ライターズルーム・シーズンベスト2(2025/10-12月)

ライターズルームメンバーから提出されている「10分脚本課題」のうち、シーズン(3ヶ月)内で1人1本、エントリーされたものをイルカが採点・講評し「ジーズンベスト」を決めていきます。

今期のエントリー作品

※作品の並びはエントリー順です(イルカが読む順でもある)。

※作品は修正稿で評価。★の点数はライターズルームメンバー内での採点。

※感想などあれば、ご自由にコメント欄にご自由に投稿ください。忌憚なき意見を歓迎いたします。

しののめののの『生涯なんもしない相方』(★5.35)
https://irukauma.site/writersroom/study/45473/

山極瞭一朗『欲望と呪縛の間に』(★4.95)
https://irukauma.site/writersroom/study/45398/

さいの『店じまいの後で』(★5.55)
https://irukauma.site/writersroom/study/45383/

採点方式

通常の採点ルールに基づく「好き」の5点満点評価と、ストーリーサークルに基づく「題材」「人物(キャラ)」「視点」「テーマ」「構成」「描写」の6項目の各5点満点評価の平均値を「脚本」の点数として、合計10点満点にて評価。3点は商業ベースに乗ってもギリギリ許されるライン。なお、脚本でよく言われる下の要素については、下記に説明した通りの項目に含めて採点する。

設定の面白さ、アイデアなどは「題材」に含まれる。設定にオリジナリティがあるということは「題材」の加点材料となるが、説明ばかりしていると(つまり説明シーン、説明セリフ)は「構成」や「描写」での減点材料となる。

セリフの巧拙は「描写」に含める。コピーライトのようなキャッチーなセリフなどは、それだけで加点される可能性は高いが、シーンに合致していない場合、減点もされる可能性がある。逆に日常的なセリフでも感情がしっかりと伝わってくるセリフは加点要素。その他、ト書きでの雰囲気や感情描写も「描写」に含む。また、シーンがクリシェにならず、オリジナリティのある場所や状況を採用していることも「描写」の加点材料となる。

タイトルの魅力さは「題材」「人物」「テーマ」など、関連する項目への加点材料とする。例えば、ストーリーの「題材」としているものに魅力がある場合、それをタイトルでもうまく表現できていれば加点されるが、せっかくの魅力がタイトルから伝わってこない場合、減点されかねない。「人物」が魅力的な作品であれば、タイトルからもその人物が連想されることが効果的になる。題材、ジャンル、テーマといった作品の魅力を伝える第一印象に当たるのがタイトルである。読者はタイトルの一行で興味を惹かれるかどうかの選別をしている。そこで「読んでみたい」と引き込むことが出来れば、よいタイトルといえる。

脚本では映像的に読めることが重要で、読み心地は読者の印象を左右してしまう。これはシーンの繋ぎ方(トランジションなど)の下位要素と考えられるため「構成」に含める。ワンショットの連続がシーンとなるように、一行一行の繋がりが、読み心地の良さに繋がっていく。

また、読み始めた読者がワクワクするか、ストーリーに引き込まれていくかというポイントは「ストーリーエンジン」が駆動しているかどうかが重要なポイントとなる。これは内容によって「構成」「テーマ」などに含める。

