「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。
073「殺人シーン」
以前にだした「キスシーン」と同様、人が人を殺すというシーンは物語で多用されます。
誰が、誰を、どんな理由で、どこで、どうやって殺すのか?
それを考えるだけでドラマになりそうです。
過激さという意味では「キスシーン」よりも「セックスシーン」に近いものがあります。
どういう見せ方をするのかという作者の「視点」が欠けると、ただの悪趣味なシーンになります。
あるいはクリシェな描写になるとも「殺人」が軽薄になります。
殺す側、殺される側のキャラクター双方を、しっかり人間として受け止めてから描きましょう。
074「病院」
以前に「警察官」を描いてもらいましたが、それに似て、物語上でよくあるシーンのひとつが「病院」です。
医師や看護師を主人公にすれば医療モノになりますが、今回はそちらの専門性ではなく「病院」という舞台を意識しましょう(とはいえ医療モノでも構いませんが)。
患者や家族を中心に描いても、医師や看護師の描写は関わってきます。
病気、怪我、事故。
病院にいる人にはいろいろな事情があって、同じ病気でも、患っている人間はひとりひとり違います。それぞれの人生があるのです。
「クリシェ」に注意して、病院を舞台とした物語を描いてみましょう。
075「飢餓感」
貧しい国では餓死する子どもたちがいて、食べるために犯罪に手を染めます。
あまり意識しない人が多いですが、日本でもホームレスや子どもなど年間の餓死者が2000人前後います。
そういった社会テーマを描くのが目的ではありませんが、お腹が空いている物理的な「空腹感」は、誰にでも理解でき、共感もできます(ときに同情ではあるが)。
物理的な食事は困っていなくても、精神的に「飢えたかんじ」「満たされないかんじ」を抱いている人は多くいます。
飢餓感とwantは繋がります。
主人公のwant自体が素直に共感できない場合でも(例えば「他人を蹴落としてでも金儲けする」)、キャラクターの飢餓感がセットアップされていれば理解はできます(例えば「幼少期に極貧で誰も助けてくれなかった」)。
大切なのは「飢餓感」の設定を説明することではなく、その「飢え」「渇き」の苦しさを描写して観客に伝えることです。
観客の理屈ではなく感情を動かすことを意識しましょう。
076「血」
血統、家族の血といった比喩として捉えても、「血液」そのものと捉えても構いません。
どんな描き方をしても「血」というものは、すべての人間に共通かつ、命に欠かせないもので、さまざまな意味を込められます。
あえて、抽象的なままにしておきますので、作者独自の「視点」で「血」というテーマと向かってみてください。
イルカ 2024.4.10
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※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。