえる)ストーリーでは、一般視聴者は「何も起こらないところが良い」「雰囲気がいい」といった感想を抱くことがあります。一方で、ビートが明確な作品ばかり見慣れている人には「何も起こらなくて眠くなる、つまらない、意味がわからない」といった感想を抱きもします。こういうミニプロット系の良作は、アークが緩いだけでしっかりとビートがあります。一方で、だらだらとメインストーリーが全く進行しない会話ばかり続いているような作品は、ビートの観点からいえば「何も起こらない話」といえます。(こういうものには役者や雰囲気の魅力だけで人気のものも含まれます)。こういった違いを考えて欲しいというのが「何も起こらない話」を書いてもらう狙いで、舞さんが「起こっていると捉えるべきかも」と仰っていたのは、ある意味、意図としては成功しているといえるかもしれません。また、「ミニプロット」と「ビート的に何も起こらない話」の違いを理解するには、そもそもビートに対する基礎的理解ができていないと難しいのだろうとも思います。一応、テーマ触媒は前からこなしていただくことを想定して立てているのですが、このテーマはもっと後半に置いてもよかったのかもと思ったりもしますが。

脚本添削『眠気』(旧題:『桃太郎』)(★2.44)
脚本添削『好奇心』(★4.68)

テーマ触媒のリスト

1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」

リハビリ:「模写」「半模写」「脚本起こし」「演出模写」

※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。

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