採点と講評

※以下、合計点の昇順

しののめののの『生涯なんもしない相方』★4.4(★5.35)
https://irukauma.site/writersroom/study/45473/

合計点 好き 脚本平均
4.4 3 1.42
題材 人物 視点
1.5 1.5 1
テーマ 構成 描写
1 1.5 2

「構成」:ストーリーが動き出す細川のケガが遅く、それより前のシーンは似たようなセットアップが繰り返されている印象。全体としては「ケガをきっかけに本音を語り合う」という展開になってはいるが、後述の「テーマ」のブレが構成のブレにも出てしまっている。シーン3以降、坂井のシーンが描かれているため主人公は坂井に見えるが、細川のケガを受けて、どんな変化があったのかが見えない。また、坂井を見せているために細川の気持ちも台詞で説明するだけになってしまっている。
「描写」:全体の読み心地は良い。読みやすいがためにト書きのムダな説明が目立ってしまっているとも言える。一例だけあげると、シーン1(つまりは物語の冒頭!)でト書きの説明が多いため、なかなか始まらないような印象を受ける。会話から始まるようなスピード感が欲しい(山極さんの『欲望と呪縛の間に』は参考になる)。読者は映像を浮かべながら読むので、改行でいくつも説明的なト書きが続くと時間が止まっているように(動画の停止ボタンを押されたように)感じてしまう。最後のタクシーでの「ひと笑い」は面白い。キャラを見せながらの、こういう描写が他にもいくつか欲しいところ(例えば細川がケガをするシーンを面白く見せられた?)。
「テーマ」:ここに一番の問題がある。「芸人」という題材を使って作者は何を伝えたいのか? 「お笑い」は好きな人も多いため「題材」としては珍しいものとはいえない。「相方が何もできない」という話もバラエティでもよく聞く話。ただ「芸人」を書いているだけになっている印象。独自の「視点」がなければクリシェになってしまう。タイトルも説明的で魅力は感じない(「生涯」というほどなのか?)
感想:全体的に読みやすく、ラストではドラマっぽいシーンも描かれていて、基礎的なことはできている脚本だと思います。初心者の多いスクールであれば「上手だね」「面白いね」と褒められそうと感じますが、商業的な視点から判断するなら、ショートであれ長編化するのであれ、映像化する価値があるかというと疑問を感じます。プロの芸人自身が書いている自伝的な作品などもある中で、本職でない脚本家が「芸人」を使って何を描くのか。これは「芸人」に限ったことではなく、作家はたいていは自分以外の職業を描くのではありますが、「芸人」のようなエンタメ業種を扱うことは同業種を扱うようなものなので、「医者」や「弁護士」を描く以上に題材とする意味が求められます。また、どの職業でも、仕事に見合ったシーンや描写が求められますが、例えば「ミュージシャン」を題材にしていたら、どこかで演奏やライブのシーンが欲しくなるものですが(観客が期待するので)、そのシーンでの歌が下手だったりしたら、途端にリアリティが薄れます。この脚本で言えば、番組に引っ張りだこという様子が描かれていますが、それは設定の説明的なシーンにしかなっておらず、例えばシーン1の坂井や司会とのやりとりのあと「スタジオで笑いが起きる」というト書きがありますが、観客(この脚本の観客、読者のこと)も笑えるレベルの会話をしているか?ということが重要です。「こいつら、本当に売れてるのか?」などと感じさせてしまったら、観客とキャラクターに心の距離ができてしまい、観客はストーリーにもついてきてくれません。逆に、シーン1で「彼らは売れている芸人である」というセットアップがしっかり伝われば、必要以上に番組のシーンを入れたり、説明的なセリフを入れなくても共感してもらえます。そうなれば、セットアップのシーンが減らせ、構成としても、すぐに二人の人間ドラマに入っていけるでしょう。坂井と細川はテレビやラジオにかなり出ているレベルの芸人のようですが、コンビを組んで何年目なのか、どういう下積みを経て今の地位にいるのか(例えば賞レースで勝って出るようになったのか、地道に売れてきたのかなど)、そういったバックストーリーが伝わってこないようにも感じます。どういう芸歴なのかは、細川が「何もできない」と言われたことから「頑張ろう」と思う動機にもつながるドラマの核心に影響することなので、曖昧なままでは観客は入り込めません。はじめに書いたように、脚本として基礎的なことはできているので、次のレベルに上がるめには、小手先で設定ありきの「つくり話」をするのではなく、キャラクターを生身の人間として捉えてリアルな感情を描写することが必要になってきます。「細川という人間はなぜ何もしないのか?(どうしてそうなった?小さい頃は?)」「そんな細川が変わろうとしたのは何故なのか?」「相方の坂井はどう向き合っていくのか?」といった人間洞察を深めてから描くことができれば、キャラクターにリアリティがでてきます。坂井と細川が、実在する芸人さんのように感じられて、観客が「この二人をもっと見たい!」と感じるような描き方ができれば、その脚本家にしか書けない「芸人」の物語になっていきます。

