ストーリーサークル1「題材」(文学#34)

ストーリーサークルは僕が考える「物語を捉える指針」です。

原型は100文字小説大賞の選考をした際に考えついたもので「100文字小説大賞」最終選考会の音声でも解説していますが、その後、考え方が深まりサークル内の項目を入れ換えました。

また、読書会では前説として三幕構成やビートシートなどと併せて必ず触れています。

ストーリーサークルの考え方は、企画など物語を創作する上でも使える指針なので、1つずつ説明してみようと思います。

サークルの見方

ストーリーサークルは三つのサークルが重なった図ですが、これは数学でベン図と呼ばれる、よくある図なので言わんとすることは、直感的にお分かりなるかと思います。

大きな三つのサークル「視点」「題材」「人物」の三つが重なりあったところに「物語」が置かれています。

「物語」は小説や映画と置き換えて考えてもらって構いません。

つまり「視点」「題材」「人物」という3つの大きな要素によって「小説」が成り立っていると言えるのです。

この3つのサークル=3つの要素について個別に説明していきます。

今回は「題材」についてです。

「時空」としての題材

題材とは、その物語が扱ってる題材です。ジャンルと似ているところもあります。

「戦争もの」「ホームドラマ」「ミステリー」「ラブストーリー」……

こういったものはジャンルとして、よく使われる言葉です。

「戦争もの」をもう少し、分類していくと「世界大戦」でも第一次なのか第二次なのか、あるいは「十字軍の遠征」や「アレクサンダー大王の領土拡大」なのか。

日本でいえば、戦国時代なのか、源平合戦なのか、神話をもとにしたヤマトタケルの遠征だってあります。

「戦争もの」と呼んでも細分化していけば無限にあります。

SFであれば「エイリアン」や「超能力者」との戦争(たとえばX-MEN )もあります。

古い時代の話になると「歴史もの」というジャンルになるかもしれません。

こういった大雑把な括り方がジャンルの分け方です。

あくまで、レンタルビデオ店の棚や、映画を紹介する上での分類に過ぎないのです。

それに対して「題材」は、もっと端的に捉えます。

一言でいえば「時間」と「空間」、

物語が「いつ」「どこ」の話なのか?という捉え方です。

「太平洋戦争中」の「日本」というのは、ひとつの言い方ですが、企画・創作していく上では、もっともっと具体的にしていくことで「ドラマ」が浮彫になってきます。

日本による真珠湾攻撃は1941年12月8日で、これによって「太平洋戦争」が始まったとされますが、

物語の「時間」は、

1941年の12月31日なのか?

1945年の7月頃(敗戦前)なのか?

で、まったく変わります。具体的な資料などを調べていけば、数ヶ月違うだけでも全く変わるでしょう。

また「空間」についても、ただ日本とするのではなく「東京」なのか、軍事工場が多い「広島」なのか、疎開先の「青森」なのかで、全く違います。

この意味では「題材」には「物語の舞台」という意味を含むと考えてかまいません。

以上、わかりやすく歴史上の「時間」「空間」をつかって考えましたが、現代の日本でも、東日本大震災やコロナ拡大前なのか後なのかで、変わることは想像にかたくないでしょう。

作者が、おぼろげに想定している「時間」「空間」を、具体的にしてみることが、ストーリーサークルとして「題材」を考える意義のひとつです。

「設定」としての題材

「時間」と「空間」を具体的に想定していくことは、歴史に限らずSFやファンタジーでも当てはまります。

SFをイメージだけで、ぼんやりと「宇宙旅行」をしている設定などとはせず、現代からつづく未来の年譜を想定して、

「今から100年後にこういう技術が開発され、それによって宇宙旅行が可能になった」

というところまで想定していくことによって「宇宙船」のつくりや原理などの設定が変わってくるはずです。

たとえば「ある科学者が永久機関を発明したこと」により、宇宙旅行が可能になったのか?

あるいは「宇宙人が地球を訊ねてきて、技術を提供したこと」により、可能になったのか?

世界観、設定が大きく変わり、オリジナリティの違いにもなります。

こういうことをしっかり考えずにぼんやりとした「未来」を想定した場合、過去の名作のクリシェになってしまいます。(※クリシェについては「オリジナリティを出す」参照)

ファンタジーやアニメなどで使われる「魔法」や「超能力」についても同じです。

「魔法は誰でも使えるのか?」「生まれによるのか、修行によるのか?」「使うには何らかのエネルギーや道具が必要か? 無限に使えるのか?」・・・

こういった「設定」(あるいはルール)が必要です。(※設定については「設定」と「構成」のちがい参照)

ただ漠然と「魔法が使える世界」とはせずに、具体的な「設定」を考え、オリジナリティを出していくことは、ストーリーサークルとして「題材」を考える意義のひとつです。

「ネタ」としての題材

すでに説明した「時間」「空間」「設定」の部分を想定してみます。

「時間」は2020年12月6日(僕がこれを書いてる日付です)

「空間」は東京の巣鴨(「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる高齢者の多い街です)

「設定」として、超能力やファンタジーな要素は一切いれない、とします。

これだけだと「題材」が何なのか、いまいちわかりません。オリジナリティが弱いのです。

こんな「題材」のまま、主人公を想定していくと、地味なストーリーになりそうなのは想像できるかと思います(次回、説明する「人物」が際立っていれば「題材」が弱くても成立はしますが)。

では、ここに少し「題材」としてのオリジナリティをくわえてみます。

たとえば「おばあちゃんの原宿こと巣鴨で、100年以上つづいている老舗和菓子店の家族」では、どうでしょう?

そのネタだけで、ビッグコミックあたりに連載してそうな一話完結の「ちょっといい話」系のマンガが浮かんできませんか?

あるいは「巣鴨にある、高齢者専用の学校がある」というファンタジー設定にしてみたら、どうでしょう?

おじいちゃん、おばあちゃんの学園モノストーリーになるかもしれません。そこに転任してきた、新米教師を主人公にすることもできるかもしれません。

「ネタ」としての題材は「時間」「空間」「設定」と重なる部分があり、厳密にわけることなどできません(する必要もありません)。

重要なのは、物語で扱ってる「題材」にオリジナリティがあるのか?という指針なのです。

次回はストーリーサークル「人物」について説明していこうと思います。

→ストーリーサークル2「人物」の記事へ

緋片イルカ 2020/12/06
2020/12/10加筆修正

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