映画『ファーザー』(★3.3)(三幕構成分析#116)

※あらすじはリンク先でご覧下さい。
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※この作品は「分析会」でとりあげた作品です。

※詳細は「分析会」で解説しましたが、内容の解釈が気になる人へ。
この映画は、セリフやシーン(部屋の内装などにも)論理的な矛盾があり、辻褄合わせが不可能になっています。サスペンス的な演出が一部で見られるため、解釈心をくすぐりますが、矛盾があるため、どれも主観的な判断の粋を出ません。論理的矛盾があることはストーリーや設定としての破綻につながりますが、それが「認知症患者の主観」という枠組みによって許容されています。構成上は夢や妄想と変わりません。認知症とサスペンスを合わせたことに新しさがあり、演技も上質ですが、純粋に脚本だけを見た場合、アクト2でのキャラクターアークが弱く、見る人の解釈まかせになるという特徴があります。認知症問題を身近に感じられる人は、自分の体験と重ね合わせて感動できるが、そうでない人には矛盾だらけのサスペンスにしか見えない欠陥があります。父と娘の視点の切り替えといった演出上の未熟さも曖昧さを助長しています。分析会ではどう対処すれば、ラストの感動をより盛りあげられたかなどを検討しました。「分析」と「解釈」の違いは大切で、分析では矛盾点などを独善的に判断せず(観客の立場であれば自由に解釈してよい)、その矛盾が観客にどういう効果を与えるかを客観的に判断することです。認知症患者主観のサスペンスという点は演出効果として部分的に成功していますが、もっとドラマを掘り下げる構成が容易に考えられる点などが、下記の脚本の評点にもつながっています。

【ビートシート】

評点

雨森 米俵 川尻 イルカ 参加者1 参加者2 参加者3 合計
好き 4 5 4 4 4 3 3 3.9
作品 5 5 4 4 3 3 4 4.0
脚本 3 5 4 3 3 3 2 3.3

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