山極瞭一朗『欲望と呪縛の間に』★4.6(★4.95)
https://irukauma.site/writersroom/study/45398/

合計点 好き 脚本平均
4.6 3 1.58
題材 人物 視点
1 1.5 1
テーマ 構成 描写
3 1 2

「構成」:トップシーンのテンポ感はとても良いが、だんだん失速していく印象。シーン3の琴美のシーンが、流れを分断していて致命的に邪魔になっている。長い話の冒頭10分だとしても、ここに置く必要のないシーン。10分という長さと、描こうとしている内容が噛み合っていない。長い話の冒頭であるなら、尚更、しっかりとキャラクターをセットアップしていく必要がある。琴美、玲奈、紗季と、キャラが分散してしまっているとも言える。10分内であれば3人もいらない(極論で言えば紗季への取材のシーンだけで10分ぐらい書くことだってできる)。
「描写」:引っかかりがあるが、読み心地は悪くない。リアリティとして「クラブのVIPルームに週刊誌記者が入り込んで突然、写真を撮って殴る」という行為(シーン)を許容できるかで、人によって好き嫌いや、作品への評価が変わる。許容できない人は、トップシーンだけで読む気が失せてしまうだろうが、許容できる人にしても、リアリティを捨ててまでその作品についていく価値があるかどうかが問われる。例えば、リアリティはともかく「キャラクターが、めちゃくちゃカッコイイ!」とかであれば、ついつい読んでしまうが「テーマ」がリアル寄りなので、大きなマイナスになってしまっている。
「テーマ」:作者に描きたいテーマがあるというのは一読しただけで伝わってくる。それは物語の強さにもつながり好感が持てる。一方で、タイトルにある「欲望」「呪縛」といったキーワードが、この作品のテーマにあたる言葉としてぴったり当てはまるかと問われれば、疑問を感じる。テーマに対して、どのように物語に落とし込むか、作者自身が掴めないまま書いている印象。それでも、節々からテーマが滲みでているのは評価に値する。
感想:トップシーンのスピード感はとても良く、一気に引き込まれます。同時に「描写」の項に書いたように、リアリティがありません。例えば「クラブの経営者は千木良をVIPルームに通すか?(警察でもなく強制力もないのに?)」という疑問が浮かびます。あるいは「千木良がこっそりと忍び込んで入ったのか?」 それらに対する答えが作中の描写からは特定できません。「千木良は、こういう方法で入り、それなら現実で出来そうかも」と思わせる描き方がされているだけで、この疑問はいったん解消されます(ケアすると言う)。リアリティを持たせるというのは「実際にできるかどうか」というリアルの問題ではなく、観客が「それなら納得できると感じる」ように説得ができるかどうかの問題です。「製薬会社の社長が裏で麻薬を捌いている」という設定も、セリフ一言で片付けるには大きな事件過ぎる印象があります。刑事ドラマでも1話以上かけて、迫っていくような大きな事件に対して、ワンシーンの殴り込みで、それに関連する次のシーンがシーン8の出版社が取材しているシーンだけというのも、リアリティとしてアンバランスです。シーン1で「警察を呼んでいる」と言っているが、警察が動いているのであれば世間的に大ニュースになってしまっているリアクションなどが、全くないまま、取材しているのに違和感を憶えます。これも、世間にはまだ発表されていないとか、何らかの理由があるのであれば、それを明示してもらえればついていけるのですが、その辺りが「ケアされていない」ということがリアリティのなさです。上記は一例で、細かいことを挙げ出すとキリがないのですが、根本的には「リアリティと向き合いが足りない」というのがこの作品の課題だと感じます。実際問題として、アニメや地上波ドラマでは、このようなリアリティのなさは許容されています。アニメやマンガは、そもそもが絵なので許容しやすいのですが、実写として人間が演じた途端に、そのリアリティが悪目立ちすることをまずしっかりと理解してください(マンガを実写化したときの違和感とかアンパンマンの絵と人間が入った着ぐるみを見たときの差など)。また、日本の地上波ドラマでも、リアリティのないキャラクター(役者)だけを押し出したような作品は許容されがちですが、現在、地上波ドラマの視聴率は低迷傾向にあり、放送されたものが配信などされることからも世界的な基準が求められるときに、リアリティのなさはネックとなります(これは韓国中国以外のアジア圏のドラマを見ると気づけます)。いずれにせよ、当ライターズルームでは、質の高い実写ドラマを目指す方針ですので、リアリティのなさを許容はできません。裏を返せば、はっきりと強いテーマをお持ちの作者だと思いますので、そのテーマに説得力を持たせるようなリアリティのある描写が出来るようになれば、それは世界にも通用するレベルの脚本になっていくと感じます。簡単なことではありませんが、安直なリアリティに甘んじず、多くの人の心をきちんと掴める作品を目指していって欲しいと思います。

