「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。
093「生きる」
生きるということをテーマとして意識する場合、多くは「よりよく生きる」ということが浮かぶでしょう。
ほとんどの人が、不安や悩みを抱えて、解決することももないまま、生き続けています。
現実逃避のように一時的に苦しみを忘れることが、生きる糧になる人もいます。
フィクションである物語は、その役割を担う責任もあります。
「生きる」ことを、どう捉えるかは自由としますので、このテーマと向き合ってみてください。
094「愛」
過去には「ラブストーリー」の課題がありましたが、改めて「愛」を意識して、深いラブストーリーでも構いません。
あるいは「愛」を拡大解釈して家族愛、人類愛など「○○愛」という形に捉えても構いません。
憎しみが愛に変わることもあるかもしれません。
宗教では「愛」がとても崇高なものとして扱われます。
作者にはキャラクター達への「愛」が必要といえるでしょう。
「愛」をテーマに、自由に描いてみてください。
095「主人公のwant」
主人公の「WANT」は物語を動かす軸です。
主人公が何を望んでいるかが、その物語のテーマとなるとすら言えます。
「ライターズルーム」で、ここまで書いてきたあなたらなら、そんなことは当然理解しているかと思いますが「want」のレベル改めて考えるために、この課題があります。
「人を救いたい」という「want」をもった主人公であれば共感しやすいですが、「人を殺したい」という主人公はどうでしょう?
頭ごなしにダメということではありません。その人物が、どういう気持ちで「人を殺したい」と思っているかが重要です。
そこには、過去の体験などから、より深いレベルでの「want」があるはずです。それも「主人公のwant」です。
一方で、表層レベルでの「want」がないと、物語が停滞しがちです。
「人を殺したい」という感情から、具体的にどういった行動的な「want」を持っているか?
「テロを計画している」のか「通り魔をしようとしている」のか?
前者だとしても、さらに「爆弾」なのか「毒物」なのか?
そのための具体的な準備は、具体的なシーンとなっていくでしょう。
「主人公のwant」の捉え方は固定的だと、物語は平坦な薄っぺらいキャラクターになってしまいます。
ここでは、最低でも2つの違った回想の「want」を意識して書いてみてください(明記は不要)。
※過去の課題であった「二面性」の発展系でもあります。
096「物語」
作家とは文章で「物語」をつくる職業ですが、人類が文字を発明する前から「物語」は語られてきました。
作家は、本質的には「ストーリーテラー」です。
太古のストーリーテラーは神話を語りました。
日本では言霊思想があって、自分の名前ですら人に知られないように注意するような考え方がありました。
和歌も、貴族の教養や遊びになる前は、より神聖なものでした。
言葉や物語には、とても強い力があります。
現代では企業も個人も、インフルエンサーとなって、言葉や物語を操り、商品を売りつけたり尊敬を集めようとします。詐欺もあります。
職業としての作家は、フィクション(嘘の物語)を売って、収入を得るのだから、詐欺に近いものがあることは否めません。
職業倫理が問われるとも言えます。
医者が医療行為を金儲けと考えるか、誰かを助けたいと思って手を尽くすのかの違いを考えてみてください。
作家は、思いつきと才能で、好き勝手にフィクションをつくって、尊敬や印税を得る職業ではありません。
医者が患者を助けるためには技術が必要です。作家にも「物語」の技術は必須です。
この課題は、作家を目指す人に「あなたのwant」を問いかけるようなものでもあります。
登場人物に「作家」や「ストーリーテラー」にあたる人を想定してみてください(明記は不要)。
「物語」から考えたり連想したことを元に、自由に作品を書いてみてください。
イルカ 2025.11.20
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25:「演技所」「決めゼリフ」「感情操作」「いちばん書きたいもの」
※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。
