映画『ゴジラvsコング』(三幕構成分析#142)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

【ビートシート】

「好き」5 「作品」4 「脚本」3

一個人の感想

「怪獣映画」の重要要素を「怪獣アクション」とするなら、これまで見た中で一番、見応えがあったと思う。お金はともかく、半端な軍隊攻撃よりも怪獣同士のアクションに重点を置いているところ。コングの人間らしさが動きに面白味を加えている。ただし、本作はやや敏捷すぎるのか、怪獣といよりヒーローもの的な動きも多く、せっかくの怪獣の巨大さを忘れてしまうところは演出ミスかもしれない。大人の事情があるのかもしれないが、タイトルは「コングvsゴジラ」が相応しいほど、コング視点で描かれる。メカゴジラが登場しているが、プロモーション的に公開まで伏せていたのだろうか。コングとゴジラが戦う理由など、因縁という程度で、雑な脚本だが、たぶん「怪獣映画」が好きな人は、そんな細かいところより、派手なアクションが見たいのではないか? 地下世界などアドベンチャー的な要素があるようで、描写のみで、ストーリー的にはわりとどうでもいいかんじ。「モンスター・ヴァース」の作品すべてに言えるが、登場人物が多いわりに、うまく処理できていないためセットアップに手間取って全体が遅れている。ただし「怪獣アクション」はなかなか時間を稼げるものでもないので、バランスをとる結果になっているが、どの作品も前半が説明的でだるい。シリーズ通してのキャスティングができなかったのか、中途半端にシリーズを跨いでいるキャラと、家族とかに入れ替わっていたりで紛らわしいし、観客の気持ちをフックするでもなく、どうでもいい説明が多い。小栗旬さんも、芹沢博士(渡辺謙)の息子である必要があったか? 東宝によるバーターだろうか。ストーリー上、意味がなしてなく日本人のファンからするとガッカリだろう(脚本家が日本の興収への影響を意識していない証拠ともいえそう)。以下は、シリーズ4作通しての興収比較。

『GODZILLA ゴジラ』2014

Budget: $160,000,000
58% $93,188,384
328% $524,976,069
$364,976,069

『キングコング:髑髏島の巨神』2017

Budget: $185,000,000
33% $61,025,472
306% $566,652,812
$381,652,812

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』2019

Budget: $170,000,000
28% $47,776,293
227% $386,600,138
$216,600,138

『ゴジラvsコング』2021

Budget: $200,000,000
16% $31,625,971
235% $470,116,094
$270,116,094

はじめ2作はゴジラとコングのリブート開始作品で、そこそこの興収を出していたが、3作目は明らかにコケている。4作目では初週の回収率の悪さと、最終的な興収を比べると健闘した方ではないか。3作目で、アベンジャーズ的な大集合作品をつくるのは早すぎたかもしれない。モスラ、キングギドラが出てくるが、17体怪獣がいると思わせぶりなフリをしておきながら、ストーリーやスケールを処理できていないショボさがある。脚本としても、人間と交流が可能なコングが登場する作品の方がうまく処理できている印象(それでもガバガバだが)。4作目は怪獣映画ならではなアトラクション的なショットなども面白味があるものも多かったし、映画館で見る価値のようなものはあったと思う。4DXでも楽しかったかもしれない。マーベルよろしく、エンドロール後に、別作品のフリのようなシーンがついていたが、4作品目にはなかった。今後はネトフリでアニメシリーズでコングの「髑髏島」のストーリーを展開していくとか。それは見なそうだが、今後の展開はやんわりと追っていこうとは思う。

イルカ 2023.5.16

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