シーズンベスト

さいの『店じまいの後で』★6.3(★5.55)
https://irukauma.site/writersroom/study/45383/

合計点 好き 脚本平均
6.3 4 2.33
題材 人物 視点
2.5 3 1.5
テーマ 構成 描写
1.5 2.5 3

「構成」:トップシーンの丁寧で情緒的な駄菓子屋の描写から始まり、閉店を惜しむ父子のシーン、夜に現れる少年の流れまでスムーズで、物語に引き込まれる。シーン4や8などの段取り的な時間経過シーンは、うまく省くか、意味のあるシーンにすることで、よりストーリーの推進力を付けられるか(動き出したストーリーに薪をくべるイメージ)。
「描写」:シーン2までの描写が見事。真由美は名前を出したからには見せるか、別の理由で父子を面に誘導する方がいい。老人ホームも情報だけ浮いている(良い設定なので、削除するより、しっかり引っ張った方が良い)。少年と少年の父の設定は要検討か。
「テーマ」:見事な「描写」に比べてオチに面白味や捻りがない。10分脚本として、大きな出来事を起こさずにまとめたのだと感じるが、10分として纏めるなら捻りが必要。50分ぐらいに延ばすなら、駄菓子屋から関連する「テーマ」を強めれば、良いものになりそう。「テーマ」が立てば、タイトルも自然と変わってくるはず。
感想:とても雰囲気のある脚本だと思います。駄菓子屋という題材は、それだけで味わいのある場所ですが、父、子、死んだ妻といった人間がしっかりと描けているので相乗効果を生んでいます。店じまいした後の、少年の登場もカタリストとしてミステリーエンジンを駆動させていて、セットアップの後にすぐにストーリーが動いていく感じを与えて引き込まれます。作者が自覚の上でやっているのではないかと感じますが、オチが平凡すぎて、最後まで読むとがっかりします。義彦が、少年を気にする過程やオチに「面白味」があれば、10分のショートドラマとしてしっかり完成します。その場合は、シーン1、2の設定回りの説明が邪魔になってくるので刈り込む必要があるかもしれません。あるいは、1時間ものなどの最初の10分と捉えて、義彦と少年の「老人ホーム」に入るまでのドラマ(PP2で老人ホームに入るかもしれませんが)などにしていけば、応募用のストーリーとしても魅力的なものにできそうです。その場合は、観客が1時間のドラマを見るに値する「テーマ」が必要になってきます。例えば、義彦の「やり残した過去」とか、少年の希望や悲しみといったものを設定として作り、二人の人間が関わることで変化していく様子を描ければ「物語」として成立していくと思います。何を「テーマ」とするかは、作者の「視点」次第、つまりは作者が物語を通して、どんなメッセージや思いを伝えたいかです。そこを定めれば、修正として、どのシーン、どのセリフが不要で、逆に欠けているものが何かも明確になってくると思います。このまま課題の1本で終わりにするには、もったいない脚本なので、ぜひ修正して、どこかに応募して欲しいなと感じる作品でした。

総評

合計点 好き 脚本平均 題材 人物 視点 テーマ 構成 描写
生涯なんもしない相方 4.4 3.00 1.42 1.5 1.5 1 1 1.5 2
欲望と呪縛の間に 4.6 3.00 1.58 1 1.5 1 3 1 2
店じまいの後で 6.3 4.00 2.33 2.5 3 1.5 1.5 2.5 3

今回はエントリー作品が3作品だけだったので、各作品に「テーマ」「構成」「描写」の3項目に分けて細かいコメントも加えてみました。合計点の高い低いといった数字だけでは見えてこない、その作品の優れた点や問題点に目が向けていただければと思います。採点に関しては、前回も書いた気がしますが、1点と2点の差などは、コンクールで見れば落選レベル(1次通過でも2次通過でも落選は落選、受賞しなければ価値はない)、商業的な基準で見れば「ボツ」ということで、ひっくるめて大差ないと捉えて欲しいと思っています。ですが、今回は2つの作品で「3点」=商業の最低ラインに値する点を付けました。
1つは『欲望と呪縛の間に』の「テーマ」。かなり荒削りでテーマを掘り下げきれているとは言えず「3点」とするか少し迷いましたが、ストーリーが散らばっていながらも、作者がテーマを描こうと藻掻いている感じはハッキリと伝わってきたので「3点」を付けました。商業作品でも、そもそもテーマが薄く弱いものはたくさんあるので、それを踏まえれば「3点」としても良いと判断しました。ベテランのライターはテクニックは安定しているので、それなりにベタな面白さを作れるのですが、しっかりとテーマを持って書ける脚本家はプロでも少ないので、強い「テーマ」を持って書けるのは長期的に見て、強みになっていくはずです。面白いものを書けるだけのライターは山ほどいますが、その人にしか書けないものがあれば、その人に仕事が来るのです。
もう1つ「3点」をつけたのは『店じまいの後で』の「描写」です。しっかりとキャラクターのバックストーリーを考えた上でセリフを書いているのがわかり、登場人物に人間味がありました。駄菓子屋という舞台ともマッチしていました。しかし、ストーリーが動き出すと、平凡な展開と当たりさわりのないキャラになってしまっているので「テーマ」や「構成」では「3点」は付けがたいと感じます。それでも両作品とも「3点」が1つでもあることで、そこを軸として、他の要素を修正していく基準にしていけます。詳しくは、それぞれの講評で書きましたので要点だけ繰り返すと『欲望と呪縛の間に』は「テーマ」はある反面、リアリティのある「描写」に問題があるため、「テーマ」に説得力を持たせるためのリアリティを固めていけばシリアスな魅力あるドラマになっていきます。『店じまいの後で』は駄菓子屋と人間の「描写」は魅力的なので、それに見合った「テーマ」や「構成」(ストーリー展開)をつけていけば、10分ものでも、1時間ものでも、良いものに修正できそうです。『生涯なんもしない相方』については「3点」を付けられる部分を感じませんでしたが基礎的な力はあるので、書き続けていけば良いものが必ず「3点」は出てきます。「3点」は実際は大したことないので、ド素人でもホームラン的に書くことがあります。言い換えるなら、ド素人ではホームランでも「3点」にしかならない、プロは「3点」ぐらいはヒットぐらいで出せるということです。
これも前回も書いたことではありますが、講評の中で作者名ではなく作品名で評価をしているのは、あくまで今回エントリーされた作品に対する評価に過ぎず、ましてや作者自身の評価などではありません。エントリーされていない作者も含めて、既に提出されたものの中にも、僕が読んでいない、もっと素晴らしい作品があるかもしれませんし、これまでになければ、今後、書けば良いだけです。書き続けていれば必ず良いものを書けることがあります。大事なのは、その良い部分をしっかりと掴んだり、修正して仕上げる忍耐力があるかなどです。プロのライターでも、初稿でいきなりすごいなんてものは書けません(3点ぐらいは出せても、いきなり5点を書ける人などいない)。仕事だから、そこまで持っていくために何度も何度も直していった結果が、世間で公開されてい作品です。苦言を呈すわけではありませんが、前回のシーズンベストに選んだ脚本太郎くんの作品は、修正すれば良いものになると感じて、3ヶ月猶予があるコンクールへの応募を勧めましたが応募できませんでした。修正をせずに出したところで厳しいと思いますが、しっかりとした修正に向き合って応募するという行動をしなければ、受賞することありません。受賞に届かないとき、足りないものは「ひらめき」や「運」といった抽象的なことではなく、しっかりと仲間内なり、僕なりの評価を上げるところまで直して、期限までに応募するということだけだったりするかもしれません。脚本太郎くんも、前回の応募には間に合わなくとも、今後やれば良いだけだし、やらなければ一生、受賞など出来ない可能性もあります。
このシーズンベストは途中経過の確認みたいなものなので、驕らず、落ち込まず、くじけず、どうぞ書き続けてください。「途中経過の確認」という意味では、今回から僕がつけた点数の横に、皆さんのフィードバックで付けた点数を残したまま表記しました。皆さんとのズレにも注目してもらえればと思います。どうしても仲間内の評価は、人間関係も気にして甘くなりがちなところがあるし、同時に、皆さんの中で「まだ受賞もしていないし良い点をつけるほどのものは誰も書けていない」という思い込みのようなものも生まれてしまっているかもしれません。マンネリで社交辞令的な採点をするのではなく、しっかりと「良いものは良い」「ダメなものはダメ」と言い合えるフィードバックがしていけると良いと思います。そういう「良い作品とは何か?」という基準を見直すためにも、僕の評価と皆さんの評価を並べて表記してみました。僕の基準が正しいというつもりは全くありませんが、自分の中での「良い基準」をしっかりと作って、それを満たす作品を書くようにしてください。他人以前に、自分が面白いと思っていないければ、他人を感動させるなんて、難しいのではないでしょうか。

補足資料:
イルカが勝手に書き換えたバージョン。設定やセリフはなるべく変えないまま。テンポなどの一例として(※決して、これが正解という意味ではない)

『生涯なんもしない相方』の冒頭部分
iruka脚本_しののめ06v2『生涯なんもしない相方』(二面性)_251219

『欲望と呪縛の間に』の冒頭部分
iruka脚本_山極04v2『欲望と呪縛の間に』(はじまり)_251201
イルカ 2026.1.8

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